離れた顔の間を、光る糸が繋いで消える。  
なれない深いキスのせいで、朦朧とした意識を、首を振ることで何とか払い落とした。  
「イヤになったら、すぐ言えよ。早ければ早いほど、なんとかなるかもしれないから」  
両手を、一度は合わせたバスローブの襟にかける。  
「……わかりました。でも、たぶん、言いません」  
あわせを押し広げ、腰で結ばれた紐を引く。  
ばさりと、その肩からローブの布地が落ちて、シーツに広がった。  
「ちょっと、待ってください」  
キャミソールに手をかけたところで、イリーナの手がその上に重なった。  
「止めるのか?」  
「違います。兄さんのシャツ、私に……」  
そうぼそぼそとつぶやいた顔は赤い。  
「ん」  
だから余計なことは言わず、キャミから手を外し、イリーナの手をシャツのすそに誘導する。  
脱がせやすいように、両手を挙げた。  
ゆっくりと、布地が肌を滑っていく。  
服を脱がされるのは、子供の頃以来久しぶりで、どこか心地よい。  
首周りが引っかかってしまったりする、ぎこちない妹分の動き。  
やっぱり自分と同じく、緊張してしまっているのだろう。  
やっと腕から袖が抜けて、部屋の空気が肌へと直に触れる。  
徐々に高揚してゆく神経のせいで、寒いのか、暑いのか、分からなくなっていた。  
「じゃ、俺の番」  
「はい」  
今度はイリーナが手を上げる。  
肩を細い紐で支えられているだけのキャミは、簡単に肩や首を抜けていった。  
そして目の前に、幼馴染みの裸身が現れる。  
胸の隆起は穏やかで、腰から太腿への流れも、緩やかだ。  
「こう、しみじみ言うのもなんだが…。凹凸はイマイチだな」  
「子供体型で、スミマセンデシタ!!」  
頬を膨らませ、子供っぽい仕草で怒る妹分の顔に手で触れる。  
そして慰めになってない慰めの言葉と共に、軽く笑った。  
「ま、気にするな。コレはコレで好きな奴もいると思うぞ?」  
「そんな娘を抱こうとしてる、ひーすにいさんは?」  
そう聞かれてしまえば、  
――やっぱりその体型は女の子のもので自分は男なのだから――  
魅力的としか答える事しか出来ない。  
「……俺は、ないすばでぃなジョセイが好きなはず、何だがな〜」  
でもそれを正直には答えたくなくて、あいまいな言い方で、ごまかした。  
そしてごまかしついでに、小柄な体を押し倒し、唇や頬や首筋に軽い口付けを落とす。  
 
好みから外れている…というか、性欲の対象としてみたこともなかった妹分。  
そのはずだったなのに、微妙に欲情しているという事実は、自分自身の事ながら困惑するしかない。  
「んん……、実は、許容範囲でしたか。やっぱり、ぁ、ロリ疑惑は、有効ですね」  
首筋をなぞり降ろした指先を、ふくらみまで這わす。そしてそっと包み込んだ。  
「うるせ! 俺だって、よく分からんのだ」  
慎重に力を加え、力の加減を測る。手のひらの中央に、ころっとした感触があった。  
「…それにしても、ぺったんこ。でも…」  
「……兄さんの馬鹿」  
反対の手は腹部や太腿をさわさわと撫で回す。  
「でも、柔らかいんだな」  
手にはよく鍛えられた筋肉の感触が伝わってくるが、同時に、女の子特有の柔らかさも返してくる。  
「きゃ、く、く、く、くすぐったい〜」  
「色気のない奴」  
「そんな事いわれても、ふあ、は、く、くすぐったいんだもん」  
けらけらとくすぐったがって笑い転がる妹分に苦笑して、這わせていた手を放して体を起こした。  
「まあ、こんな意図で触られたこと、ない訳だしナ。しょうがないか。  
さて今回でどこまで開発できることやら……」  
「兄さんスケベ」  
