フェイダン地方一帯を襲う記録的猛暑は、衰える気配を一向に見せない。
連日連夜、猛暑日熱帯夜が続き、生産効率は急激に低下。
各国上層部が税収減に戦々恐々とする中、月別希望転生先ランキングではドワーフが堂々の第一位を獲得。
その一方で、富裕層は少しでも酷暑を避けようと、こぞって避暑地へと繰り出している。
開国から50年。森と湖の国であるルーフェリアは、近年有望な避暑地として注目されつつあった。
そのルーフェリアを根城にする冒険者グループであるぞんざい勇者団の元に客人が訪れたのは、そんな時だった。
「しっかし、今日も暑いよなぁ」
カツンカツンという硬い音が、空き地に響く。
例年ならば踝ほどまで伸びていたであろう雑草も、茶色に萎れて一様に元気がない。
ついこの間、一昼夜続いた大雨が降ったばかりだというのに、人も大地も乾ききっていた。
そんな峻烈な日差しの下、二つの影が木剣を打ち合っている。
一つは青年と言い切ってしまうには、まだ幼さの残る男性。
もう一つは、その胸ほどまでしか高さのない、少女のシルエット。
「そうなのか? アイールに比べると、大分こちらは過ごし易いぞ。
それよりもジーク、そなた、さっきから身が入っておらぬではないか!」
少女……避暑を名目にルーフェリアにお忍びで訪れたホーリィは、酷暑のさ中にもかかわらず、
ジークに剣の稽古をつけてもらっているのだった。
ぞんざい勇者団の中で、まともに剣を使うのは、実はジークしかいない。
ニゲラは絡み武器の専門家だし、ムーテスは優れた膂力を活かして斧を用いる。
ナイトメアの魔術師であるソラは恵まれた資質を持つ卓抜した剣士でもあるのだが、
軽い武器を用いて急所を捉えるスタイルは正統派とは言い難い。
グラップラーであるメッシュは言わずもがな。
ゆえに、避暑地に来たのに、鍛錬を欠かさない真面目なホーリィに稽古をつけるのは、もっぱらジークの役目なのだった。
「いや、こう暑いとな。
まあ、ホーリィ相手なら、そんな気を張らなくてもなんとかなるし」
実際、そのぞんざいな態度からは想像もできないが、ジークはルーフェリアでも屈指の剣腕を誇る。
先ほどから必死に打ちかかるホーリィの木剣を易々といなし、それでいて構えが崩れると見るや、
脅すように剣先を突き込んで修正する。
見る者が見れば、見事な指導だと舌を巻いただろう。
「必死に剣を振るのは良いけどな、防御にもちゃんと気を回せ。
ホーリィはやられる前にやれって感じなんだろうけど、攻撃一辺倒だとあとで痛い目見るぞー」
その言葉を挑発と受け止めたのか、いきり立つようにホーリィの打ち込みが激しくなる。
しかし、足元がかすかにふらつくのを見て、ジークはホーリィの集中力の限界が近い事と判断する。
持ってきた水筒が空になってから、それなりに時間も経っている。
「そろそろ疲れただろ、一旦休憩しようぜ」
だが、ホーリィは熱意はおさまらない。
あるいは、せめて一太刀なりともと思っているのかもしれない。
「ま、まだだ! 我はまだ平気なのだ!」
当たり前の話だが、子供とは無知なものである。
単純な知識の話ではない。
歳を経ることなくしては、実際に感覚してみない事には、知り得ない事も世の中にはあるのだ。
例えば、自分の体力の限界であるとか。
あるいは、熱中症の症状が、実際に経験してみると風邪によく似ている事とか。
ホーリィは一心に剣を振る。
一見、その打ち込みは先ほどよりも速く、鋭くなったように見える。
だが、ジークは惑わされない。
ただ大振りに、ただ力任せになっただけだと看破する。
その剣を弾き飛ばして、今日は稽古を終わりにするか、と木剣の軌跡を眼で追いながらジークがそんな事を考えていた時だった。
