「うわ……なんか食卓が豪勢になったな」
「ははは、これもみんなのおかげだよ。畑もすっかり元気になってね」
「そうみたいだな。さっき見に行ってみたら、もうすぐにでも収穫できそうな勢いでびっくりしたよ」
「よかったですね、院長先生」
「ありがとう、キーナ、ディケイ。本当に、感謝してもしきれないくらいだ」
久しぶりの里帰り。俺とキーナはライブリオンに会いに行くというブランシュとアイル、針子仕事で忙しいナジカ先生と一時別れ、久しぶりに孤児院を訪れていた。
畑はあの時の荒れ具合からは考えられないほどに豊かな実りをつけ、青々と茂っている。たくさんの食物に恵まれて、弟妹たちも元気に成長していた。
「ねぇねぇ、ディケイ兄ちゃん、キーナ姉ちゃん。今日は泊まっていくんでしょ?」
「あぁ、そのつもりだ」
「やったぁー! ねぇっ、遊んで、遊んで!」
子供たちは俺とキーナの周りを囲んではしゃぎまわっていた。久しぶりの孤児院で過ごす夜に、俺もキーナもすっかりくつろぎ、やすらかな気持ちになっていた。
「ねぇ……それでディケイ兄ちゃんとキーナ姉ちゃんはいつ結婚するの?」
「ぶっっ!!」
「なっ……なんてこと言うの、みんな!!」
「だって、この前アイル兄ちゃんが帰ってきた時にブランシュ姉ちゃんといつ結婚するんだって聞いたら『僕たちよりも、ディケイ兄ちゃんとキーナの方が先だよ、たぶん』って言ってたぜ」
「あ……あいつ……」
「先生もまた張り切ってドレス作るって言ってたし。なぁなぁ、いつ結婚するのー?」
「わわっ、キーナお姉ちゃん花嫁さんになるの?」
「ちち違うんだって! ねぇ、みんな!」
「はははは……この子たちには勝てないようだなぁ、二人とも」
「院長先生、なんとかして下さいー!」
「ふぅ……」
弟妹たちをようやく寝かしつけ、俺はようやく客間で一息ついた。前は5人で泊まった部屋も、今日は妙に広く感じる。
「兄やん……入っていい?」
「ん? どうした、キーナ」
キーナが扉の向こうから僅かに顔を出して覗き込んでいる。
「あのね……他の部屋、空いてないみたいで……私も一緒にここの部屋で泊まってもいいかなって……」
「え゛っっ……お、俺は別にいいけど……キーナはそれでいいのか!?」
「う、うん……だって、今までもこの部屋でみんなで泊まってたし……」
「いや、みんなで泊まるってのと、二人っきりで泊まるってんじゃ、全然違うだろうが!」
「でも、キーナは別にそれでもかまわないの。……兄やんは、イヤ……?」
「……っっく……」
内心の動揺を抑えつつ、キーナを部屋へと招き入れる。
静かなカムカ村の夜。胸の鼓動がやたらと大きく鳴り響いている気がした。
「……ねぇ、兄やん……」
「な、なんだ? キーナ……」
やばい……緊張してしまって、うまく話せない……。
俺たちはベッドの端と端に腰掛け、ぎこちない会話を繰り返していた。
「ブランシュとアイル……今ごろどこにいるのかなぁ」
「あぁ……そこらで仲良くしてるんだろう」
キーナにはライブリオンとブランシュの契約のことは話していない。そのため、二人はちょっとデートといった体で行き先を告げずに出かけたのだった。
(さすがにドレックノールに行くなんて言えないしな……)
残った三人の中で、二人がドレックノールに行ったというのを知っているのは俺だけだ。
アイルがついている以上、危険はないとは思うが……正直不安ではある。
「……最近、ブランシュはアイルとばっかり一緒にいるみたいで、ちょっと寂しいな……」
「…………」
「……やっぱり、アイルのことが好きだから、ずっと一緒にいるのかなぁ」
「あぁ……まぁ、それもあるだろうな」
もっと大きな理由もあるんだが……それでも、あの二人はなんだかんだ言っていいカップルだと思う。
アイルの奴、よくやってるよ……本当。俺はこんなにも意気地がないってのに。
「いいなぁ、ブランシュ……。ねぇ、兄やん……兄やんも、キーナとずっと一緒にいてくれる?」
「え……な、何を言って……キーナ……」
「兄やんも……アイルみたいに、キーナのこと守ってくれる……?」
……キーナ、ひょっとしてあの二人のこと全部知ってるのか……?