「何言ってやがる。スケベじゃない男なんて、早々いないぞ。  
あー、ちなみに。知識だけ、はそれなりにあるから心配するな。  
ただしどこまでそれを生かせるかは知らん!」  
「それ、威張って言うことじゃアリマセン」  
「ま、ナイよりあったほうがいい、ってね」  
「……アレ? 『知識だけ』って……もしかして兄さんも、初めてなの?」  
言葉の中にこめられた裏の意味に気がついたのか、彼女の首がかくりと傾けられる。  
「よくぞ気がついた上に俺の立場がなくなりそうな冷静で冷徹で冷酷なツッコミをしてくれたなお前さん」  
「だって例のバンパイア騒ぎの時にみょ〜につやつやしてたし、普段から色んなこと言ってるし。  
だから私はてっきり……ねぇ?」  
「あの時はそんな状況になる以前の問題だったからな〜」  
「……合流した時に言ってた事?」  
「そうだ。ふふふ、冷たい氷の笑みとセットの【電光の束縛】を目の前で見てみろ。  
俺様にとって一生モンのトラウマになりそうだ、あれは」  
あの瞬間の光景に『魔女』の出現と同時に凍る音。  
そして繰り広げられた静かなる修羅場を思い出したのか、ヒースの体は大きく震える。  
顔からは血の気が引いて、青くなっていた。  
「他には?」  
「たぶん、だが。イイ店に行ったらド厳しいツッコミかます事確定ナお前らがいなかった……」  
そこまでを口にしたところで、何かが瞳すれすれを横切った。  
 
少し遅れて、前髪が風圧でふわりと浮かぶ。  
「はい。兄さん、何か言いましたか?」  
やたらめったらにこやかな笑みのイリーナ。  
何かを認識した瞬間、どっと額と背中に冷たく気持ち悪い汗が吹き出してくる。  
彼女の手刀がぴたりと眉間に突きつけられていた。  
「ゲフゲフ。ツヤツヤしていたように見えましたのは、イマハ亡きフレディと共に、  
全力【麻痺】を大成功して、思い出し笑いをしていたから、だとオモイマスデス。  
ええ、オトコばっかりでムサクルシイと思いつつも、  
ハレバレとしたカイホウカンニ満ちアフレテいたナンテ、少しも思ってマセンヨ。  
……ソレニ普段はナゼカ行く機会がなかったとイウカ、  
微妙に懐寂しいときもあったからというかナンテイウカ」  
「兄さん……無理はしないでくださいね?」  
カクカクと変な語調で言い訳を述べまくる兄貴分に、妹分が情けなさそうな口調と共に見上げる。  
こう、哀れみに満ちあふれて垂れ流しな光が、視線の中に漂っていた。  
「むごいこと言いますないりーなさん。どちらかってーと、俺が言ったほうがよい言葉だと思いますがな」  
「お互い様です」  
「それもそっか」  
「まあ、初めてって事は横において……。私達、今、半裸ですよね」  
彼女の視線がさがる。  
バスローブが引っかかっている自らの体と、兄貴分のがっちりとした胸板を軽く指先でなぞる。  
「それは見れば分かることだが。それがどうした?」  
「ええっと、なんだか、さっきのキスのほうが、よっぽどこう、なんていったらいいのかな?」  
「……『いい雰囲気』か?」  
「ん〜。そうですね、しっとりした感じと言うか。…まあ兄さんの言うとおりです」  
「いいんじゃないか、俺たちらしくて」  
「でもなー。なんか、こうイケナイコトしてるはずなのに、全然色っぽくないないよ」  
「そうか? 俺はそうでもないと思うぞ〜。こことか、な」  
ヒースが手をふくらみにあて、緩やかな胸の隆起を揉み解す。  
ふにりと優しくつぶすと、中央にあった感触が敏感に反応していた。  
「んん!」  
びくりと彼女の背が跳ねて、足を抱えて丸まろうとする。  
「ほれ、乳首はしっかり反応してるぞ。さっきよりも固くなってるし、ぷっくりしてきたみたいだ」  
