<封印25日目>
「ちゅっ、ずずっ、れるっ」
「んちゅっ、れろっ、ずずずっ」
互いの唇を舐める。
ねぶる。
吸い尽くす。
舌を絡め合い、唾液を交換する。
「あっ、あっ、いいのっ、おっきいの、きてる……っ!」
グチュグチュといやらしい水音を立てて、ジークのペニスがクロノアの内壁を往復する。
常人を遥かに超えた大きさの肉竿を、ぱっくりと銜え込んだ蜜壷。
とろけるような柔らかさに包まれながら、その快楽に負けじと、律動を強める。
「あんっ、そこ、そこ……」
「ここがいいのか?」
「んはぁ! いいの……そこ、もっと突いて……」
Gスポットをごりごりと削られ、クロノアは歓喜の喘ぎと甘い吐息を漏らす。
この世で最も美しい存在と呼ばれるエルフ、熟女のクロノアもその美しさに変貌はない。
そのクロノアが、全裸で股を開き、自分のイチモツを飲み込んでいる。
エルフらしからぬ肉感的な身体を上気させ、豊満なおっぱいに聳える桜色の乳首はツンと天を向き、
若干上から目線と感じるくらいに、からからと快活で蓮っ葉な物言いをする人妻が、
子供のような口調と甘え方で、エッチなおねだりをしてくる。
これに興奮せずして、何が男か。
「あんっ、あんっ、凄いぃ……あああんっ」
ジークの股間が更に膨張し、腰の動きを加速させる。
クロノアの乱れ方もまた、大きくなる。
きゅっ、と力強く締め付き、一滴でも多くの精子を搾り取ろうとと蠢く膣壁。
亀頭にちゅうちゅうと吸い付く子宮口は、まるでクロノアの身体に別の生物が潜んでいるかのようだ。
「くっ、駄目だ、出る!」
「んあっ、精子来てる、流れ込んでくる……っ、あああ〜っ!!!」
堪え切れず、ジークは射精した。
びくんびくんと脈打ち、子宮に怒涛の勢いで子種を流し込まれる感触に、クロノアもまた絶頂を迎える。
ジークの腰に足を絡ませ、ジークの熱いものを胎内で感じながら、視界を快楽の白に染めた。
寄り添った身体の、互いの心臓の音が聞こえる。
しばし抱き合ったまま心地の良い感触に酔いしれていた二人は、やがて名残惜しそうに身を離した。
巨大な栓と化していたジークの肉棒が抜けて、白濁とした粘液がどろりとクロノアの太ももを伝って落ちる。
「あんっ、勿体無い……」
イった直後で若干虚ろな表情をしながら、無意識のようにクロノアは零れ落ちた精液を指で掬い取り、舌で舐め取る。
その淫靡な仕草に、ジークの心臓がどきりと跳ねた。
「クロノア、エロい」
「そうかしら? ……そうかもね」
にやり、とクロノアは笑顔を見せる。
「この数日だけで、私、自分でも不思議なくらいエッチになっちゃったわ。これもジークのせい……って言うべきなのかしら」
「せい、じゃなくて、おかげ、って言ってほしいかな」
「あら、言うじゃない……まぁ、そのとおりかもしれないけどね」
ジークの身体にそっと寄り添いながら、クロノアが言う。
その言葉を受けて、ジークはここ数日のことを思い返した。
二十二日目の朝。
二人は同時に目覚め、熱が引いて冷静になった思考で、やってしまった事の重大さに頭を痛めた。
セックスしたことに後悔はない。
無いのだが、あまりに二人の関係は歪すぎた。
クロノアが愛しているのはカームであって、ジークではない。
ジークもまた、クロノアを愛しているから抱いたわけではないのだ。
ぶっちゃけてしまえば、『ムラムラしてて、都合が良かったから合意の上でヤっちゃった』ということになる。
勿論、様々な葛藤があったうえで、決して遊びではなく本気で相手を求めたわけなのだが……