ずるりと木剣がホーリィの掌からすっぽ抜ける。
振りきられる途中だった木剣は、明後日の方向にすっ飛んでいく。
「うおっと」
全く意識していなかった方向からの攻撃だったが、とっさにジークは背中を反らせて身をかわす。
危ないな、と言おうとして、ジークは気づいた。
ホーリィの様子がおかしい。
「お、おい、ホーリィ?」
立ちくらみを起こしたように、突然膝から崩れ落ちるホーリィの小さい身体を、慌てて受け止める。
浅い呼吸、紅潮した頬、汗の引いた身体。
熱中症だった。
身体が軽い。冷たく心地よい何かに包みこまれている感覚。
いつからかずっと自己主張していた頭痛は、頭の奥の方へと消え去り、眠気の残滓のように、あやふやで頼りない記憶へと擦り替わる。
軽い身体を支える物はなく、ただ、首の辺りに暖かな感覚を覚える。
ゆっくりと目を開ける。
最初に目に飛び込んできたのは、葉の緑だった。
水の波打つ声がやけに大きく聞こえる。
「おお、起きたか。あ、そのまま力抜いとけよ」
耳元でジークの声が聞こえる事を、ぼんやりとした頭は変だと思わない。
感情は胡乱で形が定まらず、思考は乱れる麻の糸のよう。
だから、ホーリィは自分が下着姿で水に浮かんでいるのだということに、しばらく気が付かなかった。
頭が沈まないように、ジークも下着姿になって、水の中からホーリィを後ろから支えている。
「ジーク、我はどうしたのだ?」
「熱中症で気絶した。で、身体冷やす必要があったから、湖に放り込んだ」
ルーフェリアでは割とポピュラーな方法である。
エルフの場合は、足に石をくくりつけて小一時間ほど放置するのが定番。
「そうか。すまぬ、迷惑をかけたのだ」
「良いって、気が付かなかった俺も悪いし。
それより、調子の方はどうだ?」
頭痛は引いた。意識もはっきりしている。
湧水なのか、この猛暑でも冷えたままの湖の水は火照った肌に心地よかったが、あまり迷惑もかけられない。
「うむ、もう大丈夫なのだ。そろそろ上がっても……」
「じゃあ、もうちょっといないとだめだな」
ホーリィの申し出を、ジークはにべもなく却下する。
「え?」
「寒いって感じるようになるまでこのままな。
熱中症治す時は、それくらいまで身体冷やさないといけないんだ。
ま、力抜いて浮いとけ。首の後ろを支えてやるから」
「う、うむ……」
暫く、お互いに何も言わないまま、湖の中を静かに漂う。
あまりの暑さに出歩こうと思う者もいないのか、湖は異様なほど人気がなかった。
立派な枝ぶりの大樹が、大きく張り出して湖面とホーリィの上に木陰を投げかけている。
湖上を渡る風は涼しく、脱力の心地よさにホーリィはうっかり眠りの淵へと落ちかける。
火照った感覚は水の愛撫を受けて鎮まり、やがて、冷たさが肌を通して身体の奥まで浸透する。
「ジーク、そろそろ……」
「ん? 寒いか?」
「うむ」
二人はゆっくりと岸に向かって泳ぎ始める。
岸の木陰には、ジークが脱がせたのであろうホーリィの服が、ジークの服に混ざって乱雑に散らばり、
ここに来た時のジークの慌てぶりを雄弁に物語っていた。
ジークは、水筒で湖の水を掬うと、ピュアリフィケーションをかけて、木の根本に座って一息つくホーリィに差し出す。
ホーリィは水筒に直接口をつけて味わうように飲みはじめる。
一口、水を含むごとに、白い喉がコクリと上下する。
ゆっくりと時間をかけて全て飲み干した。
「ありがとう、ジーク。そなたのおかげで命拾いしたのだ」
水を飲んで人心地ついたのか、ホーリィはようやく感謝の言葉を口にする。
そして、恥ずかしそうに少し俯いたまま、言葉を続ける。
「そ、それでだな、迷惑ついでに頼むのだが、下着が乾くまで抱きしめていてくれぬか?
