またまた深夜のファリス神殿。
「あんっ、ああっ、ひぃんっ、ひっ、ヒースっ、にいさっ、あんっ!!」
前フリも何もなく、イリーナの私室の中は真っ最中だった。
「はっはっは。いりーなサン、随分いやらしく腰を振るようになったじゃないカ」
自分が主導権を握るつもりだったはずなのだが、下手をしたら自分のほうが先に果ててしまいそうなヒース。
ここはひとつ、主導権を取り戻すためにもちょっとした趣向を凝らそうではないか。
「イリーナ、ちょっとストップだ」
「はっ、へ? ひ、ヒース兄さん、これからってときにどうして」
なかなか淫乱なことを言うようになったなぁ、と胸中で呟きヒースは続ける。
「いやなに、もっと気持ちよくなりたくないかと思ってな」
「い、今のままでも十分気持ちいいですよ? ヒース兄さんの熱いのが、ずんずんって突き上げてくれて……気持ちよくしてくれるなら、早く続きをシてください……」
バックの姿勢から顔だけこちらを振り返る。そして熱っぽい表情で、さらに潤んだ瞳でヒースを上目遣いに見つめ上げるイリーナ。
(な、なかなか高等テクを……しかも何気に嬉しいことをさらっとほざきやがって……)
イリーナの好意に少々罪悪感を覚えてしまったが、そこで引き下がるほど我らがヒースクリフ様は甘くは無かった。
「もちろん続きもしてやるが、もっと気持ちよくしてやろうというんだ、ほれ」
じゃーん、と効果音をセルフで鳴らしながらそれを取り出した。
「………ただの布……帯みたいに見えるんですけど」
「そう。ただの帯だ。しかぁーし、こういう使い方をすれば……」
グキ、と首から音が鳴りそうな勢いでイリーナの顔を元の位置に戻して、神業級の手並みでイリーナの目をそれで覆い隠してしまう。
「はわわ……これじゃあ前が見えませんよ」
「それでいいんだ。見えないことによる快感ってもんがあるんだ。こういうふうに……」
「……? ……ひあっ!?」
怪訝そうに目隠しされたまま首をかしげるイリーナ。少し間をおいてから平らな胸に手を伸ばし、乳首を転がしてやる。
すると、不意に襲い掛かった快感に、大げさに声を上げてびくりと仰け反る。
「どーだ、気持ちいいだろ?」
「は、はい……いきなりサンダーウェポンを食らったときみたいに、ビビってきまし……ふあああっ!?」
イリーナの言葉が終わらないうちに、ヒースは腰の動きを再開させた。
「ひ、ヒース兄さんっ、いきなりやられると……んっ!!」
「より気持ちよくしてやるっていっただろう?」
意地悪な笑みを浮かべ、ヒースはイリーナを攻め立て続ける。
さらに調子にのったヒースは、イリーナの視界が塞がれていることをいいことに、別の帯でイリーナの無防備な両手を縛り上げてしまった。
「あっ!? ひ、ヒース兄さん今度は何を!?」
「拘束プレイってやつだよ。これも学術的に快楽を数倍に跳ね上げるという報告がされているれっきとしたプレイだ」
相変わらずのヒースのウソ薀蓄。
「え、あっ、そ、そうなんっ、ですかっ? ああんっ、た、確かにちょっと、い、今まで感じたことないキモチですっ!!」
だが、不思議とイリーナの感度は増していっているようで、あえぎ声がさらに激しくなってきた。
思い込みの力だろうか。イリーナの膣内が締まり、ぎゅうぎゅうとヒースを締め上げる。
「おおう……なかなかだな。……じゃあ次の段階にいっても問題はないか」
それから程なくして、何を思ったか急にヒースはイリーナの中からマイサンを引き抜いた。
「あんあんっ……あ……へ? ど、どうして……?」
「いやな。実は今日来たのは魔法の実験のためもあったんだ」
唐突に切り出す。そんなことは初耳だ。
「ま、魔法の実験ってなんですか?」
「うむ。簡単にいうと、だ。性交渉の際、武器にファイアウェポンをかけた場合、相手はどうなるかという実に単純明快な実験だ」
悪びれもせず、しれっと言いのけるヒース。
ファイアウェポンといえば、魔法に疎いイリーナでも良く知っている。何度もその恩恵を受けているから。
読んで字のごとく、武器に炎をまとわり付かせて攻撃力を上げる魔法である。もちろん、その炎は熱い。
「なっ!? そ、そんな! あそこが火傷しちゃいますよ!?」
「あ? あそこってどこだ? 俺は肝心なことだけ知ってないことが多くてな」
鼻をほじりながらとぼけて、いそいそと脱いだ服の中から発動体を持ってくる。
