自分の天幕に帰ってもまだ鼓動が収まらない。
ラファルは経験の無い出来事に戸惑っていた。
女なんて…。
「馬に乗るのは下手だし、力仕事はできないし…」
そう思って相手にもしていなかったはずが…。
メルティに裸で抱きつかれた時の感触が思い出される。
股間は服の上からでも分かるほどに勃起していた。
子供のころから族長の息子として純潔を守ってきたラファルの転機だった。
「……ラファル…」
その静かな声にビクッ!と体をこわばらせる。
入ってきたのはナハト。
「ラファル…さっきの…」
「ちちちが、違う!! あれはメルがどうぞーって言うから!」
大慌てで言いわけするラファル。
冷静に問い詰めるナハト。
「そう…、メルがどうぞって言ったから……」
「どうぞの意味が違う!!」
ラファルは、言えば言うほどパニックに陥っていく。
「馬泥棒の件はさっきの説明でわかった。…でも押し倒してた件については説明が支離滅裂…」
さきほどと同じように、手際よく拘束するナハト。
彼の股間に目をやりながら宣言する。
「詳しく聞かせてもらう……」
四つん這いのラファルに後ろからかぶさるナハト。
これがラファルの最も悦ぶ体位だった。
彼女の白く滑らかな手が彼の服の中に侵入する。
「っ! ナ、ナハト!」
「……こういう時は、昔みたいに姉と呼ぶルール……」
今でこそ兄と妹に見える彼らだが、ナハトがラファルに拾われ部族に入ったのは10年前。
当時5歳だったラファルにとって、当時から外見年齢13歳のナハトは姉同然。
ゆえに2年ほど前までは、ラファルがナハトを呼ぶ時の呼称は『姉ちゃん』だった。
「ね、姉ちゃん! だからこういうのはもう…」
「……純潔は守ってる。…問題無い」
全身を愛撫されて快楽を引き出されるラファル。
理性では拒んでいても、10年近く続けられてきた行為に本能が屈伏する。
ナハトが右手中指をラファルの口元に出す。
「……舐めて」
従順になった彼は自分の涎を指にまぶしていく。
濡らせば濡らすほど、スムーズに褒美が与えられるのを知っていた。
滞ることなくズボンが下ろされ、その指が彼の後ろの穴に当てられる。
「……最初は小指が限度だったのに……」
いつもの冷静な顔が、少しだけにやける。
昔から今に至るまでの彼との思い出が、彼女の口元をほころばせた。
「ん…っあ…」
指がするりと根本まで飲みこまれる。
抵抗はない。
彼女はその状態で指をネジのようにねじる。
「ぅあっ…ぃ…ぁ…」
限界まで硬直した陰茎の先に透明な汁が生まれる。
先走りといわれる射精を促す補助液。
指を往復するようにねじりながら、抜き差しを繰り返す。
そのたびに先走りが生まれ、ぽたぽたと寝床に垂れた。
しかし決して前立腺を刺激することがなく、ラファルは射精に至れない。
気持ちよさと、射精欲求だけが際限なく膨らみ、頭の中が霞がかる。
「…ね…姉ちゃん……」
懇願する目を向けるラファル。
そこにナハトが質問を返す。
「……メルの裸で興奮した…?」
再びラファルの体がビクリと硬直する。
黙るラファル。
「…隠しても無駄…」
指の動きは止まらず続いている。
泣きそうな顔でナハトに伺いの目線を向けるラファル。
「……別に怒ってない…。…メルは私も好き…でも」
言うと同時に、指を限界まで一気に挿入する。
「…ラファルの純潔は……私が10年守ってきた…」
指を曲げ、前立腺に指を強くあてる。
そして思いっきり指の腹でひっかいた。
ラファルの脳を強烈な快楽が焼く。
「かっ…ぁ…」
ビューッという長い音とともに、白濁液が空中に長い孤を描く。
先走りがほとんど混ざらず、ひたすらに濃い液。
そして指を引き抜かれると、再び残っていた全てを吐き出し、ラファルが崩れ落ちる。
快楽の余韻で体を痙攣させる彼を見下ろすナハト。
ナハトはラファルの陰茎を一度も触ったことがない。
彼は純潔のままだった。
これまでも。今回も。
「……これからも…」