薄暗い部屋。  
ほのかに灯る明かりがゆらゆらと揺らめいている。  
そんな薄暗い部屋の中、まだ幼さの残る男の子と女の子がベッドの淵に背中合わせになるように座っていた。  
お互いに黙りこくり、一言も口を利こうとはしない。  
喧嘩をしているわけでもないのにお互いに俯き、ただの一言も言葉を発しない。  
 
「・・・・」  
 
「・・・・」  
 
ピクリとも動かずにいる2人の耳には自分の心臓の音が聞こえてくる。  
それは早鐘のように激しく高鳴っている。  
静まり返った部屋の中はお互いの心臓の音まで聞こえてきそうだった。  
そんな沈黙の仲でも二人は言葉を発しようとはしない。  
それでもお互いの様子が気になるようにちらちらと様子を伺ってはいるのだった。  
 
「ナジカ先生・・・」  
 
「何考えてるの・・・」  
 
ようやく搾り出すような小声で呟いたアイルとブランシュの言葉はこんな状況を作り出した元凶への溜息だった。  
リファールに向けて旅立ってからというもの、ナジカは自分たちが結婚するものと信じて疑わなかった。  
そしてそれを周りの人たちに触れてまわっているからたまったものではない。  
ディケイたちとその火消しに躍起になっていたが、それが届くような人ではない。  
結局今日も宿の主人が気を利かせて3部屋も用意してくれたのだ。  
もちろんナジカが部屋を分けたのはそう言うことを期待したからではなく、親睦を深めて欲しかったからに過ぎない。  
しかし年頃の男の子と女の子が同じ部屋で二人きりで一夜をともにして相手を意識しないはずがない。  
ましてやお互いに告白しあった中であればなおさらだ。  
 
「・・・・」  
 
「・・・・」  
 
気まずい沈黙の中、二人の耳は隣の物音を気にしていた。  
隣の2人部屋のはディケイとキーナが押し込められている。  
しかしその隣の部屋からも物音は一つとして聞こえては来ない。  
おそらく向こうの2人も自分たちと同じく沈黙の中どうすることも出来ずにいるのだろう。  
とはいえこのまま黙ったままでいるわけにもいかず、ようやくアイルのほうが重い口を開く。  
 
「ブランシュ・・・あの・・・」  
 
「・・・・・なに?」  
 
「・・・もう少ししたらキーナと部屋、代わって貰おうか?」  
 
この状況はナジカが寝静まってから部屋を入れ替えれば済む話なのだからそれを提案してみる。  
おそらく向こうでもディケイがキーナに同じことを提案しているはずだ。  
そうするのが一番だと思ったアイルはブランシュの答えを待つ。  
しかしブランシュは押し黙ったまま答えてはくれなかった。  
 
「あの・・・ブランシュ??」  
 
「そんなに・・・一緒に居たくないの?」  
 
「え??」  
 
ブランシュのポツリと漏らした言葉にアイルはどう答えていいものか分からなかった。  
しばし思考が止まってしまってその言葉の意味がわからなかった。  
そしてそれを理解したあともなんと答えて言いのかがわからず、呆然としてしまう。  
そんなアイルにブランシュはちらりと視線を送ってくる。  
 
「・・・・一緒にいてくれるんじゃ・・・なかったの?」  
 
「そ、それは・・・一緒にいるけど・・・」  
 
問い詰めるようなブランシュの言葉にアイルは困り果ててしまう。  
ライブリオンに呪かけられたブランシュが自分たちの前からいなくなろうとしたことがあった。  
そのとき、アイルはブランシュともにいることを約束した。  
どんなときも一緒にいる、つまりはブランシュを受け入れたことになる。  
ブランシュを受け入れた以上、そこから先に進んでもなんら問題はないはずであった。  
要はアイルにその度胸が無かっただけの話である。  
 
「・・・・・いいの?」  
 
「・・・」  
 
アイルが問い直すと、ブランシュは無言のまま小さく頷き返してくる。  
こういうとき男のこの方から誘った方がいいなのに、ブランシュから誘われてしまったことが少し恥ずかしかった。  
それでも勇気を振り絞ってアイルは手を伸ばすと、ブランシュの小さな手に自分の手を重ね合わせる。  
小さな手は小刻みに震えているのがよく分かった。  
ブランシュも怖い思いをしている、それがよく伝わってきた。  
女の子をこんなに不安にさせてしまった自分が情けなくなってきた。  
だからせめて少しでもその不安を解消させてやろうとアイルはブランシュの手をそっと握り締める。  
 
「ブランシュ・・・」  
 
「アイル・・・」  
 
やがてブランシュの手の震えが止まり、二人の心がようやく落ち着きを取り戻す。  
そこまでしてようやく二人はお互いに向き合い、じっと見つめあう。  
こんな風にお互いに見つめあうのはあの日以来のことで、とても恥ずかしかった。  
恥ずかしかったが、それ以上にアイルの、ブランシュの存在が愛しくてたまらなかった。  
しばし見詰め合った二人はどちらからともなく、顔を近づけあい、ゆっくりと唇を重ね合わせる。  
 
