ベルカナちゃんに愛の歌を送るよ」  
 リュートを取り出したライオーは、ベルカナの返事も待たずに曲を奏でる。  
 
 チャームの呪歌を。  
 
 その曲を聴いているうちに、ベルカナはいつの間にやら聞き惚れてしまっていた。  
(あ、あれ?)  
 何故だろう。  
 今までただのお坊ちゃんだとしか思っていなかったライオーが、やけに格好よく見え−  
 
 ベルカナはポッと頬を赤らめ、彼に熱い視線を送るようになっていた。  
 
(よし。かかった)  
 ベルカナがチャームにかかったのを確信したライオーは、曲に乗せて謳う。「僕と一緒に宿屋に行こうよ〜♪」  
「はい・・・」  
 そしてベルカナは、ライオーの後に続いて、ふらふらと付いていった。  
 
 マロウの故郷のモーブ村。そこの宿屋に、リュートを奏でるライオーとふらふら付いてくるベルカナがやって来る。  
「ベルカナちゃん。僕と一緒に愛しあおうね〜♪」  
「ライオーさんがそうおっしゃるなら(ぽっ)」  
宿の個室に入る二人。  
 ばたん  
(あれ?)  
 扉を閉める音にベルカナはふと疑問を覚える。  
 
 どうして、こんな所に来たのでしょう?  
 
 と考えた時は遅かった。  
 
「ぼんやりと立つベルカナに、不意に背後から人影が迫り、両手を後ろ手に縛る。ベルカナの頭にあるのと同じ青いリボンで。  
「きゃっ!」  
 さっと後ろを振り向くと、執事のセバスチャンが畏まっていた。  
 普段のボーッとした様子からは信じられない素早い動作で、ベルカナの両手を青いリボンで後ろ手に縛ると、部屋を後にする。  
「それでは坊ちゃま。ごゆるりとお愉しみください」  
 ばたん。再び扉の閉まる音。  
「さて、と」  
 二人っきりの密室。ライオーはリュートを降ろし、ベルカナに迫る。  
 曲が止んだ時点でチャームの効果は切れ、ベルカナはハッとなった。  
「ど、どういうつもりですか!」  
 曲を聴いてた時点はライオーを本気で魅力的だと感じていたが、今ではそんな自分が恥ずかしい。  
 まんまと呪歌に操られ、部屋にまで付いてきた自分が。  
「こ、来ないでください!」  
 後ずさるが、すぐにドアにぶつかる。縛られた両手でノブを回そうとするが、その前にライオーが抱きついてきた。  
「きゃあっ!」  
「ああ。柔らかいよ。ベルカナちゃん」  
 ベルカナの背中にしっかりと手を回して、ライオーはその髪に鼻を埋めた。  
 柔らかくて暖かいベルカナの体。その豊かな黒髪も芳醇な香りを漂わせ、琴線を刺激する。  
「さあ、ベルカナちゃん。僕と愛し合おうよ」  
 抱きしめたままのベルカナをぐいっと持ち上げる。  
「きゃっ」  
 ベルカナが軽いということもあるが、意外にライオーは力があった。  
 田舎の宿屋の安普請のベッド。そこにベルカナをゆっくりと寝かせる。  
「な、なにを・・・きゃっ!」  
 急にベルカナは目を閉じて、顔を背ける。  
 ライオーが急に服を脱いだからだ。  
 あれよあれよという間に、ライオーは全裸になった。  
 
「い、いやっ! こないでください!」  
 いきなり服を脱いだライオーに、ベルカナを目を閉じて硬直。  
 全てライオーの計算通りだった。男の方から服を脱ぐと、女は驚きでパニックになるものである。  
 特にベルカナのような経験のない生娘は。  
「ほら。ベルカナちゃん。僕のここ見てよ」  
「いやっ! 汚らわしい!!」  
 見ろと言われても、見れるわけがない。汚らわしい男の象徴など。  
「ほら。もうこんなになってる」  
 だがぎゅっと目を閉じたベルカナのほっぺたに、ライオーは己の分身をぴたぴたと貼り付けてきた。  
 勃起したペニスを。  
「やあっ!!!」  
 頭を振ってベルカナは振り払おうとするが、返って揺れるペニスに当たる結果になった。  
「もう! こんなこと、おやめなさい!!」  
 後ろ手に縛られ動かない両手で這い出し、ベルカナはベッドから抜け出そうともがいてみる。  
 だがその上に、ライオーは全身で伸し掛かった。  
「きゃあああああああっ!!!」  
「わー。ベルカナちゃん。柔らかくてあったかい」  
 服越しに全身に伸し掛かる男の肉臭と体温。そして荒い鼻息。  
 ベルカナの全身が、さっと萎縮する。  
 
(お、犯される)  
 
