紫壁領フォストリス、騎士学校。  
 ジークたちは領主代行のジャスティから依頼を受け、  
 現在、そこの生徒に成り済ましている。  
 
「んっ……やぁ………ふぁっ」  
 
 学校内で生徒が行方不明となっている事件の解決を頼まれ、  
 見事、行方不明となっていた男子生徒たちを助けだしたジークたちは、  
 手柄を吹聴することは無かったが、陰ながら、英雄として生徒たちから高い評価を浴びていた。  
 
「はぁっ……ふぅっ、ん…………」  
 
 その途中、情報交換を手際良く行える場所として、現在使用されていない空き教室を見繕っていた。  
 所々穴の開いたカーテンが中途半端に陽の光を遮り、予備の机や椅子が乱雑に放置されている。  
 無関係の人間に聞かれてはマズい話も、ここでなら余程大きな声を上げない限り、聞かれる心配も無い。  
 
「ジークさぁん…………あんっ………はっ、んあっ…………」  
 
 と、そんな空き教室の内部で、艶やかな嬌声が上がっていた。  
 壁を背にした赤髪の少年、ジークにもたれかかった青髪の少女――『茂みの悪魔』ニゲラ・オリエンタリス。  
 潜入任務の為に着込んだ制服のスカートから伸びる肉感のある太腿を、ジークの指が這いまわる。  
 下は膝横、上は付け根。  
 筋肉の上に乗せられた柔らかい脂肪を上下に擦る反復運動に、ニゲラの顔が切なく歪む。  
 
「なん、でぇ……さっきから、そこばっかりぃ…………はふぅ…………べつのばしょも、さわってくださいよぉ…………っ」  
 
 かれこれ10分。  
 ジークの指は、ずっとニゲラの太腿にしか触れていない。  
 スカートに隠された下着は既にぐっしょりと湿りきっており、制服で見えないが、乳首もまた、痛いほどに膨れ上がっている。  
 早く、別の場所に触れて欲しい。  
 ずっと焦らされ続けているニゲラの身体は火照りかえり、後ろのジークに体重を預けないと崩れ落ちてしまいそうなほど、足はガクガクと震えている。  
 いっそ、自分で触ってしまえれば――しかしニゲラの腕が動こうとするたび、ジークが瞬時にそれを抑えてしまう。  
 まるで生き地獄だ。  
 イッてしまえるほど強くない、しかし無視出来ない断続的な快感に、ニゲラは気が狂いそうになる。  
 
「んー。だってさぁ」  
 
 と。  
 ずっと生返事だけを続けていたジークが、ようやく反応を返した。  
 
「ニゲラの太腿、エロいし」  
「……ふぇぇ!? な、なんで、今更ぁ……ッ」  
 
 思いがけない返答に、ニゲラは情けない声を上げる。  
 ニゲラがジークに抱かれるのは、別にこれが初めてではない。  
 もう幾度と無く彼の前で生まれたままの姿を晒し、両手の指では足りない数の契りを結んできた。  
 勿論、太腿だって見られているし、むしろジークは肉付きの良いお尻のほうに執心だったはずだ。  
 
「スカート短くしてただろ。情報収集のときにさ」  
「ちゃ、ちゃんと見てたんですかぁ? 踊ってただけに見えましたけどぉ……」  
「見てたぞ。いつもより太腿露出してさ、それで色目使ってた」  
「色目って…………あ」  
 
 気付く。  
 ジークは、拗ねていたのだ。  
 自分の女が、エッチな格好して他の男を誘惑していたことを。  
 
「もうっ、子供じゃないんですからっ!」  
 
 ニゲラは本気の力を出して強引にジークの拘束を振りほどき、姿勢を逆転させるとその唇を奪った。  
 ぐちゅぐちゅ、とイヤらしい音を立てて舌と舌が複雑に絡み合い、互いの唾液が口内を往来する。  
 