「・・・・・んっ・・・」  
 
「・・・・・・」  
 
優しい優しいキス、お互いのぬくもりを確かめ合うかのようなキス。  
そんなキスを二人は続ける。  
唇を通して伝わってくるぬくもりはお互いの心を高鳴らせ、落ち着きを与えてくれた。  
その落ち着きがもっとブランシュのぬくもりを感じたい、もっとアイルのぬくもりを感じたいと求めてくる。  
だから二人は手を離さずに、いつまでの長々とキスをかわしていた。  
やがてどちらからとも鳴く唇を離す。  
離れた唇と唇の間に唾液の橋が架かり、互いが離れるのを寂しがっているかのようだった。  
唇を離したアイルはじっとブランシュを見つめる。  
 
「いくよ、ブランシュ・・・」  
 
「・・・・うん・・・」  
 
ブランシュが小さく頷くと、アイルは彼女の肩に手を掛け、そのままベッドの上に押し倒す。  
ようやく始まった行為にブランシュの体は緊張し、強張っているように思えた。  
まずはその緊張をどうにかしようと、アイルはもう一度ブランシュの唇を求める。  
唇と唇が重なり合い、お互いを求め合う。  
優しい溶けるようなキスにブランシュの体から緊張が消え去ってゆく。  
そしていつしかどちらからともなく相手の舌を求め、絡め合わせ始めていた。  
 
「んんっ・・・」  
 
「はぁぁっっ・・・」  
 
お互いの舌と舌が絡み合い、もつれ合う。  
舌から伝わってくる相手のぬくもりが体の芯の熱さを増してゆく。  
もっと欲しい、もっとお互いを感じあいたい。  
そんな欲望が2人を突き動かし、激しく舌を絡め合わせる。  
絡み合う舌と舌に唾液が混じりあい、ぴちゃぴちゃといやらしい音が部屋の中に溢れ出す。  
しかし、お互いを求め合う2人にはそんな音は気にならなかった。  
 
「・・・・んんっ・・・」  
 
ブランシュの体から緊張がほぐれたところでアイルはブランシュの服に手をかける。  
キスで気を紛らわせながらゆっくりと一枚一枚剥ぎ取ってゆく。  
素肌が外気に晒されてゆく感触にブランシュは恥ずかしさを感じていた。  
しかしそれ以上にアイルの温かさがブランシュの心を満たしていた。  
やがて服を剥ぎ取られたブランシュは下着一枚の姿をアイルの眼前に晒す。  
 
「ううっ・・・恥ずかしい・・・」  
 
「そんなことないよ。ブランシュ、可愛い・・・」  
 
自分の上からじっと見つめてくるアイルの視線を感じてブランシュは恥ずかしそうに顔を両手で覆い隠す。  
そんなブランシュの耳元でアイルはそっと囁きかける。  
アイルの言葉は心臓が飛び出しそうなくらい恥ずかしく、嬉しいものだった。  
一方のアイルも服を脱がせるまでは出来たが、ここから先のことで頭がいっぱいだった。  
いつか来るべき日のために学んできた知識を総動員してこの先どうするかを考える。  
 
「ブランシュ、優しくするから・・・」  
 
ようやく意を決したアイルがそっとブランシュに囁きかける。  
ブランシュの肩をぎゅっと掴み、真上から見下ろすように真剣な眼差しで見つめてくる。  
そんなアイルの真剣さが急に恥ずかしくなって、ブランシュは思わずふいっと横を向いてしまう。  
 
「な、何アイルのくせに生意気なこといているのよ!」  
 
「で、でも、こういうときは男が女の子をエスコートすべきなんでしょ?」  
 
「エスコートも何も、あなただって初めてじゃない!!」  
 
ブランシュの顔を真っ赤にした一言にアイルは押し黙ってしまう。  
ブランシュの言うとおり、女の人とこんなことをするのが始めてどころか、裸を見ることすら初めての経験である。  
昔はお互いの裸など見慣れたものであったが、今はお互いに別姓を意識している年齢で裸など見たことはない。  
ブランシュの言葉はもっともであり、アイルにはどうしていいかよくわかっていない。  
知識は仕入れてもそれを実践する経験が圧倒的に不足していた。  
しかし、アイルはもう一度真剣な顔つきでブランシュを見つめなおす。  
 
「それでも・・・それでもブランシュを幸せにしてあげたいから!!」  
 
アイルの真剣な言葉にブランシュはしばし呆然となり、顔から火が出るほど真っ赤に染まる。  
真剣に自分のことを考え、愛そうとしてくれているのがひしひしと伝わってくる。  
自暴自棄になった自分を押しとどめてくれたアイルの優しさが心に染み渡ってくる。  
 
「そ、そこまでいうなら・・・そのかわり・・・」  
 
「その代わり、何??」  
 
「優しくしてくれなきゃ・・・やだよ?」  
 
やや俯き加減にじっと自分を見つめるブランシュの眼差しにアイルはドキッとする。  
ヤキモチ焼きなブランシュ、泣き虫なブランシュ、腹黒いブランシュ。  
普段見ているブランシュのどれにも当たらないようなその表情がアイルの胸を高鳴らせる。  
その胸の高鳴りがアイルに火をつける。  
ここまで来たら引くわけには行かなかった。  
 
「うん、わかった・・・」  
 
アイルは短くそう答えると、もう一度ブランシュを抱きしめる。  
力強く、優しく。  
まるでもう二度とブランシュを離さないと言いたげな抱擁にブランシュもドキッとしてしまう。  
温かさと優しさ、力強さが伝わってくる抱擁に高鳴っていた胸の鼓動がさらに早くなってゆくのが分かる。  
それでもアイルから離れたいとは欠片も思わなかった。  
むしろいつまでもこうしていたいとさえ思えてしまう。  
それほどアイルの抱擁は暖かく、心地いいものであった。  
 