肌寒いのだが、濡れたまま服を着たくないのだ」
ジークは一瞬、驚いたように目を瞬かせた後、その場に胡坐をかいて座り込み、ホーリィを手招きした。
「ごめんなー、ホーリィ。タオルでもあれば良かったんだけどな。
ま、ここ座れよ」
「うむっ」
胡坐をかいた膝の間に、ホーリィの小さな身体がちょこんと座り込んだ。
むき出しの肌と肌が触れ合い、互いの体温で暖めあう。
ホーリィは何が嬉しいのか、ジークの胸に猫のように頬を寄せた。
ジークが抱きしめるように腕をまわすと、ホーリィの肢体は、すっぽりとそこに収まってしまう。
ジークが飛びぬけて大きな体躯をしているわけではないのだから、ホーリィが小さいのだろう。
こうして見るホーリィは、ただの幼い少女だ。
華奢な肩、細い手足、かすかに膨らみ始めた胸には、布を巻いて下着の代わりにしている。
本格的な下着を身につけるようになるのは、もう少し先になるだろう。
熟れる前の青い果実のようなお尻、腰骨の鋭角的なラインが浮かび上がるウェスト。
いつもは三つ編にしている濃い栗色の髪は、乾きやすいように首の下のあたりで一つに纏めている。
あと三年もすれば、目の覚めるような美人になるだろう。
五年後には、大国アイヤールの皇族という身分を抜きにしても、求婚者が引きも切らないに違いない。
だが、今この時のホーリィは、12歳の可愛らしい少女に過ぎない。
皇位継承権者という重責を、この華奢な両肩に背負わせる事が、果たして正しいのかどうか、今だジークには判断がつかなかった。
だから、せめて、この少女が望むようにしてやりたいと、そう思っている。
心地よく肌をなぜる風に吹かれながら、そんな事をジークがぼんやりと考えていると、腕の中でホーリィが身じろぎした。
「ホーリィ、どうした?」
「いや、濡れた下着が気持ち悪いのだ。
脱いでしまうか」
ごそごそと腕の中で身動きする気配に、ジークは慌てた。
高貴な身分に生まれついた人間は、むしろ人目に裸を晒すことに抵抗がないというが、
その事を証明するかのように、ホーリィの動きには全くためらいがない。
ただでさえ人に見られたら言い訳のしようがない状況なのに、これ以上は更にまずい。
人気のない湖畔で、木蔭に隠れるようにして全裸の少女を抱きしめる男。
文句無しだ。文句無しに変態。
「ホ、ホーリィ? それはまず……」
だが、止める暇もあればこそ、ホーリィはジークの腕の中で器用に下着を脱ぎ捨ててしまう。
ぽいぽいとまず胸を隠していた布が、次いで小さな下穿きが放り捨てられる。
「ふぅ……やっとすっきりしたのだ。
? どうしたのだ、ジーク?」
止めようとしたジークは、まともにホーリィの身体を覗きこんでしまう。
淡い桃色の小さな乳首と、下腹部の微かな翳りが、ジークの目に焼きつく。
「……いや、なんでもない」
意志の力を総動員して、全力で目をそらした。
だが、一度意識してしまうと、そこから意識をそらし続けるのは不可能だった。
座る位置の具合なのか、未成熟な固さを残したお尻が、ジークの股間に押し付けられ、
ホーリィが身動きするたびに、微妙な角度で擦りあげられる。
ジークの意志とは無関係に、下着の下で欲望がむくむくと起き上り始める。
理性ではこの状況がまずいと分かっているのだが、子供特有のすべすべした肌に触れる心地よさが、ジークの判断力を狂わせた。
“もうやばい”が“まだ平気へ”と変化し、最終的に“もう少しだけ”という未練がましい思考が導き出される。
だが、もちろん全く平気ではないし、もう少しなどという甘っちょろい猶予があるはずもなかった。
ホーリィはあっさりと、布一枚隔てたジークの変化に気が付いた。
「む? ジーク、我のお尻に何か硬いものが当たっているのだが、これはなんなのだ?」
「えっ!? いや、その……」
ジークが言い訳を考えている間に、異物の正体を確かめようとホーリィの手が後ろ手に廻る。
細い指と柔らかな掌が、形を確かめるように、ジークの陰茎を下着越しに撫でまわすと、納得したように一つ頷く。
「ああ、なるほど。
これが勃起というものなのだな」
そして、あっさりと、とんでもない言葉を言い放った。
予想外の刺激に昂っていた快感が消し飛ぶ。
「なぁっ!? だ、誰だ、ホーリィにそんな言葉を教えたのはっ!」
ソラか? ソラなのか? とここにいないナイトメアに向かって呼びかけるジーク。
耳元で叫ばれてうるさかったのか、その声にホーリィは眉を顰める。
「ジーク、声が大きいのだ。
そなたが我にどのようなイメージを抱いているかは知らぬが、我とて皇族なのだぞ?
