イェシカとソフィは気づくと見知らぬ部屋にいた。薄暗く、壁はほんのりとピンク色で、窓はなく、日も射さないのに不思議と暖かい。  
 ついでに言うと、二人とも全裸だった。  
「……ははぁん」  
 イェシカは思った。  
 ――これは、アレだな。  
「はっ……ここは、魔剣の迷宮!?」  
 ソフィも目が覚めて、唐突に声を上げる。どうやらソフィのくせに閃いたらしい。おっぱいデカイおバカのソフィのくせに。  
「イェねーさん! わたしたち、どうやら宿で眠っている間に魔剣の迷宮に連れてこられちゃったみたいですよ!?」  
「んなこと、言わなくてもわかるわよ」  
 イェシカはソフィの説明的な台詞にジト目を返した。ソフィの豊満でムチプリな肢体が目に入る。頭に行く栄養が全部注入されたとしか思えない生意気なおっぱいが、自慢げにたゆんたゆんと揺れている。  
 ――イラッ☆  
「イェねーさん……そんなじろじろ見ないでください……」  
 頬を赤らめつつ、腕でむにゅっとおにくを押しつぶす。どうやら、あれやこれやを手で隠そうとしているようだ。いや隠れてないし。乳輪のサイズ丸見えだし。  
「別に隠すことないでしょ、女同士なんだし」  
「そ、そっか……」  
「でも、装備がないのは問題だね。……出口、ないみたいだし。どうせクリアしないと外に出られない、みたいな話でしょコレ」  
「え? えええええええっ!?」  
「もしかして気づいてなかったの……? まず最初に確認するでしょ普通」  
「ど、どどど、どうしましょう、イェねーさん!? まさか出られないとずっとこのまま二人っきりで全裸状態!?」  
「そこが問題なのか……? むしろあたしは、このダンジョンがなんとなく、やらしい仕掛けでいっぱいみたいな感じがしてそれが気になるんだけど」  
「いやらしい!? そんな……!? わたし、バージンは先生に捧げる決意を固めていたのに!? いや――――――――っ!? ダメ――――――!? 悔しいでも感じちゃうッ!?」  
「なんだよそれは……」  
 イェシカはすらりと引き締まったスレンダーボディで四つん這いになり、部屋を探索しはじめる。ちなみに四つん這いになったのは別にお尻をアピールするためではない。床に何か仕掛けられてないか警戒しているだけである。  
 ただ、イェシカはそうしたとき、「何となくいつもと感覚が違うなー」というふうに思った。なんだろう、身体のバランスというか……いつもの鎧を着けてないからかもしれない。  
「イ……イェねーさん……。今、重大なことに気がつきました」  
「ん、何?」  
 イェシカは壁の一カ所に、金属でできたメッセージプレートがはまっているのを発見していた。なにやら裸の男の絵と、魔法文明語らしき文字が刻まれている。  
「まず、落ち着いてください。いいですか。いいですね。落ち着いて、それからゆっくりわたしの話を聞いてください!」  
「……なによ、突然改まって」  
「落ち着くんです!」  
「あんたが落ち着け! 何なのよ、はっきり言いなさいよ。怒らないから」  
「は、はい! ……イェねーさん。わたしたち……」  
 ソフィは、もじもじと股間を隠しながら、イェシカの股間を見つめてくる。  
 ――な、何? なんか変な気分になるんだけど!  
 イェシカは怪訝な顔をしてソフィの言葉を持った。  
「……生えちゃった、みたいですよ……?」  
 ソフィがそっとイェシカのそこを指さす。  
 イェシカは自分のソレを見下ろした。  
「…………!!!!!!」  
 ――ぎゃあああああああああああああああああ!!!!  
 
 落ち着け、落ち着くんだイェねーさん、とソフィが繰り返す。  
「ななななな、なに言ってんのよこれが落ち着けるワケないでしょッ!? なにこれなんであたしの身体にこんな汚らしいモノがくっついちゃってんのよ!?」  
「イェねーさん」  
 ソフィが真面目な顔で言う。  
「汚くはないですよ。生殖のための、男性の大切な部位です」  
「知っとるわ! そういう問題か!」  
 イェシカ必死には股間を隠して、顔を真っ赤にしながら「うううううう……」とうなり続けていた。ソフィはなぜか平然とした顔で、自分のナニを観察して「ほほー! そうかこうなってるんだあ! へー!」とかやっている。  
「時々、あんたの順応性が本気で羨ましくなるわ……」  
「だって、生えちゃったもんはしょーがないじゃないですか」  
「そうだけど……」  
「きっと、これも魔剣の仕業だと思うんですよ。だから迷宮を攻略すれば元に戻るんじゃないですかね?」  
「…………。そうか」  
 イェシカは少し我を取り戻した。この状態が一時的なものと考えれば、まあ少し希望が持てる。  
「はい! がんばってハッタリ魔剣を懲らしめましょう!」  
「ハッタリ魔剣て……。そのネタ、エロパロ板以外で通じるの?」  
「ここはエロパロ板だから何の問題もありません!」  
 メタ発言しつつ、ソフィは怪しい壁のプレートを調べはじめる。全裸の男が描かれた、卑猥な落書きかと疑うような金属の板だ。  
「魔法文明語かあ……エマーラおばあちゃんがいればなあ……」  
 ソフィがそう呟くと、プレートの文字がもにょもにょっと動いて交易共通語に変化する。以前、魔剣の迷宮で見かけた仕掛けと同じだ。  
「……相変わらず便利だなー」  
「読んでみましょう」  
 