「うぁ……や、です。そんな事言わないでくださいよ!」  
「だって、分かってないようだから。俺様だって好きで言ってるわけではナインダゾ。ウンウン」  
「嘘だ〜! 兄さん、絶対楽しんでる! 楽しんでるよ」  
にまりと意地悪な笑顔でヒースが笑う。  
「ご名答。ンじゃ、ちっとばかし強くいくぞ」  
そしてすばやくピンク色の左の頂に、ちうっと吸い付いた。  
「ひんっっっ!」  
再びイリーナの背が跳ねる。  
出来た隙間にすばやく左手を差し込むと、逃げられないよう腰を抱え込んだ。  
 
薄い乳房を吸い上げ、右手は反対の胸を変わらずに揉み解す。  
彼女の腕が胸から手を引き剥がそうと手首付近に添えられる。  
しかし思ったように力が出ないのか、ヒースの動きを静止することすら出来ない。  
舌を乳輪に這わせ、乳首を軽くはじいたり唇で挟み込んで転がしたり。  
思いつく限りの方法で胸をいじり続ける。  
しだいに頭上から聞こえてくる呼吸と声が雰囲気を変えてきた。  
始めこそ、得体の知れない刺激に恐怖を持っていたようで、困惑気味で拒否反応に近いものだった。  
しかしその刺激を快感と認識し始めたのか、今耳に入る声は少しだけ鼻かかった甘いものに聞こえる。  
胸に吸い付いたまま視線を上げると、頬は明らかに上気し、瞳の中にある輝きも蕩けそうになっていた。  
(もう、胸はいいかな?)  
最後に強く吸って甘噛みし、ちゅぷんと微かな音を立てさせながら、唇を胸から離す。  
「ン! ンァ……っ!」  
粘ついた唾液が糸となって滴り落ち、胸元はべたべたになっている。  
ふぅっと軽く息をついたところで、イリーナの手が伸びた。  
頭に回り、引き寄せられる。  
「うわ!」  
次の瞬間、顔が胸元に埋まっていた。  
「くぅ!」  
少し遅れて、苦痛の声。  
「……大丈夫か? 無茶なことするんじゃない…」  
すぐに苦痛の原因に思いあたり、小さく嘆息をする。  
その息の風が優しく肌をくすぐったのか、彼女からの返事はない。  
代わりにもどってくるのは、ちょっとだけ甘い呼吸音だった。  
ふにりとした柔らかさを額に感じる。  
わずかな谷間から腹部にかけて浮かぶ痣に軽く唇を寄せた。  
もぞもぞと頭を動かすと、穏やかな口付けを繰り返す。  
両手はわき腹にそえて、さらに下へと進み始めた。  
 
再びイリーナの肌を撫で回す。  
いつの間にかじっとりと汗ばむ彼の身体と、自分の身体。  
手の平に触れる肌は、先ほどまでとは明らかに違う。  
さらさらと言うより、しっとりとしていて、吸い付くようだ。  
彼女から返ってくる反応は、さっきとはまったく違う。  
アレだけくすぐったがって笑っていたのに、今は軽い呼吸を繰り返すばかり。  
「お、くすぐったくないのか?」  
「う、うん。ぁ、その、くすぐったいとも、ちょっと、ちがうの……」  
「なら、なんだ?」  
「…わかんない。で、でも、兄さんの手とかキスとか、すっごくあったかくて、イイ……の」  
新しい場所に触れるたびにさまざまな反応が返ってくる。  
「うむ、それは男冥利に尽きると言うものだ」  
「くぅ……っ」  
好奇心・探究心の導くままに手を動かす。わき腹を通って太腿。外側に内側。  
そして大事な部分は、後のお楽しみ。  
動かせば動かすほど、皮膚の下に隠された筋肉の流れがよく分かる。  
でもそれ以上に、男である自分には存在しない、感触に夢中になった。  
鍛えられた身体は、どこを触っても固いくせに、弾むような柔らかさも持っているという矛盾。  
でもヒースの中では、  
『規格外な腕力でも見た目は子供っぽいしまあ一応女であるわけだからそうなのかもしれないな〜』  
