青い髪。白い顔。大きな赤紫のグレープ色の瞳。小さな口。その口から伸びた赤い舌。  
 その余すところなく白いジークの精液が飛び散り  
 ニゲラは全裸で地面に這いつくばり、横向きに片足だけ、ジークの手でより高く掲げられている。  
 高く、大きく広げられたニゲラ両脚の中心。  
 その秘部にジークは腰を打ちつけ、熱い己自身を打ち込む。  
 打ち込む度ごとに、くぐもった粘着質な水音とともに飛沫が散った。  
 
「ハッ、や、あ、ジークさん…ああッ――ッ?! やッ。アッ。やあ――…ッ…?!」  
 
 ここには誰もいない。  
 ここに居る限り、誰にも、喘ぎ声も、嬌声も聴かれる心配をせずとも済む。  
 ニゲラは大きく、甘い叫び声をあげた。  
 
 
 
ニゲラ救済SS。ジーク×ニゲラで勝手に<封印●日目>  
 
 
《いにしえの封印宮》  
 
 
 
<封印7日目>  
 
 
「……また、同じような部屋ですぅ…」  
「そうだな……」  
 
 通路を抜けた先にある整えられた石造りの部屋を覗き、赤い髪の妖精戦士と青い髪の少女は同時にため息をついた。  
 これでもう、何十部屋、何十フロア目に突入したのだろう。  
 少なくとも、百は容易く超えたはずだ。  
 
「あー。何で何で、こんなことになっちゃったでしょぉ…?」  
「え、それをニゲラが言うのか!?」  
「え、ジークさんだって不注意だったですしぃ…」  
 
 ニゲラが控え目ながらも、上目遣いかつ涙目でジークを見上げ睨む。  
 澄んだファンタグレープ色の瞳に見上げられてジークは内心どきまぎとした。  
 だが、どれだけ微妙な空気が流れても周囲には誰もおらず、  
 状況を混ぜっかえして笑いをとる従者も、キレ気味にストッパーをかける暴走神官もいない。  
 ただ二人の間に、しんと静寂だけが満ちていた。  
 それに気付いた二人は、気まずさから顔を背けて、真面目に部屋の捜索に乗り出す。  
 
「……なんとしてでも、脱出する方法を見つけるですぅ…」  
「…ああ、分かってるよ」  
 
 ニゲラが気弱に呟く。  
 そうしないといけない。何かに没頭していないと……。  
 魅惑的なお尻をふりふり、ニゲラがジークの前を行く。  
 それを視界にとらえて、ジークの背中がゾクリと反応する。  
 ジークは夕べ、こっそりニゲラの水浴びを覗いた。  
 ごく稀に弱い蛮族に遭遇するだけの単調な毎日。  
 ただ普段とは違う刺激が欲しくてやった悪ふざけだったが、ニゲラの魅力的なヒップライン。  
 しなやかな姿態。秘められた箇所の美しい肌色が、ジークの脳裏に焼きついてしまった。  
 このままでは、どこまでも流されていきそうで危ないとジークの心の内に警鐘が鳴っていた。  
 
 
 しかし、本当にどうしてこんな事態になってしまったのか。  
 いつも従者に任せていたために慣れない探索作業に苦心しながら、ジークはつい7日前の出来事を思い返す。  
 
 
 ルーフェリア神殿に届けられた、剣に似た塔を持つ小さな陶器の壺のような魔法の道具。  
 それを、うっかりテーブルから取り落としそうになったニゲラが触れた途端、突然まばゆい光を放った。  
 近くにいたジークはなんとかしようとニゲラから壺を奪い、その際手が滑って床に落としてしまう。  
 途端、壺は煙を噴き出し、ジークとニゲラが巻き込まれ……  
 