閨房のなんたるかも知っているし、そこでの作法も教わっているのだ」
「閨房って……」
「うむ。我も皇位継承権者となれば、いつ結婚するかわからぬからな。
本物を触ったのは今日が初めてだが、練習の時は筋が良いと褒めてもらったのだ」
そう言う間にも、ホーリィの小さな掌は興味深そうにジークの肉棒をまさぐっている。
やがて、後ろ手に触ることにも飽きたのか、ジークの膝の間で器用に身体ごと振り向いて向き合うと、
両手で愛撫しながら、下着の前を張り詰めさせた肉棒をマジマジと観察する。
「うむ、練習の時に見た模型よりも、大きくて反り返っているのだな。
熱くて、びくびく震えている……ジーク、そなた、もしかして気持ちいいのか?」
「ホーリィ、まずいって……う……やべ……」
ホーリィの細い指が、撫でるようにゆっくりと布越しに陰茎の表面を上下する。
肉棒の鈴口からは先走りが溢れ、張り詰めた下着の頂点は光沢を帯びてぬらぬらと濡れている。
高まる射精感を、ジークは歯を食いしばって耐える。
ホーリィの物おじしない愛撫と、まだ陰毛も生えそろってない幼い少女に弄ばれているという背徳感が、凄じい快感となって押し寄せる。
快楽に魅入られた故に、ホーリィを突き放すこともできず、かといって、幼い少女を前に欲望のまま振る舞う事も出来ない。
ジークの精神は、本能と理性の狭間で狂わんばかりに翻弄される。
だが、その時、雁首を撫でまわしていたホーリィの手が、ぴたりと止まる。
奥歯も砕けんとばかりに耐えるジークの表情が苦しげに見えたのか、ホーリィは不安そうに眉を寄せて顔を上げた。
「それとも、苦しいのか?
プルチーノはこうすると男は気持ちがいいとしか教えてくれなかったので、我にはよく分からないのだ」
快楽が途切れたという、一瞬の安堵。
だが、我慢しなくても良いという脱力は、むしろ、理性という名の防波堤に最後の止めとなるヒビを走らせたようだった。
もうすでに脳内を荒れ狂う快楽は、欲望という炎に火をつけ、存分に燃え上がらせている。
今さら途切れたところで、後戻りなど出来る筈もない。
むしろ、意図せず焦らされたことで、さらに激しく欲望の熱量が上がる。
下着から先端がはみ出るほど硬く腫れ上がった肉棒は戦くように震え、その頂点から先走りをだらしなく垂れ流している。
痙攣に合わせて開閉する濡れた鈴口が、肉体が貪欲に快楽を求めている事を如実に物語っていた。
ジークはか細い声で答える。
それは、まるで懇願しているようにも聞こえた。
「い、いや、気持ちいいから、続けてくれ、ホーリィ。
出来れば、直接……」
触ってほしいと続くはずだった言葉は、羞恥のせいか、或いは屈辱のせいか中途半端に途切れて風に流される。
だが、ホーリィは確実にジークの意を汲んだ。
ほっとしたように頷く。
「そうか、安心したのだ。
では、下着を下ろすぞ、ジーク」
下着という縛めを解かれた肉棒が、臍を指すように屹立する。
絶頂を我慢し続けた粘膜は刺激に対してあまりにも過敏で、風が吹いただけでも達してしまいそうだった。
実際、下着をずり下ろされたときに擦れた刺激で射精してしまわなかったのは、ちょっとした奇跡だろう。
生まれて初めて直接それを目にしたホーリィは、軽く息をのんだ。
うっすらと柔毛に飾られている自分の下腹部と見比べる。
未成熟なそこは、一本の筋のような割れ目があるばかりで、まるで敏感な内側を包んで守っているようだ。
とても、目の前にある凶悪な形状のモノを受け入れられるようには見えない。
