「ん・・・」  
 顔に冷たいものが当たり、ジークは目を覚ます。  
「よかった・・・目が覚めたみたいね」  
「あれ。俺」  
 ジークは焦点の合わない目で周りを見回す。  
 外だ。  
 太陽の光が差し込み、木々のいい匂いの香る、心地よい森。  
 そして、隣に座る少女。  
「ルー?」  
 ブロンドのフワフワの髪。大きな瞳。柔らかそうな唇。  
 そして、額に当てられた小さく冷たい手。  
「大丈夫?」  
「あ、あぁ。俺どうしたんだっけ」  
 上半身だけ起こして、少女の顔を見る。  
(あれ?)  
 少女の姿に違和感を感じる。  
「ひょっとして、リアの方か?いつもより大きいけど」  
 違和感の正体。  
 それは、年齢だ。  
 ジークを心配そうに見ている少女は16、7ほどの、大人の雰囲気を身にまとい始めた姿をしていた。  
 なによりも、体のメリハリが知っているジークの知っている姿とは異なっている。  
「リア?・・・違うけど・・・」  
 少女は首を横に振る。  
(まさか、何かあってまた一人増えたか!?ってことは、フェ?・・・フェリ、フェア?)  
「私の名前はルーフェリアよ。よろしく、変わった格好のお兄さん」  
「あぁ。よろしく・・・・・・ルーフェリア?」  
 少女はジークに名前を呼ばれ、にっこりと微笑みながら頷く。  
「お〜い。ルーフェリア。どこだ〜」  
 どこからか、男性の声がする。  
「あ、バト。ここ、ここだよ〜」  
 少女が応えると、しばらくして後ろから一人のエルフの青年が姿を現す。  
 
「まったく。どこに行ったかと思えば」  
「薬草を探していたの」  
「で?この男は」  
 青年がジークの顔を覗き見る。  
 ジークはこの顔にも見覚えがあった。  
 いや、知っている顔を若くしたらこんな感じだろうという予想だが。  
「ば、バトエルデン・・・か?」  
「ん?なぜ俺の名前を知っている?・・・お前とは会ったことが無いと思うが」  
「あのね。このお兄さん、ここに倒れてたの」  
「ふむ」  
 二人のやり取りにジークの頭は混乱に混乱が重なる。  
(ルーフェリアに若いバトエルデン・・・どういうことだよ・・・おい)  
「・・・蛮族ではなさそうだな。俺のことを知ってるということは、街の人間か?」  
「あ、そういえば、お兄さんの名前は?」  
 少女がジークの顔を覗き込む。  
 確かに、以前リアが見せてくれた『成長した後の姿』によく似ていた。  
「俺はジーク。ちょっと仲間とはぐれたみたいだ」  
「仲間?まさか、傭兵か?」  
「ねぇねぇ、バト。ジークを連れて帰っちゃ駄目?」  
「厄介ごとは簡便して欲しいのだが」  
「大丈夫大丈夫。バトは心配性なんだから、さ、お兄さん立って」  
 少女がジークの腕を取って立ち上がる。  
「いつっ」  
「あ、ジーク怪我してるじゃない。背中だからわからなかった・・・」  
「はぁ・・・【キュア・ウーンズ】」  
 青年の手から光が発せられ、ジークの背中に集まる。  
 同時に痛みが引いていくのがわかった。  
「ありがと」  
「さっすが。弱きものを助けるザイアの神官様は素早いねぇ」  
「ちゃかすな」  
(ザイア?なるほど、ルーフェリアが小神になる前はザイアに仕えてたのか)  
「さ、ジーク。こっちだよ」  
 少女はくるくると木々やジークの周りを回りながら歩を進める。  
 青年は軽くため息をつきながらも、少女のことを見守るようなやさしい目で後ろを歩く。  
(・・・やっぱり、この二人って、あのルーフェリアとバトエルデンなんだよな)  
 ジークは不安と期待とが入り混じった、複雑な表情になりながら二人の後を追った。  
 
「さ、ここ。この家に入るよ〜」  
 森を抜けた先には街が存在していた。  
 ジークの目から見ても地形的に一致する部分もあり、ここがルーフェリア大神殿のあったカナリスであることは  
間違いないと感じた。  
 けれど、町並みはジークの知るそれとは全くと言っていいほど一致しない。  
「リッタ〜、おじゃましま〜す」  
「邪魔するぞ」  
 ルーフェリアとバトエルデンが、玄関の戸を開けて、ズカズカと家に入り込む。  
「あらあら。ルーフェリアにバトエルデンじゃない。いらっしゃい」  
「今日はもう一人いるのよ〜。じゃ〜ん、森で行き倒れてたジークさんで〜す」  
 玄関であっけにとられてたジークを、ルーフェリアが紹介する。  
「行き倒れって。もう、また拾ってきて・・・まぁいいわ。入って・・・るわよね。すでに」  
「は〜い。さ、ジーク。いこ」  
 ジークはルーフェリアに手を引かれて家の中へと入る。  
(リッタさんだよな?今が300年前だとして、なんで姿変わってねぇんだ!?)  
 