 気付いたら、二人はこの剣の迷宮のような場所へと封印されていた。  
 
「どの部屋の一角にも食料は無駄に生ってますし、飢え死にはしないと思いますがぁ…」  
 
「メッシュたちも救出手段を講じてるだろうし、何とかなるだろうな」  
 
 非常事態のはずだが、二人のぞんざいな精神は気楽なものだった。  
 当面の食糧問題は解決済みだし、所々泉もある。  
 迷宮がどのくらい続いているのかは分からないが、一生閉じ込められてしまうわけでもないだろう。  
 こちら側から脱出するための手段が無かったとしても、仲間が一部始終を見ていたので、放置されることもあるまい。  
 
 まだ少し困った事態に陥っただけと、この時の二人はそう思っていた。  
 
 
<封印10日目>  
 
 その日、迷宮の気温や泉の水はいつもより冷たく、水浴びをした体が芯から冷えた。  
 
「うう…寒いですぅ…」  
 
 寒さで歯がかちかちと鳴る。 眠りに落ちることにすら、身の危険を感じる。  
 
「…ニゲラ、こっちこいよ。二人でくっついていれば、今より少しは温かいはずだ」  
「…い、いいですかぁ…?」  
 
 おずおずと、それでもより温もりを求めてニゲラはジークの毛布の中にもそもそと潜りこんだ。  
 凍え死ぬよりは、と羞恥心を抑えつけている。  
 
 
「あ。はぁ……あったかいですぅ」  
「あったかい、な」  
 
 鼻がくっつきそうなほど間近にジークの顔がある。  
 白い息を吐き出し、ジークの瞳が照れたようにニゲラを見返していた。  
 
「…あ、はいぃ…」  
 
 互いの体の温もりに、ホッと安心した。  
 迷宮に捕らわれて以来、押し隠していた心細さが少しだけ癒やされた気がした。  
 間近な顔は思いの他、整っていて、睫毛が長いことに気づく。  
 
「……あったかい…ですぅ」  
 
 互いを意識している。言葉を交わさずとも、ふとした視線、熱を帯びた吐息、優しい触れ合いの内にそれを感じとっていた。  
 
(…ふぁ。…ニゲラ…ジークさんを意識…しちゃってますぅ…)  
 
 初めて同世代の男の子の腕の中にいて、どきどきが止まらない。  
 背中に回ったジークの手に、強く男を意識する。  
 その寒い夜、二人は抱きしめあい、ニゲラはジークの腕枕で眠った。  
 
 
<封印14日目>  
 
 
「…っ!? ――ジークさんっ!!」  
 
 ジークの覗きがバレた。  
 気のせいだと思いたかったが、ここの食べ物には催淫効果があるらしい。  
 ついムラムラと、のぞきをしてしまい。それがバレ怒られた。鎖鎌で絡まれた。  
 
「本当にっ本当にっ…ジークさんたらっ! ジークさんたらっ!」  
 
 鎖鎌でみっちりと絡まれ、身動き出来ないジークにニゲラが詰め寄る。  
 
「ジークさん。ニゲラの、見ましたね?」  
「ニゲラ。今も、はだか……」  
 
 ジークは冷や汗を垂らしつつ、懸命に目を逸らしていた。  
 
 涙目で睨みつけるニゲラのグレープ色の瞳が迫り、ジークはニゲラに――キスをされた。  
 微かに唇が重なるだけのキス。  
 
「お返しに…ジークさんのも、見せてください…」  
「――いいぜ」  
「…え…その、いいんですねっ」  
 
 お返し。それが贖罪になるのだろうか。  
 鎖に絡め取られ縛られたまま、ジークはおとなしくニゲラのなすがままにされた。  
 ニゲラの手がベルトを抜き取り、テントの張ったズボンを下ろしてゆく。  
 
「……あ、お父さんさんより、おっきいですぅ…」  
 
 恥ずかしそうに小さく呟いた声は、ジークの耳に届いていた。  
 のぞきに興じて、興奮し、ビンビンに屹立するジークのモノ。  
 グロテスクなのに、どこか可愛くて、ニガラは目がはなせない。  
 吸い込まれるように、ニゲラはジークの肉棒の先端に口づけていた。  
 