誰でもいいというわけではない。
セックスをするなら絶対この人とじゃないと嫌だ、という気持ちはとても強い。
だが、愛は――いや、この場合は、恋が無い。
クロノアが離婚して、ジークと結婚して、二人で生活して……のような考えは一切無いのだ。
異常な体験が織り成す、異常な関係だった。
とりあえず身体に付着していた、乾いてガビガビになった精子を洗い流し、これからどうしようかと相談する。
探索は終わってしまった。
が、ひょっとしたら見逃しただけで、実は隠された脱出手段が残っているのかもしれない。
その可能性を考慮して、二人は探索を続行することに決めた。
それは単に、絶対に諦めないという、冒険者としての意地だったのかもしれない。
そして――探索が終わった夜。
既に越えてしまった線をもう一度越えることに、何の躊躇いがあろうか。
二人は今までの我慢や辛抱が嘘だったかのように、流れるようにセックスへと移行した。
服を脱ぎ、キスをして、互いの性器を刺激し、そして挿入する。
極めて自然に。
「んんっ……やっぱり、大きい……っ」
「う、あぁ……キツ……」
ヒダが絡み付き、ジークの巨大な竿を奥へ奥へと引き擦り込む。
抗わず、ジークはクロノアの膣内を味わいながら腰を振った。
子宮口をこつんと突付くたびに、クロノアが快楽の喘ぎ声を上げる。
やがてジークが耐え切れずに射精すると、クロノアもまた限界を迎えた。
「あ、ああっ、あああああっ!!」
相変わらずの、子宮に精液が勢いよく叩き付けられる感触に、クロノアはどうしようもない幸福感を覚える。
膣内をぐいぐいと圧迫する巨根と、この激しい射精は、クロノアの知る『セックス』という概念を根本から粉砕する快楽だった。
ここに、カームとの行為で常々感じていた中途半端なモヤモヤ感を受けることはない。
あるのは、限界まで全力を使い果たした後の爽快感。
だからこそ、脳が痺れてしまうほどに、我を忘れて絶頂してしまえる。
満たされる。
「クロノアさん、俺、まだ……」
「んあぁっ!? ま、まだイってる最中……あんっ!」
胸を揉みながら、ジークがピストンを再開する。
再びクロノアの身体中に、電撃が走ったような衝撃が襲い掛かった。
胸中にあるのは――期待感。
クロノアは再び、幸せの世界に中に身を横たえる。
その日もジークは三発、膣内に射精した。
二十三日目。
けじめをつけるというわけでもないが、探索は真面目に行うことにしている。
だが、完全に意識を切り替えることなど出来るはずもない。
二人は待っている。
夜が来ることを。
いや――夜が来れば十分に溶かし合えると分かっているから、我慢出来るのか。
確かなことは一つ。
今日もまた、セックスをする。
「こ、こんな、獣みたいな格好で……っ」
尻を突き出した格好で、クロノアが真っ赤な顔で言う。
だが、膣を抉られる感触は、そんな彼女の羞恥心を容易く奪い去ってしまう。
後背位。
獣同士が行う体位。
こんな男性優位の格好は、カームともしたことがない。
「そんなこと言って、クロノアさんのここは、すげー濡れてるぜ?」
「あんっ、だって……」
「だって?」
「いつもと違った感じで、気持ちよくて……んんっ」
まるで乱暴に犯されているかのような体勢と、挿入角度の違いから慣れない部分を突付かれる感触。
それがまた、クロノアの思考を破棄させるほどの快感となって襲い掛かる。
「くっ、イクぞ、クロノアさん!」
「来て、来て、射精して……ああ、ああああんっ!」
びゅる、びゅるるるる!!!