「へぇ。ジークは外の国から来たんだ。ねぇねぇ、いろいろお話聞かせて」  
 ルーフェリアはジークの隣に座って一気にまくしたてる。  
 どうやらこの街から遠くに出たことはないらしく、旅の話など興味津々だった。  
「それにしても、よくもまぁ、このご時勢に旅などしようと考えるな」  
「確かにねぇ。街から一歩外に出ると蛮族だらけでしょうに」  
 バトエルデンとリッタが顔を合わせる。  
 特にバトエルデンは蛮族という言葉が出ると、うんざりしたような顔になった。  
「え?あ、いや・・・うん。まぁ、だから蛮族を退治して、小さな村とか守るためにとか」  
(そうだった。この時代ってちょうど大破局の時代じゃねぇか。冒険者なんていねぇよな)  
 ジークは適当に話をあわせながら、内心焦っていた。  
(くぅ、メッシュならこんな状況簡単に打破してくれるんだけどなぁ)  
「どうせ、蛮族につぶされた村なんかから火事場泥棒でもしているのだろう」  
「え〜、違うよ。ジークはそんなことしないよ。ね〜。目を見ればわかるもん。綺麗な目をしてるし」  
「・・・はぁ・・・お前のそのお人よしなところは・・・ん?」  
 大きなため息を一つ。  
 が、言葉を切り、近くに立てかけてあったショートソードを握る。  
「どうしたの?」  
「しっ」  
 リッタがバトエルデンの行動を察し、窓を開ける。  
 ガンガンガンと、鐘の音が聞こえてくる。  
「蛮族だ。ルーフェリア、リッタ。窓を閉めて外に出るなよ」  
 バトエルデンが外へと駆け出す。  
「俺も行く!」  
 ジークも後ろを続く。  
「ジーク!?」  
「大丈夫だ。俺だって今まで蛮族と戦ってきてるんだ。足手まといにはならないさ」  
「・・・気をつけてね」  
「あぁ」  
 ジークの後ろ姿に、ルーフェリアが小さく祈りをささげた。  
 
「立てるか」  
「・・・あぁ」  
 バトエルデンに腕を引かれ、ジークが立ち上がる。  
 ジークの周りには人と蛮族の死体が、無残に転がっていた。  
「怪我は?」  
「平気。お前らが回復しててくれたからさ。おかげで助かったよ」  
「・・・ならいい。だが、それならすぐに立ち上がれ」  
「悪い」  
 ジークは辺りを見回す。  
 そこはまさに地獄絵図と言えた。  
 人と蛮族の戦争。これほどまでに人の死を見たことのないジークにとっては、ショックが大きかった。  
「思ったよりも腕がたつのだな」  
「まぁな」  
 戦ってる間は周りの状況を忘れられた。  
 隣からは人の悲鳴や断末魔が聞こえても、目の前の蛮族を退治しなければ自分の身が危ない。  
 そう言い聞かせて、一心不乱に蛮族を斬った。  
「さて、戻るか」  
「あぁ」  
 ジークがショックを受けたのは人の死だけではなかった。  
 蛮族の集団の奥。集団の指揮をとっていたヤツに見覚えがあったからだ。  
(フィルゲンだよな。アイツ・・・やっぱ、ここって。過去・・・なんだな)  
 蛮族の攻勢、フィルゲン、バトエルデン、リッタ。そして、ルーフェリア。  
 どのピースもここが過去であることを示していた。  
「ジーク〜!バト〜!」  
 街の方からルーフェリアが駆けてくる。  
「ルーフェリア!外に出るなと言っただろ」  
「もう安全でしょ?」  
「蛮族の攻撃は確かに止んだ。だが、今は夜だ。夜は外に出るなと言ってあるだろ」  
「あっ・・・あはは」  
 ルーフェリアはバトエルデンから視線をはずし、乾いた笑いで取り繕う。  
「それで、何か用か?」  
「ぶぅ。心配してたんだから・・・あとね、ジーク、リッタが今日は泊まっていけだって」  
「え?いいのか?」  
「うん。私も今日泊まらせてもらうんだ〜。ねぇねぇ、旅の話きかせてね」  
「なに?なら私も」  
「残念でした。さっき、ザイアの司教さんがバトエルデンを探してたよ」  
 バトエルデンは顔を手で覆って頭を横に振る。  
「また夜通しの治療か」  
「がんばってね〜」  
「・・・はぁ。くそっ」  
 ジークを一睨みし、リッタの家とは別方向へと歩いて行った。  
「さ、帰ろ。ジーク」  
 ルーフェリアがジークの手を握る。  
 柔らかく暖かい感触がジークの手を包み込んだ。  
 