「んっ・・・ふあっ・・・」  
 
抱擁から流れるように唇を重ねあう2人。  
しかし今度はアイルの唇はすぐに離れてしまう。  
離れてゆく唇に名残惜しそうな顔をするブランシュだったが、すぐにその表情は歓喜に染まる。  
アイルの唇が耳や首筋へと延びてきたのである。  
軽く触れるだけに軽いキスであったが、心地よさに満ち溢れているキスであった。  
くすぐったさの中に何か別の体が熱くなる感覚を覚えてブランシュの口からは甘い吐息が漏れる。  
 
「アイ・・・ル・・・」  
 
甘い吐息を漏らしながら悶えるブランシュの姿を薄目を開けて見つめながらアイルが見つめる。  
それに気付いたブランシュは思わず視線を逸らしてしまう。  
自分のいけない姿を観察されているようで恥ずかしくて仕方がなかったからだ。  
そんなブランシュをもっと乱れさせようとするかのようにアイルの手が彼女の体の上を滑る。  
背中を上から下へ、そしてお腹の方へと伸びてくる。  
 
「んんっ・・・あっ・・・」  
 
指先で擦りあげるようにして滑る動きにブランシュは思わず声を漏らす。  
そんなブランシュの声をもっと聞きたいとばかりにアイルの指先はゆっくりとお腹を登ってくる。  
アイルの手がブランシュの胸の辺りで止まり、掌がその大きさを測るようにその胸を包み込む。  
アイルの掌は心地よく温かかったが、逆に自分の胸の小ささが恥ずかしくなってくる。  
 
「ごめんね、アイル・・・小さな胸で・・・」  
 
「??どうして謝るの、ブランシュ?」  
 
「だって男の人って大きな胸のほうが・・・」  
 
「これが今のブランシュだろう?僕は今のブランシュが好きなんだからこれでいいんだよ」  
 
そう言ってアイルは優しくブランシュの胸をなでまわす。  
正直って膨らみなど皆無に近い胸ではあったが、掌にはわずかな柔らかさと温かみが伝わってくる。  
アイルはゆっくりと丹念に、包み込むようにしながらその膨らみを撫で回す。  
 
「それに揉むと大きくなるらしいよ?」  
 
「それ本当?」  
 
「う〜〜ん。又聞きだから自信ないけど・・・」  
 
「・・・・・・ならアイルが毎日揉んで大きくしてくれる?」  
 
「ぼ、ぼくでよかったら・・・」  
 
又聞きした話をブランシュにするとブランシュは身を乗り出して尋ねてくる。  
実際に揉んで大きくなった実例を見たわけでないから分からないが、アイルは思わず頷いてしまう。  
たとえ大きくならなかったとしても、ブランシュの体に毎日触れることが出来るならばこんないいことはない。  
だから恥ずかしそうにしながらブランシュがしてきたお願いも快諾する。  
暗に自分のそばを離れるなというブランシュのお願いであることは読めていたから。  
そんなブランシュをさらに喜ばせるようにアイルは彼女の胸を優しく揉んでゆく。  
 
「んくっ・・・あっ・・・」  
 
「ブランシュ、気持ちいい??」  
 
「何か体がむずむずする・・・」  
 
まだ快感になれていないブランシュは恥ずかしそうにアイルの問いに答える。  
しかし白い肌は桜色に染まり、火照ってきているのは一目瞭然だった。  
確実にブランシュが感じてくれている、そうアイルに確信させる箇所が胸にはあった。  
 
「わからない?でもここは硬くなってきているよ?」  
 
「痛っっっ!!!」  
 
「ご、ごめん!!!」  
 
ブランシュの体の興奮にあわせるように硬く尖ってきた乳首をアイルは指先で摘んでみる。  
しかし初めての経験が災いして思わず強く摘んでしまったため、ブランシュは痛みに眉を顰める。  
痛い思いをしたブランシュはジロリとアイルをにらみつけて来る。  
 
「優しくし手って約束したのに、アイルのバカァ!!!」  
 
「本当にごめん・・・もう痛い思いなんてさせないから・・・」  
 
目に涙をためて怒るブランシュを宥めすかすと、先ほど痛い思いをさせた箇所をぺろりと舐め上げる。  
下着の上からとはいえ感度の高い場所をはじめて舐められる快感にブランシュはビクンと体を震わせる。  
ブランシュの反応を見たアイルは彼女が感じてくれていると理解し、ブランシュの乳首を何度も舐めあげる。  
舐めるたびに唾液が下着を濡らしてゆく。  
濡れた下着がその下にある桜色の突起を浮かび上がらせる。  
生で見るよりもエッチな光景にアイルは息を呑む。  
もっとそこを舐めたい、もっとそこを貪りたい、そんな欲望がムクムクと込み上げてくる。  
その欲望の赴くままにアイルは下着を捲りあげ、ブランシュのその幼い胸を露にする。  
 
