「そっちのドアが終わったら、窓にも“施錠”かけて。ズンさんに覗かれたら困るでしょ?」  
「魔法の鍵をかけたって、モニカなら天井裏からでも覗けるでしょう?」  
唯々諾々と呪文を唱える合間に、ウィンドはせめてもの反抗を試みた。そんな健気な自己主張を、ユ  
ーリリアはあっさり受け流す。  
「ズンさんがスケッチできなければ、それでいいよ。ラーダ神官に商売道具にされたんじゃ、チャ・  
ザの名折れだし」  
「するってぇと先輩は、商売道具にされないのなら、覗かれようが“ふぃぎゅあ”を作られようが気  
にしない、と、おっしゃいますか?」  
「――なんか文句ある?」  
にっこりと微笑みながら尋ね返されて、ウィンドの顔面が雪山の頂上で三日三晩過ごした後のような  
色に変わる。  
「……あっちの窓にも“施錠”かけときますね」  
自発的に行動するようになった後輩に、ユーリリアは満足そうにうなずく。そして彼女は、この部屋  
にいるもう一人――椅子に縛りつけられたポロン・ハミルへと視線を向けた。  
「私に何をするつもり?」  
「何もしないよ。あんたにはね」  
怯えた顔を見せまいと虚勢を張る虜囚に、ユーリリアは即答した。顎をしゃくる動作で、ベッドに腰  
を下ろすよう後輩に指示する余裕を見せながら。  
この部屋にある窓という窓に“施錠”をかけ尽くしたウィンドは、そそくさと指示に従う。涙ぐまし  
い忠犬ぶりが、ポロンに唇を噛ませた。  
「ウィンドがあんたに籠絡されたら、本格的にハイロードになっちゃうんでしょ? その方が『おも  
しろい』んだけど、いちいち寝返りを心配すんのも面倒だし」  
従僕を追いかけるようにベッドに乗ったハーフエルフは、彼の腰回りに手を伸ばす。  
「だから、小娘にたらし込まれないように処理を施しとくことにしたの……よっと」  
手慣れた仕草でズボンをはぎ取ると、ユーリリアは感嘆の声をあげた。  
 
「へぇ……思ったより立派なのを持ってるじゃない。これでポロンを可愛がったりした?」  
悪戯した子供に謝罪させようとする母親みたいな口調で訊かれて、ウィンドはブンブンと首を振る。  
「してません! できません!」  
「ホントにぃ? 嘘ついたって、すぐにバレるよ? あむ。ん、ん……くちゅ」  
後輩の正面にかがみ込んだユーリリアは、そそり立つ肉棒に唇を寄せ、しゃぶりつく。  
「うひゃっ! せ、先輩!」  
いきなりの強烈な刺激に、ウィンドは身悶える。震える指でユーリリアの頭をつかむと、彼女は上目  
遣いに問いかけてきた。  
「ん……うふふ。そんなに、気持ちいい?」  
「はい。気持ちいい、です……おぉ!?」  
「こんな風にされてて、質問に答える余裕があるだなんて、ウィンドのくせして生意気じゃないの。  
お仕置きが必要だね……あむ」  
いきり立つ肉棒に舌を這わせ、唇でしごき上げ、喉奥まで咥え込む。様々な技巧を駆使するだけでな  
く、言葉で攻め立てることも怠らない。  
「どう? 出したい? 口の中に出したい? ポロンが見てる前で出しちゃいたい?」  
「う! お! おぉっ!」  
もはやウィンドの喉から出てくるのは、意味をなさない呻き声だけ。縛り上げられて腕を使えないポ  
ロンには、その声から逃れるすべはない。  
「おやめください、ハイロード! お願い、やめてぇ!」  
悲痛な叫び声が、とどめの一撃となった。  
「うぅああぁっ!」  
絶叫をあげながら、ウィンドは腰をのたうたせる。まるで陸に打ち上げられた魚のように二度三度と  
跳ね回る腰が、射精の激しさを物語っていた。  
「んん、ん……ごくり……はぁっ」  
口いっぱいに放出された精汁を飲み下して、ユーリリアはにっと唇をつり上げた。  
 