 ――両手は剣を握るためにあり。剣を握りて孤高の道を歩むべし。頂にて扉は開かん。  
 
 そして、その裸の男の絵は明らかに、“股間の剣”を両手で握っていた。  
「…………どういう、意味でしょうか」  
「わかってて聞いてるでしょ」  
「ま、まあ……」  
「つまり、そういう迷宮なワケよね、コレは」  
 ――要は生えちゃったモノでシコれと。そうしないと先に進めないよと。  
「真っ向勝負の変態ダンジョンですね」  
「さいってー……」  
 ソフィはじっと己の逸物を見下ろしていたが、やがて、覚悟を決めた顔でそっと両手でそれを捧げ持った。  
「ソ、ソフィ……?」  
「やるしかないでしょう、イェねーさん! これも経験です! 人生には色々なことがあるんです!」  
「あんたなんでそんなノリノリなのっ!?」  
「だって、ほら。こんな経験滅多にできませんよ? 前から男の人ってどういう感じなのかなーって、気になってたし」  
「あんたって、物怖じしないわよね……」  
 おバカだから想像力がないの? と失礼なことを考えながら、イェシカは躊躇っていた。はっきり言って、イェシカは男性器に免疫がない。手で触るとか無理。見るのも無理。むりむりむり! うわーん!  
「イェねーさん。恥ずかしがってるイェねーさんは可愛いですが、そんなことではこの先の迷宮は突破できませんよ。ここは腹を据えてください」  
「でもぉ……だってぇ……」  
「だってここ、ダンジョンの最初の部屋ですよ? きっとこの奥にはもっとエロ非道い試練が待っているに決まってます。もっと好奇心を持って冒険しましょう! 性的な意味で!」  
「いーやーだー!」  
 おうちかえるう、とめそめそ泣き出したイェシカに、ソフィはため息をついた。お姉さんぶった態度でイェシカの頭を撫でる。  
「だいじょうぶですよ……イェねーさん。さいわい、ここには男連中もいないし……。恥ずかしい目に遭ってもお互い様です。それにイェねーさんだって、どんなにウブがってもいずれは処女切っちゃうんですから」  
「身もふたもない……!」  
「自信持ってください、イェねーさんのおちんちん可愛いですよ」  
 ソフィはイェシカのそこを優しくナデナデした。  
 
「……ぅんっ……!?」  
 ぴくん、と反応するイェシカ。  
 おっ? という顔でソフィが目を輝かせる。  
「い、今……イェねーさん……ひょっとして……?」  
「や、……や! ち、違うわよ今のは! べ、別にそんな、ちょっと気持ちよかったとかそんなのないから! 絶対ないから!」  
「素直じゃないなー、イェねーさんはー」  
 ソフィはきゅっ、きゅっ、と指先でつまむようにモノをしごいた。  
「ほーら、こんな大きくなってきてるじゃないですかー」  
「ううー……なんでぇ……こんなふうになりたくないのにぃ……! 下半身が別の生き物だぁー……!」  
 イェシカは顔を両手で隠して、でも快楽に逆らえずに微妙に腰を動かしたりしてしまう。  
「すごいですねー、こんなふうになるんだー! へー! かたーい!」  
「ん、あ、あっ! そこ、そこだめ! ソフィ……!?」  
 なんか変だ、きっと魔剣の影響で操られてるんだ。そうに違いない。そうじゃなかったら、こんなにエロい気持ちになるはずない……!  
「このくびれたとこですか? えい、えいっ」  
 ソフィだって変だ、こんなに積極的にエッチなことするはずない。だからきっと魔剣のせいだ……。そう、魔剣のせいだから気持ちよくなっても仕方ない――そう考えながら、イェシカの理性がどんどんとろけていく。  
「らめぇ……、だめ……だってばっ! ん、んくうううう! ふぁぁあああああっ」  
「あはは、イェねーさん、すんごい顔になってますよ」  
 ソフィにからかわれるくらいだから、相当アレになってるんだろう。  
 顔が熱かった。そうしたくないのに、勝手に身体が反応して呼吸が荒くなってしまう。口の端からよだれが垂れそうになって、慌てて手の甲でぬぐった。  
「アヘ顔ですね! アヘ顔!」  
「ううううううう」  
 ――負けられるか!  
 なぜかそういう気持ちが湧いて、イェシカは反撃に出る。  
 隙だらけのソフィの股間に手を伸ばして、その先っぽをぎゅっと握った。  
「あひゃ!?  
 ぬる、と先端から妙な液体が垂れていた。  
 ――これって精液? じゃないよね……。  
 こういうもんなのかな、不思議だなーと思いながら、イェシカは掌で包むようにぐりぐりとソフィの先っぽをいじくり回した。  
「あひっ!? な、なにこれぇ……!? イ、イェねーさんっ! コレ、すごいっ!? おちんちんってスゴイッ!?」  
「コレ気持ちいいの?」  
「イェねーさんにもしてあげます! 皮をムイてぇー……」  
「あ、ちょ……!」  
 イェシカのモノは仮性包茎で、ソフィが指でずらすとつるんとピンク色の亀頭が顔を出した。もちろん、この粘膜が外気に触れるのは初めてのことだ。敏感な新しい粘膜がすーすーとする感覚に、イェシカはそれだけで悶絶した。  
「ひぅ……! や、や、怖っ……!」  
「こうでしょー……ほら!」  
 そこへ、ソフィが先っぽのぬるぬるをこすりつけるように掌を当ててくる。  
「――――――――っ!!!!!」  
 刺激が強すぎて痛みに近かった。  
「もっと、もっとやさしくしてぇ……」  
 イェシカは涙目で懇願せざるを得ない。ソフィはきょっと気の毒そうな顔をして謝る。  
「あ、ご、ごめんなさいねーさんっ? わたしもあんまり慣れてなくて……っ。こ、こうかな?」  
「あ、あ……う……まだちょっと痛い……」  
「あ、じゃあ、こうして……皮の上から、直接触れないようにすれば……」  
「はぁ……! んっ、んんぅ! うん、好き、それ好きぃ……!」  
 知らず知らずのうちにとんでもないことを口走っているイェシカ。  
 
 イェシカもまた、器用度の高さを生かしてソフィのそれをしゅこしゅことしごき立てた。固くて熱くてたくましい感触が掌に伝わってくる。  
「……っていうか……あんたのちんぽ、なんでこんなデカイの……?」  
 ちょっと恐怖感を抱きながら、イェシカは指でソフィのカリのくびれを責めた。中指と親指で輪を作って、やっと指先が届くくらいの太さだ。  
「はぁ、あああんっ! イェねーさんそこいいっ! くびれてるとこ、こすれてぇ……! はっ! そうか、きっとここがおまんこの入り口に引っかかって、それで気持ちよくなるようになってるんですね! 勉強になります! んぁ! んはぁあああああ!」  
「あ、ちょ、乱暴にしないでよぉ……!」  
 ソフィの手の動きが速くなる。皮に溜まった粘つく液がくちゅくちゅ音を立てて、亀頭に絡みつく指の感触がダイレクトに伝わってきた。  
「あ、ひ……! ソ、フィ……! あたし、もうダメ……!」  
「え、えっ? そうなんですか? 白いのでちゃうんですか?」  
「うん……! なんか、なんか、変な……あっ、あっ、あっ! 何コレっ!? おちんちんの先っぽきゅううんってなるぅっ!!」  
「わたしもっ! わたしもイキます! イェねーさんの手コキで精液でそう!!」  
「あ、あ、あ、ダメ、これダメぇ……っ!!」  
「ふ、あ、あああああんっ!」  
 お互いの男性器を弄び合うふたりは、同時に大きく息を呑む。  
「「――はぅんっ……」」  
 
 びゅる! びゅるびゅるっ!  
 