「ひあぁっっ!!んくぅぅっ・・・」  
 
アイルはその興奮を晴らすかのようにブランシュの胸に顔を埋め、その桜色の突起を口に含む。  
チロチロと乳首を舐め上げられる快感にブランシュは鼻に掛かった声を上げて悶える。  
直に舐め上げられる快感は先ほどまでの下着の上から舐められる快感の比ではなかった。  
体の心から燃え立つような快感にブランシュは甘いと息を漏らす。  
そんなブランシュをもっと喜ばせようとアイルは硬く尖った箇所を口に含み、舌先で転がしながら強く吸い上げる。  
赤ん坊のようにチュウチュウと吸い上げら、ブランシュは切なそうな声を上げて悶える。  
 
「ああっ、アイル・・・んんっっ・・・」  
 
アイルの愛撫に悶えるブランシュはアイルの首に手を回して気持ち良さそうな声をあげる。  
ブランシュが自分の愛撫に感じてくれていることはアイルにもいたいほどよく伝わってくる。  
もっとブランシュを愛したい、もっとブランシュに感じて欲しい。  
そう思ったアイルは指先でブランシュの肌を撫で回し、強弱をつけて乳首を愛撫する。  
止め処なく襲ってくる快感にブランシュは身も心も流され、浸りきってしまっていた。  
 
「んあっ・・・あふっ・・・」  
 
「ブランシュ、ここ・・・」  
 
「!!!!ダメッ!!そこはダメッッ!!」  
 
熱い吐息を漏らすブランシュが両脚をモジモジとさせていることに気付いたアイルはその中心に手が延びる。  
アイルの手がどこに向かっているかを察したブランシュは両足をきつく閉じて抵抗する。  
が、それよりも早くアイルの手がブランシュの下着に触れてしまう。  
そこはじっとりと濡れ、下着にシミを作り始めていた。  
アイルの愛撫に自分の体がそんなにまで感じてしまっていたことをブランシュは改めて実感する。  
実感して無性に恥ずかしくなってくる。  
自分が物凄くエッチな娘になってしまった気がして不安になったのだ。  
 
「ダメだって言ったのに・・・」  
 
「でも気持ちいいから濡らしているんでしょう?なら、いいじゃない」  
 
恥ずかしそうに両手で顔を覆い隠すブランシュにアイルは嬉しそうに笑いかけてくる。  
自分の愛撫にブランシュの体が答えてくれていることがよく分かったのが嬉しかった。  
指先で割れ目を優しく撫で上げてやると、そこからさらに水が溢れ出してくる。  
溢れ出した水が指に絡まり、クチュクチュとイヤらしい音を奏でる。  
ブランシュはそんな水音が耳に届き、恥ずかしさからさらに顔を真っ赤に染め上げる。  
一方のアイルのほうにも余裕はまるでなかった。  
持てる知識を総動員してブランシュを愛撫する。  
 
「あふあああっ、アイルゥ・・・」  
 
甘えた声を上げてよがるブランシュの姿にアイルはようやくブランシュの股の間から手を離す。  
じっとりと濡れた指先が妙に卑猥に見えた。  
指先に付着した水をぺろりと舐め取ると、今度はブランシュの下着に手を掛ける。  
ブランシュはアイルが何をしようとしているかを察し、体を硬直させ、両足を強張らせて抵抗する。  
 
「ブランシュ、このままじゃ下着が汚れちゃうよ?」  
 
「でも、でも・・・」  
 
「大丈夫、優しくするから・・・」  
 
あくまで抵抗を続けるブランシュの耳元でアイルはそっと囁く。  
その言葉にブランシュの心臓は激しく脈動する。  
同時に強張ったからだから力が抜け、心に安らかさが満ちてくる。  
その瞬間を見計らってアイルはブランシュの両足から下着を抜き取ってしまう。  
そして抵抗する間もなく下着を取り上げられたブランシュの両脚の間に体を入れてくる。  
両脚を肩に担ぐ格好をすると、自然とブランシュの両足が広がりアイルの眼前にブランシュの大切な場所が広がる。  
アイルの視線を感じたブランシュは顔を真っ赤に染め上げて両手でそこを覆い隠してしまう。  
 
「ちょ、ちょっと、アイル!!」  
 
「ブランシュ、隠しちゃダメじゃないか・・・」  
 
「だけど、だけど・・・恥ずかしいものは恥ずかしいの!!」  
 
「無駄な抵抗をするなぁ・・・」  
 
そこを見られることが物凄く恥ずかしく感じたブランシュはそこを手で覆い隠して抵抗する。  
そんなブランシュの抵抗にアイルは溜息を漏らす。  
こんなときの対策も耳に入れてきてはいる。  
アイルはすぐさま顔を近づけると、そこを覆い隠すブランシュの手の甲をぺろりと舐め上げる。  
手の甲を舐められただけなのに、ブランシュの体には激しい電流が駆け巡る。  
 
「ひああっ!!あああっ・・・」  
 
フルフルと触れるブランシュの体からは力が抜け、覆い隠した手の力も抜けてゆく。  
そこでアイルはブランシュの両手首を掴み、ブランシュの抵抗を剥ぎ取ってゆく。  
ブランシュが慌てて抵抗しようとしたときには時すでに遅く、アイルの眼前にはブランシュの全てが広がっていた。  
 