「ぷはっ、もうっ、ジークさんは勝手すぎますよぉ、もうっ!」  
「いや、情報を引き出すためってのは分かってたけどさ。でも、何となく嫌だったのは事実だし」  
「むー! 自分だって、私だけじゃなくて他の女の子に色々手を出してるのに。そこを怒るのは理不尽ですよぉ?」  
「俺はいい。でも、ニゲラはダメだ」  
「俺様すぎますよぉ! ……んっ、ちゅっ」  
 
 今度のキスはジークからだった。  
 全身の力が抜けていく感覚。  
 ようやく、ジークの手が胸や尻のほうにも伸び、ニゲラは瞳を潤ませて身体の昂ぶりに蕩けていく。  
 
「ちゅっ…はふっ、ちゅ…んっ、くちゅっ、ぁんっ……!」  
 
 結局、惚れた弱みなのだ。  
 もう並の男では満足出来なくなるくらい、この男の存在感は桁外れだった。  
 扱いが本命ではなく、こうしてたまに身体を重ねるだけの愛人だったとしても、そういった自分の立場に納得してしまっている器の大きさ。  
 まぁ、本人的には「愛人」という言葉は嫌がるだろうけど――そう考えて、ニゲラは少し笑う。  
 やっぱり、この男は自分勝手だ。  
 そんな自分勝手なジークに、自分は惚れてしまったのだ。  
 
「ジークさんも、すっごい我慢してたんじゃないですかぁ……」  
 
 ニゲラは右手で、ズボン越しに既に大きくなっていたジークの陰茎を撫で上げる。  
 太腿に触れられていたときから、ずっとお尻に当たる感触で、ジークが勃起していると知っていた。  
 ジークも苦しかったのだ。  
 今すぐにでもニゲラを押し倒し、その濡れた蜜壺を蹂躙したかったに違いない。  
 
「はふっ、うぅん……ほらぁ、ジークさんの、ビクビクしてぇ、先っちょが涎を垂らしてますよぉ」  
 
 揉まれている胸と尻からビリビリと伝わる甘い感触に揺蕩いながら、ニゲラはジークのベルトを外し、ズボンと下着を下ろした。  
 たくましく、生命力に満ち溢れたペニスが外気に晒される。  
 ニゲラの純潔を奪い、幾度も子宮に子種を吐き出し、数多くの交わりで膣の形状をジャストフィットするよう変えてしまった、ジークの男根。  
 濡れた先汁の放つ濃厚な雄の臭気が鼻孔をくすぐり、ニゲラは無意識に悩ましげな吐息を漏らした。  
 
「ニゲラのも見せてくれよ。ほら、俺に見えやすいように」  
「やぁ……恥ずかしいですよぉ……」  
 
 ニゲラは両手でスカートの裾を摘み、その場にしゃがみこんだジークに見せつけるように、ゆっくりと持ち上げた。  
 徐々に姿を表した下着は、ぐっしょりと濡れて張り付いており、淫口の形がうっすらと透けて見える。  
 下着の端に手をかけたジークが、勿体ぶるようにゆっくりとずり下ろしていく。  
 髪色と同じ薄い茂み、痛いほどに肥大化した陰核。  
 そしてヌチュリと卑猥な音を立てて、淫唇は下着との間に一筋の糸を引いた。  
 
「ニゲラのここ、すげービクビク動いてる」  
 
 淫口はだらだらと涎を垂れ流しながら、痙攣するような細かな収縮を繰り返している。  
 何度もジークのペニスを受け入れてきたそこは、もはや快楽を貪欲に期待していた。  
 早く。  
 早く。  
 早く。  
 それはニゲラの意思か、それとも無意識か。  
 もう待ち切れないとばかりに、花びらは新たな蜜を無限に生む。  
 突き刺して。  
 掻き回して。  
 子種を飲ませて。  
 
