ウィスト「あれ? カツラは買わなかったの?」
エリヤ「だって、どれ着けてもクリフが『とても似合いますよ我が愛する姫騎士、ですがカツラなど着けていない貴女の方がもっと美しい』って毎回言うから、選べなくて……」
アンセルム「クリフ、お前何しに行ったんだよ」
クリフ「荷物持ちですよ」
アンセルム「だったら邪魔すんなよ」
クリフ「邪魔なんてしていませんよ! 失礼な! これはどう? って聞かれたので、思うまま正直に嘘偽り無く答えたまでです!」
ウィスト「エリヤ、今度から荷物持ちにはアンセルムに行ってもらいなよ」
クリフ「何故!?」(悲鳴)
エリヤ「うーん……」
クリフ「駄目ですエリヤさん! 蛮族のセンスで選ばれていいんですか!? 人間の女よりゴブリン♀の方がマシとか言っちゃう種族なんですよ!?」(必死)
アンセルム「言ってねえ!」
ミケ「え? ゴブリン♀の方がびじんなの?」
アンセルム「違う違う」
ウィスト「ボクは世間知らずだから良くわからないけど、リルドラケンが人間の女には魅力を感じないというのを聞いたことがありますよ」
アンセルム「ちょっと待て! そりゃどちらかと言えば同族の方が魅力を感じるが……人間は角が無いから頭が少々淋しいなぐらいは思うが……」
ミケ「ウィストはツノあるよね?」
アンセルム「ん? あ、あぁ……」
ウィスト「………………」
エリヤ「ウィスト?」(ニヤニヤ)
クリフ「エリヤさん! 気を逸らさないで真剣に考えて下さい! ドレイクと街を歩きたいのですか!? もしも穢れが伝染したら――」
アンセルム「なんだと! いい加減にしやがれ!」
エリヤ「クリフ、言い過ぎだぞ」
クリフ「申し訳御座居ません」(平伏)
エリヤ「でも、まあ、荷物持ちにはクリフの方がいいかな。あ、違うぞアンセルム、決して君と歩くのが嫌だとかそういうのではなくてだな……」
クリフ「僕のことを愛してしまったからですね、わかります」
ウィスト「ボクは世間知らずだけど、それが違うことぐらいはわかるよ」
アンセルム「気にしちゃいない。何かあった時に騒動になっても困るからな」
エリヤ「すまん」
アンセルム「それぐらいは覚悟の上だ」
エリヤ 。o O (それもそうなんだが、アンセルムだと褒めてくれなさそうだし……)
〜〜 翌日 〜〜
ウィスト「あれ? もう帰って来たの?」
エリヤ「違う! アンセルム、買い物に行くから一緒に来てくれ」
クリフ「エリヤさ〜ん! もう二度と言いませんから〜! 赦して下さ〜い!」(足すがり)
アンセルム「どうしたんだ?」
エリヤ「だってクリフのヤツ! 可愛い服を見付けたから似合うかって聞いたら『とても似合いますよ我が愛する姫騎士、ですが服など着けていない貴女の方がもっと美しい』って言ったんだ!」(真っ赤)