「クレぽん!一体何をやっているんだべか?」
ロマール盗賊ギルドの幹部専用部屋にやって来たブックとマロウは、室内の
様子に愕然としていた。
とりあえず部屋に立っていた貧弱な少年―クレスポに尋ねてみる。
「いやー、ベルカナに珍しい尋問方法があるのを教えようと思ったんすけど、
オレでは体力的に危険だし、シャイアラ姐さんに替わってもらったっす!
女同士のほうが絵になるし!」
三人が見つめる部屋のベッド。そこでは二つの女体が絡み合っていた。
「はうぅぅぅっ、シャイアラさん、やめてくださいっ、ああ〜、おかしく
なりますわ〜っ!」
「ほ〜らベルカナちゃん、お尻の方も塗り塗りしましょうね〜♪」
豊満な金髪のエルフ女が、黒髪のスレンダーな娘を責めたてる。
二人の体は香油にまみれ、テラテラとした光沢に包まれている。
シャイアラは傍らの壷から香油をすくっては、己とベルカナの肉体に
塗りたくる。
他者の視線など無視し、女たちは互いの肉体の交わりに没頭していた。
「ぬうっ!!!これは音に聞く『女殺油地獄』……!(くいくい!)」
「し、知っているんだべかブックどん!?」
女殺油地獄
かつて楽死亜の地に住まう戦闘種族・怒麗狗が使用した戦闘技術であり
全裸となりし己の肉体に油をかぶせて相手のに抱きつき
その体にも油を塗りたくり悶絶させる秘奥義である
これを使用するには卓越せる技量と体力が必要であるため
初心者には落命する危険がある。
晩年の徳川家康が切支丹の間者にこの技を用いたことで命を落とし
その壮絶なる臨終から料理「天麩羅」の起源となったのは
今さら言うまでもない。
昆明書房刊「浅草天ぷら屋三代記」より抜粋
恐るべき拷問法を会得したぺらぺらーず&ロマール盗賊ギルド。
もはやルキアルの野心を止められる者はどこにもいないのか――。