ここにきて、初めてホーリィの中に恐怖に似た感情が芽生える。
だが、その一方で、その感情の裏に得体のしれない衝動が蠢いていた。
それが、ホーリィに囁くのだ。
もっとジークに気持ちのいい事を教えてあげなさい。
ジークに忘れられない快楽を刻みつけなさい、と。
「凄いのだ……」
魅入られたようにじっと見つめるホーリィに、ジークの切羽詰まった声がかけられる。
「ホーリィ……早く……頼む……」
ジークは胡坐を解いて、足を突っ張らせることで最後の一押しに耐えている。
そうでもしないと、今すぐにでも絶頂に達してしましそうだった。
「うん」
ホーリィはまるで熱い液体で満ちた杯を手に取るように、慎重に両の掌をジークの張り詰めた肉棒に添えた。
ただそれだけのことに、ジークの身体は面白いように反応する。
背筋をそらし、身体を痙攣させる。
突然与えられた快楽に、間欠泉のように溢れる先走りがホーリィの掌をぬるぬるにする。
そのまま扱きあげれば、あっという間もなくジークは達するだろう。
だが、ホーリィは添えた掌を動かそうとはしない。
そのまま膝をつくと、ゆっくりとジークの股間に顔を寄せる。
桜色の唇で包み込むように、赤黒く張り詰め、内側から今にも破裂しそうな亀頭を口に含んだ。
「うあっ、あ、あぁっ!」
暖かく湿った感触に包まれて、ジークの脳内で快楽が炸裂する。
言葉も理性もどこかに吹き飛び、途切れ途切れの呼吸の合間に、だらしない喘ぎ声が漏れる。
あまりにも強い快楽は、ある一線を越えると苦痛と大差ないことを、ジークは知った。
ホーリィの小さな頭が、股間の上でかすかに上下しているのをどこか別の世界の事のように眺める。
小さな頭が細い首に続き、華奢な肩の下で、身体が上下するたびに浮かび上がる肩甲骨が動くのが分かる。
膝を立てて顔を寄せているので、絶妙なカーブを描いて腰のあたりにくぼみが出来ている。
背骨のラインに沿って、視線をそのままずらすと、突き上げられたお尻の丸みと割れ目が目に飛び込んでくる。
今味わっている快楽が、こんな小さな身体から与えられている事が、信じられなかった。
視線を落とす。
ホーリィはジークの陰茎の先端部分を咥えて、前後に動いている。
あまりにもサイズが違いすぎて、深くは咥えられないのだろう。
だが、それでも亀頭に舌を絡めて、唇と濡れた口腔でされる愛撫は、手でされるそれよりも遥かに気持ちが良かった。
そして、何よりも、何も知らない子供だと思っていたホーリィが、口淫を行っているというこの状況そのものが、
たまらなくジークの快楽を掻き立てる。
「ホーリィ」
ジークに限界が訪れる。
激しく翻弄され続けてたどり着いた先は、一種の無感情だった。
ジークの声は、凪のように穏やかだ。
ホーリィが視線だけで、ジークの顔を見上げる。
濃い栗色の髪を撫でながら、ジークは告げた。
「出る」
その言葉が合図だったように、鈴口からとんでもない勢いで精液が吐き出される。
一瞬で精液が小さなホーリィの口腔を満たし、可憐な唇の端から溢れて零れる。
初めて味わう精液の味に、ホーリィは激しくむせるが、ジークの両手が頭を固定して逃がさない。
どくどく、どくどくと欲望をホーリィの口に吐き出し続ける。
時折腰を痙攣させながら、驚くほどの量をジークは放出する。
やがて、最後に小さく腰が跳ねると、ようやく全てを吐き出し終わり、ジークはホーリィを開放する。
口から零れ、あるいはむせた拍子に跳ねた精液が、ホーリィの顔中どころか胸のあたりまで汚している。
