がちゃっ  
「ジークくーん、あーそーぼー」  
 質素だけど清潔な服に身を包んだ少女が戸を開けて入って来た。  
「えー、やだよー」  
 幼いジークは拒否反応を示した。  
「なんでなの?」  
「だって○○ちゃん、おいしゃさんごっこばっかなんだもん」  
 ジークは口を尖らせて文句を言った。  
 いつも自分が患者をやらされるのだ。  
「んー…じゃあ、おままごとにしよ。それならいいよね?」  
「うん、それならいいよ」  
「じゃあ、はやくいこっ!」  
 ジークより少しだけ年上の少女は言うが早いか、ジークの手を取って外へ駆け出した。  
 
 この時に新婦をやらされたジークが、その後、おままごとをベルに押し付けるようになったのは無理からぬこと。  
 そしてこのトラウマのせいでジークが気の強い年上に苦手意識を持つようになったのはまた別の話である。  
 
 めでたし、めでたし  
 

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