 ニゲラはお仕置きと称して、ジークのモノに触れた。  
 たどたどしい手つきであったとしても、それはジークの欲望を解き放つのに十分だった。  
 青い髪。白い顔。大きな赤紫のグレープ色の瞳。小さな口。その口から伸びた赤い舌。  
 そのすべてに白いジークの精液が飛び散っていた。  
 
 ジークとニゲラは、部分的に愛しあう事を受けいれはじめていた。  
 
 
<封印21日目>  
 
 酷く暑い日だった。互いの裸に抵抗がなくなった二人は、全裸になり、水浴びをしていてた。  
 そのさなかから、互いの秘所に触れあい。探り合い。口づけ。啜りあい。  
 気持ちが高ぶって、はじめて愛しあい。  
 初めての行為に疲れて眠った。  
 
 
<封印28日目>  
 
 どうしてこうなったかも、よくわからないまま、  
 ジークとニゲラは互いの体を貪りあい、愛しあっていた。  
 まだ欲望が先んじた体だけの関係だが、性を覚えたばかりの若い体はとどまることをしらない。  
 ひたすら。誰に邪魔されることもなく。  
 朝起きてセックスして。食べて、セックスして。食べて、セックスして、寝る。  
 一日中、互いを貪りあう。そんな日が連日、続いていた。  
 
 
<封印35日目>  
 
 すべてのフロアと部屋の探索が終わった。  
 最後の部屋にも、脱出への手掛かりはなく。  
 この迷宮は自力で脱出が不可能であるとの結論に至る。  
 そして、一ヶ月以上の長きに渡り、放置されている現実。  
 仲間たちから見捨てられたのだという現実が重くのしかかる。  
 孤独感といらだちが増す中で、ジークはニゲラに辛く当たってしまった。  
 しかし、そのジークの理不尽ないらだちを、ニゲラは健気に受けとめた。  
 
「だって、ニゲラには。ニゲラには、もうジークさんしかいない。ジークさんしかいないのにぃ…っ」  
 
 涙目になりながらも、ニゲラはジークを抱きしめて支えた。  
   
   
 ニゲラが涙で目を潤ませつつ、服を脱いでジークの前で座り、素足を開いた。  
 ジークの真正面に、ニゲラの尻とその前の濡れた場所。  
 赤い秘裂が濡れて雫を零し、ひくひくとジークを誘っている。  
 そこは熱くて、キツクて、とても優しい。  
 ひとつに繋がることで、ニゲラはジークを包みこんで癒してくれる。  
 
「ああ、そうだな。誰もいない。ここには、俺と、ニゲラしかいない――」  
 
 ジークは、その濡れた赤い割れ目に、自分のモノを取り出してあてがった。  
 この世界のすべての理不尽に怒ったような、酷く激しいセックスだった。  
 
 
「ああ――ッ!? ひっ…ら、らめぇ…壊れちゃう…壊れちゃいますぅ…ニゲラ、壊れちゃいますぅッ…ジークさん…。ジークさん…」  
   
 それでもニゲラは、けしてはなれまいと両腕を背中に、両脚をジークの腰に絡めた。  
 二人の嬌声に泣き声が入り混じったような、お互いに縋りつくような愛の行為だった。  
 
 
<封印100日目>  
 
 とあるフロアの陽光に似た光が降り注ぐ草むらの上で、二人は愛しあっていた。  
 二人はついに「何があっても、はなれない。はなさない」と誓いあい。  
 ささやかな結婚式の真似事を終えて、心までも結ばれて数日が過ぎていた。  
 
 全裸で地面に這いつくばり、横向きで片足だけ、ジークの手により高く掲げられている。  
 高く。大きく広げられたニゲラ両脚の中心。  
 その濡れて熱く絡む秘部にジークは腰を打ちつけ、熱い己自身を打ち込む。  
 打ち込む度ごとに、くぐもった粘着質な水音とともに飛沫が散った。  
 