と言う微妙かつどこか無理矢理な理由で、あっさりと棚に上げられていた。  
(あ、そういや、まだあそこを触ってないな。えっと、触りやすい体勢は…)  
ふと思いついて、頭を抱え込まれたままゆっくりと横へと力をかける。  
(こうだな。うむ。俺様ナイスアイデア)  
「―――え?」  
ぽてんっと、二人そろって横向きに転がった。  
先ほどは触れなかった背後へ両手を回す。  
きゅっと締まって持ち上がったお尻へと手を置いた。  
「すげ。胸とはまた違うんだな。ちょっと固めで……なんだか熟れる直前の果物みたいだな」  
「どーゆー、例え、ですか。それは……」  
そのままゆっくり手全体を使って肉を揉む。  
一本一本の指に力を出し入れし、手首を返してリズムよく動かす。  
ため息とも嬌声ともつかない声が漏れはじめた。  
「あ、ぅ……」  
妹分の腕は、再び頭をしっかりと抱え込む。  
肌へ絶え間なく与えられる口付けを逃すまいと、身をよじっていた。  
 
片手をお尻から首筋へと伸ばす。  
「きゃ!」  
中指と人差し指をそろえて軽く触れると、するりと背筋をなでおろした。  
指先はウエストを通り過ぎ、その更に下、お尻の割れ目の部分にもぐりこもうとする。  
そのとたん、彼女の背が急に強張り、体に力が入った。  
明らかに狼狽し、兄貴分の頭を抱え込んでいた両手を離す。  
「え、嘘。やだ、ヤダ! まだ心の……」  
あせった調子でそう叫んで、反射的に逃げ出そうとする。  
ヒースはそれを逃すまいと、身を起こして組み敷き、妹分の両手首を掴んでシーツに押し付ける。  
少しだけ距離を離して、真下の妹分の顔を覗き込んだ。  
「……どうする? これ以上先は、戻れないぞ。止めるなら、今だ。今なら、なんとかする」  
「ぁ……」  
二人でじっと見つめあう。  
やがて、イリーナがこくりと小さくうなずいて、強張っていた体から力が抜けるのがわかった。  
「悪かった。手首、痛かっただろ」  
膝の間から手をすべりこませ、下着に覆われた秘所に、初めて触れる。  
「あ、そこ――でも、でも……」  
布地越しに軽くなでると、妹分は顔を両手で覆い、泣きそうな声を出した。  
指を離し、再び顔を覗き込む。  
「ごめんなさい、ごめんなさい。私、大丈夫だから……。もっと、ください」  
「ああ」  
イリーナを覆う、最後の布に手をかける。  
一度だけその体が跳ねたが、すっと腰が持ち上がった。  
するりと降ろし、両足を布地が通りぬける。  
その間もわずかに体は震え続け――自分も、イリーナも――体の熱さは更に増していった。  
力が抜け切っている足をわずかに広げ、彼女の足を挟みこむように、移動する。  
そしてこれからの刺激に不安そうな顔に、何度も何度も軽いキスをする。  
表情が緩み、浅い呼吸が繰り返されているのを確認すると、右手を彼女の足の付け根へ伸ばした。  
とんっと叩くとぺたりと指先に何かが触れ、湿った水音がわずかに聞こえる。  
そのまま、何回も何回も軽く叩いた。  
鈍い水音は、ほんの少しづつではあるが、大きくなる。  
時折するっと筋に指を走らせると、鼻かかった声がもれて首をゆるく振る。  
「あうう……ん」  
下半身をまさぐるヒースの腕に、イリーナの手が添えられたが、特に静止しようとはしていない。  
されるがままに、なっていた。  
固く閉じていたスリットが、緩やかに開いてくる。  
その間をかきわけ、ほぐすように回し続けると彼女の息は荒くなり、ぴくぴくと体を震わせる。  
それにあわせてヒースの下半身には血が回り、心臓も心も何もかもが激しく飛び跳ねる。  
「ちょっと、痛いかも知れないぞ」  
