○月×日
ひょんなことから人族を三人捕まえた。人間一人とエルフが二人。
なかなか優秀な使い手のようだが、私の敵ではない。
更に都合がいいことに、エルフの二人は夫婦のようだった。
かねてより興味のあった、人族の生殖と心の移り変わりについて実験を始めようと思う。
○月△日
まず夫婦に性行為を命じる。強い反発があったが、力の差を見せ付け従わせる。
次に、女のほうと人間の男との性行為を命じる。
より強い反発。自殺でもされたら厄介だったが、機会を待つことを選んだようだ。
残された男の複雑な感情の入り交じった顔は興味深い。
○月◇日
あの日より、妻には夫と人間との性行為を半日置きに繰り返させる。
段々と、後者の組み合わせからぎこちなさが無くなっていく。
夫は鬱屈としてきているようだ。
△月□日
牢の中で夫婦が口論している。
人間に妻を取られまいと夫が小言を言い始め、辟易としたらしい。
逆に人間と妻の仲は日を重ねるごとに良くなっていく。
人間とのほうが性行為で満足を覚えるらしく、それがまた喧嘩の一因となっているようだ。
△月☆日
夫婦仲は完全に冷えきった。行為中も口を聞こうとしない。
牢の中でも、最初は夫婦と人間で分かれて眠っていたのに、今ではバラバラになっている。
なお、夫が就寝した後、人間と妻は私が命じたわけでもないのに性行為に及ぶようになった。
実に興味深い行動である。
△月≡日
状況が少し異様なものになってくる。
人間に性的依存を果たした妻は夫の前でも性行為を隠そうとしなくなり、
夫もそんな二人を見て、浅ましく自慰行為をするようになったのだ。
夫が 何に対して性的興奮を覚えているのか。研究しがいがある。
◎月@日
妻が妊娠した。
どちらの子か分からないが、妻の肉体が我らバルバロスと同じくより優秀な存在の子を成したいと願うならば、
胎児の父親が誰なのか、自ずと知れるというものだ。
夫は人間と妻が寝静まった夜、悔恨と憎悪と悲哀の混じった顔で、それでも自慰行為に耽っていた。
◎月D日
優秀な存在を集めた人間の一団がここに攻め入ろうとしている。
流石の私も少しの間、身を隠さねばならないだろう。丁度良い機会なので、あの三人は解放しようと思う。
だが、監視は続けるつもりだ。
日常に戻ったとき、あの三人と周囲がどのように動くのか、興味は尽きない。
(日誌はここで終わっている)