「ハッ、や――あ、ジークさん…ああッ――ッ、やッ、やあ――…ッ…!?」  
 
 ここに居る限り、誰にも喘ぎ声も嬌声も聴かれる心配をせずとも済む。  
 何度も体内に勢いよく精液を注がれて、ニゲラは大きく、甘い叫び声をあげた。  
 
「はぁんっ。ふひっ。ジークさん…気持ちいぃですぅぅッ。愛してますぅ…ジークさんッ。んんっ。ひぁ…もっとぉ、ジークさぁん…もっとぉ…」  
「おう。俺もだニゲラ……ニゲラ!!」  
 
 恋人達は、何度も何度も、愛を確かめあう。  
 
 そして不意に、光に包まれた。  
 
 ジークとニゲラは、生まれたままの姿で愛しあい、繋がったまま、ルーフェリア神殿に戻ってきた。  
 あられもない格好で床に寝そべる二人の前には、ルー。エア。ソラ。メッシュ。  
 その後の阿鼻叫喚の様は、あえて語る必要はないだろう。  
 
 
 二人が驚いたことに、彼らが封印されてから、現実ではほんの数時間しかたっていなかったらしい。  
 
 
<封印解放7日目>  
 
 それからジークとニゲラは、誰にも邪魔されない秘密の場所で逢瀬を繰り返している。  
 特に頻繁に邪魔をし、混ざりたがってくる使い魔とその持ち主は要注意だ。  
 ニゲラは自らの体を満たすジークの愛棒に、恍惚とした表情で身を預け、ジークを虜にしたお尻を振りたてていた。  
 
「…に、ニゲラ…ニゲラぁ…ッ!!」  
「あ、ジークさんッ…ニゲラ…もぅだめですぅ…。また、イちゃいまふぅ…! イッちゃうぅっ…イッちゃうぅ〜!」  
 
 体が覚えて溺れてしまった快楽は忘れることは出来ず。  
 愛しあい支えあい「二度とはなれない」と誓った可愛いニゲラを、捨てられるはずもなかった。  
 
 
<封印解放62日目>  
 
 ある夜のこと。  
 上の口も下の口もたっぷりと濡れ繋がったニゲラの体を抱えあげ、  
 突き上げながら、ジークはニゲラに妊娠したと告げられた。  
 ジークは納得し、照れたように笑いながら囁いた。  
 
「そっか。ニゲラに似合うウェディングドレスを、急いでベルに注文しておかないとな。ウェディングドレスのセンスははリオスが一番だからな!」  
「ジークさん、ニゲラはジークさんのお嫁さんになっていいんですよねぇ…?」  
「ああ、もちろんだ」  
 
 ジークは心から笑う。  
 ジークの心が壊れそうなあの時、理不尽にもめげず支えてくれた優しく可愛いニゲラのために。  
 そしていつもより激しく、婚約者を喜ばせようと性行為に没頭した。  
 
 
<エンド>  
 
 
 
 
マジックアイテム《アステリアの封印宮の欠片》  
 目的の相手と迷宮内に封印され二人きりになり、  
 懇ろになるために作られたハニートラップな呪いの魔剣の迷宮。  
 封印の迷宮中に捕らわれた二人(男女問わず)は、身も心も愛で結ばれるまで解放されない。  
 本来は妖精神アステリアにより、太陽神ティダンを寝取るために作られたが、  
 事前にこれを察したティダンの妻、月神シーンに粉々に砕かれて  
 神属を迷宮内に封印する力を無くした。  
 《アステリアの封印宮》は力を弱体化させ、  
 いくつかの《アステリアの封印宮の欠片》として世界に散らばった。  
 壊して使うため、ひとつに一度しか発動しない。  
 
 

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