 この状況を正確に認識した時−  
 
「いやああああぁぁぁぁぁーっ!!!」  
 
 ベルカナの口から絶叫がほとばしる。  
 ライオーはそんなベルカナを、微笑しながら間近で見ていた。  
 
「大丈夫だよ。ベルカナちゃん」  
 黒髪をよしよしと撫でながら、耳元でライオーは囁く。  
「優しくするから」  
 そして耳に熱い息を吹きかける。  
「ひいぃ!」  
 嫌々と首を振るベルカナ。  
 ライオーは上半身を起こし、ベルカナの上に馬乗りになると、そのブラウスの襟元に手を掛け、  
 
 ビリリリリリッ  
 
 一気に引き裂いた。  
「だめっ!  やめなさい!!」  
 目を開いてライオーをじっと睨むベルカナ。だがその目には涙が滲んでいた。  
 そしてライオーは睨みなど気にもせず、ベルカナの白い胸元に見入る。  
「ベルカナちゃんのおっぱい、かわいーなー」  
 下着まで剥ぎ取って、露になった可憐な乳房。その胸にそっと手を触れる。  
 淡く盛り上がっただけの少女の乳房は、少年の手が触れると、プルッと震えた。  
「いやーっ!」  
 全身に力を込めて上に乗ったライオーを押し退けようとするベルカナ。だがライオーはびくともしない。  
 体勢的に不利なのもあるが、元々ライオーの方が力はあるようだ。少年と少女の違いといってよい。  
 下からベルカナの必死の抵抗を感じながら、ライオーは少女の乳房を直に揉みしだく。上から覆い被さるように。  
「くうぅ」  
 きゅっと曲がるベルカナの眉。  
 ライオーがベルカナの柔らかい膨らみを微妙な力加減で揉む度に、ベルカナも微妙な感覚に襲われる。  
「あっ・・・・ん・・・」  
 いつしか呼吸が荒くなっていた。  
 
 滑らかで柔らかくそして暖かい少女の胸。それを少年の手が、優しく優しく撫で回す。  
「んっ・・・・だめ・・・・」  
 切なく甘えを含んだ呼吸。ベルカナは頬が赤くなり、肌に汗が浮かんでいた。  
 チャームにかかっていた時とは違うドキドキ感。  
 初めての感覚にベルカナは途惑う。  
「おやめなさい。今なら、まだ・・・・・」  
「やめないよ」  
 ライオーの指が、乳房の先端をそっと摘んだ。  
「あうっ」  
 さくらんぼのような小さな可憐な乳首。その小ささと美しさに、ライオーは感激すら覚える。  
「綺麗だよ。ベルカナちゃんのここ」  
 腰を曲げて、ベルカナの乳首をちゅっと口に含む。  
「あんっ」  
 そうしてもう一方の乳首も、指でこりこりと撫で回し。  
「あっ、う・・・・」  
 両方の乳首を、ライオーは舌と指でコリコリと転がしていく。  
 ベルカナの先端は、とても甘く、そして鮮やかだった。  
「あっ・・・・あっ、あ・・・」  
 顔を仰け反らせ、ベルカナから微かな嬌声が漏れる。抑えようと思っても、自然に漏れる声。  
 やがて、ベルカナの乳首は、舌と手の中でプックラと膨らんでいた。  
 そしてツンと尖った胸は、今までよりも強い甘美をもたらす。  
 甘く、切なく、胸の奥からこみあげる衝動。  
 ベルカナが初めて感じる「濡れる」という感覚だった。  
「やっ・・・いやっ・・・」  
 ベルカナの後ろに縛られた手がシーツを掴み、両脚がぎゅっと閉じられる。  
 おしっこがしたくなるような焦れた気持ちに、股間がきゅっと熱くなった。  
「いや・・・いや・・・・・いや・・・・あっ」  
 ベルカナの声が徐々に高まる。  
 もはや明らかに喘ぎ声だった。  
 
「いやっ!」  
 首を振り、必死に官能を否定しようとするベルカナ。だが胸を舐められ、撫で回される度に、高まる体温を鎮める事は出来ない。  
「くうぅ」  
 自然に目から涙が零れる。  
 と、ライオーは胸から顔を上げ、その涙をすすった。  
「ベルカナちゃんの涙。とっても美味しいよ」  
 実際にはしょっぱいのだが、愛がそう言わせるのだろう。  
「お願い。もうやめてライオー。  
 こんな事したって、わたしはあなたのものにならない」  
 肉体は操られても、魂だけは操られない。  
 真摯に見つける瞳には、まだ強い意志があった。  
 ライオーはその瞳を上から見下ろし−  
「好きだよ。ベルカナちゃん」  
 唇にキスした。  
 