 ジークに当てられた部屋に、ノックの音が響く。  
「ん?」  
 寝ようとしていた体を起こす。  
「ジーク。起きてる?」  
 戸が開き、ルーフェリアが顔だけをのぞかせる。  
「あぁ、まだ寝てないが。どうした?」  
「うん・・・入っていい?」  
「かまわんぞ」  
 リッタの家に戻ってから、二人からはずっと質問攻めだった。  
 特にルーフェリアからの質問が多かった。  
「ありがと」  
 ルーフェリアが部屋に入ってきてベッドに腰掛ける。  
 だが、その顔に先ほどまでの明るさが見えない。  
「どうした?」  
「・・・うん・・・ねぇ・・・ジーク」  
「うん?」  
「旅って・・・楽しい?」  
 ルーフェリアがポソポソと話だす。  
 その声はか細く、今にも消えてしまいそうな声だ。  
「へ?」  
「・・・あのね・・・私・・・もうすぐ生け贄にされるの」  
「!?」  
 ジークは以前、エアからルーフェリアという国と女神について聞いたことがあった。  
 蛮族からの攻勢に耐えるために、美しい女性や少女を生け贄に捧げた。  
 その中でルーフェリアがザイアによって小神へ引き上げられ、その力で蛮族を追い払ったと。  
「ルーフェリア」  
「あ・・・あはは。ごめんなさい。なんで、私こんなこと言ったんだろう」  
 そう言ってジークの方を見る。  
 口は笑っていても、瞳からは大粒の涙がこぼれていた。  
「あれ、ちょっと待って。これは・・・違うの・・・あれ・・・変だな」  
 ジークは無言でルーフェリアを抱き寄せる。  
「・・・ジーク?」  
「ごめん」  
「え?」  
「俺・・・無神経だった」  
「ううん。そんなことないよ。だって・・・最後にこんなに楽しい思い出をくれたから」  
 ルーフェリアがジークの体を抱き返す。  
 そして、その目と目が交差し、口付けを交わす。  
 
「ジーク・・・いいよ」  
 ルーフェリアは着ていたものを全て脱いで毛布に包まっている。  
 恥ずかしいのか、顔の半分から下は完全に毛布の中だ。  
「ルーフェリア。可愛いよ」  
「んっ」  
 もう何度目かもわからない口付けを交わす。  
 ルーフェリアの真っ白な肌が朱に染まる。  
 ジークの手が毛布の中へ滑りこむ。  
「!・・・んんっ」  
 ジークの手に収まらないほどの大きな胸を、壊れ物でも触るかのようにやさしく撫ぜる。  
「ぁ・・・はぁっ・・・んっ、ぁぁ」  
 力を入れると、柔らかな胸にジークの指が飲み込まれる。  
「すごいな」  
「ぅぅ・・・ばかぁ」  
 毛布を少しめくると、両の胸が顕わになる。  
「はずかしい」  
 ジークは粘土を与えられた子供のように、両手でそれを揉む。  
 いや、そんな優しい表現ではない。  
 揉みしだき、摘み、ひっぱる。  
「ふぁぁぁっ・・・ゃっ、ジーク・・・だめ」  
「自分でしたことないのか?」  
「え?ぅぅぅっ!!・・・じ、自分で・・・なんて・・・ふわぁぁっ・・・しないよぉっ」  
 彼女が応えている間も、ジークの手は止まらない。  
 それどころかさらに激しくなる。  
「ひゃぁっ、な、なんか、すごく・・・へんな・・・感じ」  
 ジークが胸の突起に口付ける。  
「!?」  
 そのまま、口に含み、舌で転がし、甘噛む。  
「っっっっ!?・・・ぁぁっ・・・は・・・ぁ・・・ぁ、ぁ、ぁぁ」  
 声にならない声をあげ、ぎゅっとシーツを握り締める。  
「気持ちよかったか?」  
「・・・わ・・・わかんない・・・けど」  
 ルーフェリアの表情が変わる。  
「もっと・・・して欲しい」  
 ジークが先ほどより激しく胸を刺激する。  
 ルーフェリアは快楽に身を委ね、顔は恍惚とした表情になっていた。  
「ふぅっ・・・んっ・・・ゃぁぁっっっんっっ・・・ぁ、ぁ、ぁ、ぁぁ」  
 ジークは胸を攻め続けながら、手をルーフェリアの下半身に伸ばす。  
「っ!!」  
 軽く触れただけで、触れた部分が愛液にまみれる。  
「すごいな」  
 指を見ると、粘性の強いソレが糸を引いているのがわかる。  
「ぅぅ・・・」  
「実は自分でしたことあるんだろ?それともバトエルデンとしてるのか?」  
 ルーフェリアは目をぎゅっと瞑って、首を横に振る。  
 
