空を飛びながらヒースは泣いていた。  
 背中におぶった少女の冷たさに。  
 最初は暖かかったイリーナの亡骸。だが時間が経つほどにどんどん冷たくなり。  
 今では冷えた鋼鉄のように冷たい。  
 それが彼女の死をより実感させ、ヒースは泣いていた。静かに。  
 
 不運としか、全く不運としか言いようがないイリーナの死。  
 協議の結果、ヒースが、<フライト>でイリーナを背負ってファンまで飛び、蘇生を依頼する事となった。  
 だがそれは、ヒースにはあまりにも辛い作業となった。  
 
 そろそろ<フライト>の効果時間が過ぎようとした時、ヒースは手頃な場所に降り、背負ったイリーナを木を背にして座らせる。  
 背負ったままでは、呪文は唱えられないから。  
 
 そこでハッとなった。イリーナの顔に。  
 
 普段は生気に溢れた顔。それが、文字通り蒼ざめている。  
 紅い唇も蒼く染まり、目の下には黒いクマが出来ていた。  
 生きているイリーナからは想像も出来ない、生気のない顔。  
 当然である。死んでいるのだから。  
 
「イリーナ」  
   
 ぽつりと呟き、その頬に手を伸ばす。  
 冷たく、固い。蒼い。血潮の欠片も感じられない。  
 その手触りに、ヒースは泣いた。もう何度目の人似れぬ涙。  
 
 その手が、唇に触れて、ビクッと震える。  
 
 もう真っ青になったイリーナの冷たい唇。  
 その口をじっと見つめ、ヒースは己のそれを近づける。  
 
(ごめんな)  
 
 謝りながら、接吻。冷たく、固いキス。  
 
(最低だ。俺)  
 
 また謝る。  
 思えば、イリーナが死ぬなど、全く考えていなかった。  
 分厚い鎧に守られ、人外な筋力と豊富な生命力を併せ持つイリーナ。  
 心のどこかで、イリーナだけは何があっても大丈夫だと思っていた。  
 
 だが現実は常に過酷だ。  
 
 誰もがまさかと思ったイリーナの死。  
 こうして死体を目前にしても、まだ死んじられない。  
 
 今にも起き出して、  
「もうヒース兄さん! 勝手にキスしないでください!」  
 と怒鳴られそうだ。  
   
 もっともそうなったら、怒鳴られるだけでは済まないのだが。  
 
(くそっ!)  
 
 もう何度目かの後悔。だが何度しても悔やみきれない。  
 
 イリーナの死。その現実に、ヒースは泣く以外の表現を知らなかった。  
 
(お前の親父に、兄貴に、何て言えばいいんんだよ)  
 
 だがイリーナは応えない。死んでいるから。  
 
(くそっ!)  
 
 つい乱暴に亡骸を揺さぶってしまう。  
 そうすることで、イリーナが目覚めるのを期待するように。  
 もう何度もやったことだ。  
 
 揺さぶられ、イリーナの亡骸がもたれた木からずり落ちる。  
 
「おっと」  
 
 反射的に支えるヒース。そしてまたもハッとなった。  
 
 その小ささ、軽さに。  
 
 背負って飛んでる時には感じなかったイリーナの小柄さ。  
 改めて、その意外な軽さに驚かされる。  
 
(お前。こんなに軽かったんだな)  
 
 支えないと倒れてしまうイリーナをしっかりと胸元に引き寄せ−  
 ヒースはその唇を再び重ねる。  
 
 ヒースは思う。世の無情さを。  
 そして彼は決意した。  
 
 生きてる間に出来なかった事をやろうと。  
 
 <フライト>で運ぶ為に重い鎧は脱がされ、  
今のイリーナはシャツとミニスカートのみという軽装。  
 
(本当に最悪だな。俺)  
 
 罪悪感に苛まれつつも、ヒースはシャツをめくり上げると、その下着をずらして、  
少女の可憐な膨らみを露にする。  
 まだほんの申し訳程度に膨らんだだけのイリーナの乳房。  
 同年代の少女と較べて、あまりに小さい。  
 
(筋肉だけは人よりもあるのにな)  
 
 どこか可笑しげに思いながら、手で覆ってみる。  
 死後硬直のせいもあろうが、蕾はあまりに固く、揉めたものではない。  
 
(ここはまだ固いんだな)  
 
 ふとそんな事を想い、手を離す。  
 どうせなら生きてる間に愉しもう。  
 
 次にヒースは、ミニスカートをめくり上げ、その中の白いパンティをゆっくりと取り払った。  
 
(まったく。まだ子供なんだな)  
 
 その子供らしい純白の下着に苦笑し、中身を覗き込む。  
 イリーナのアイアンメイデンの割れ目。  
 
 そこはまだ陰毛も生えていなかった。  
 
(まだ毛も生えてないなんてな)  
 
 まっさらな縦スジに、ふとヒースは苦笑い。  
 普段は桃色であろうそこも、今は蒼ざめている。  
 
(はいるかな)  
 
 己の分身を取り出し、ヒースは思考する。  
 死後硬直で固いイリーナの全身。  
 
 ただでさえ狭いあそこも、かなり固いはずだ。  
(まあなんとかなるか)  
 
「挿れるぞ」  
 
 死体に一声かけ−  
 ヒースは勃起したブツを両手で支えて、イリーナに叩きつける。  
 
(くっ。はいらね)  
 
 だがやはり、イリーナのあそこは固い。  
 死後硬直で筋肉が固まってるのもあるが、元から狭いのだろう。  
 尖ったヒースの分身を、固く閉ざして受け入れない。  
 
(はいれ! はいれ! はいれ!)  
 
 それでも、腰を叩きつけるヒース。  
 その想いが通じたのだろうか。  
 
 ミシ、と縦スジを引き裂いて、先端がわずかに埋没した。  
 
「うおおおお!」  
 
 はいった、と思った瞬間−  
 ヒースは射精した。  
 
 白い粘液が、イリーナのお腹に飛び散り、わずかに膣に注がれる。  
 
「はぁはぁ」  
 
 射精の余韻で、荒い息を吐くヒース。  
 
 ふと見下ろすと、そこにはシャツとミニスカートをはだけさせ、  
お腹と股間に精液を浴びたイリーナの亡骸。  
 
「ごめんな。イリーナ」  
 
 その亡骸を抱きしめ−  
 
 ヒースは泣いた。  
 

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