 白濁した体液を交互に噴き出し、イェシカとソフィはお互いの精子で淫らに染まった。  
「…………っ」  
 イェシカは目の前がチカチカするような感覚に襲われた。股間の棒から快感がせり上がってきて、脳みそまで一直線に駆け抜ける。喉から自然と色っぽい声が出て、弓なりに反った身体がひくん、ひくん、と震えた。  
「ん……ふぁぁ……っ!!」  
 どくん、どくん、と心臓の鼓動に合わせて精液が溢れる。  
 ソフィが蕩けた目をしてうっとりと呟いた。  
「これが……! はぁ……はぁ……。しゃ、射精なんですね……!」  
「ち……ちんぽ……ちんぽすごい……!! もお、ワケわかんない……!!」  
 涙をこぼしながらいやいやと首を振るイェシカ。  
 一方ソフィは「こんな気持ちいいならわたし、男になっても良いかなぁ……?」などと妄言を吐き始める。  
「うう……すごい臭いだぁ……」  
 イェシカは自分の身体に掛かった精液を気持ち悪そうに指でぬぐった。羞恥心で顔が熱くなる。  
「あ、見てくださいイェねーさん! 扉が開きましたよ!」  
「……おっ?」  
 ソフィが指さす方を見ると、ピンク色の壁にぽっかりと通路が開いていた。どうやら『ここから先に進め』ということらしい。  
「行きましょう! きっとこの先に目指す魔剣が……!」  
「……なんか……すっげー嫌な予感しかしないんだけど……」  
 どうせエロいめに遭うんだろうなあ、と思いつつ、イェシカはソフィと通路に入った。ふたりの足下に、精液が垂れて点々と続いていく。  
 
 通路は人がふたり並んで通れるくらいの広さで、その壁もほんのりとピンクがかっていた。人の手で掘った岩壁のようだが、どうせ魔剣の迷宮のことだからどんなデタラメで成立しているかわかったものじゃない。  
 イェシカは一応罠を警戒しながら進んだが、拍子抜けするほど何もなかった。  
「あ、次の部屋ですよ」  
「通路短かったね。意外と小さい迷宮なのかな」  
「見てください、さっきと同じプレートがありますよ」  
「今度はナニをやらされるんだろうね……」  
 ふたりは壁にはめ込まれた金属の板を見た。また裸の男の絵だ。こんどは股間ではなく、胸のあたりに手を持って行っている。代わりに、性器には何か輪っかが嵌まっているように見えた。  
 そのそばに、また交易共通語で文章が書いてある。  
 
 ――剣のみを持って征するにあらず。二つの山頂を極めよ。剣は封じるものとす。  
 
 そして、プレートの前には台座があって、二つのリングが置いてあった。リングは指輪にしては太く、ブレスレットにしては小さすぎる。  
「これは……」  
「嘘でしょ……?」  
 イェシカはがくっと脱力した。  
「バカだ……わかってたけど、この迷宮……心底バカだ……!」  
「ええと、つまり、この輪っかっておちんちんに嵌めるものですか?」  
「だと思うけど……」  
「それで、『二つの山頂を極めよ』……乳首を弄れと!?」  
「う、うん……そう書いて、あるね……」  
 ソフィは真顔で考え込んだ。  
「でも……男の人って、乳首で感じるものなんですかね?」  
「あたしが知るかっ!」  
 ほら、いいからつけなさいよ、とイェシカは輪っかを取って、ソフィの逸物にねじ込む。  
「や、いやぁっ! そんな、イェねーさんが無理矢理ぃ……!」  
「色っぽい声出さないの! どうせやんなきゃいけないんだから、さっさとすませちゃうよ!」  
「う、うう……」  
「…………。どう?」  
「どうって?」  
「……変なことなさそうね。じゃあ、あたしもつけよう」  
「実験台にした!?」  
 ソフィが愕然とする横でイェシカは自分の男根にリングを装着する。すっと輪の中に通すと、根元で自然と締まって、ぴったりのサイズにフィットした。  
「へんなしろものね……なんか妙な効果がなきゃいいけど」  
「イェねーさん、それフラグ……」  
 言ってから、自分でもそうだよなあとイェシカは思った。どうせ、この迷宮で変な効果がないわけがないのだ。  
「と、とにかくさ、これで乳首を……あれ?」  
 イェシカはぽかんとした。  
 壁に通路が開いているのだ。  
 ただ、今度の通路は極端に狭くて、這っていかないと進めない。  
「ここを、通っていけば良いんですかね?」  
「……あたしの予想通りなら……まさか……あの通路は……ぶつぶつ……」  
「? イェねーさん?」  
「さ、先に行ってくれるソフィ? 罠はないわ、絶対ない!」  
 えぇぇぇぇ、とぶーたれるソフィをなだめすかして、強引に先に行かせる。すると……しばらくして、通路の奥からソフィの悲鳴が聞こえた。  
「……いやあああああっ、なにこれぇぇぇぇっ! 気持ち悪いぃぃぃ!」  
 ――やっぱりな。どうせ触手とかだろ。  
 イェシカはちろっと横を向いて、心の中でソフィに謝った。  
 ……だが、悲鳴が途絶えてから数十秒して、まだソフィが戻ってこないのに気づき、イェシカは焦りはじめた。  
「あれ……。ひょっとして、本当にヤバい罠だったり……」  
 たらり、と冷や汗が流れる。  
 さすがに仲間を罠に放り込んで死なせちゃったら寝覚めが悪い。  
「――ええい、仕方ないか!」  
 イェシカは思い切って、狭い通路の中へ頭から這い込んだ。  
 