「・・・もん」  
「ん?」  
 ルーフェリアが上目でジークに言葉をかける。  
「ジークだから・・・だもん」  
 ルーフェリアにルーの顔が重なる。  
 ある種の同一人物なのだから当たり前といえば当たり前だが。  
 今のルーフェリアには外見相応の大人な感じはしない。  
 まるで、ルーのような初心な少女のようだった。  
「そっか。ありがと。それじゃあ、もっと気持ちよくしてやらないとな」  
「え?・・・ひゃぅっ!!」  
 ジークはルーフェリアのお尻の辺りを抱くように持ち上げる。  
 そして、眼前にある、ルーフェリアの綺麗な割れ目に舌を這わせた。  
「んんっっ、じーく・・・そこ・・・汚い・・・から、ひゃぅっ、なめたら・・・だめだょ」  
「そんなこと無いよ。ルーフェリアは綺麗好きだろ。ここも綺麗だ」  
 溢れてくる愛液を舌ですくい飲み込む。  
「ゃぁ、すいとったぁ・・・ら・・・めら・・・ぁぁぁ」  
 ルーフェリアの脚がガクガクと震え始める。  
 ジークはここぞとばかりに、陰核に口付ける。  
「!?」  
 ルーフェリアの体から力が抜け、ジークに寄りかかるように倒れこむ。  
 同時に激しくとルーフェリアの愛液が噴出す。  
「んっ・・・」  
 目がうつろに、体のあちこちが痙攣している。  
 そのルーフェリアをジークは優しくベッドへ寝かせる。  
「ぁぁ・・・じーくぅ」  
「可愛いぞ。ルーフェんっ!!」  
 ジークの首に腕を回し、無理やり自分の下へと引き寄せる。  
 そして、強烈なキス。  
 舌を絡め、お互いの唾液を絡め、身も心も絡めあうキス。  
「ジーク・・・好き・・・大好き」  
 落ち着いてきたのか、ルーフェリアの呂律がはっきりとしてくる。  
「ルーフェリア」  
「あのね。たぶん、一目惚れ・・・森で倒れていた貴方を見たときから」  
「ありがとう。俺も・・・好きだ」  
 もう一度キスをする。  
「・・・嬉しい・・・ねぇ、私に・・・思い出を・・・ください」  
 ルーフェリアの瞳から大粒の涙が零れ落ちた。  
 