いや、それよりも………………。
枕の置いてあるあたりに座っていたはずのキーナが、気付けばすぐ隣まで来ている。
目線を下に落とすと、小さな谷間が覗き込めそうな、覗き込めなさそうな……。
柔らかな髪が肩に触れ、少しくすぐったい。キーナはじっと俺の目を見つめたまま、さらに体を寄せてきた。
「キーナ……おまえっ、男と二人っきりでいる時にそんなことしたら……ど、どうなっても知らないぞ!」
「んもうっ……兄やんのバカぁ! キーナが兄やんのこと好きなの、知ってるくせにぃ!」
キーナはそう声を荒げると、顔を真っ赤にしてそっぽを向いてしまった。
「もう……何度も女の子の方から言わせないでよ。私だって……ブランシュみたいに、そっちからリードして欲しいのに……」
キーナの肩が小さく震えている。戦士としてのキーナはよく知っていたが、こうしてみると戦場で感じるよりもずっと華奢に見える。
俺が思っているよりもずっと女の子らしく……そして、か弱そうな背中だった。
「キーナ……ごめ……」
そっと肩に手を置き、キーナの体を振り向かせる。顎に手をかけて顔を上げると……キーナの大きな瞳には、大粒の涙がたまっていた。
「……兄やん……キーナは、キーナはぁ……」
「……ごめん。俺が悪かった……」
……女の子にこうまでさせて、覚悟を決めないわけにはいかないよな……。
大きく深呼吸をして……キーナの体を、ぎゅっと抱きしめた。
「に……兄やん?」
「……悪かったな。俺に度胸がなくて。やきもきさせちまったみたいで……」
「そ、そんな………………ぇ……?」
慌てて顔を上げたキーナの唇に、そっとキスをする。つぶらな瞳が丸く見開かれ、じっと俺を見つめていた。
「俺は……俺も、キーナが好きだ……」
「兄やん……」
ふたたび唇を重ね合わせ、キーナの体をベッドへと押し倒す。唇を離すと、キーナが潤んだ瞳で俺を見上げていた。
「キーナ……あの……本当に、いいのか? 俺は……たぶん、我慢なんて出来ないぞ」
「うん……兄やんなら、いいの……」
こんな状況で理性なんて働くはずもない。キーナの声が耳に響いた瞬間むしり取るように彼女の服を脱がせ、その胸に飛び込んでいた。
「あ……んっ、兄やん……」
キーナの甘い声が耳をくすぐる。あまり大きくない胸を根本から揉みほぐし舌を這わせると、組み敷いた体がピクンと震えた。
「んぁ……兄やん、恥ずかしい……」
「大丈夫だ、キーナ……俺に任せておけ」
彼女の股間に指を這わせると……そこはもう、しっとりと濡れぼそっていた。
「んっ、そこは……はぁぁ……」
ぬかるみに指を潜り込ませると、熱い肉が指を包んで締め付けてきた。指を入れるだけでもこんなに狭いのに、こんなところにアレを入れたら……想像するだけで、体が熱くなってくる。
「キーナ……」
「んうぅぅっ、兄やん……」
内部を指でまさぐりながら、唇を重ね合わせる。指の動きに合わせて体が震え、堪えきれない声がか細く漏れ聞こえた。
「いくぞ、キーナ……」
脈打つペニスを取り出し、キーナの秘部へとあてがう。肉棒はギンギンにいきり立ち、今にも爆発しそうな勢いだ。
「うん、兄やん……んっ、んあぁぁっ!」
そっと腰を押し込むと、すぐに薄い膜へとぶち当たった。侵入を拒むかのように柔らかく、だが強固に立ちふさがっている。
「キーナ……力、抜け……」
「ん……あっ、くあぁぁぁ……っっ!!」
