夢を見ていた。 暗い冷たい世界で、誰かが呼んでいるのを。  
遠くで誰かが 喋っているけれど 目を覚ますことができない。  
目覚めたいのに目覚められない、悪夢のよう。  
『…ナ、ワシは先にゆく、お前はできるだけ…養生せい。』  
遠くで、聞きなれた声がしたような気がするけれど。  
意識が遠のいて、また暗闇に堕ちていった。  
 
意識が再び浮上しても、悪夢は終わらなかった。  
暗闇。目蓋を開きたくても開けない。体もピクリとも動いてくれない。  
ここは…? わたしの体は、どうしたんだろう?  
そう遠くない処で、気配がした。…近づいてくる。  
誰何したくても、声も、でない。  
下腹に力が入らず、ひゅうひゅうと喉が鳴るだけ。  
近づいてくる…ゆっくり。誰?何?  
それは、わたしのすぐ近くまできて、覗きこんでいるようだった。  
危険なケモノなら食べられてしまうかもしれない。ファリス様!!  
 
ソレはわたしのすぐ近くを、  
わたしを覗きこみながら、何度もウロウロと歩き回った。  
やはり、猛獣かナニカだろうか?   
そう思った途端、ケモノっぽい息遣いを、わたしの聴覚が捉えていた。  
やはり、ケモノかナニカで、わたし、タベラレテ、シマウのでしょうか?   
ほとんど感覚のない背中に悪寒がはしる。  
ウロウロとしていたソレは、ふいと近づき、わたしの胸の上に触れたのです。  
わたしが死んでいるのか、生きているのかどうか、はかっているように。  
生きていればトドメをさされ、死んでると思えば、  
そのままカプリと食べられてしまうに違いありません。  
胸の上の生物が動き、やはりトドメを刺そうと思ったのでしょう。  
今は顔の近く、喉元に気配を感じます…!  
それが、顔に触れ……わたしは身を竦ませ、息をこらしました。  
間近に息遣いを感じます。  
その顔に触れたモノとは別のなにかが、口のあたりをかすめました。  
そうすると、すぐにその気配は遠く離れて行き、  
木の軋む音とともに聞こえなくなりました。  
…わたしはいったい何と対峙していたのでしょう?  
この目を開けることも出来ない、悪夢が終わるのは、いつなのでしょう?  
ただあのケモノに、懐かしいような  
体臭を感じたのは、気のせい、なのでしょうか?  
わたしの意識は、緊張に疲労し、また深い暗闇に堕ちて行きました。  
 

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