 少年と少女、双方にとって初めてのキス。  
 
 ベルカナの瞳は驚きに見開かれ、  
「いやああああぁぁぁぁぁ!」  
 絶叫した。  
 そんなベルカナを、ライオーは寂しげに見下ろす。  
 
 心が手に入らなければ、せめて体だけでも−  
 
 その虚しさを行為の最中から感じていた。  
 とはいえ、今更やめるつもりもない。  
「ベルカナちゃん。ここはどうかな?」  
 ロングスカートを引き裂き、剥ぎ取り、  
「きゃあっ!!」  
 その中身のパンティまで一息に剥ぎ取る。  
 そこはもうわずかながら濡れていた。  
 
「わー。わー。わー」  
 ライオーも初めて見る少女のあそこ。秘密の園。  
 薄く陰毛の生えた割れ目はしっとりと潤いを帯びていた。  
 そっとそこにライオーの指が触れる。  
「ひいぃ!」  
 あそこを凝視され、そして触られる感触に、ベルカナ心底蒼ざめていた。  
「み、見ないで! そんな汚い所見ないでください!!」  
「そんなことない。ベルカナちゃんのここ、とっても奇麗だよ」  
 ありがちなセリフを吐きながら、ライオーはベルカナの秘所をしっかりと観察。実際に、ライオーは奇麗だと感じていた。  
 艶めかしく輝く薄い桃色の割れ目。ここに自分が入る!  
 その想像だけで、ライオーは達しそうだった。  
 だがまだだ。ここを十分に濡らしてから。  
 勃起して反り返る分身をなだめ、ライオーはそっとベルカナの女の部分に口を付ける。  
「ひっ!」  
 ベッドの上で、ベルカナの肢体が振動した。  
 ぴくんと動く腰に合わせ、ライオーは割れ目に舌を這わせる。  
「やあぁ・・・っ・・・・あうぅ」  
 びくっ、びくっと高まるベルカナの腰。ライオーも顔を上げ、しっかりと両脚に手を添えながら、秘所を愛撫する。  
「あう、あう、あうぅ!」  
 両脚に力が籠もり、その緊張がライオーにもはっきり伝わった。  
 そしてベルカナの肉壷からは蜜が溢れる。  
 ライオーは遠慮することなく、その愛液を音を立ててすすった。  
「やあっ! ああっ! ああ!」  
 ベルカナの愛液は、とても甘くまろやかだった。実際はしょっぱいのだが、愛がそう思わせるのだろう。涙と同じである。  
 湧き上がる愛液を、目を閉じてズズーと吸い、味わうライオー。その表情には、ただベルカナへの想いがあった。  
「あ・・・いやっ、だめ・・・ああー!」  
 ベルカナの背筋が大きく仰け反る。  
 
「アー! アアアアー!」  
 限界まで腰を上げ、ベルカナの全身が極度に緊張する。  
 同時に秘所からも愛液が溢れ、飲み切らぬ液がライオーの顔に流れた。  
 どうやら絶頂を迎えたらしい。  
「ハァハァ」  
 がくんと頂点に達してから、ベッドにへたれこむベルカナ。  
 ライオーも秘所から顔を上げ、ベルカナに付き添うように横から抱きしめる。  
 もうベルカナに拒絶する余裕はない。  
「ほら。ベルカナちゃん。見て」  
 そうしてライオーは、秘所から溢れる蜜を指ですくい取り、ベルカナの目前で見せつけるのだった。  
「ベルカナちゃんこんなに濡れたんだよ」  
「いやっ!」  
 顔を背けるベルカナ。だが感じたという事実は変わらない。  
 ベルカナが一番分かっていたから。あの頭が真っ白になる感覚を。  
「嬉しいよ。ベルカナちゃんが感じてくれて」  
 好きな女が自分の愛撫で感じてくれる。濡れる。それは少年にとって、何よりの幸福だった。  
「いやああっ! 言わないで!!!」  
 両手を縛られたままうつ伏せになり、ベルカナはベッドに顔を埋める。  
「わああああああぁぁぁぁぁーっ!!!」  
 そして泣いた。ただ泣いた。  
「わアアアアアアあああああああぁぁぁぁっ!!!」  
 突然泣き喚くベルカナに、ライオーはふぅとため息をつく。  
 だがその目が、ベルカナの白く小さなお尻に向けられた。  
「それじゃあ、ベルカナちゃん。バックからだね」  
 言うと、ベルカナのお尻を持ち上げ、高々と掲げた。  
「きゃっ!」  
 突然の事に、ベルカナはピタッと泣き止む。  
 両手を後ろ手に縛られているので、顔をベッドに押し付けたまま、尻だけを高く上げられる格好になった。  
 そしてバックから、ライオーは穴に狙いを定める。  
 
「挿れるよ」  
 一声掛けただけで、  
 
 ズン!!!  
   