さらに力を籠めるとフッと抵抗が軽くなり、亀頭が少しずつキーナの内部へと埋もれていった。熱く濡れた膣襞がペニスに押し寄せ、優しく包み込んでくる。
「くぁ……っっ、痛むか? キーナ……」
「ふぅぅ……だ、だいじょうぶ……兄やんは、きもちいいの……?」
「あぁ……すげっ、締まって……きもちいい……」
「よかった……兄やんがきもちいいんなら、キーナはそれだけで嬉しいの……んっ、はぁぁ……」
時折眉をひそめたり唇を噛みしめながら、キーナが健気に囁く。そんなキーナがたまらなく愛おしくなって、俺はまたむさぼるように唇を重ねた。
「あっ、んはぁ……んうぅっ、兄やん……」
「キーナ、すまん……じっとしてられん……っっ」
「んっ、だいじょうぶ……もっと動いても大丈夫だから……んっ、んあぁぁっ!」
腰を打ち振るたびにキーナの唇から甘い声が漏れる。
はじめてだからと気を使ったのは最初のうちだけだった……今はもうキーナの体を味わいたくて、がむしゃらに腰を突き動かしていた。
「やぁぁっ、んっ、ふぅあぁぁ……あんっ、兄やん……そんな激しく……っっんうぅぅっ!」
「スマンっ、キーナ……俺は……」
「んっ、いいの……キーナの体、兄やんの好きなようにして……ねっ、兄やん……んっはぁぁぁっ!」
「――――っっ!!」
ひときわ強い締め付けにペニスは易々と屈し、熱い飛沫を上げる。先端から放たれた液がキーナの中を埋め尽くし、肉棒が温かなぬかるみに包まれた。
「はぁぁ……っっ、キーナ……」
「ん……兄やん……」
そしてまた唇を重ね……俺はそのままキーナの体の上に倒れ込んだ。
「もうっ、兄やん、起きてったらぁ!」
「あと5分……」
俺の二の腕を枕に寝ていたはずのキーナが、いつの間にか先に起き出して頬を膨らませている。
「んもう……みんな一緒に遊びたいって言ってたよ?」
「昨日あんだけ相手したから、疲れたんだよ……もう少し寝かせてくれよ」
「………………っっ!!」
……? 急にキーナが真っ赤な顔をして黙り込んでしまった。
ははぁ……『昨日あんだけ相手をしたから』ってのを、自分のことだと勘違いしたんだな。
あの後俺たちは夜遅くまで何度も肌を重ね合わせた。寝ようと思ってもすぐ横にキーナがいるというだけで体が反応してしまい、すぐにその気になってしまう。
現に今、俺の体はけだるい疲労に包まれていた。
「……でも、あんまり遅いとご飯全部食べられちゃうし……それに、院長先生が兄やんに話があるって言ってたよ」
「院長先生が? ……仕方ねぇなぁ……」
俺は重たい体をなんとか起こし、渋々服を着て部屋を出た。
「あ……起きたのかね」
「あぁ。なんかキーナが話があるって言ってたとか……」
「あぁ……そのことなんだが」
院長の部屋を訪ねる、話を聞くと……なにやらかしこまって小さく咳払いをしている。
いったい何だ……?
「まぁ、あれだ。若いってのはいいもんだなぁ」
「……どういう意味ですか?」
「………………まぁ、二人のことをとやかく言うつもりはないから……」
院長はガッと俺の肩を掴み、強く揺さぶった。
「……しっかりと、責任は取るんだぞ」
「………………はぁぁぁ?」
「あと……コホン。正式に夫婦となるまで、なるべく……その、なんだ……中では出さないようにな」
「――――――っっ!! いっ、いんちょーーーーーーーっっ!!」