「また嫁候補が増えたことですし」
このルーンフォークはどこまで本気なのだろう?何もかも本気で言っていそうな気がするのが不安なところだ。
「え?ホーリィちゃん?お兄さん変態ー!」
これで冗談と言うことになるだろう。ソラはそう考えたのだが、ジークのリアクションは予想を超えていた。
「え?そっち?俺としては、ミスティン姫に弟タイプって嫌いですかって聞きたいな」
ジークのこれまでの言動からは予想も出来なかった。あの大人びたお姫様を意識している?
「そういう売り込みかたをするんじゃありませんー!」
エアが叱責している。
「……」
ソラはジークの言動を思い起こしてみた。
見た目は年下の自分が胸にすがり付こうとしたら、引き剥がされた。
しかしもっと年下に見える女神の分身達を気に入っているようだ。
「執事よりメイドの方が良い!」
と力説していたのを思い出してメイド服を着てみたが、今のところ効果なし。
さらに考えてみると、ジークの傍に居る頻度が高いのは自分よりも姉のほうだ。
今も他愛のない会話を交わしている。
しかしエアとミスティン姫では全く印象が違う。
外見だけ見ても、種族が間違っているのでは無いかと思うくらいだ。
目の前でジークとじゃれあっているエアの服と防具の上からも目立つくらいに大きな胸とお尻、くびれたウエストに太めの脚。
人間の女性でもあまり居ないくらいに豊かだ。そして活動的で世話焼きだ。
ミスティン姫は全く逆で、耳の形を確かめたくなるくらいの細身。エアと共通している点があるとしたら何だろう?
その中で自分にもある要素は何か?
「ナイトメア、何か悪巧みをしていますね?」
ソラは無言でルーンフォークの爪先を踏みつけた。