 ――妊娠させて。  
 
「ニゲラ」  
 
 ジークが立ち上がる。  
 ニゲラに見せつけるように、反り返った剛直を隠そうともせず。  
 その目をじっと見つめて、ただ一言、事実だけを確認するかのように、  
 
「挿れるぞ」  
 
 股を伝う蜜の量が、更に増した。  
 備品の机に手をつき、ニゲラは大きな桃尻をジークへと向ける。  
 両手でその尻をがっちりと掴み、ジークはペニスの先端を、ニゲラの秘裂へと狙い定めた。  
 一度、二度、啄むように淫唇の先をちょんちょんと突く。  
 
「ひゃっ、んくっ」  
 
 穴の位置を探り当て、亀頭がニゲラの内へと埋没していく。  
 
「あっ、ふぅっ」  
 
 亀頭が見えなくなり、半分ほどまで進み、  
 
「はぐぅっ……んぁぁっ」  
 
 そしてすぐに、ジークの肥大化した肉竿は、ニゲラの膣内へと収まった。  
 
「おっきぃですぅ……やあぁっ、なかっ、きてるぅ……!」  
「おうっ、すげぇニゲラ、なんか今日は一段と……っ!」  
 
 ニゲラの膣内は侵入者に一切の抵抗を見せることなく、むしろ進んで奥へ、もっと奥へと導こうとしていた。  
 肉襞の一枚一枚がペニスを歓待するかのように蠢き、限界ギリギリの奥底へ誘い込もうとする。  
 これまでの性交でそれがより深い快楽に結び付くと知ったのか、或いはずっと太腿を愛撫されるだけで我慢した分の反動か。  
 うねるような膣の動きに、ジークは小さく呻き声を上げた。  
 
「……全然我慢出来ない。動くぞ、ニゲラ!」  
「ひゃぁぁんっ! ぅんっ、あっ、ふっ、んぁっ、くぅん、あひぃん!!」  
 
 初っ端から全速力で腰を振るジーク。  
 じゅぶじゅぶと湿った水音が響き、ぱんぱんと肉のぶつかり合う音が鳴る。  
 激しいピストン運動で肉棒が押し込まれるのに同期して、ニゲラから断続的な喘ぎ声が漏れた。  
 
「はぁぁっ、なかっ、ごりごりこすられてぇっ……! ジークさんのぉ……あぅぅんっ」  
「ニゲラ、すげー締まる……っ」  
 
 覆いかぶさるようにニゲラの背に自らの体重を乗せ、ジークは腰の動きを変えた。  
 膣の奥底で留まった状態から、円を描くように剛直を踊らせる。  
 亀頭で子宮口をぐりぐりと圧迫され、ニゲラは高周波のような甲高い悲鳴を上げた。  
 
「あぐっ! あっ、ふぐっ、ら、らめですぅっ、そこっ、らめっ、やっ、はっ、あぁうっ!」  
「そんな大声出すと、誰か来ちゃうぞ」  
「くぅん――ッ!? ふぅ、くっ……やぁぁ! ジークさんのぉ、きもちよすぎてぇ、こえがっとまりませぇん……っ!!」   
 
 一瞬奥歯を噛んで耐えようとしたニゲラだが、すぐに快楽の波に負けて顔をだらしなく緩める。  
 下腹部から全身に広がる、ねっとりとした幸福感。  
 のしかかってきて苦しいはずのジークの体重すら、ニゲラは心地良いと感じている。  
 
「あー、はぁーっ、あんっ…はっ、やぁ、んぁあっ! ジークさぁん、ジークさぁん!」  
「ニゲラ、ニゲラ、ニゲラ……」  
 
 互いの名を呼び合い、こすれ合う性器からの快楽に全神経を集中させる。  
 視界は霧がかかったかのようにぼやけ、白い光がちかちかと明滅している。  
 額から垂れた何粒もの汗の雫が、顎を伝って机に落ちた。  
 
「ニゲラっ、我慢してた分、あんまり持たない……っ!」  
「あんっ、オチンチンぴくぴくしてぇ、はぅんっ、でちゃいそうなんですかぁ……っ!?」  
「ああっ、射精る、ここ3日くらい溜まってた精液、全部ニゲラの膣内に……!」  
「くださぁい! ジークさんのぉ……わたしのなかにほしいですぅ!!」  
 