「やだ・・・アイル、見ないで・・・」  
 
「ここがブランシュの・・・・」  
 
ブランシュの悲鳴も意に介さず、アイルはブランシュの大切な場所を注視する。  
すでに愛液が染み出し、キラキラと煌めいているはじめて見るその場所は美しく、神秘的な場所であった。  
まだ誰にも汚されていないそこはピッチリと口を閉じ、何者をも拒んでいるようだった。  
もっとそこを見たいとアイルは両の親指でその貝の口を左右に割り開く。  
左右に広がった貝の中は薄いピンク色で、奥から溢れ出した水でねっとりと濡れていた。  
 
「やだ・・・アイル・・・見ないで・・・」  
 
「何で、ブランシュ?こんなに綺麗なのに???」  
 
目に涙をためて首を弱々しく左右に振るブランシュだったが、アイルは逆に首を傾げるだけだった。  
ブランシュにしてみれば恥ずかしい場所を覗きこまれているに過ぎない。  
しかし、アイルにしてみればとても神秘的な場所を見ているに過ぎなかった。  
見るだけでは我慢できなくなったアイルはそこに顔を近づけてゆく。  
そしてそこの匂いを鼻を鳴らして嗅ぐ。  
その行為はブランシュにとって顔から火が出るほど恥ずかしいことであった。  
 
「甘くていい匂い・・・味の方はどうなのかな??」  
 
「やだ、アイル・・・・」  
 
「逃げちゃダメだよ、ブランシュ。しっかり濡らしておかないと痛いって話だよ?」  
 
そんな場所の匂いを嗅がれたブランシュは顔を真っ赤にして、半分怒って、半分泣いて抗議してくる。  
そして両脚をバタつかせてアイルの体を蹴りつけ、激しく抵抗する。  
ブランシュの非力な蹴りは痛くも痒くもなかった。  
アイルはブランシュの抵抗を無視してそのうっすらと濡れら場所に舌を這わせてゆく。  
ねっとりと生暖かく柔らかなものが股間を舐め上げる感触にブランシュは全身を強張らせて震え上がる。  
アイルが二度、三度と舐め上げると、小さな穴から透明な液体が滲み出し、アイルの舌を濡らして行く。  
 
「やっ・・・はぁっ・・・」  
 
「んっ、ブランシュのここ、こんな味がするんだ・・・」  
 
「ふあああぁぁぁっっ!!」  
 
溢れ出してくる水をピチャピチャと舐めあげていたアイルの舌がブランシュの中に入り込んでくる。  
自分の中にはじめて入り込んでくる異物の存在にブランシュは高い声を上げて悶える。  
その中には気持ち悪さと、どこか鼻に掛かった声とがいり混じっていた。  
ブランシュの中に入り込んだアイルの舌は膣の入り口を突付くように舐めまわしてくる。  
その攻めにブランシュの体は激しく反応し、体の奥から溢れ出してくる水の量はさらに増してゆく。  
 
「すごい量・・・これならあともう少し、かな?」  
 
口を離したアイルは止め処なく溢れ出してくる水を見つめながら今度は指をその入り口に添える。  
最初は中指を入れようとしたが、入り口の広さなどを考えてまずはじめは小指を差し込んでゆく。  
舌とは違った硬いものの挿入にブランシュの体が強張るのがアイルにはよく分かった。  
 
「ブランシュ、痛かった??」  
 
アイルの問いかけにブランシュは無言のまま首を左右に振る。  
ブランシュの体が強張ったのは痛かったからではなく、自分の体の中に異物が入っきたことへの嫌悪感からだった。  
ブランシュに痛みがないことが分かったアイルはホッとした表情で、小指を動かし始める。  
 
「ふぅぅっ・・・・んんっ・・・」  
 
アイルが小指を小刻みに動かすと、ブランシュは腰を震わせて反応を示す。  
あふれ出してきた愛液が指に絡み、クチュクチュと淫猥な音を奏でる。  
それがさらに2人の気分を高揚させ、興奮させる。  
いつしかアイルは指を小指から中指に変えてブランシュの膣内をかき回していた。  
派手に濡れたブランシュのそこは中指をすんなりと受け入れ、その動きをヒクヒクと戦慄かせて受け入れる。  
 
「どう、ブランシュ?気持ちいい??」  
 
アイルの問いかけにブランシュは無言のまま小さく頷く。  
その顔は真っ赤で目には涙が潤んでいる。  
頭では恥ずかしくて仕方がないと思っていても、体はアイルの愛撫を受け入れ、気持ちが高揚して仕方がなかった。  
体の奥は熱く燃え滾り、あそこはジンジンと疼いて切なくて仕方がない。  
もっとかき回して欲しい、もっと奥までして欲しい。  
そんな普段思ったこともないような欲望が止め処なくブランシュの頭の中に込み上げてくる。  
 
「アイルゥ・・・どうしよう・・・体がむずむずする・・・」  
 
体の奥底からわきあがってくる快感に抵抗できず、ブランシュは苦しそうな声を上げる。  
止め処なく押し寄せてくる快感に押し流されて、体も脳も限界ぎりぎりであった。  
そんなブランシュを最も高いところにまで押し上げてやろうと、アイルは愛撫を加速させてゆく。  
中指でクニクニと膣内をかき回し、舌先で顔を覗かせたピンク色のお豆を舐めあげる。  
二箇所同時に愛撫されたブランシュは全身を激しく強張らせてその強烈な快感に悲鳴を上げる。  
 
