純愛っぽいフィルゲン×エアで勝手に<封印7日目> オンリー。  
 
 
 長いポニーテールの金髪が背中に汗で張りつき、若く張りのある肌に煌めく。  
 エルフ特有の尖った耳。喜びに潤み、濡れた緑色の瞳。  
 エルフとは思えぬ豊かな白い胸が一筋の血を滴らせ、牙の覗く男の口で啜り、舐め取られた。  
 肉感的なしなやかな体が、ひとつきごとに、ふるんふるんと揺れる。  
 その余すところなく、ドレイクの男の白い精液が汚していた。  
 エアは衣一枚身に纏うくとなく地面に這いつくばり、  
 両手は草を握りしめ、横向きで片足だけフィルゲンの手により高く掲げられ、大きく広げられた。  
 エアの両脚の金髪の繁みの中心。その熱く濡れ絡む秘部に  
 フィルゲンは腰を打ちつけ、人とは違う形の地熱い己自身を打ち込む。  
 打ち込む度ごとに、くぐもった粘着質な水音とともに温い飛沫が散った。  
 
「ひッ。あぁ――ッ…あ…ああッ――ッ!! やッ、そこはダメぇ…やぁッ、あ…ああッ――…ッ…!? 」  
 
 ここには誰もいない。  
 人族と蛮族だと。禁断の行為と。  
 許されない関係だと、二人を非難する者は、誰も。  
 ここにいる限り、他の誰にも、蛮族に組み敷かれて、  
 甘い喘ぎ声や嬌声を聴かれる心配をせずとも済む。  
 
 
<封印7日目>  
 
   
「…あーまた、同じような部屋」  
「そうだな」  
 
通路を抜けた先にある整えられた石造りの部屋を覗き、黒い翼に銀髪のドレイクと金髪のエルフは同時  
 
にため息をついた。  
 これでもう何十部屋、何十フロア目に突入したのだろう。  
 少なくとも、百は容易く超えたはずだ。  
 
「あーもう。何で、こんなことになったんだかっ…」  
「……お前が、それを言うのか?」  
「うるさいわねっ。アンタたちに狙われて、命が危なかったうえに不可抗力よっ!」  
 
 エアは拳をきつく握りしめ上目遣いで、竜人子爵フィルゲンを睨む。  
 エルフの澄んだ緑色の瞳に責められ見上げられても、  
 基本的に同族の女にしか興味のないフィルゲンに痛痒はない。  
 元は敵同士だ。しかし元主人と元奴隷だったぐらいには、まったく赤の他人でもない。  
 だが、どれだけ二人の間に敵意があっても、わだかまりがあっても、  
 微妙な空気が流れても、ここには他に誰もいない。  
 エアとフィルゲンの二人だけ。二人の間にきまずい、しんとした静寂だけが満ちている。  
 それに気付いた二人は、互いに顔を背けて、部屋の捜索に乗り出す。  
 
「……なんとしてでも、脱出する方法を見つけるのよ…」  
「…ああ、分かってる」  
 
 フィルゲンは軽く苛立ちを見せて、頭を横に振った。  
 自分が戦場から消え、いなくなった事で戦況はひっくり返った後だろう。  
 今さら足掻いたところで変わりはない。  
 しかし、この迷宮は奇妙だった。何かがおかしい。  
 フィルゲンは基本的に同族の女にしか興味がない。  
 …しかし、自分の中で何かが、ざわめきはじめている…。  
 それをフィルゲンは感じとっていた。  
 
(はやく……脱出しないと…)  
 
 エアが小さく呟く。  
 ルーフェリア神官として、そうしないといけない。蛮族と馴れ合うなど、あってはいけない。  
 ただ闇雲に戦いを挑んでも、勝てそうにないことだけはわかっている。  
 それゆえ、脱出までの一時の屈辱を甘んじている。  
 早く脱出しなければ。  
 何より、何かに没頭し、相手の気を逸らせていないと……。  
 エアはフィルゲンの後姿を盗み見る。  
 いつ、こいつのご飯や、慰み物になるかも知れない。  
 それを思うとエアの背中がゾクゾクとした。  
 
 
 しかし、本当にどうしてこんな事態になってしまったのか。  
 いつもポンコツ従者に任せていたために、慣れない探索作業に苦心しながらエアはつい7日前の出来  
 
事を思い返す。  
 
 湖の国ルーフェリアを巡る戦場だった。  
 エアの故郷のルーフェリアにフィルゲンの、蛮族の軍勢が攻めてきた。  
 戦場になった場所、その地面に埋まっていた―――小さな陶器の壺のような物。  
 それをうっかり踏み砕いた途端、それは突然、まばゆい光を上空に放った。  
 それにエアと、その時偶然上空にいたフィルゲンが巻き込まれ……  
 気付いたら、二人はこの剣の迷宮のような場所へと封印されていた。  
 
 
「どの部屋の一角にも食料は無駄に生えてるし、飢え死にはしないと思うけど…」  
「お前の仲間や女神も救出手段を講じてるだろうし、何とかなるだろうな…」  
 
 半分苦々しい顔でフィルゲンは呟く。  
 この非常事態のせいで二人はギリギリ、共闘できるのだった。  
 当面の食糧問題は解決済みだし、所々泉もある。  
 迷宮がどのくらい続いているのかは分からないが、一生閉じ込められてしまうわけでもないだろう。  
 こちら側から脱出するための手段が無かったとしても、仲間がエアを探しだすはずだ。敵がいないル  
 
ーフェリアが落ちようがない。  
 
 まだ少し困った事態に陥っただけと、この時の二人はそう思っていた。  
 この事態が二人の運命を大きくかえるとは知らずに。  
 
 
<ここまで>  
 

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