「え?」  
イリーナの中への入り口を探り出し、スリットを人差し指と薬指で広げ、中指を差し込んだ。  
「……っっっ!」  
初めて体験する異物にその体が反応し、排除しようと力がはいる。  
ソレにかまわず、ゆっくりと回すと、更に強く締め付けられる。  
さすがに、指が痛い。  
「ちっとは力を抜け。そうしないと……お前が、辛いぞ?」  
「そんな、こと、言ったって〜! 体が、勝手に………」  
本当に辛いのか、ぼろぼろと涙をこぼしている。  
必死で深呼吸を繰り返して、固くなる体から力を抜こうとしていた。  
呼吸のたびに、締め付ける力は変わる。  
弱くなるタイミングにあわせて指を回すうちに、少しずつ余裕が出てきた。  
 
「どうだ? こっちは少し楽になったが……お前は?」  
「ひゃ…ぁ……。もう平気、で、す。兄さんの指、すごい、刺激で……くらくら、してきます」  
「ならよかった」  
問いかけの間も、動かし続け、イリーナが反応するところを探り続ける。  
そして十分に指が動くようになったのを感じると、するりと抜き取った。  
「――んぅ!」  
持ち上げた手にはぬるりとした、汗や水とは明らかに違う液体がついている。  
「ほぅ。こんな感じになるんだな」  
「に〜い〜さ〜ん〜」  
「性的刺激等を受けると、防衛本能もかねて濡れるのは知っていたが……」  
「……恥ずかしいですよぉ…なんでそんな事…」  
擦り合わせるとわずかに糸を引くそれを見て、きゅっと笑った。  
「そこは、ほれ、あれだ。純粋な好奇心及び学術的興味。伝聞や本は、実地とは別物ってやつ」  
「うぅ〜。だからって、そのぅ。……言わなくても、んく、……いいじゃ、ないですか〜」  
花へ指を添え、今度は人差し指にもイリーナの蜜を絡める。  
「ん? お前の反応楽しいし。―――俺にとっては」  
高揚した神経そのままにさわやかに言い放ち、そっと挿入した。  
今度は中指と人差し指の二本が、思っていたよりは簡単に、入り込む。  
妹分から、ちょっと苦しそうな声が漏れていたことは、あえて聞こえなかった振りをした。  
再び押し広げるようにまわす。  
動かせば動かすほどに、締め付ける力に余裕ができる。  
その代わり指に壁は自在にまとわり付き、伝う蜜はさらに多くなり、  
空気と混じる音が耳に入るようになった。  
「ヒース、ぁぅ…兄さんの、バカ〜……ん…お返し、です」  
規格外の腕力で顎をつかまれる。  
慌てて逃げの言葉を言おうとしたところで、はぷっと唇に吸い付かれた。  
「んん゛〜!」  
言いかけた言葉は喉の奥へと逆流し、不明瞭な呻き声となって響いた。  
攻める指とは対照的に、口付けはイリーナに翻弄される。  
口腔内に入ってきた舌は、ヒースの中を調べつくそうと、無茶苦茶縦横無尽に動き回る。  
柔らかくざらつく舌で絡めて噛まれ、吸われて遊ばれる。  
ふにりと弾む唇が擦られ吸われ、噛まれて弄られる。  
流れる唾液が彼女の喉をふさぎ、無意識の内に飲み下す音がする。  
収まりきれない唾液は混じり、可憐な唇の端から零れ落ちた。  
キスに負けじと、二本の指の動きを変える。  
それまでは中でゆっくりとまわしていたのを、浅い位置で出し入れする。  
イリーナの喉の奥から、音が響いた。顔にかかる息も、速さを増す。  
ぴくぴくと小さく跳ねて、その度に胸が胸板にあたり、固くなった乳首が皮膚を刺激する。  
中もそれにあわせて絡み付いてきた。  
 
繰り返すうちに少しだけ指が疲れてきたので、親指をスリットの先端へ添える。  
指の腹にこりっとした感触を感じたとたん、彼女の体が大きく跳ねた。  
「ぷぁっっ! そこ、っつぁぁ!!」  