「いくぞ」  
「うん・・・きて」  
 ジークはルーフェリアに覆いかぶさるような体勢から、腰に力を入れる。  
「ぐっ・・・ぅぅっ」  
 ルーフェリアが目をギュっと瞑り、ジークの背中を力強く抱きしめる。  
「もう少し」  
「ねぇ・・・はぁっ・・・キス・・・して」  
 ジークは言われるままに身を倒し、ルーフェリアの唇を奪う。  
 そして、そのまま。  
「んっ・・・ぁぁっ・・・はぁっ・・・んんぅぅ・・・くぅっ・・・ぁ・・・」  
「ルーフェリア・・・奥まで入ったよ」  
「嬉しい・・・ありがとう・・・ジーク」  
 二人は強く抱き合い、口付けを交わす。  
「動くよ」  
「うん」  
 ジークの腰がゆっくりと動き出す。  
「っ」  
 ルーフェリアの顔が痛みにゆがむ。  
「もう少し待つか?」  
「いい・・・痛いほうがジークのこと・・・覚えてられるから」  
 ルーフェリアの体をいたわりながら、ゆっくりと腰を動かす。  
「んっ・・・んんっ・・・ぁぅっ・・・いいんだよ・・・ね・・・私を・・・めちゃくちゃにして」  
 ルーフェリアが自らの体を動かしてジークのソレを刺激する。  
「・・・なら・・・滅茶苦茶にしてやるからな」  
「うん」  
 ジークが腰を引き、一気に奥まで突き入れる。  
「ぁっ!?」  
 細い彼女の腰をがっちりとつかみ、何度も何度も出し入れを繰り返す。  
 その度に、彼女の一番奥の入り口が重く響く。  
「ぁ、ぁ、ぁぁ、んっ、ゃ、ゃっ、ぁ、ぁぁ、っ」  
 まともな呼吸が出来ずに目と口が大きく開かれる。  
 だが、それも最初のうちだけだった。  
「はっ、ぁ、ぁぁ、んっ・・・じーく・・・ぃぃょ・・・ぁぁっ」  
 徐々にルーフェリアがジークを感じ始めていた。  
「ルーフェリア・・・好きだ」  
「わ、私も・・・好き・・・大好き・・・離れたく・・・ないよぉ」  
 ジークのソレが一際大きく膨らみ、ルーフェリアの膣内に精液を吐き出す。  
「ぁ・・・ぁぁ・・ジークの・・・あったかい」  
 
「んっ、ぁ、はぁっ・・・ジーク・・・好きだよ」  
「俺もだ」  
 二人はあれから朝日が昇るまで体を重ね続けた。  
「ジーク・・・あのね」  
「あぁ」  
「私ね・・・本当はね・・・ジーク!?」  
「え?」  
 ジークの体が見る間に薄くなっていく。  
「え?え?なに、何コレ!?」  
(まさか)  
「ど、どうしよう。なんだろう、呪い?それとも」  
「ルーフェリア!」  
「え!?あ、は、はい」  
「ごめん。もう時間が無いみたいだ」  
「え?」  
 ジークがルーフェリアの顔をじっと見つめる。  
「俺はルーフェリアとは違う時代の人間なんだ」  
 ルーフェリアは視線を落とす。  
「やっぱり・・・なんとなく・・・違うところで生きてる人なんだって思ってた」  
「そっか」  
「うん。話を聞いててさ・・・私が知ってるのと違ってた部分あったし」  
 ジークはルーフェリアを抱きしめる。  
「ごめん」  
「ううん。私もあと少ししか・・・生きていられないし・・・だから」  
「けど、俺がルーフェリアを好きだって気持ちは変わらない」  
「・・・私も・・・ジークのことが好き・・・大好き・・・けど、もうさよならなんだね」  
「いいや・・・また会えるさ」  
「・・・うん。そうだね」  
「だから、お前は女神になれ!」  
「え?」  
「女神になって、俺が生まれるまで待っててくれ!!」  
 抱きしめていた腕が、ルーフェリアの体をすり抜ける。  
「わかった・・・なる・・・女神になって待ってる・・・絶対に・・・だいすき」  
 ジークの視界が真っ暗になる。  
 何も見えない。何も聞こえない。  
 
「んっ・・・んんっ」  
「ジーク!」  
 視界に光が戻る。  
 太陽の光が差し込み、木々のいい匂いの香る、心地よい森だった。  
「・・・ルーフェリア?」  
 かすむ視界の端に一人の少女が見える。  
 隣に座って手を握っていてくれたらしい。  
「ジーク・・・大丈夫?」  
 ルーフェリアに似た、それでいてまだ幼さの残る少女。  
「ルー・・・か?」  
「うん!」  
「いつつ・・・あれ、俺」  
「ふぅ。キュアは必要なさそうね」  
 ジークを挟んでルーの逆。  
 そこには、リアがジークの手を握っていた。  
「リア・・・ありがとう」  
 二人の顔を交互に見る。  
「どうしたの?」  
「いや」  
 ルーとリア。どちらにもあのルーフェリアの面影か感じられる。  
 当たり前といえば当たり前だが。  
 ジークが二人の顔を見て微笑む。  
「・・・ジーク」  
 リアがジークの顔を両手で挟んで自分の方を向ける。  
「待ってたわよ。女神になってね」  
 
 

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