ウィスト「リルドラケンは人間の女に『性的』魅力を感じない、と言い直せば満足ですかね」
アンセルム「言っておくが、同族ってのはドレイク族であってバルバロスって意味じゃないぞ。少なくともゴブリン♀よりは人間の女の方がいい。相手がどう思うかはともかく」
ウィスト「人間の女の中にはいきなりヘビーメイスで殴りかかる女が居ることを、身を以って知ったばかりだしね」
アンセルム「それもそうなんだが、ゴブリン♀と人間の女と、どっちの方がよりドレイクの男を好ましく思うかは別として、だ」
ミケ「うーん……ミケはゴブリン♂とアンセルムならアンセルムの方がだんぜんカッコイイと思うよ」
アンセルム「ありがとうミケ」(頭なでなで)
ウィスト「つまり、一般的に言えばゴブリン♀は同族であるゴブリン♂よりもドレイクの男の方に『性的』魅力を感じる、という意味でいいのかな?」
アンセルム「ドレイクの方が強いからな、俺みたいな出来損ないでも。ウィストだってモテるだろ? ナイトメアだってバレるまでは」
ミケ「ウィストはかわいいよね」
ウィスト「フードで顔ごと隠しているからモテないよ」(ミケの頭なでなで)
アンセルム「顔がいいのは認めるんだな」
ウィスト「ボクは世間知らずだから、自分の顔がいいのか悪いのかわからないんだ」
アンセルム「確かに世間知らずだな。モテる理由は顔の良し悪しの他にも色々とあるもんだ。顔がいいと思ってなけりゃ、フードの所為にはしないだろ」
ウィスト「(赤面)!……ふ、ふーん。アンセルムは、人族社会に来たばかりにしては、ずいぶんと世間慣れしてるんだね」
アンセルム「バルバロスには人族の言うところの《世間》なんてものはない。判断を誤れば頃される。だから考える。それだけさ」
ウィスト「そうなんだ。残念だけど、それは人族社会に来ても変わらなさそうだね」
アンセルム「覚悟の上だ」
ウィスト「何故、そんな覚悟が出来たんだ?」
アンセルム「ん?」
ウィスト「蛮族は穢れを差別しないから蛮族社会に逃げるナイトメアも居ると聞いたことがある。だけどボクには正直、そんな覚悟は持てそうもない。アンセルムはどうして持てたんだ?」
アンセルム「うーん………………」
ウィスト 。o O (誤魔化してるのか? 隠してる目的があるから?)
アンセルム「こういう言い方はあまりしたくないんだが、俺は追い出されたんだ。兄貴のところに戻って頃されるか、人族社会に来るか、独りで生きるかの三択だった」
ウィスト「………………」
アンセルム「独り――と言うかクリフと一緒だったが――で生きるのは無理だった。氏にたくないなら、人族社会に来るしか選択肢が無かっただけだ」
ウィスト「……人族社会に居させてもらえてるだけ、ボクの方がマシってことか」
ミケ「アンセルムかわいそう。だいじょうぶだよ、ミケ達はおいだしたりしないよ」
アンセルム「ミケは優しいな」(頭なでなで)