「やだやだ、アイル、怖いよ、アイル!!」  
 
「大丈夫だよ、ブランシュ。僕はここにいる」  
 
不安そうにアイルの名前を連呼するブランシュの手に自分の手を添えると、アイルはそう答える。  
手の平に感じられるアイルの存在にブランシュは一瞬心に安らぎを感じる。  
そしてその一瞬がブランシュの心を限界にまで押し上げてゆく。  
 
「ふあぁぁぁっっ・・・あああああっっっっ!!!」  
 
ビクンと激しく体を振るわせながらブランシュは絶頂の極みにまで達する。  
初めて体験する絶頂の快感にブランシュは全身を小刻みに震わせてその余韻に浸っていた。  
それはこの上もなく心地よく、同時に顔から火が出るほど恥ずかしくもあった。  
その恥ずかしさは怒りに代わり、その矛先はもちろんアイルへと向けられる。  
 
「アイルぅぅっっ!!」  
 
「うっ、ブランシュ、気持ちよかったでしょ?」  
 
「気持ちよかったけど、よかったけど・・・アイルにも同じ思いをさせてやる!!」  
 
逆襲に転じたブランシュはアイルの両肩に手を掛けると、そのまま体勢をひっくり返す。  
逆にベッドの上に寝転ばされたアイルが抵抗するよりも早くアイルの下着に手を掛けてゆく。  
そしてアイルが何かいおうとするよりも早くそれを勢いよく引き摺り下ろす。  
すると戒めを失ったアイルの肉棒が勢いよく飛び出してきてブランシュの眼前に聳え立つ。  
一瞬何が起こったのかわからないブランシュは呆然とそれを見つめていた。  
そしてそれをしばし呆然と眺めていたが、やがて悲鳴を上げて後退る。  
 
「やだやだ!なに、それ???」  
 
「なにって、これが男の・・・だけど?」  
 
「うそ!昔はそんな大きくなかったし、気持ち悪い形じゃなかった!!!」  
 
はじめて見る男性のシンボルにブランシュは悲鳴を上げる。  
それはすでにブランシュの恥態に興奮しきり、血管を浮かび上がらせて限界まで張り詰めている。  
そんなグロテスクなものを目の当たりにしてブランシュは半ば青くなっていた。  
幼い頃見たアイルのものはもっと小さく形も違っていたからだ。  
しかしアイルからすれば自分も成長し、皮が向けて大人になっただけの話であった。  
 
「大人になるとこんなになるんだよ・・・」  
 
「こんなグロテスクなものが??」  
 
「うん。ブランシュのここに入るんだ」  
 
まだ怯えた表情を浮べるブランシュに説明するようにアイルはそっと指先で先ほどまで舐めていた穴に触れる。  
敏感な場所に触れられたブランシュは思わず震え上がる。  
そして自分の眼の前に聳え立つ肉棒をじっと見つめ首を横に振る。  
 
「こんなの入るわけ・・・」  
 
「大丈夫だよ。ちゃんと濡らしておけばいいって話だから」  
 
アイルは自信満々にそう言い放つと、またブランシュと体勢を入れ替える。  
肉棒の存在に気を取られていたブランシュは抵抗する間もなくひっくり返され、アイルに上から圧し掛かられてしまう。  
アイルはさらに体の位置をずらし、ちょうど自分の腰とブランシュの腰とがぶつかる位置へと移動してくる。  
そこまでされたブランシュは逃げ場がないことをようやく自覚する。  
逃げられないならば、アイルに思い切り甘えてしまおうとちらりとアイルのほうに視線を送る。  
 
「痛くはしないで・・・よ?」  
 
「努力はしてみるよ・・・」  
 
潤んだ瞳で訴えかけられたアイルは不安そうな顔で答える。  
これまで聞いてきた話の中に『女の子はとても痛い』というものがあったからだ。  
よく濡らし、緊張を解せばいい、とも教わったが、これでいいのかはアイルにはわからない。  
ブランシュのあそこからあふれ出してくる愛液は指を伝うほどの量であった。  
しかしこれで本当に挿入してもブランシュが痛くないのかどうかはわからない。  
せめてそこに入る自分のものだけでも濡らしてその助けになればと肉棒を肉貝に押し付ける。  
竿の部分に溢れ抱いた愛液を擦り付け、濡らして行く。  
熱く硬いものを敏感な場所に押し付けられたブランシュはびくりと震えて全身を強張らせる。  
 
「じゃ、じゃあ、いくよ?」  
 
肉棒が十分にぬれたと感じたアイルは入り口の辺りに肉棒の先端を宛がうと、ブランシュに問いかける。  
ブランシュは答えず、ただ両目を閉じたまま小さく頷く。  
それを見たアイルは自分の肉棒を掴んで挿入位置を調節する。  
ぬるっとした穴に先端がもぐりこんだところでブランシュの肩を掴み、体を固定する。  
そしてそのまま腰を押し進め、肉棒をブランシュの中へと押し込んでゆく。  
小さな穴を押し広げて先端がもぐりこんだ瞬間、ブランシュの体が大きく強張る。  
同時に膣内が激しく収縮し、肉棒の侵入を拒む。  
 