唇が離れ、それまでと比べたらはるかに大きい嬌声が漏れた。  
足先がぴんと伸び、やがて弛緩する。  
ぱたりと両足がシーツの上に投げ出された。  
呼吸は激しく、両胸が大きく上下している。  
固く閉じた瞳からは涙がこぼれ、顔は真っ赤だ。  
「今のは……イッた、のか?」  
「ぁ、はぁ、はぁ…たぶん、そう、だと………。んぁ、びりっと、したぁ…」  
わずかに開いた両目の輝きは鈍くて、いまだはじめての余韻にひたっているのが分かる。  
そしてふわりと柔らかい笑顔を浮かべて、ヒースの額へ手を当てた。  
その表情に言い表せない愛しさと、獣じみた衝動が浮かび上がってくる。  
突き動かされるように、そのくせじりじりと身体を移動させ、足の間へと入り込んだ。  
膝に手を添えて左右へ広げる。あると思っていた抵抗はなかった。  
むしろ、イリーナのほうから受け入れるように、わずかに両足が広がる。  
生まれて初めて女としての部分を視界に入れた。  
「う…ぁ」  
――思わず出たのは、ため息。  
そこは、まるで別の生き物のように息づき、誘っていた。  
思わず無言でみつめてしまう。  
「やぁ…あんまり、その……」  
羞恥に満ちたイリ−ナの声が遠く、はっきりと届かない。  
ごくりと、音がした。  
それが自らが生唾を飲み込んだ音だと認識するまでのタイムラグ。  
これからどうするか。そして自分がどうするべきか、どうしたいか。  
とっくに分かっているのに、身体が動かない。  
「あの、兄さん」  
停滞していた思考が、呼びかけで断ち切られた。  
「……怖じ気づいてる訳じゃ、ないですよね?」  
「お前ナ……あー、ココまできたらもう『やめる』という選択肢は存在しない!」  
「なら、来てください。…女のほうに、これ以上、誘わす気ですか?」  
挑発とも取れる言葉とは裏腹に、その身体は軽く震えている。  
鈍いイリーナにも、初めてのときは痛いという知識はあるからだろう。  
だから、その誘いは精一杯の強がりだ。  
それが分かったから、ため息を一つついた後は、もうそれ以上何も言わない。  
さすがに妹分にこれ以上言わせてしまうのは、兄貴分としても男としても沽券にかかわる。  
十分に準備の整った自分のモノを軽く握ると、あまりの熱さと固さに、自分のモノながら驚く。  
そして同じく準備の整っている(と思える)彼女の入り口へ押し当てた。  
 
ぐっと入り込もうとするが、緊張のせいで互いの身体は強張り、何回か滑ってしまう。  
その度小さく身体が振動し、二人そろってなんともいえないため息を漏らしてしまう。  
結果、更に彼女のスリットは潤み、自身のモノにも蜜がまとわりついて、灯りの下で艶めかしく輝いた。  
やっと先端が中へと入り込む。  
さすがに何回目かは、焦りが強すぎてよく覚えていないし、情けないから覚えていたくもない。  
「「あ……」」  
思わずつぶやいた声が重なった。  
「やっと、か」  
「……ちょっと、痛い……」  
彼女は眉根を寄せて、しかめっ面をしている。  
どんなに戦いで傷ついていることが多いとはいっても、やはり胎内の痛みとは種類も心構えも違うのだろう。  
「たぶん、もっと痛いぞ。イインダナ?」  
「いいです。でも、あんまり痛くはしないで……って、そんなの無理ですよね。なら、こう一気に」  
「お前さんのほうが豪快だな……。ほれ、深呼吸」  
そう言うと、妹分は大きく息を吸って、吐いて、吸ってを繰り返す。  
その度に締め付けは少し強く、わずかに弱く、少し強くを繰り返す。  
何回目かに息を吐くタイミングを見計らって、体重をかけて腰を押し込み小柄な体を引き寄せた。  