ホーリィは、四つん這いになって残った精液を吐き出す。
「げほっ、げふっ……うえ……酷いのだ、ジーク」
よほど苦しかったのだろう。
汚れた顔のまま、涙目になってジークを睨みつける。
「悪い悪い。あんまり気持ち良かったから」
「本当に気持ち良かったのか?」
「本当だって」
その答えに、険しかったホーリィの表情が柔らかくなる。
満足げに一つ頷いた。
「そうか。ならば良いのだ。
そなたらには何度も世話になっているが、いつもろくに礼が出来ず、心苦しく思っていたのだ。
この間、習ったばかりの方法で少し不安だったのだが、返礼になっていたのであれば、嬉しい」
その言葉を聞いたジークは、そっとホーリィを抱き寄せる。
「馬鹿だな、ホーリィ。
礼とか借りとか、んなこと考えなくても良いんだよ。
友達だろ、俺ら」
ジークの言葉に、ホーリィは心からの笑いを浮かべる。
「そうだな、ジーク。
……ところで」
そこまで言って、視線を下げる。
つい先ほど、あれほど精を吐き出したというのに、元気に自己主張する肉棒がそこにはあった。
先走りと唾液で濡れて、てらてらとグロテスクに光沢を発している。
「それは、まだおさまらぬのか?
プルチーノが言うには、一度達すると、暫く萎れるという話だったのだが」
ジークは困ったように頭をかいた。
実際、体中の活力が吸い出されるのではないかと思うほど射精したし、それはとてつもなく気持ちのよい経験だった。
そして、確かに一旦はおさまった。
だがしかし、ホーリィの肢体に触れ、まだ女と言い切るには未成熟な裸体を目にした時、再び勃ちあがってしまったのだ。
参ったなぁ、とジークは思う。
もうホーリィも、そういう風にしか見られない。
ジークの中で、ホーリィが子供ではなく、一人の女として認識された瞬間だった。
とはいえ、ジークの精神世界に一大回天があったとはいえ、物理世界に何らかの影響を与えられるわけではない。
ホーリィがジークを受け入れるのが困難だという事実は、何一つ変わっていないのだった。
ついさっきホーリィが本能的に感じた恐れはあまりにも正しい。
無理に挿入すれば、膣内が裂け、傷つけられる可能性は高い。
そうでなくとも、非常な痛みを伴う交わりになるだろう――心の傷として残ってしまうほどに。
「あー、そうだ。
今度は俺がホーリィを気持ち良くするからさ。
脚を軽く開いて、そこに横になってくれないか?」
だがしかし、ジークハルト・デーニッツは諦めない。
ならば、ホーリィに痛みを与えず、お互いが気持よくなる方法を考えるだけだ。
「む、構わないが。
ジーク、これで良いのか?」
ジークはホーリィの上に覆いかぶさると、太ももの付け根にいきり立つ剛直を差し入れる。
ホーリィが反射的に怯えた眼差しを送るが、ジークは安心させるようにその小さな身体を抱きしめる。
まだ誰も触れたことのないホーリィの処女地に、陰茎の竿の部分をひたりと押し当てた。
「大丈夫、大丈夫だから。
脚を閉じてくれ、ホーリィ」
言われるままに脚を閉じる。
ホーリィの産毛一つない太ももに、ジークの肉棒が挟み込まれる。
「ホーリィ、どんな感じがする?」
ホーリィはどこか居心地が悪そうに、身じろぎする。
「ん……そなたのペニスが熱くて、何か変な感じなのだ」
「そうかそうか。
ああ、ホーリィの太ももはすべすべして気持ちいいな。
……このまま、動くから、しっかり掴まっててな」
そういうと、ジークはそのままゆっくりと腰を動かし始める。