 ジークの動きに余裕が無くなり、腰の動きが性急なものになり初めた。  
 いよいよ絶頂が近づき、ニゲラの膣内もまた、全てを包み込むかのようにペニスに纏わりつく。  
 もう少し。  
 後、ほんのひと押し。  
 
「ニゲラ、くっ、ニゲラ……っ!!!」  
「ジークさんっ、いっしょ、いっしょにぃ……!!」  
「ああっ、ぅくっ、はぁっ、イク、イク、イクッ―――――――あああぁっ!!!」  
 
 獣のような咆哮を上げ、ジークがペニスを最奥に突き入れた。  
 瞬間、我慢に我慢を重ねていたものを、解き放つ。  
 
 びゅぐん! びゅる、びゅるるるるるるるる!!!  
 
「ハッ――――やっ、アアアアアアアッッッ!!!!!」  
 
 お腹の中が爆発したかのような衝撃に、ニゲラは絶叫を上げ、同時に絶頂した。  
 
 完全に白一色となる視界。  
 びくん、びくんと痙攣する身体。  
 渇いた喉を潤そうとするかのごとく、貪欲に亀頭の先に吸い付く子宮口。  
 
「――――はぅぅぅ、あぅ、んんっ、あっ……ったかい、ですぅ……」  
 
 熱く、濃く、粘りのある白濁の液体。  
 それが己の胎内に激しく迸り、飛び散り、広がり、染み込んでいく。  
 その感覚は、至上の悦びだった。  
 ――赤ちゃん、出来ちゃうかも。  
 ――そうなると、もう冒険に出られなくなる。  
 そんなことは、どうでもいい。  
 いや、むしろ、孕みたい。  
 理性的な人の思考を塗り潰す、圧倒的な牝としての悦楽。  
 
「くっ、はぁっ……我ながら、すげぇ射精したもんだ」  
「やぁっ、まだ抜いちゃだめですぅ……」  
 
 ニゲラは慌てて懇願するが、既にジークは半萎えした己の逸物を引き抜いてしまっていた。  
 ニゲラの胸中に言いようのない寂しさが訪れる。  
 子宮に入りきらなかった精液がごぼりと垂れ落ち、真下の床に出来ていた汗と愛液の水溜りへと落下していった。  
 
「はー。ニゲラの膣内が気持ち良すぎて、ちょっと足がグラグラする」  
「ニゲラのほうが、もっとひどいですよぅ……ジークさん、ちょっと乱暴にしすぎですぅ……」  
「すまんすまん。大丈夫か、ニゲラ」  
「もぅ……」  
 
 気怠げなニゲラの言葉に苦笑を浮かべつつ、ジークは机に倒れ伏したニゲラを助け起こした。  
 重力に従って、尻の上にたくし上げていたスカートが元の位置に戻り、  
 後には膝の位置までずり降ろされた下着と、そこにぽたぽたと落ちる精液の絵図が。  
 
「…………」  
 
 ニゲラの顔はセックスの余韻で淫靡に濡れており。  
 スカートと同じようにずらしていた制服の上着とブラは意外と大きな胸に引っかかって、そのツンと勃った桜色の乳首を露にしたままだ。  
 
「……ジークさん? なんで、また大きくなってるんですかぁ……?」  
「ニゲラ、すまん」  
「え…………ひゃあっ!?」  
 
 再び、ジークがニゲラを机の上に押し倒す。  
 驚いた顔を見せたニゲラは、感じていた寂しさが暖かなものに戻ったことを喜び、すぐに艶やかな吐息を漏らした。  
 再びニゲラの膣内へと戻っていく、ジークのペニス。  
 歓喜を持って迎え入れる、ニゲラのヴァギナ。  
 薄暗い教室にもう一度響き渡る、嬌声。  
 
 
 
 
 
 結局、その使われていない教室が元の静けさを取り戻したのは、数時間後。  
 様子を見に来たエアも巻き込み、ついには立てなくなるほどの腰砕けになるまで交わり合った後のことだったという。  
 

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