「ホントに溜まってたみたいね。とっても濃いのがたくさん出たのに、まだ元気たっぷり……」  
一方的に弄ばれた屈辱感にさいなまれる所有者とは裏腹に、彼の股間にあるモノは熱く脈打ちながら  
屹立したままだった。  
「可哀想に。ハイロードなんてやらされて、自分で抜く暇もなかったんだね」  
上っ面だけの同情を口にしながら、ユーリリアはスカートの裾をたくし上げる。そこには既に下着は  
なく、むき出しになった妖花が蜜を滴らせていた。  
「口だけで済ませる予定だったけど、わたしも欲しくなってきちゃった」  
天を指す肉竿をまたいで膝立ちになったユーリリアの媚笑に、ウィンドは生唾を飲む。  
「ほら、挿れるよ。わたしの中に入っちゃうよ……それっ!」  
ゆっくりと腰が沈み込み、じっとりと濡れた肉襞が男性自身を包み込んだ。  
馬乗りになった相手の両肩に手を置いて、ユーリリアが腰をうねらせる。波打つ締め付けがウィンド  
の急所に襲いかかり、快感は全身へと伝播する。  
「お、おぉおぁぁ!」  
「気持ちいい? 女に犯されるのが、そんなに気持ちいい?」  
サディスティックな笑みを浮かべつつ、ユーリリアはベッドサイドにも一瞥をくれる。  
「どうしたの? ハイロードがこんなに悦んでるのに、配下として嬉しくないの?」  
ぎゅっと目を閉じたポロンをさいなみつつ、ユーリリアの尻は、ゆっくりと持ち上がっては一気に落  
ちる動きを間断なく繰り返す。  
ひたすら翻弄されるばかりった男の腰も、いつしかその動きに応じ始めていた。  
「あぁん! それ、いい! あぁ、ウィンド! もっと激しくしてっ!」  
「は、はい!」  
命じられるままに、ウィンドは腰を突き上げる。がむしゃらな反撃を食らって、ユーリリアは大きく  
背中を仰け反らせた。  
「すごい。子宮に当たってる。あ……たまんない……」  
「先輩……俺、もうダメです……」  
 
つい弱音を吐いてしまったウィンドだったけれど、覚悟していた叱責は返ってこなかった。  
「あぁん! わたしも、もうイきそう! いいよ! わたしと一緒に、イっちゃって! 頑張ったご  
褒美に、中に出させてあげるから!」  
感極まった叫びが、昂まりに昂まっていたウィンドに僅かばかりの理性を呼び戻す。  
「ええっ? しかし、それって……う、ううっ!」  
「心配いらないって。一回だけなら、チャ・ザ様の御加護で“なかったこと”にできるんだから……  
あっ! もう……もうダメぇ!」  
昇り詰めようとする女淫が収縮し、咥え込んだ剛直を奥へ奥へと引きずり込む。その蠢きは、一旦は  
萎えかかったモノを限界の遙か先まで導いた。  
「せ……せんぱぁい!!」  
ユーリリアの最深部で、ウィンドが爆ぜる。  
「あぁんっ! あぁ、出てる! わたしの中が、熱いのでいっぱい! あああぁぁぁっっ!」  
噴き上がる灼熱で満たされたユーリリアが全身を痙攣させ、やがて力尽きたように倒れ伏した。弛緩  
した繋ぎ口から、大量の白濁液があふれ出す。  
射精後の虚脱状態にあったウィンドが、ハーフエルフの体重を胸に受けて我に返った時――  
「ハイロード……」  
自分がここにいるのを忘れないでくれと哀願するように、ポロンが呼びかけた。  
「え、いや、あの、その……」  
涙を溜めた両目で自分を見つめるポロンと、自分と繋がったまま寝息を立てるユーリリアとの間を、  
ウィンドの視線がさまよう。  
――シュバルツでも、ズンさんでも、モニカでもトリムでも……この際“やつら”でもいい! ここ  
から俺を連れ出してくれぇ!  
悲痛な心の叫びを、聞く者はなかった。  
 
   END  
 

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