「ソフィー? おっぱいしか取り柄のない方のソフィー? ちゃんと生きてるー? 巨乳の鳥頭だから返事できないのー?」  
 呼びかけながら匍匐前進する。内部は暗く、数十センチほどしか視界はなかった。  
 ……と。  
「んっ!?」  
 数メートル進んだとき、周りの壁の感触が突然変わった。暖かくて柔らかくて、なんというか……肉っぽい。  
「イェねーさん! 気をつけて!?」  
「ソフィ!? バカ生きてるなら返事ぐらい……って、何!?」  
 周りの壁がぐにゅぐにゅっ、と蠕動した。イェシカの全身を粘膜のようなものが包む。  
「うわわわっ? なんだこれー!?」  
「わかりません、魔法生物の一種なのかなー……? 聞いたことないけど……」  
「そういう問題じゃ……って、なんかぬるぬるしてきたぁっ!?」  
 ねとーっとした液体が壁からしみ出し、イェシカの肌に絡みつく。もがいて何とか壁から離れようとするが、柔らかい肉に埋もれて、逆にもにゅもにゅと咀嚼するように全身を舐め回されてしまう。  
「ん……ひゃっ……っ!! な、何これ、へん……!」  
「イェねーさん……! これ、これいやらしすぎるぅー……!」  
「んひぃっ!? やだ、やだ、なにこれぇ……! ひあぁっ、……あふぅんっ!? あ、あああああああああっ」  
「んふっ! イェ……ねーさ……んあああああっ! すごいっ! おひんひんッ! しゃきっぽ、ぬるぬるこふれるうううううっ!!」  
 はしたない声からすると、ソフィはすぐ近くにいるようだ。必死に腕を伸ばし、ぬちゃぬちゃした壁の先を探る。すると、運良く指先が脚か腕に触れた。  
「ひゃ!」  
「あたしよ、ソフィ!」  
「あ、この手って、イェねーさん!?」  
「そっちから腕引っ張って!」  
「ごめん、実はもう動けなくて……おっぱいがね、おっぱいが邪魔で……つっかかって……」  
「くっ、こんな時にまで自慢かっ!」  
「そ、そういうわけじゃないんだけど……あ、イェねーさん、貧乳のねーさんならこの狭い通路でもどうにかすり抜けられますよね! この、おちんちんに嵌まった輪っかを取って欲しいんです!」  
「だれが貧乳よ……」  
「お願いします! もう、さっきからギンギンになってるのに、ひくんひくんしても、ぜんぜんイケなくて……苦しいんです!」  
 そういえば、とイェシカは気づいた。さっきからぬるぬるした壁にこすりつけられて、ぞくぞくするほど股間が気持ちいい。でも、根元に嵌まった輪のせいで何かが押しとどめられて、イクにイケないのだ。  
「ちょっと待ちなさいよ……! まさか!」  
 イェシカは自分の輪っかを触った。指先で引っかけて取ろうとするが、取れない。明らかに何か魔法的な力でロックされている。  
「うわ……ひょっとしてこれって」  
 ――剣は封じるものとす。  
「剣がアレだとすると、つまり……」  
「なるほど! そういう意味だったんですか! ということは……、つまり、乳首!」  
「何言ってんのよ!」  
「思い出してください! 『二つの山頂を極める』んです! つまり乳首でならイケる!」  
 ソフィが珍しく冴えたことを言った。というか、おバカさ加減が迷宮の制作者とシンクロしただけかもしれない。  
 
「乳首って……どうやって?」  
「イェねーさん、もうちょっとこっちへ来て、手を伸ばして……そうです!」  
 イェシカの手がぬるぬるした暗闇を探った。ソフィの柔らかくてぷにょぷにょした身体を、密着した状態で触りまくる。粘液がふたりの身体をくまなく覆っていて、肉の壁は艶めかしくて暖かくて……。  
「ちょっと……あたしのフトモモに変なモノこすりつけないでよ……! んんっ!!」  
「あ、んああ……! イェねーさんのフトモモ、すんごい気持ちいいっ!! ねーさんの硬いのも、わたしのお尻に当たってて……ん、んんっ」  
「こらっ、腰をカクカクさせるなぁっ……!? ひ、んっ!」  
 ソフィのたっぷりした張りのあるお尻の肉が、イェシカの先端を嬲っている。ねっとりした液で滑りを良くされ、柔らかい肉壁と挟まれて――極上に気持ちがいい。  
「はぐぅ! い、く……っ、アレ? なんだよぉ、イケないぃ!?」  
「イェねーさん、早く乳首、乳首ぃ」  
「ん、わかったってば……!」  
 もう、どこがどう絡んでいるのかわからない。ソフィと四肢と男根を絡ませながら、イェシカはほにゃほにゃした柔らかい乳を両手で揉み、その先端のぷっくりした突起を指で探った。  
「……そう、そこ……ぁ、……ふぅんっ……!! そこ……が、わたしの乳首ですぅ……!」  
 乳首をこりこりと弄ると、壁の蠕動が少し激しくなった。絡み合ったふたりの身体が、じわっと通路の奥へと押し出される。  
「そうか、これでちょっとずつ前へ……って、なんかぬめりもひどくなってるし」  
「いひっ! ちくびちもひいいれす! いぇねーさはぁん! ひくびぃ、もっろぉ……!」  
 がっちがちに硬く張り詰めた逸物をこすりつけながら、ソフィがねだってくる。イェシカはぎゅううっと潰すように乳首をねじり上げた。  
「あひぃんんっ!?」  
 びくん、とソフィが悶えた。すごく敏感になっている。  
 ――ひょっとしたら、このねちょねちょに何か、そうい媚薬っぽいう効果があるのかも……?  
 イェシカはやっとそれに思い当たった。だが遅い。イェシカもソフィも、全身をぬとぬとにされ、肌や粘膜からたっぷり吸収させられている。  
 その証拠に、イェシカの皮膚や粘膜もひりひりと熱く、モノ欲しい感じになってきていた。こんなのを何分も浴び続けたら、理性がぶっとんで……そう、今のソフィみたいに……。  
「イェねーさんのちくびもぉ、してあげるぅ」  
 ソフィの身体が腕の中で反転した。  
「あ……くぅっ!?」  
 イェシカの乳首を、熱いモノがつつく。ソフィがいきり立った男根を、我慢しきれずに乳首にこすりつけてきたのだ。  
「イェねーさんの乳首まんこぉ……」  
「こ、こら、何ワケわかんないこと……あ、んっ!?」  
 ――何これ変に気持ちいい。  
 イェシカの控えめな膨らみの上につんと立った、桜色の乳首が、ソフィのぶっとい亀頭でぐちゅぐちゅとこすり回される。媚薬の効果なのか、乳首をいたぶられるたびに、電流が走るような快感が幾度も襲った。  
「この……こいつっ!?」  
 イェシカは負けずに、ソフィの両乳首を指先でつねり上げる。痛みが走るほどのきつさで絞り上げたのに、ソフィはただただ気持ちよさそうな声で悶えまくった。  
「これで……どうだっ!?」  
「あ、あひぃっ!? ひうっ!?」  
 粘液のぬめりを利用して、指先を高速でこすり合わせる。泡が立つほどの激しさで乳首を嬲りまくると、ソフィはびくびく震えながら絶頂した。  
「ひくびぃ、ちくびイクぅ……っ!?」  
 それと同時に、ぬる、すぽん! と、通路からふたりの身体が押し出される。  
 イェシカとソフィは、複雑な体位で絡まり合ったまま、どろりと壁の穴から吐き出された。  
 べちょ、と床に倒れたふたりの陰茎から、リングがひとりでに外れて落ちる。  
「……うう……汚されまくってる……」  
「すごかった……イェねーさんの指テク……」  
 立ち上がる気力もなく、ふたりはぐったりと放心した。  
 
