「何か私って、このパーティーで浮いてる気がするんですよねぇ……」
はぁ、とニゲラがため息をついた。
「それで、私にどうしろと」
「いや、たまたま手近な相談相手がメッシュさんしかいなかったんですけど」
「……どうせ私はその程度の存在ですよ」
まあいいですけど、と肩をすくめてメッシュが手際よく紅茶を準備する。
かちゃりとニゲラの前におかれたそれを、一口すする。
紅茶の温かさが、ニゲラの心の中の一種の緊張を解きほぐしてくれる。
「それに、メッシュさんはリーダーのジークさんのこと、多分一番良く知ってると思いますしぃ……」
半分くらい意図して言ったのだが、まさしくその意図通りにメッシュの表情が見る見る晴れやかで誇らしげな物に変わる。
「それは勿論、ジーク様の事ならば初恋の顛末から全身のほくろの数まで、このメッシュ知らないことはありませんが!」
「あのあの、それでどうしたら溶け込めると思いますかぁ?」
放っておくと多分長くなるので、さくっとメッシュの自慢に割り込んで質問をする。
むぅ、とメッシュが考え込んだ。
「難しいと言えば難しいですね……。知っての通りジーク様は分け隔てなくどなた様にも接する素晴らしい器の持ち主」
「単にぞんざいなだけだと思うんですけどぉ」
「そのジーク様がいる以上、かえって現状以上に馴染むのは確かに難しいとも……」
聞いてくれなかった。
これも割と予想通りだが。
しばしぶつぶつと独り言を呟くメッシュだったが、やがて手をぽん、と打った。
「そうか、馴染めないという事は共通の思い出が無いからなのではないですか?」
「確かにそれはあると思うんですけどぉ」
「このメッシュが一肌脱ぎます。パーティーの皆と共通の思い出を沢山作れば良いのですよ!!」
確かにそれは良いアイデアにも聞こえる、が――
「具体的にはどうすれば良いんですかぁ?この辺り寂れた村ばっかりで、遊ぶとか難しいですよ」
だが、メッシュの話の聞かなさはニゲラが思うより筋金入りだったようだ。
「そう、つまり、あなたもジーク様のハーレムに混ざれば良いのですよ!」
その夜、その寂れた村に一軒しかない宿屋。
ぎし、と音を立てジークの部屋の扉が開けられる。
開けたのはニゲラ。
(ほ、本当にこんなんで馴染めるんでしょうかぁ……)
恥ずかしさと緊張で死にそうなほどに心臓が高鳴っている。
どうやらジークは寝ているようだ。
そっと後手にドアを閉め、内鍵をかける。
精一杯の忍び足でベッドに忍び寄り、その上に――つまりはジークの上に跨る形で――乗る。
そういえば、間近でジークの顔を見るのは初めてだ。
(良く見ると……結構、ハンサムです……)
すぅっとジークの顔にニゲラが顔を寄せ(省略されました。続きを読むには誰か他の人に期待してください