ジークが吐き出した子種が、子宮内を暴れまわる。
クロノアは全身を大きく震わせると、弓なりに身体をそらして、それを受け入れた。
夫とは別物な射精量。
身体が内側から壊されてしまいそう。
「ジークくん……まだ、出来るわよね……?」
「クロノアさんのほうから言い出すなんて、な!」
「あんっ! いいわ、突いてぇ……っ」
二十四日目。
探索を終え、夕食の時間となった際、クロノアはふと疑問に思ったことを口にする。
「なんで、そんなに射精出来るのよ?」
毎夜毎夜、ジークは何発も射精しているのに、その量が一切変わることがない。
一日一回が限度のエルフはともかく、いくら若い人間とはいえ、毎日連発は出来ないはずだ。
「多分……この食べ物のせいだと思う」
ジークは、自分が口にしている実を掲げてみせた。
寝て起きた頃には既に再生している、不思議な果実。
モンスターが復活するのだから果実も復活するのだろうと、別段気にしていなかったのだが――
「これ食べてると、なんていうか……精力が漲ってくるんだ」
「ふぅん?」
「勿論、食べてすぐにってワケじゃないけど……数時間後には、射精し尽くした後の独特の痛みが消え去ってるというか」
釈然としないが、この迷宮内における唯一の食べ物だ。
何かしらの副作用は今のところ現れていないし、他に選択肢は存在しない。
「まぁ、この食い物に感謝ってところかな」
「ふふっ、射精すると気持ちいいから?」
クロノアが、ジークの口の端に付着した果実の滓をペロリと舐め上げる。
それに驚いた顔をしつつ、お返しとばかりに、ジークもクロノアの唇に舌を触れさせる。
「何度も射精(だ)さないと、クロノアさんが妊娠してくれないかもしれないじゃないか」
「んっ、ちゅっ……」
肩を抱きよせ、舌を差し込んでキスをする。
右腕をクロノアの胸に伸ばして刺激すると、クロノアの吐息が荒くなった。
「もう、大洪水じゃないか」
「期待してるのよ、また気持ち良くなれるって……」
しばらくキスと胸への愛撫を繰り返した後、ジークがクロノアの秘所に触れると、そこはもうビショビショだった。
二人は手早く服を脱ぎ去ると、亀頭をヴァギナの入り口に寄せた。
ちゅぷ、ずずっ……
水音を響かせて、ジークのペニスがずぶずぶと沈み込んでいく。
「すごい……いっぱい…………んんっ」
「くっ、動くぞ……!」
そして二人は、今日もまた交わる。
まるで理性を失ったかのように、延々と快楽を求め続ける。
しかし、それも無理のないことなのかもしれない。
なにしろ、この迷宮には娯楽が存在しないのだ。
目に入る風景は部屋によって細部こそ変われど、基本的に石造りの壁が広がるのみ。
たまに蛮族との戦いになるものの、相手は武器や魔法の使用は勿論、素手ですら十二分にあしらえるボガード。
同じ匂い、同じ空気、新しい発見も無く、驚くような事態に遭遇することもなく……
人は、無臭無音で周囲が一面真っ白な壁だけの部屋に放り込まれると、たった一日で発狂してしまうという。
一ヶ月や一週間ではない。一日だ。
一人きりではないし風景にそれなりの変化があるとはいえ、迷宮に封印されて三週間以上。
既に会話の種は尽き、時が過ぎるに連れて不安や恐慌などによる心労が溜まる。
そして、それを解消するための手段――娯楽が存在しない。
退屈は人を殺す。
気が狂うのは、時間の問題だった。
そこに放り込まれた唯一の娯楽が『セックス』である。
初めてと本物。双方、共に未知の体験。
生の実感。快楽の追求。脱力した後の満足感。
例え禁忌の関係だとしても、否応なくその餌に飛びつくしか無い。
そう考えると――もし、裸体覗きや冷凍ガスの罠などが無かったとしても、いつしか二人はこんな関係になっていたのかもしれない。
「…………」
「んっ……ど、どうしたの?」
そして、セックスは別の効果ももたらす。
急に動きを止めたことで、快楽が途切れたクロノアは不思議そうにジークを見る。
「なぁ……気持いいか、クロノアさん?」
「そうじゃなきゃ、こんなことしてないわよ」