 次の出題はこのようなものだった。  
 
 ――あえて手を使わず、口唇によって達すべし。  
 
 裸の男の絵は、あぐらをかいて座り、手錠を後ろ手に嵌め、そこから身体を折り曲げて、自分の男根をぱくっと口に含んでいるように見える。  
 また絵の前に台座があって、その上には二組の手錠が置いてあった。  
「いや……無理でしょ……これ……」  
「自ら手錠をしてのオートフェラチオ! これは難題ですね」  
「なにそれ。嘔吐……?」  
「オートフェラチオです! この自慰の方法の名称です!」  
 なんでこいつこんなくだらないこと知ってるんだろう、と思いつつ、イェシカは自分のナニと、ソフィのナニを見比べた。どちらもさっきの粘液肉壁通路でさんざん弄ばれ、それでいて射精していないので、ギンギンにおっ勃っている。  
 その上で、やはりソフィの方が長さがあって有利なように思えた。ていうかデカイって。なにそれ、頭の栄養が股間に行ったの?  
「やっぱり、あんたがやってよ。あたしの、絶対届かないし」  
「わたし、身体硬いんですよね……立位体前屈で床に指ついたことないし」  
「それは乳が邪魔だからだろ。おまえがやれよ」  
 イェシカはソフィを座らせ、背中を押して口をつけさせようとする。ソフィも必死に首を下に寄せるが、届く兆しもない。  
「いたいいたいいたい! ……やっぱ無理〜」  
「うーん。ていうかソフィ、本当に身体硬いね」  
「ひーん……。ここは何か、別の方法を……そうだ」  
 ソフィははっと目を見開いた。  
「なんか閃いた? 今日のソフィはおバカが冴え渡ってるね」  
「な……どういう意味ですか!」  
「はいはい。で、何を思いついたの?」  
「えーとですね……つまり、これまでの試練を鑑みるに〜、なにも自分で自分のモノをイカせなくてもいいのではないかと」  
「……確かに」  
 最初の部屋でも二番目の部屋でも、お互いに愛撫し合って達している。それで通路は開くわけだから、それでいいわけだ。  
「ということは……」  
「ということは! お互いにしゃぶり合えば無問題!」  
「えー……」  
「そんな……! なんでイヤそうなんですか!? わたしは、イェねーさんのおちんちん喜んで咥えますよ! むしろ咥えて悦びますよ!」  
「そ……そうなの?」  
「はい! イェねーさんはわたしのおちんちんは舐められませんか?」  
「そん……なことない……けどさ……」  
 イェシカは赤面してぼそぼそ呟く。  
「やっぱその……ちんぽ……自体に抵抗があるっていうか……」  
「んー……じゃあ、とりあえずわたしからやってみていいですか? それで新しい通路開くかもしんないし」  
「う、うん……」  
 
 というわけで。  
 イェシカは後ろ手に手錠を嵌め、前を晒してソフィの前に立った。ソフィは跪いて、真面目な顔でイェシカのモノをじっと見つめている。  
「や、やるなら、はやくしてくんない……? これ結構恥ずかしいんだけど……」  
「あ、すいません。ちょっと観察を……。んー。割れ目も棒もあって、きんたまはついてないんですね。あ、あたしもか。お豆のところが大きくなっちゃった感じですかね。不思議だなー」  
「やー! もうっ! じろじろ見んなっ!」  
 イェシカは顔を真っ赤にしてそっぽを向く。ソフィはなぜか「いただきます」と手を合わせてから、イェシカの男根に吸い付いた。  
「はむっ……」  
「んっ……く」  
 先端がソフィの口の粘膜に包まれる。すごい気持ちよかった。べろが当たる感触が良すぎる。ただ口に含まれているだけで、ぞくぞくと快感が走って腰が砕けそうになった。  
「これ……やば……!」  
「ん……んぱぁ……。ねーさん、気持ちいいの?」  
「うん……すご、い……っ!」  
 ソフィが再び男根を咥える。じゅぷ、じゅぷ、と卑猥な音を立てて前後に動いた。喉の奥にまで先端が届き、口の粘膜全体が感じるところに絡みついてくる。  
「あ……んあぁっ……!!」  
 イェシカはくの字に身体を折った。膝が震える。手錠で繋がれた手をぎゅっと握った。そのイェシカのお尻をむにゅむにゅ揉みながら、ソフィはじゅっぽじゅっぽとしごき続ける。  
「あああああぅ……っ!」  
 ソフィの口が先っぽをしゃぶりながら、ソフィの手が根元をきつめに掴んで扱く。巧い。  
 ――な、なんでこんな巧いの……っ!? もう、射精しそうだし!  
「ここ、良くないですか?」  
 ソフィは今度は、カリの周りを舌先でぺろぺろ舐め回しはじめる。  
「んっ、くぅ……っ!? あんた、エロ過ぎっ……ん、くふぅっ……!?」  
「だってぇ……ちゅぷっ……自分にも生えちゃってるし…………ちゅるっ…………そしたら、…………ずるるるっ…………何となく感覚がわかるって言うか…………はむ……」  
「だ、だからって……こんな……舐めかた……っ!?」  
 もおダメ、とイェシカがうめいた。  
 お尻の筋肉に力が入ったのを察して、ソフィは動きを止めて待ち受けた。  
 
 どびゅっ! びゅるるっ!  
 