 ライオーは、バックからベルカナを突き刺し、貫いた。  
「あ・・・・」  
 もう十分濡れていたからだろうか。  
 不思議と痛みはなかった。  
 だが股間に何かが侵入し、膣を一杯に満たす感覚は馴染みないもので−  
 
「イヤアアアアアアアアアアアアあああぁぁぁぁあっぁぁあぁぁーっ」  
   
 ベルカナの叫びが、宿屋に轟く。  
「くうぅ!」  
 一方、挿入したライオーも余裕はなかった。  
 初めての性交は、予想以上に快感で。  
 挿入した瞬間から、強烈な快感と疼きが、分身を包み、襲う。  
 ライオーは初めて知った。セックスがこんなにも気持ちいいものだと。  
「ベルカナ! ベルカナ!!!」  
 もう何も考えられず、ただ腰を振る。振り回す。  
「いやああっ! やあああああああっ!!!!」  
 高く上げた腰を振り回され、ベルカナの涙がシーツを濡らしていった。  
 痛みはない。ただ汚されたという悲しみだけが、ベルカナを襲う。  
 
 チャームに操られ、処女を奪われ。  
   
 ベルカナの誇りは、ズタズタに引き裂かれた。  
「もうイヤー!!!」  
 
 ぱんぱん  
 肉と肉がぶつかる。  
 
 バックからベルカナの秘肉をえぐり、膣を前後する肉棒。  
 その怒張は、少女の体に快楽を与え、心を切り裂いてゆく。  
「うう・・・・」  
 今まで我慢に我慢を重ねていたライオー。  
 すぐに少年は限界に達した。  
「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!!!!!」  
 獣のような、いや獣そのものの咆哮を上げ、力の限り猛りをぶつけた。  
 
 ドクっドク  
 
 猛りは射精となってほとばしる。  
 膣に満ちる熱い衝動。温もり。  
「わアアアアアアアあああああああっ!!!!!!」  
 ベルカナも叫び、そして絶頂を迎えた。  
「アー、アアアアアアアアー!!!」  
 
 はぁ、はぁ  
 
 互いに絶頂に達し、お互いにベッドに倒れ込む。  
 安普請のベッドは狭い。  
 ライオーはベルカナを横抱きにして、耳元で囁いた。  
「ベルカナ。よかったぜ」  
 そしてキス。だがベルカナの反応はない。  
 その涙を流す目に、すでに光は無かった。  
 
 虚ろになったベルカナの瞳。  
 以前は強く輝いていた瞳に、もう生気はない。  
 その瞳を見て、ライオーは寂しさを覚えた。  
 行為の最中から感じていた虚しさが、ふと頭をもたげる。  
 その胸の虚脱感を忘れるように−  
「抱くよ。ベルカナ」  
 またライオーはベルカナを抱いた。いや犯した。  
 
 ぎしぎし  
 
 ベッドの上で、ベルカナの白い裸体が揺れる。  
「ハァハア。どうだい。ベルカナ」  
 正上位でベルカナを犯し、ライオーは問う。  
 だがベルカナから返事はない。反応もない。  
 あれから何度もライオーはベルカナを貫いた。そう何度も、何度も。  
 もう両手を縛るリボンもない。だがベルカナは逃げ出そうともしなかった。  
 もう叫びも上げなかった。  
 ただ人形のようにライオーの成すがままに犯される。  
(くそっ!)  
 ライオーは毒づきながら、ベルカナのナカで果てた。  
 もう何度目かの射精と絶頂。だがそれはライオーの一方的行為。  
 
 そしてライオーは気付かされた。呪歌で操っても、力尽くで犯しても、心は手に入らないと。  
 
 と、その時。部屋の扉が開く。  
「ベ、ベルカナ・・・・」  
 入ってきたのは、クレスポだった。  
 ベルカナが来るのが遅いので捜していたのだろうか。  
 だがそこでクレスポが見たのは、犯され横たわる裸のベルカナ。  
 その呆然としたクレスポに、ライオーはニヤリと笑い、ベルカナを後ろから抱えて、股を開かせる。  
「ほら。お前にも犯らせてやるよ」  
 ごくっと生唾を飲み込むクレスポ。ズボンを降ろして、ベルカナに迫る。  
 虚ろな瞳でベルカナは見ていた。  
 クレスポがちんこ丸出しで迫るのを。  
「いや・・・・もういや・・・・・」  
 ベルカナの最後の叫びが轟く。  
「イヤー!」  
 陵辱はまだ終わらない。  
 
 
 
それから十月十日後。  
「おぎゃーおぎゃー」  
 元気な男の子が生まれました。  
「俺様の子だ!」  
「いや。俺の子供っす!」  
 

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