ずるりとモノが埋まって行く。  
「い! ぃた……たたた!」  
明らかな苦痛の声が漏れているが、先ほど彼女が言った言葉を尊重し、動きを止めることはしない。  
一気に、真っ直ぐに奥へと進んでいく。  
湿った音を立てて、妹分の中を押し進んでいく。  
痛いのはイリーナのはずなのに。  
なぜか自分も快感よりも痛みの方を強く感じている。  
夢中で押し込むうちに、彼女の方に限界がきた。  
「ん……ふ、ぅぅぅぅ―――」  
長いため息が、弾む唇から漏れ、ヒースの頬をくすぐった。  
緊張と痛みで強張っていた身体から力が抜け、締め付ける内も少しだけ緩む。  
(俺のが、イリーナの中に入ってる? ……実際になってみると、変な、感じだ)  
自分の意志で入れたはずなのに、まず浮かんできたのはそんな思いだった。  
未知の刺激にどうしようもなく興奮している身体と、それとは裏腹の冷静な思考が遊離している。  
「ヒース兄さん」  
声が、かかった。  
自分の下にいる、自分が抱いている、自分とつながっている妹分が、わずかに笑っていた。  
口元は微笑を形取り、潤む瞳には嬉しそうな光が宿っている。  
右手が、指先が、頬に触れた。  
「ありがとう……でも、ごめんなさい」  
小さくつぶやかれた一言は、余りに以外で、遊離は更に激しくなる。  
返答がない事を気にしていないのか、言葉は続く。  
左手も頬にふれ、緩やかに撫でられる。  
「兄さんと比べたら、私、いつまでたっても子供のままで――」  
言葉に合わせて、目じりのナミダがぽろぽろと落ちていく。  
両手の指先が耳元を通り、髪をすく。  
わずかな仕草に隠し切れない色気を見てしまう。  
動悸は激しくなり、身体には更に熱がこもる。  
それは冷たく離れていた思考を、身体の中へと引きずり戻す。  
「これからお前は、もっともっと、大人になる。してやる。俺が、して、やる」  
そして気がついた時には、そんなことを口走っていた。  
 
ゆっくりと小刻みに、身体を動かしはじめる。  
漣のように襲ってくる刺激を必死で耐えながら、彼女の肩と腰に腕を回す。  
答えるように、首に回っていたイリーナの腕に力が入る。  
自分よりはるかに細いはずのその腕が身体に食い込んだ。  
そして遠慮なく締め付ける、何人たりとも受け入れたことのなかった、純潔を奪ったばかりの彼女のなか。  
それらに神経は痛みを訴える。  
でも、そんな事――場合によっては生死にかかわるかも知れないのに――どうでもよかった。  
動きは自然に大きくなる。刺激は快感へと変化する。  
強く、彼女の身体を抱きしめる。  
張り付く肌は熱くて淫靡。  
聞こえる音は妖しく混色。  
二人で固く、抱きしめあって……とにかく必死だった。  
ひたすらに荒くなる呼吸に、正常な思考は溶け込んでゆく。  
代わりに表へ出るのは、荒々しいまでの本能。  
知識ばかりが肥大した稚拙な技術も。  
僅かばかりの気遣いも。  
互いを喜ばせることも。  
全てを忘れて身体を叩きつけた。  
ほつれた長い髪が肌をすり、浮かんだ汗は身体をすべり。  
その自らの感触すら、動きを更に加速する要因にしかならない。  
妹分の身体にしたたる汗は、彼女の汗と涙に混じる。  
それはまるでつながっている自分たちのようだと片隅で思う。  
「うぁ……ぁぁ……」  
彼女から漏れる、苦しそうな吐息。歯を食いしばり、瞳は固く閉じて雫が流れる。  
それを少しだけ申し訳ないと思いながらも、貪る動きは激しくなる。  
その分強い快感で意識は混濁し、感覚全てが麻痺しそうな錯覚に陥っていく。  
じゃれあいとしか言いようのなかった前儀が、嘘のようだ。  