「ブランシュ、力、抜いてよ・・・」  
 
「ダメ・・・痛いよぉ・・・」  
 
目じりにじんわりと涙をためたブランシュの顔を見たアイルは力任せに押し込むことも出来ず途方にくれてしまう。  
力を入れて無理矢理押し込もうとするが、痛みに体を強張らせたブランシュの膣はアイルの侵入を拒み続ける。  
力任せではどうにもならないと思ったアイルは作戦を変更する。  
ブランシュの背中に手を回し撫でてやることで緊張を解し、そこを見計らって押し込むようにする。  
少し入れてはブランシュの緊張を解し、少し入れては解しを繰り返す。  
長い長い時間をかけてようやく半分ほど埋まったところでアイルの先端は一際硬いところに行き着く。  
そこは緊張による硬さではなく、ブランシュの最後の牙城であることをアイルは理解する。  
 
「あの、ブランシュ・・・少しだけ痛いの我慢できるかな?」  
 
「・・・・・痛くしないでって・・・」  
 
「そうしないと、ネ?」  
 
アイルの説得にブランシュは嫌そうな顔をする。  
しかし少しだけ我慢しないといつまでたっても終わらないと分かったのか、しぶしぶ頷く。  
それを見たアイルは腰を浮かせて力を込めやすい格好を取る。  
体はブランシュと密着させ、少しでも彼女の恐怖を押さえさせようと試みる。  
ブランシュもアイルの背中に手を回し、これから襲ってくるであろう痛みに備えていた。  
 
「いく、よ?」  
 
アイルが再確認するとブランシュは小さく頷く。  
まだどこか怖がっていて、緊張していることが膣内の収縮具合から伝わってくる。  
そこでアイルは無理矢理押し込もうとはせず、ブランシュの背中を撫でてやってその緊張を解してゆく。  
アイルに抱かれ、背中をさすられて緊張がほぐれたのか、背中に回ったブランシュの手から力が抜ける。  
肉棒を取り巻く肉壁の圧力も収まってゆく。  
その瞬間を逃さず、アイルは一気に腰を押し進める。  
 
「ひぐっ・・・ううっ・・・あああああっっっ!!!」  
 
「ブランシュ・・・もう少し・・・」  
 
「痛いっ、痛いぃぃぃっっ!!」  
 
グッと力を込めると硬い肉へ機がプチプチと音を立てて切れてゆくのが肉棒に伝わってくる。  
その痛みにブランシュは短く唸り声を上げながらアイルの背中に回した手に力を込める。  
引き裂かれるような激痛にブランシュは目に涙を浮べて絶叫する。  
力のこもった両手が爪を立て、アイルの背中に8本の赤い傷を刻み込む。  
背中に痛みが走るが、アイルはそれをグッと堪えて己を奥へと押し込むことに専念する。  
硬い肉壁を押し広げて進んでいた肉棒が、ブツンとそのもっとも硬いものを突き破る。  
その瞬間、ブランシュは大きな声を上げて全身を弛緩させて悶える。  
そこを越えると肉棒はすんなりと根元まで収まってゆく。  
そして先端も行き止まりまで行き着く。  
 
「ブランシュ、全部入ったよ?」  
 
「え??あ、お腹の中に何か・・・」  
 
「僕がブランシュの中にいるって事だよ。いまぼくたちは一つになっているんだ」  
 
ブランシュは自分のお腹の中に何かがあるのを感じて不安そうな顔をする。  
そこでアイルが自分たちが一つに繋がったことを教えると、少し照れた笑みを浮べる。  
しばらくの間2人は抱き合ったままお互いの存在を確かめ合う。  
お互いの熱を感じあうことで心の中が幸せで満ちていくようだった。  
やがてブランシュの表情から辛そうなものが抜けたところでアイルは小刻みに腰を動かし始める。  
 
「んっんっんっ、ふぅっっ・・・」  
 
「どう、ブランシュ?痛くない?」  
 
「う、うん。もう少し強くても大丈夫みたい・・・」  
 
ブランシュの痛みが小さいことを確認すると、アイルは腰の動きをさらに大きくする。  
カリが傷ついた肉壁を擦りあげると、ブランシュは一瞬眉を顰めるが、アイルから手を離そうとはしない。  
逆にさらに力を込めてしがみ付いてくる。  
痛みの中に何か違う何かを感じ取り、それを迎え入れようとしているのだった。  
アイルはこれ以上ブランシュを傷付けまいと小刻みに動きながら、自分の欲望も満たして行こうとする。  
腰の動きは小刻みではあったが、締め付ける力は強烈でお尻の辺りがむずむずしてしょうがない。  
 
「んくっ、アイルの・・・アイルのまた大きくなった・・・」  
 
「!なんだか、もう・・・出そう・・・」  
 
肉棒の奥からこみ上げてくるものを懸命に押さえ込みながら、アイルは苦しそうな顔をする。  
気を抜いたらそれがあふれ出しそうだった。  
それでも動きを止めることは出来ない。  
止まることを知らない腰は何度も何度も蠢く。  
ブランシュはそんなアイルの腰に足を絡み付けせ、背中に手を回して縋りつく。  
ブランシュもまた体の奥に芽生えた熱が暴発しそうな感じを抱いていた。  
 