 イェシカは魂が抜けるような脱力感とともに、脳髄が溶けるみたいな開放感を味わった。ソフィの口の中で精液と唾液が混じり合う。ソフィは上目づかいでイェシカを見上げ、にこにこ微笑んでごくんと飲み込んだ。  
「……あんた……それ、汚くないの……?」  
「イェねーさんの精子おいしーですよ?」  
 そう言うソフィの目は、なんかハイライトが消えていてちょっとおかしい。なんだろう、精神効果属性かなんかの、良くない効果が掛かっている気がする。  
「あ……通路、開いたよ! これで先へ進めるんだ……って、ソフィ?」  
「イェねーさぁん……わたしのもぉ……えへへヘ……」  
「う、うわぁっ!?」  
 ソフィはものすごい力でイェシカを引きずり倒し、床に組み敷いた。  
「ばっ……あんた、ちょっと何考えてんのっ……?」  
「えへへへ、ねーさんのくちまんこ処女……わたしのものですよ……」  
 変なスイッチが入っていた。  
 ソフィはさっきの通路であまりにも長く媚薬液に浸っていたし、それにそういえばさっきからあのデカチンが怖いくらいにいきり立ってて、もうすごい。  
「や……ちょっと……」  
 ソフィがイェシカの上半身にまたがり、その怖ろしげなモノの先端を顔に近づけてくる。イェシカは焦って、手錠から腕を抜こうとした。  
「……! しまっ……!」  
 鍵はもう外れていたが、その前に腕を押さえつけられた。手で顎を押さえられ、無理矢理に口を開けさせられる。  
「あぐ……! ……っ!? んぷ、んぐうううううっ」  
 突っ込まれた。  
 ぐいぐいと奥へ入り込んでくる。  
 
 ――うわあああっ! すごい臭い……っ!? なにこれ、息が苦しいっ……!?  
「あああ……! イェねーさん……! イェねーさんのくちまんことっても気持ちいいっ……!」  
 ソフィはイェシカの喉奥まで肉棒をこじいれると、頭を抑えて腰を使い始めた。  
「おぐっ……!? んんんぅっ!? おぶぅ、んぐぐぐぐ……っ!?」  
 一瞬の隙から完全に押さえ込まれ、イェシカは口の穴をソフィに使われるままになるしかなかった。拷問のような体験……なのに、奇妙なほど性的な興奮で昂ぶった。  
 ――ソフィに、こんなふうに犯されるなんて……。  
 巨根になすすべもなく征服される被虐感。悔しくて堪らないのに、なぜかさっきからきつく勃起している。ひょっとしたらおまんこの方も濡れているかもしれない。  
「ひぅ……気持ちいいっ……! イェねーさん、イキますっ!! 口の中に精液出しますっ!」  
 ソフィが嬉しそうに叫び、イェシカの口に大量の白濁液を放出した。  
「――ふぶぅっ!?」  
 あまりの量に溺れそうになる。口になんて収まりきらず、あふれ出して鼻や額にまで流れ、喉の奥にも一気に流れ込んできた。  
「げほっ……! ゲホッ……!」  
「あっ……イェねーさん! ひょっとして苦しかった? は、わたしったらなんてことを!」  
「白々しいわっ!」  
 イェシカは気が遠くなるような濃厚な臭いを嗅ぎながら、ごくんと口の中のモノを飲み下した。ソフィがそうしていたので同じようにしただけだが、これがとんでもない不味さだった。濃くて喉に引っかかるし、渋いような苦いような……。  
「……んぐ、けほっ。あんたよくこんなもん飲み込めたわね!?」  
「なんか夢中で……えへ」  
「才能あるわ、あんた。……すけべ女の」  
「あ、そうですか? やったあ! ……やったのかな?」  
 相変わらずおバカだった。  
 しょーがないなー、といつもの調子を取り戻し、イェシカはがくがくする足腰を気合で保たせながら通路へ向かう。身体じゅうがいやらしい汁まみれで、その上まだふわふわと気持ちいい余韻が残っていて、やっぱり二人とも少し正気じゃなかった。  
 イェシカは淫靡に蕩けた目つきを自覚しないまま、やけっぱちで微笑む。  
「さあ、次はどんな変態プレイをさせられるワケ……!? もう、こうなったらなんにも怖くないわよっ!?」  
 