あれだけ二人で、何時もの調子で会話を交わしていたのに。  
つい先ほどまで、義兄と義妹で幼馴染みだったはずなのに。  
今部屋の中に響いているのは、呻き声と苦しい呼吸音。  
つながる湿度の高い音に、叩きつける乾いた音。  
スプリングがきしむ激しい音。それらに少しだけ混じる、互いの名前。  
それらを創るのは、男と女の、動物としての儀式。  
 
 
――――泣きそうだった。  
なぜなのかはワカラナイ。ただ、泣きそうだった。  
「ン……ふぅ……い、リーナ、リーナ。イリーナ……」  
口付けを繰り返す。深く、軽く、浅く、強く。  
その度に動く顔。たつ時と共に彷徨う表情。  
「ひーす、にい…。ふぁ…く…ぁああん――にいさ、ん。ひー……」  
苦痛の中に甘さが混じる。ほんの少しだけ。  
その音は耳朶をくすぐり、揺らぐ視界は更に小さくなる。  
栗色の瞳の中に、うつる顔。陶然とした、虚ろな自分の顔。  
灰青の瞳の中で、みえる顔。恍惚とした、愉悦の女性の顔。  
求める体に受け取る体。  
自分は細い首筋に口付けを落とし舌を這わせ、手で栗色の髪をかき回す。  
妹分の手は象牙色の髪を荒々しく梳り、指先に細い滝が絡まっていった。  
 
理性なんて、どこか遠くへ。  
いつの間にか、二人が奏でているはずの音は、全て消えていた。  
残っているのは、熱い、体の感覚のみ。  
視界もゆらぎまわって正確な焦点を結ばない。  
互いの体に回る腕とつながる部分が、大切な現実との接点だった。  
余りに唐突に、ヒースの頭頂から足先、背筋からモノの先端までを寒気が襲う。  
自分でする時にも感じることがあるが、今回のは明らかに強さが違った。  
痛みにも近い快感が思考を直撃し、それに慣れていない体はあっさり臨界を越えてしまう。  
反射的に小柄な体を引き寄せ、更に固く抱きしめる。  
イリーナの奥深くに体を叩きつけると、衝動のままに全てを解放した。  
「く……ぅぅ、ぐ……っ!」  
断続的に体が震える。  
「あ、は……ん、はぁ…―――あ…」  
そして体に回した腕を経由して、イリーナの身体も震えているのを感じ取る。  
自らの振動から少しだけ遅れるそれが、とてつもなく愛しくて、満たされる。  
しばらく続いた震えの後。  
ふわりと、互いの腕にこもっていた力が緩んだ。  
世界に音がもどる。視界がもどる。―――現実が、もどってくる。  
激しい呼吸。つながったままの、体。涙でぐちゃぐちゃな、妹分の顔。  
こめかみから唇を通って落ちた汗が、イリーナの乾いた唇へ落ちていった。  
ずるりと彼女の中からモノを抜き取り、その隣へところがり落ちる。  
すぐに抱きついてきた妹分を抱きしめ返し、荒くなったままの呼吸を、ゆっくりと整え始めた。  
そして泣きそうになった理由に思い当たる。  
……一度は失いかけたから。そして手が届かない場所へと、自分が行ってしまう可能性もあるから。  
おそらく、それが唯一つの理由だ。  
「……あの、兄さん」  
そんなことを考えていたから、隣の妹分からかけられた声に反応するのが遅れた。  
再び、かかる声  
「ヒース、兄さん」  
「何、だ?」  
「顔、色っぽい、です」  
「え?」  
「すごく、おとなっぽい。いいな…」  
「お前も、だぞ」  
「嘘」  
「俺は法螺はふいても嘘はつかん。今のお前は、確かに、大人だな」  
「そう言われると、くすぐったいです」  
「奇遇だな。俺もだ。だから、言ってくれるな」  
短い言葉での会話が途切れる。  
そして続くのは、心地よい、沈黙。  
 
 

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