「……………………カームさんとするより、気持いいか?」
「――!」
ぼそりと呟かれた言葉に、クロノアの身体がびくりと震える。
「…………それを、尋ねるのは」
「ああ、反則だって分かってる」
「だったら!」
「おかしいんだ、俺」
繋がったまま、目の前の女を――人妻のエルフをぎゅっと抱きしめるジーク。
「暗黙の了解を破ることだって分かってる。分かってるけど――
こうして何度もセックスしてると、どんどんクロノアさんが欲しくてたまらなくなる。
最初にクロノアさんとセックスしたかったあのときの気持ちより強い何かが、俺の中で高まってる」
「……っ」
これ以上、この話を聞いてはいけない。
本能的にそう感じ取ったクロノアは、この場を離れようと身体を捩る。
しかしジークの抱きしめる力は強く、逃れることが出来ない。
「ふぁ……っ」
しかも不運なことに、律動していないとはいえ、ジークの巨大な肉竿は依然としてクロノアに突き刺さったままだった。
身体を動かしたことで膣壁に刺激が生じ、痺れるような甘い感覚を受け取ってしまったクロノアは、力が抜けてしまう。
そんなクロノアに顔を寄せ、ジークは彼女の唇を強引に奪った。
「んむっ」
嫌がるように、クロノアは顔を引く。
だがジークは何処までも追いかけ、唇を重ね合わせ続けた。
「はむっ……んちゅ」
クロノアの唇の内側に舌が差し込まれ、前歯を舐り、口を開けば己の舌に絡み付いてくる。
あまりに乱暴過ぎる動きに、呼吸が辛くなる。
しかし――舌の交合と息苦しさを生命の危機と勘違いした生理的本能により、快楽が更に増した。
陰茎を銜え込んだままの膣壁がきゅんきゅんと締り、クロノアの理性を甘く蕩けさせていく。
「はっ……ああんっ……」
もどかしそうに、クロノアは腰を捩る。
快楽は高まっている。
しかし、刺さったままの肉棒が、突き上げてくれない。
焦れったい気持ちが否応なしに膨らんでいく。
だが――自分で腰を降ることは出来なかった。
それが、ジークへの答えになってしまいそうな気がして。
「ちゅっ、ずずっ、んくっ」
焦燥感から逃れるように、クロノアはジークとのキスに没頭する。
だが、その行為も、ジークへの回答に連なっていることに気付いているのか否か。
裸で抱き合い、腕を背中に回し、繋がったまま、貪るようにキスをするその姿は、誰がどう見ても――
「……っ」
気付いてしまう。
これでは、まるで――恋人同士だ。
愛し合う者の姿だ。
(ち、違っ……っ!)
ジークとは、そういう関係ではない。
あくまでも身体だけ――迷宮に一人取り残されないために、子供を作ろうと――ただそれだけで――
禁忌の一線を越えておきながら、未だ心の隅で守っていたものが崩れ落ちようとしている。
既に壊れかけの理性が、完全に崩壊しようとしていた。
服は、守るものである。
それは外気や衝撃などといったものは勿論、人の心も含んでいる。
露出が多い服を着ている人間は心が開放的だし、逆に厚着している人間は対人関係において高い壁を自ら築いていることになる。
身体の距離と心の距離は表裏一体。服は他者との間に構える盾。
ならば、お互いに裸同士で、何度も何度も密着状態になればどうなるか。
心と心の距離はどんどん狭まり、やがて――強い感情が生まれる。
独占欲。
クロノアには夫がいる。
その夫よりも自分のほうが――という情念。
それが身体を重ねるごとに、ジークの中でどんどんと高まってしまったのだ。
身体だけの関係。
そんなことを続けられるはずがなかったのだ。
人の欲に際限などありはしない。
特にここは、倫理や世間体など通用しない、二人きりの世界。
歪な執着心を遮るものなど、何もない。
「あっ、あぅ……」
クロノアの膣壁がわななく。
律動はまだか、精子はまだかと、挿し込まれたままのジークの巨根に絡み付く。
心の距離を近づけたのは、ジークだけではない。
「う、くっ……」
何を迷うことがあるのかと、悪魔が囁く。
ここに誰がいる?
夫のカームか?
娘のエアやソラか?