 最後の出題。  
 
 ――菊の門に真の快楽あり。己の剣を持て、門を開けよ。悟りはそこにあり。  
 
 プレートには、自分の逸物を自分の尻の穴にねじ込む男の絵。  
 絵の前にはまた台座があって、そこには一振りのダガーが収められていた。おそらく、これがこの迷宮を創り出した魔剣なのだろう。  
「…………って…………んなことできるかぁあああああああああああああああっ!!!! 無理でしょどう考えてもおおおおおっ!?」  
「オートペデラスティ……まさか……ここにきて、究極難度の試練!?」  
「ていうか名前があんの、この行為にっ!? あれなの、人類はアホなの!? 男ってバカよねーってレベルじゃないだろ、もう!?」  
 戦慄するソフィ、一人でツッコむイェシカ。そのふたりに、厳粛な老紳士のような声が響いた。  
『よくぞ、ここまでたどり着いた……お主らはまさに、選び抜かれた性なる戦士』  
「この声……あの台座の魔剣ですか?」  
『然り。我こそは孤高なる紳士の魔剣。己を鍛え、自慰の極北に達せんとする欲望を司る……そう、お主らのような者たちに……って、ちょっとまて』  
「な、なんだよっ?」  
『お主ら、女ではないか。なんでおっぱい付いとるのがここにおるんじゃ』  
「知るかっ!?」  
「むしろこっちが聞きたいですよ!?」  
 イェシカとソフィは異口同音に答える。  
『しかもなぜかチンコもついとるし』  
「それはあなたのせいじゃ!?」  
「明らかにお前の仕業だろ!?」  
『おかしいのう、こんなはずじゃ……。と、とにかく、我が迷宮をくぐり抜けてきた以上、最後の試練を受けてもらうぞ。この試練を乗り越えれば、我はお主らのものじゃ』  
「それはいらんから、迷宮から出して」  
「そうです! リタイアでいいので!」  
『それはできぬ』  
 イェシカとソフィは、予想通りだとため息をついた。  
「やっぱりか……こいつも人の話を聞かないタイプだ……」  
「そうじゃないかと思ってましたよ……」  
『さあ! とにかくさっさと試練に挑むがいい!』  
「って、言われてもなあ……」  
 イェシカはちらりとプレートを見やる。ソフィも難しい顔で考え込んだ。  
「これはないですよねー……」  
「……いや? 待てよ?」  
「……イェねーさん、何を言いたいのか察したんですが……。それはちょっと……その……」  
「まあ聞いてよ。ひょっとしてこれも、今までと同じ方法で解けるんじゃ?」  
「それは……わたしも考えたんですが……」  
 ソフィはもじもじとお尻を震わせた。  
「ア……ナルは……ちょっと……」  
「もうこうなったら毒くらわば皿までってやつでしょ。いけるいける。はははっ……」  
 危ない感じの空笑いをし、イェシカはソフィに組み付いた。  
「え、ちょ……」  
「待たなーい」  
 ソフィの腰を抱え、お尻を突き出させる。そして、ぬちょぬちょの粘液を掻き集めて自分の指に塗りたくった。  
「ま、……まさか……イェねーさん……?」  
「えへへへ」  
 さっきのソフィとよく似た、目からハイライトの消えた笑顔を返し、イェシカはそっとソフィのアヌスに指を這わせた。  
 
「や……いや――――――――ぁ!?」  
「うへへへへ」  
 ずぶり、とイェシカの指が沈む。  
 そして、ゆっくりとソフィの尻穴をかき混ぜはじめた。  
「ひぐうっ!? ひぎぃっ!? あ、あぐ、あひぃぃぃいいいいいっ、はぁぁあんんぅっ!?」  
「あー、良い声で鳴くねーソフィ」  
「ひぐ、ひぐぅうっ!? ひ、ひろがっ、あぐっ!? はぁう……っ!? やだ、やだ、挿ってきちゃうぅっ!?」  
「あれ、意外とすんなり行っちゃうなあ。もしかして、結構自分で弄ってた?」  
「そ、そんなことぉ……ひぐぅっ!?」  
 ぐっぽ、ぐっぽ、と指が出入りする。  
 そのたびにソフィははしたなく喘ぎ、蕩け、乱れて、理性を喪っていった。  
 イェシカの理性は、もう既にだいぶ壊れている。  
 媚薬と愛撫と射精の連続で、現実感覚が麻痺しつつあった。  
「これはきっと夢だって。そう、うん、夢を見てるんだよ。だから大丈夫。エロい夢だなー」  
「ひぐっ!! あ……ひぃ……!? おしり、おしりこわれちゃううっ」  
「そろそろハメちゃうよー」  
 イェシカはふわふわした笑顔で、勃起したちんぽをソフィのアナルにあてがった。抵抗を無視して、後背位でずぶりと突き刺す。  
「んあっ……っ、くはああああああああんっ!!!!!」  
 ぬるぬるとすべる入り口を探し当て、やや強引にぐぬっと腰を入れる。先端を掴まれるような抵抗感の後、ゆるーっと静かに男根が侵入していった。  
「あひぃ…………っ! あひっ、あひぃぃぃっ!」  
 
「あんた、さっきからあひーあひーしか言ってないじゃない。エロ台詞言えないくらいアヘっちゃったの?」  
「あひぃぃぃぃぃっ!!?」  
 ぱん、ぱん、と、むちむちした尻の肉に腰を叩きつける。そうすると入り口の輪で扱かれる感触があり、ねばっこい腸壁の感触と相俟って、えもいわれぬほど気持ちよかった。  
「あーっ、すごい……! あんたのケツの穴、すごく締まってイイ具合だよっ」  
「あひぃ……おひりぃ……こはれひゃうぅ……!!」  
 白目を剥いてよだれを垂らすソフィ。バカっぽいけどエロくて可愛い表情だ。  
 ――ぱんっ! ぱんっ! ぱんっ!  
 激しく叩きつけるたび、たっぷりした乳房がぶるんぶるんと揺れる。からだじゅうにむっちりとおにくがついていて、本当に犯りがいのある身体だ。イェシカが男だったら放っておかないだろう。  
 ――今はあたしも男だから、放って置いてないけどね!  
「あ……ひぃ……」  
「あ、あっ……! もうすぐイクっ……! ケツ穴にせーし出るっ!」  
「……っ!! …………ッッ!! あ、……ひ……ぃ……ッ……!」!  
 
 どぷっ、どくどくっ  
 
 こみ上げてくる濃いものを流し込むようにして、腰に抱きついたまま射精した。ソフィはビクン、ビクン、と震えながらイき続けている。  
 
 どくっ……どくっ……  
 
「はぁ……んん……ふぁ……」  
 最後の一滴までうっとりしながら注入して、イェシカは甘いため息をついた。  
 柔らかくなってきた陰茎をずるっと抜く。  
 ぼたぼたっ、と大量の淫液が落ちた。  
『見事……! なんかちょっとズルされた気分だけど、いいもん見せてもらったお礼にお主の持ち物になってもいいぞい!』  
「ふーっ……あんがと」  
『お主ではない、そっちのおっぱいデカイほうじゃ』  
「えーっ、なんでだよーっ?」  
『忘れておるようじゃが、ここは己の菊門を開発できたらクリアなんじゃ。オナニストの迷宮じゃからな』  
「そ、……そっか……。じゃあソフィ、あんた持ちなよ」  
 何となく釈然としない気分ながら、別に欲しい魔剣でもないので、イェシカはそう言った。その言葉に応えて、ソフィがゆらりと立ち上がる。  
「そうなんですか……じゃあ、イェねーさんも持つには、ねーさんのお尻も開発してあげなきゃいけないですよね……!?」  
「え、あ。……あ、あたしはいいよ! いらないよ!?」  
「ダメですよ。イェねーさんもアナルファックしてください。というかねーさんのお尻バージンをわたしが奪います。えい、強奪!」  
 こんどは、ソフィに責められる番だった。  
 
