記録的な猛暑は未だに続いていた。  
罪無きティダン神殿に石が投げ込まれ、信徒たちを悩ましている真昼。  
ジークとエアは、水浴びをしようと湖にやってきた。  
そこかしこに、同じような考えの連中がひしめいている――と思いきや、ちらほらといる程度だった。  
どうやら、あまりの暑さに湖に行くまでが面倒臭く、家に引き篭っているほうが建設的と判断したらしい。  
ここに来る道中ですっかり汗だくだくのジークも、そうするべきだったかな、と一瞬後悔する。  
だが悩みはエアに引き摺られるように湖畔に降り、服を脱いで既に着ていた水着の格好で湖に飛び込むと、すぐに消し飛んだ。  
気持ちいい。  
この暑さで湖もお湯に変わってるんじゃないかと想像していたが、穏やかな水は心地良い冷たさを提供してくれる。  
ジークとエアは楽しげに泳ぎ回り、冷たい水の世界を満喫した。  
小一時間経過したころ。  
いつの間にか少しばかり湖の奥地、中心部分に近づいていたジークは、突如足を引っ張られて湖の中へと引きずり込まれた。  
あまりにも急な自体に混乱し、大量の水を飲み込んでしまう。  
苦しい。  
死の恐怖を感じ、背筋をゾッとしたものが駆け巡った。  
その時、もがくジークの掌に、そっと重ねられる肌の感触。  
するとジークの息苦しさが、ぴたりと止まった。  
眼前には、ジークの左手を握って微笑むエア。  
エルフの剣の加護の効果を思い出し、ジークはエアを睨み付ける。  
おまっ、死ぬかと思ったぞ。まぁまぁ、ちょっとは涼しさを感じたんじゃないの?  
肝が冷えただけだ、そう反論しようとしたジークを強引に引っ張り、エアは更に湖の底へと潜っていった。  
慌てるジークだが、普段見られない光景と、水中を自在に動くという普段体験出来ない事態に興奮していく。  
湖の底に辿り着いたとき、エアは唐突にジークの唇に自分の唇を重ねた。  
目を白黒させるジークに、エアは悪戯っぽく笑って言う。  
今手を離したら、ジーク死ぬわね。  
それ笑って言うことじゃねーよ、と焦るジークに密着し、エアはもう一度口付けした。  
今度はずっと長く、舌を絡ませ、唾液を交換するように。  
お前、もしかして昨日のこと嫉妬して――  
発しようとした想いは口を塞がれて言葉に出来ない。  
 
ずっとキスを続けたまま、エアは自由な左手をジークの水着の中に差し込み、撫で上げる。  
ジークも空いている右手でエアのたわわな胸を摩り、揉み始めた。  
誰も寄り付かない湖底で、二人は抱き合ったまま互いの性感帯を攻め立てる。  
もし、手が離れたら――身近に迫る死の危険に、ジークの性欲は無意識に肥大化していく。  
手を滑らし、膣壁が十分にほぐれていることを指で確認したジークは、エアの両足を持ち上げ、水着をずらして挿入した。  
一向に唇を離さず、手を繋ぎながら、ジークはゆっくりと腰を動かし始める。  
水中だからか水音こそ立たないものの、十分に感じていることはエアの表情から見て取れる。  
融け合うように絡まり続ける舌と舌。  
ペニスで突き上げられるたびに、エアの豊かなバストが揺れ動く。  
やがて臨界点に達したジークは、エアの子宮へと精液をぶちまけた。  
びゅる、びゅる、と子種を流し込まれる感覚に、エアもまた、ジークにしがみついてオーガズムを迎える。  
ね、もう一回。  
口にこそ出さないものの、もぞもぞと腰を動かすエアの動きで、どうしたいのか分かってしまう。  
ジークはまた強く、深く、エアの中に自分のモノを埋没させるのだった。  
 
 
 
やがて一時間のタイムリミットが過ぎ、二人は湖畔へと戻ってきた。  
未だ太陽が猛威を奮っているため、水中からは上がらず、ずっとくっついてイチャイチャしているその姿は、  
ただのバカップルにしか見えない。  
甘えるようにジークの胸板に頬を摺り寄せ、たまにキスをねだり、幸せそうに笑うエア。  
だが、ある方向を向いた瞬間、エアの表情が唐突に固まった。  
訝しげにジークもエアの視線の先を追い――  
木の影から二人を無表情に見つめるルーを発見する。  
 
 
 
 
そのとき、二人はこの猛暑の中で一番の寒気を味わったという。  
 

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