誰も見ていない。
自分がどうなろうと――誰に知られるわけではない。
知っているのはジークと、そして自分だけ。
自分さえ認めてしまえば、後は――
「はんっ……あっ…………」
ペニスを扱いた。
パイズリをしてあげた。
フェラチオを許諾した。
己に触れるのを拒否しなかった。
互いに性器を舐めあった。
挿入に本気で抵抗しなかった。
セックスを自らの意思で何回もした。
中出しを、理由を付けて受け入れた。
今更、悩むようなことではない。
ここまで来たら、流されてしまえばいい。
誰も怒らない。
誰も責めない。
誰も知らない。
だから――――
愛し、愛される関係になろう。
「――――――いの」
「え?」
ぼそりと呟かれた声があまりにも小さく、ジークは思わず聞き返す。
クロノアは、濡れた瞳でジークを見つめ――何かを吹っ切った顔で、叫んだ。
「気持ちいいの――カームのより、ジークくんのほうが気持ちいいのぉ!!!」
「……!」
「ああんっ、きたぁ! 激しいぃぃっ!!!」
クロノアは――ついに、堕ちた。
淫靡な顔で、快楽を隠そうともせず、ジークのピストンに合わせて自分も腰を降る。
「カームさんのより、気持ちいいのか!?」
「うん……うん!」
「どうして!?」
「だって、ジークくんのオチンチン、長くて太くて大きくて――私、何も考えられなくなっちゃう――っ」
それは、ジークを愛する言葉ではない。
ジークとの行為を愛する言葉。
だが――ジークが望んだものこそ、まさにそれだった。
カームよりも、ジークを選んだという『事実』
例え、男女としての愛が欠片も無くても――
こと、セックスに関して言えば、ジークは彼女の一番なのだ。
「クロノアさんっ、クロノアさん…………クロノア!!!」
「あんっ、ジーク、ジーク!!!」
互いの名前を呼び捨て、二人はどんどん昂ぶっていく。
「うっ、射精る、クロノアの膣内に射精るっ……!」
「来て、ジークの濃いので種付けしてぇっ」
恥も外聞もなく、淫らな言葉を口にする。
膣壁がきゅうっと締り、そして――
ビュル、ビュルルルルルル!!!
「あっ、ああっ、あああああああっ!!!」
射精を受け止め、クロノアは歓喜の声を上げる。
だが、射精を続けながらも、ジークの腰の動きは止まらない。
むしろ第二波を放とうと、更に肉竿を膨張させる。
「ひぅん!? 凄っ、んあっ」
「まだ射精る……!」
腰の動きが早まる。
射精と律動、爆発しそうな快楽の重複に、クロノアは思考を放棄して悶え狂う。
「いい! あんっ、いいのっ! もっと犯して……!」
「ああ犯してやるさ、そして俺の子供を孕んでくれ!」
「うんっ、孕む、孕む!」
「ただのクロノアさんの子供じゃない。カームさんとの子供でもない!
俺の精子で受精して……俺の血をひくソラとエアの弟か、妹を産んで欲しい!!!」
独占欲から来る言葉が、ジークの口から次々と吐き出される。
それが耳に届く度に、クロノアの子宮もまた、熱を帯びる。
もはや二人の頭は何も考えられない空白状態だった。
言葉も、返事も、全てが反射。
ただ性欲のままに動き、乱れ、悦ぶ。
完全なる、二人だけの世界。
「あ……あっあっ、あああ〜!」
一際大きな塊が、ジークの精管を通じて子宮へと送り込まれる。
燃え滾るマグマのような奔流を、クロノアは忘我の境地で受け止めた。
白濁とした液体をごくごくと美味しそうに飲み込む子宮は、もはや彼専用と化してしまったようだ。
征服。席巻。蹂躙。
クロノアの心と体は、ジークによって完全に支配されたのだった。
記憶の旅から戻ってきたジークは、発情期の猿のように盛りまくっていた自分に気付き、苦笑した。
あれほど、色恋や性的なことに目を背けていた自分は何処へやら。
自分の腕の中で、心地よい快感の残滓に身を委ねている裸のクロノアが、今ではこれほどまでに愛しい。
もっと欲しくなる。
もっと自分のものにしたくなる。
情念が己の中で燃え上がると、呼応するかのように、静まり返っていた肉竿がまたもや鎌首をもたげ始めた。
「あら、まだまだ元気ね」
気付いたクロノアは妖艶に微笑し、ジークの剛直したイチモツを優しく撫で上げる。
それがまた、きっかけだった。
そして二人は、また快楽の渦へと埋もれていく。
身体中をまさぐり、互いの唇を啄み、性器で連結する。
いつ終わぬとも知れぬ闇の中に、堕ちていく――――