寝台のシーツの上に、比較的小さな少女の裸体を体の下に組み敷いて  
リルドラケンの翼が、男性型淫魔の翼のように性的な興奮にはためいた。  
 
「あ…あああ…ああ……ルシアス…様…」  
 
少女の体の上に2mを越える長身のリルドラケンの体躯がのしかかって、ぎちぎちと揺れている。  
 
リルドラケンはライフォス司祭ルシアス。  
少女はリルドラケン生まれのナイトメア。  
その少女、129に名はない。  
彼女は異端ライフォス神殿の孤児院で育ったナイトメアで  
赤ん坊の頃、孤児院で仮につけられた番号12-9が、そのまま少女の通称となった。  
本来ならば、そんな番号あつかいの存在には、友人であれ隣人であれ、ただの知人の同情であれ、誰かしら憤る存在が現れる。  
そうして「必要とされ、他人と絆を繋いだ証」としてその人物から名前を得るのが通例だった。  
だがナイトメアの中でも異質な129は、成人年齢にいたるまでずっと129のままだった。  
 
 
孤独な少女の魂は、ライフォス神殿に出入りする異性のリルドラケンに惹かれた。  
リルドラケン生まれのナイトメアである彼女は、なかば本能的な嗅覚によって、相応しく正しい恋愛の相手を嗅ぎ分けていたのかもしれない。  
恋心を抱いた相手はルシアスという名の、ライフォス司祭のリルドラケンで、紳士で魅力的な男だった。  
少女は冒険者であり次第に名誉を高めてゆくルシアスに憧れを抱いた。  
思慕を抱いた。  
ライフォス神殿で彼を目にするごとに惹かれ。  
そして、彼を想って濡れた。  
 
例え手酷く振られようとも、想いを伝えずにはいられない。  
あの人に抱かれたい。  
そう思い詰めるまで、時間はかからなかった。  
ライフォス神殿を訪れていたルシアスが呼び止められ告白されたのは、その数日後。  
一見、人間の少女。間近でよく観察しなければナイトメアとはわかるまい。  
しかし。  
「もしや……君の生まれは、リルドラケン……なのか?」  
ルシアスは気づいていた。  
リルドラケンの女性が交尾の準備ができたことを示す脚の付け根から発する  
発情期特有の匂いを、この少女が体から放っていることを。  
その匂いにルシアスは本能的に、オスとして体が反応する。  
背中がゾクゾクする。頭がくらくらとした。  
その少女の喉笛に甘噛みをしたくなる衝動を懸命に抑えつけた。  
「………」  
 
神官らしく世俗や俗なものに距離をおき、無欲を通してきた。  
 
性対象のいない場所と安心し、気を抜いていたライフォス神殿での、  
不意討ちのような甘い誘惑にルシアスは抗えきれず、屈した。  
諦めたように吐き出したルシアスの吐息は、少女にとって、とても甘やかだった。  
 
「…今夜、私の部屋にくるといい…」  
 
 
几帳面に整えられた書斎のような部屋が、持ち主の気質を表している。  
リルドラケンの体重に耐えうるよう頑丈に作られた寝台。  
その上に129が清潔な白いシーツにくるまっていた。  
ぴるぴると震える体から少女が発する特別な匂いは、リルドラケンの男を誘惑し興奮させる。  
ルシアスも例外ではなく普段の冷静さをか殴り捨てて、行為に耽溺した。  
ルシアスの執拗な舌はあますところなく、孤独な129の体と心の襞を愛撫し、抵抗する力を奪い去っていく。  
ルシアスの指が、うつ伏せになって尻を高く掲げた129の、後ろの穴に触れる。  
 
「あ、ルシアス様!後は…後は…っ」  
「心配ない。両方でイかせる」  
竜人の指が、少女の具合を確かめる。  
129の剥き出しの腰に手を当てて、自らの腰に屹立する暴力に宛てがった。  
129の二つの秘部にルシアスの巨大なペニスがミシリとめり込む。  
ひうっと少女が空気を吸い込んだ。  
 
「やあぁ…。ら、らめぇ…っ。裂けちゃ…うぅ。裂けちゃうよぅ…っ!?」  
抵抗したくともすでにルシアスの念入りかつ執拗な舌の愛撫で腰砕け、抵抗する力など残っていない。  
わかっていた。ルシアス様はリルドラケン。人ではない。  
しかし、成人したばかりの少女は知らなかった。  
リルドラケンの男性の物の巨大さも、形状も、暴力さも。  
何もかもが。人間の範疇に収まらない。  
蛇属のペニスには簡単には抜けないよう棘がある。  
サクリと胎内にそれが刺さった。  
「は…!? ヒ、ヒィ……ッ!?」  
裂けた秘裂と棘の傷口に、すぐさまルシアスは癒やしをかける。  
「ここからが本番だ…」  
 
少女にはリルドラケンの表情は読めないが、その声は笑っているようだった。  
ルシアスの腰がうねり、蛇のようにねっとりとした執拗なセックスが始まった。  
 
 
そして半日後。  
 
「…ふひっ…ひっ…ひっ…ひっ…」  
 
巨大なペニスが突き入れられるごとに、肺から空気が漏れる。  
129は力尽き、虚ろなレイプ目でシーツに横たわる。  
その129の体にのしかかって、ルシアスはまだ黙々と129を犯し続けていた。  
 
「………」  
 
イき過ぎた快感に力なく足を広げ、際限なく突き上げられ涙を零して、  
129は唇の動きだけでルシアスの名前を呼んだ。  
 
 
一般に蛇属のセックスは4、5時間。  
あるいは数日を有する程に長いという。  
またその精子の胎内残留期間も1年以上だという説がある。  
 
そして一年後。  
少女はひとつの卵を産み、129の名を捨てた。  
 
 
 終  
 

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