先走りと唾液と精液で濡れた陰茎は、スムーズに太ももの間で注挿を繰り返す。
竿が一本の筋のような割れ目に食い込み、敏感な内側を擦りあげる。
「ふぁ、あっ、んっ…んっ」
初めての感覚に、ホーリィの口から喘ぎ声が漏れる。
その声を聞いて、ジークが前後運動の速度を上げる。
ホーリィの外性器が押しつぶされ、唾液と精液と先走りの混合液塗れになる。
「ホーリィ、気持ち良いか?」
「んっ、ぁんっ……わ、分からない、分からないのだ、ジーク」
「よし、じゃあ、分かるまでやるか」
繰り返される刺激に、徐々にホーリィの幼い秘裂がほぐれ始める。
閉じていた割れ目は淫らに開き始め、充血して熱っぽい内側を擦りあげられるたびに、
愛液が溢れてジークの陰茎と自らの太ももを濡らす。
皮に包まれていた陰核がこねくり回されて尖り、剥けて敏感な神経をむき出しにする。
くちゅ、くちゅという淫らな水音が、昼下がりの湖畔に響くようになる。
「あっあっんんっふぁぁあっああっ」
控えめだったホーリィの喘ぎは今やはっきりとして愉悦の響きとなって、ジークを更に興奮させる。
ジークは抱きしめたホーリィの耳元に口をよせ、さらに問う。
「気持ちいいか?」
「ぁ、うぁ、き、気持ちいいのだ……ふぁ、あっんっぅんっ。
ジーク、ジーク! 何か来るのだ! うぁっぁ、怖いのだ、ジーク、痺れて、ジンジンして、頭が真っ白に」
敏感なクリトリスが擦りあげられるたびに、ホーリィは悲鳴にも似た声を上げ、ジークにぎゅうと抱きつく。
ジークに押し付けられた成長途上の胸の頂点は、痛いほど硬く尖り、
ホーリィが未知の感覚に翻弄されている事を雄弁に物語っている。
ジークは安心させるようにホーリィの上半身を抱き締め、ラストスパートに入る。
触れれば火傷するのではないかというほど熱く脈動する陰茎が、てらてらと濡れて開く割れ目の上をスライドする。
その度に敏感な部分を余さず刺激されるホーリィは、声も出ないほどの快楽に身を震わせる。
ホーリィの腰骨のあたりがびくびくと跳ねるのを見たジークは、限界が近い事を悟ると、そのまま絶頂までホーリィを押し上げる。
背筋を反らせて、ホーリィが初めての絶頂に達したことを確認すると、ジークもまた欲望を吐き出す。
小さなお尻の溝から膣口の近く、内腿までがどろりとした白濁で汚される。
「ふぁっ……熱い、のだ」
絶頂に達したばかりのホーリィの敏感な身体はその迸りを受けてビクッと震えた。
「交合というのは、あのように気持ちの良いものなのだな」
「んー、またちょっと違うけど、ま、それはホーリィがもう少し大きくなったらな」
「楽しみにしているぞ、ジーク」
昂った体の火照りを覚ますように、ジークとホーリィは、木陰の風に当たっている。
ジークはぽんぽんと傍らのホーリィの頭を撫でると、湖の方を顎で指した。
「そろそろ水晶の欠片亭に帰らないとな。
身体を洗おうぜ」
「う、うむ……」
微妙にホーリィの歯切れが悪い。
まるで何かを言いあぐねているかのように。
ジークは問いかけるように眉を上げた。
「どうした、ホーリィ?」
意を決したように顔を上げると、ホーリィはジークの手を取る。
「?」
「その、ジークのせいで、身体じゅうドロドロになってしまったのだ。
だから……」
握った手を、ホーリィは自らの濡れて息づく場所へと導く。
ジークの指が、暖かく濡れたその内部に触れる。
「だから、ジークの手で、身体を洗ってほしいのだ」
二人が水晶の欠片亭に帰るのは、もう少し先の話になりそうだった。