ここはラファルの天幕の外。
ナハトに着せてもらった寝巻姿のメルティがそこに居た。
聞き耳を立て、天幕内から聞こえるかすかな声を拾っている。
「んっ…ぁ…ぁ…っ」
押し殺した声で喘ぐメルティ。
中に聞こえないように。中が聞こえるように。
天幕の中からはラファルの喘ぎ声が漏れている。
メルティはスカート状になっている寝巻の裾から手を入れ、自分の秘部を指でいじっていた。
(ん…ラファル…)
天幕の隙間から見えた彼らの行為が思い出される。
ナハトが…ラファルの後ろの穴をいじめている光景が。
竜の中で育ったメルティにとって、人間同士の行為を見るのは初めてだった。
だが、人間社会に出る前に親竜達から一通りの知識は授かっている。
知識の蓄積は竜の趣味の一つだ。
その中に、雌が雄を後ろの穴で虜にするパターンもあった。
ラファルの呆けた顔が、確かに虜になっていることを証明している。
しかし…。
(あれは…子供が作れないはず…ですよね…)
竜達の中で育ったメルティにとって、気に入った雄との子作りは当然の行為だった。
なぜ自分同様ラファルを気に入っているはずのナハトが、子を成せない行為しかしないのか…。
(あ…)
思い当たる。
ナハトはルーンフォーク。
ルーンフォークは人間と子を成すことができない。
しかしそれにしても…。
「…ぁ…姉…ちゃん…」
ラファルの喘ぎが聞こえる。
メルティは合点がいった。
今まで何度となく行ってきた子作りへの誘いをかわされてきた理由。
ラファルはナハトの虜なのだ。
「グー?」
悲しげな顔をするメルティに、グーが首をかしげる。
「ん…グーちゃん…」
指を止めないまま、彼に話しかけるメルティ。
「お願い…いつもの…」
地面にへたり込み、秘部を彼に向ける。
グーは裾からもぐりこむとそこにチロチロと舌を伸ばす。
火照りきっていた中に冷たいがぬめる舌が侵入した。
「っ…!」
手慣れた風に、一瞬で快楽を引き出す舌。
だが、メルティは困惑する。
(あ…っ、ここ…)
グーはいつも通りの責めだが、メルティはいつも通りというわけにはいかなかった。
ここはラファルの天幕の外だ。
「んっ…ぁ…っ…」
口から喘ぎが漏れる。
そして、天幕の中からはラファルのそれも…。
「っ…グー…ちゃ…、す、ストッ…あっ!」
一旦止めさせようとするが、その声が裏返る。
グーはいつもの言いつけを忠実に守っていただけ。
すなわち
―少し嫌がっても気にせず続けて―
敏感ゆえにすぐ体が拒否行動をとってしまうメルティ。
彼女が絶頂に至れるようにしつけた内容だった。
(で…でもっ…今は…グーちゃ…ん…)
理性は止めようとするが、体はすでに虜。
すでに地面にへたりこむどころか、地面に倒れこみグーのなすがままにされていた。
「…っぁ…ぃ…きもち…い…」
口に出したとたん、秘部から大量の液体がこぼれ出た。
理性が状況を受け入れた証。
ラファルの喘ぎが鮮明に聞こえる。
あの肉欲に溺れた顔のラファル。
メルティはいつしか、その彼が自分の秘部に奉仕している様を幻視していた。
中からナハトのつぶやきが聞こえるが、内容までは聞き取れない。
しかしラファルの喘ぎが一段とせっぱつまったものになる。
そして…。
(ラファル…ぁ…ぁっ…)
それに合わせメルティも高まり。
「イっ…ぁ…っイ……ック…ひゃ…ん…」
―プシャ―
潮がグーの全身を濡らした。
「メル…」
「…っ!?」
天幕から出てきたナハトが、痴態そのもののメルを見下ろす。
「…これでもスカウトの心得がある…。……聞こえてた」
メルティの顔が、これ以上ないというほど羞恥の赤で染まる。
「……入って」
「えっ?」
いきなりの申し出に驚くメルティ。
「……一緒に…ね」
意外な申し出。
メルティは混乱の末、ひとつの結論に辿り着く。
そしてにこりと微笑んだ。
そして心底楽しそうに。
「あははー♪」
と笑った。