 どこからか取り出したさっきの部屋の手錠で戒められ、抵抗もできずイェシカは組み伏せられる。仰向けにM字開脚させられ、腰を持ち上げられ、その上恥ずかしい穴に口をつけて、舌でたっぷり辱められた。  
 ぐりぐり、と舌先をこじ入れられて直腸を舐めまくられる。  
「あ……あひぃ……っ!?」  
「んー……にちゅにちゅ……。あはは、イェねーさんも『あひぃ、あひぃ』しか言わなくなっちゃったじゃないですかー、もー」  
 ぐぷ、ぐぷ、と粘液をまぶした指を三本もつっこんで出し入れするソフィ。イェシカはくったりと脱力して、すべてを受け入れるしかない態勢になってしまっていた。  
 もう、どんなことをされても感じまくるしかできない。  
「あ……あぐぅ……! けふ……あらしのけふがぁ……まんこみたいにぐにゅぐにゅにぃ……」  
「おっ、ちゃんとエロ台詞言えるんですね! すごいイェねーさん!」  
 明るい声でそう言いながら、ソフィは拳ごとねじ込むように尻穴をぐちゅぐちゅかき混ぜる。  
「あひぃ――――――――――――――――――っ! いぐぅ――――――――――!!」  
 体内を暴れ回る異物感とアナルの被虐感に、イェシカは頭が真っ白になって悶え続けた。もう、気持ちいのか苦しいのかもわからない。ただただ、「めちゃくちゃにされちゃってる感」で脳みそがどろどろに溶けてる感じだった。  
「やめへぇ……もお……むりぃ……あ! く……ひぁ……」  
「んー……どうしよっかなー……もうちょっと丁寧にお願いしてくれたら、終わりにしてもいいんだけどな―」  
 ハイライトの消えたドS顔で、ソフィがにこにこ笑う。  
「イカせてください、ソフィ様って言ったら終わりにしてあげますよー?」  
「いかへてぇ……いかへてくらさい……そひーらまぁ……」  
 自分が何を言っているのかもよくわからないまま、イェシカは復唱する。  
 ソフィは巨乳をぷるんと震わせて満足げに肯いた。  
「よく言えましたー! じゃ、フィニッシュいきますよー」  
「あ……ひ……」  
 ソフィが己のぶっとい逸物を片手で捧げ持つ。  
 よだれと涙で顔中ぐちゃぐちゃになりながら、イェシカは怖ろしくなって反射的に逃げようとした。だがすかさずソフィに捕まえられ、引き寄せられる。  
「や……あ……だめぇ……」  
 あの、そら恐ろしいようなソフィの巨根が、たっぷりほぐされたイェシカのアヌスにあてがわれた。  
「そんらのぉ……、おっきすぎりゅうう……っ!?」  
 
「えへへへ。ちょっときついかもなー? でもイェねーさんならきっと大丈夫!」  
 なんの根拠もない判断で、えいっ、とばかりにねじ込んでくる。  
「――――――――――――ッッッ!!!!!!!」  
 みぢり。  
 みちっ、ぎしぎしぎしっ。  
 ぐ……ずぶぶぶぶっ。  
「……ぁ……………………」  
 あまりの圧迫感に声も出なかった。  
 こんなのありえない、挿るわけない、というサイズの肉の棒が本当に挿ってしまっている。  
 ――ぎしっ。  
 ソフィが腰を使い始めると、イェシカはかくん、と一発で失神した。そしてさらに突き上げられて覚醒し、また気絶し――生命力判定を何度も何度も振らされて、一ゾロで失敗するまでガンガン腰を打ち付けられた。  
「ああ、ああ! イェねーさんのアナルすごい! イェねーさんのアナル性器! お尻の穴精液便所!」  
 白目を剥いて泡を吹くまで尻を犯され、イェシカは何度も「もぉ逆らいまへんっ」「なみゃいき、ゆいまふぇんっ」「けつあな、けつあなちんぽっ」「いぇしかのけつあな、いつれもつかってぇぇぇ」と壊れた淫語を連発した。  
「ん、くぅ……もう射精るっ、イェねーさんのオナホアナルに射精します!」  
 
 どびゅびゅびゅっ、びゅるびゅるびゅるっ  
 
 どぷっ、びゅびゅーっ  
 
 直腸に射精されるのと同時に、イェシカのちんぽからも精液が飛び出した。  
「はあ……はあ……はあ……」  
 イェシカのスレンダーな肢体が、白いプールに浸かっている。ソフィとイェシカの体液が混じり合った、大量の白濁液プールだ。  
 ソフィもくたりと上半身を横たえ、ねちゃねちゃの白いプールに横たわる。  
 イェシカとソフィは疲労感と奇妙な幸福感に包まれながら、ぼんやりと抱き合った。  
『……………………』  
 オナニスト魔剣は、空気の読める紳士な魔剣だったので、何も口を挟まずに正座して見学していた。  
 ただ静かに眺めて、心のメモ帳にそれを保存する。ついでにバックアップを複数取って、そして何も言わずに、二人の変態淑女の持ち物になろうと決めたのだった。  
 
 
 後日談。  
 魔剣は二つの能力を持っていた。一つは生やす。もう一つは、ありとあらゆるオナニーグッズに変形する。明らかに冒険には何の役にも立たない能力である。  
 ソフィとイェシカは、本編に登場させるにはあまりに十八禁過ぎるということで、この魔剣をナカヒトに食べさせようかと話し合った。  
 が、オナニスト魔剣が紳士的に礼儀正しく『許してくださいガクガクブルブル』と頭を下げたのと、『お主たちに命じられない限りは、けっして誰にも力を使いませぬ!』と忠誠を誓ったので、見逃されることになった。  
 魔剣は基本的にソフィが保管しているが、時々、イェシカがこっそりスリ取って、トイレで自己修練に励んだりしている。その際、よくソフィに見つかってそのままベッドになだれ込んだりするが、それはそれとして。  
 魔剣にとっては望み通りに、極めたるオナニストの使い手たちに出会ったわけで、これは満足すべきケースだったのではなかろうか。  
「イェねーさん、わたしこの間すごい変形機能見つけたんです! ほら、これ! ぶるぶる振動するんですよ! 今夜はこれでいっぱい虐めてあげますね!」  
「や……やめ……っ! ひぎぃぃぃぃっ」  
 ――たぶん。  
 
 
 
おわり  
 
 

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