「いいよ、アイル・・・そのまま出しちゃっても・・・」  
 
「いいの、ブランシュ??このままイくよ??」  
 
「ふぁぁぁぁっっ!アイルのが、アイルのがこつこつって、あああんんっっ!!」  
 
ブランシュの許しを得たアイルは腰の動きを加速させてゆく。  
グチュグチュと膣内をかき回し、こつこつと命の泉の入り口を何度も叩く。  
激しい動きに堪えきれず、つらそうな顔をしていたブランシュだったが、徐々にその表情は朱に染まってゆく。  
アイルを離すまいと両手両脚の力がこもる。  
これから起こることに恐怖は感じられれず、ただ何か幸せなことのような気がしてならなかった。  
だからアイルにしがみ付き、それを逃がすまいとする。  
アイルはそんなブランシュの一番奥へと肉棒を叩き付けながらこみ上げてきた欲望を解き放とうとする。  
 
「うくっ、ブランシュ・・・ブランシュ!!」  
 
「ふぐっ、ううっ、あああっ・・・アイルッッッッッッ!!」  
 
アイルが肉棒を一番奥へと押し込んだ瞬間、アイルの肉棒が大きく弾け、その先端から熱い欲望が迸る。  
二度、三度と迸る熱い欲望はブランシュの命の泉を満たしてゆく。  
それを感じながらブランシュは、体の中の熱いものの最後のピースが埋まったように感じていた。  
そしてそれは体の中の熱さをはじけさせる。  
全身の力を込めて縋りつきながら、ブランシュは自分の意識を白い聖域へと解放する。  
心地いい快楽が全身を支配し、二人はそれに身を任せる。  
2人は絶頂の余韻に浸りながらしばしお互いの存在を確かめ合うように抱きつき、求め合う。  
体のほてりが収まってきたところではじめてアイルの方から声を掛けて来る。  
 
「ブランシュ、感じた?ぼくの存在??」  
 
「うん・・・お腹いっぱいにアイルを感じたよ」  
 
「僕らは今ひとつになれたんだ。だからもうブランシュの苦しみも辛さもぼくが一緒に背負うよ」  
 
自分を抱きしめながらにっこりと笑う少年の笑顔が心に沁みる。  
自分はひとりではない、そう思える幸せにブランシュはボロボロと涙をこぼす。  
この少年とならばあのマンティコアが課した呪いも、試練も乗り越えられそうな気がした。  
 
「本当に、いつまでも一緒にいてくれる?」  
 
「うん」  
 
「何があっても?」  
 
「うん」  
 
「だったら・・・ずっと側にいてよ?」  
 
「うん、一生・・・」  
 
アイルの背中に回した両手の力を込めながらブランシュは目に涙をためてそう訴える。  
その訴えかけにアイルも両手に力を込めて答える。  
二度と離さない、離れない。  
そんな決意が二人の体には満ち満ちていた。  
そんな二人の間を静かな時間が流れてゆく。  
それはこれから始まるであろう困難な旅路の前の静けさのようであった。  
しかし、どんな困難もお互いの存在が、ぬくもりがあれば超えられる。  
そしてその先には眩いなカリの幸せがあると信じて疑わなかった。  
抱き合う二人はそう信じきっていた。  
そんな2人を深い眠りの闇が覆いつくしてゆく。  
その闇に2人は抗うことなく、心地いい眠りへと付くのだった。  
 
 
翌朝。  
一人先に起きたブランシュは横で気持ち良さそうな寝息を立てるアイルの顔を覗き込む。  
幸せいっぱいの表情を浮べたアイルの顔を見ていると、昨晩のことが思い出される。  
あんなにも大胆に、あんなにも激しくアイルを求めてしまった自分が今になって恥ずかしくなってくる。  
自分の弱い部分をアイルに見せてしまったことが恥ずかしくもあり、悔しくもあった。  
アイルだから見せてしまったといえばそれまでだが、ブランシュは納得できないでいた。  
少なくとも今の主導権はアイルに握られてしまったといって間違いはなかった。  
 
「絶対握り返してやる・・・」  
 
そう心に誓うとブランシュはベッドから起き上がろうとする。  
すると下腹部と股間に激しい痛みが走り、思わずよろめいてしまう。  
何とか立ち上がってはみたが、まっすぐ立つことができない。  
昨日初めてを奪われたことをこの痛みで実感してしまう。  
それでもよろよろとしながら蟹股で歩き、廊下へと出るとちょうど隣からキーナが顔をのぞかせる。  
キーナと顔を見合わせたブランシュはキーナもまた蟹股で立っていることに気付く。  
 
「キーナ・・・もしかして・・・」  
 
「ブランシュも??」  
 
恥ずかしそうに尋ねるとキーナも問い返してくる。  
今のお互いの格好を見れば隣の部屋で何があったかは一目瞭然であった。  
一瞬気まずい沈黙が辺りを支配する。  
だが、すぐに2人の顔は満面の笑みへと代わる。  
 
「良かったね、キーナ!お兄ちゃんと・・・」  
 
「ブランシュも!」  
 
お互いに思い人と結ばれたことを祝福しあう。  
心の底から祝福しあう。  
それは幼い頃から家族として、姉妹として付き合ってきた2人には当然のことであった。  
そしてそれは自分のことのように嬉しいことであった。  
二人は手を取り合って喜び合い、祝福しあう。  
ナジカが結び付けてくれた家族という絆。  
これから咲き苦楽を共にする相手に恵まれた喜び。  
今2人は兄弟姉妹ではない新しい家族の関係を感じていた。  
その新しい家族の絆を得た二人の未来は本当に明るく感じられた。  
二人の進む道はまだまだ遥かに長い・・・  
 
 
    The End  
 
 

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