「そ、それはおまん……じゃなくて! っていうか言わせないでください!」
「大丈夫だ。ファイアウェポンくらいのダメージ、お前なら鎧ナシでも緩和できるだろ」
「そ、それと熱いのとは別です! って、ちょっとなに詠唱始めてるんですか!!」
「まぁまぁ気にするな。『万物の根源たるマナよ。光り輝く刃となれ』!」
おや。少し呪文が違うようである。
「マナよ、炎となりて刃になれー」
「や、やめてくださいぃ!」
本来の呪文を唱え終わってから、イリーナにも分かる共通語でエセの呪文を唱える。
それが本来自分が理解できないはずの古代語だとも気づかずに信じ込んで悲鳴を上げるイリーナ。
「はっはっは。俺様のジュニアが華麗に燃え上がったぞ。やはり自分にかける分には、どこにかけても熱くないようだな」
などと意地悪く笑って見せるが、実際は燃えてなんかいない。
ただマヌケに、ヒースのジュニアがキラキラと光り輝いているだけだ。熱なんてこれっぽっちも感じられない。
お分かりかと思うが、これはエンチャントウェポンの魔法である。純粋な打撃力は増すが、熱などのダメージは一切無い、攻撃以外では人体に極めて無害な光である(たぶん)。
「ほーれ、じゃあお待ちかね。ファイアジュニアをブチこんでやるぞーぅ」
「あっ、いやっ、やめてくださいヒース兄さんっ!!」
だが、もちろんそんなことにも気づかず身もだえするイリーナ。拘束された腕の帯を引きちぎろうと力を込める。
ヤバイ、引きちぎられたら自分の命がなくなる、とヒースはイリーナの腰を掴み一気に挿入した。
「ああああああああっ!!! あっ、熱いですっ!!」
熱いわけが無い。だが、イリーナは暗示によってそれを熱く感じているのだろう。
「そーか熱いかぁ。だが気持ちよくもあるだろう? ん?」
盲目状態のイリーナの耳元で囁き、ヒースは腰を振る。エンチャントジュニアがキラキラ輝きながらイリーナの膣内をかき混ぜる。
「んんんっ!! そっ、そんなことっ、ひあっ!!」
「その割りに喘いでるなぁ。それに音もすごいぞ」
連結部分からぐちゅぐちゅと聞こえる水音に、にんまりと笑うヒース。
わざと音が鳴るように腰を使うヒース。
「ひんっ、そんなっ、熱いのにぃっ!! き、キモチいいですぅっ!!」
「はっはっは。ようやくこの熱さに快感を覚えてきたか。イリーナは淫乱だな」
またしても意地悪く言葉攻めをしながら、ヒースは奥へ奥へと突き上げる。
「あはっ、んふっ、ああんっ! い、淫乱じゃないですっ、ひ、ヒース兄さんがっ、ああああっ!!」
「んんー? 俺が何だって言うんだ、ファイアジュニアであんあん感じてるイリーナさん?」
本当は光るだけのマイサンをイリーナの膣内でぐりぐりと円を描くように動かしながら、ヒースはイリーナのアナルに手を伸ばす。
「ヒース兄さんがエッチなだけで……あぅんっ!?」
「エッチなのはどっちだ、ケツの穴で嬌声を上げてるイリーナさん?」
にやにやと笑い、イリーナのアナルを押し広げる。指がずっぽりと埋没したのを確認すると、もう1本の指も突っ込む。
「いやああっ、き、汚いですっ!! ふぁああっ、熱ぅぅっ!!」
「そんなこと言いながら2本もくわえ込んでるぞ」
来る日に備えてアナル開発も忘れない用意周到なヒースクリフ様。
さらに腰を使うことも忘れず、イリーナは暗示による熱と羞恥で、全身から汗を噴き出して頭を振って悶える。
次第にイリーナの膣内がびくびくと収縮を始める。
「お、イリーナ、そろそろイきそうか?」
「は、はっきり言わないでくださいっ……ああんっ!!」
「でもイキそうなんだろ?」
「……んぁっ!! は、はい……っ!!」
イリーナは真っ赤になりながら肯定した。
「いつもより早いな。見えないのと縛られてるのと燃え盛ってるのが効いてるのか? んん?」
ヒースはどこまでも意地悪く言葉攻めを続けながら、イリーナの腰をがしっと掴んで激しくピストン運動を始める。
「ひあああっ!! あんっ、あんっ!! ヒースにいっ、激しすぎっ、壊れちゃいますっ!!」
「よし、いいぞー、いくらでも壊れてしまえ!」
イリーナの丸いお尻をピシピシと叩きながら、ヒースは猛然とラストスパートをかける。
「ああんっ!! ひぃんっ、あぐっ、ひぃぃっ、んくぁっ!! こ、壊れるぅ、イリーナのおまんこ壊れちゃいますっ!! ああっ、んぐっ、熱いぃっ、ヒース兄さんのおちんちん熱いぃぃぃ!! 火傷しちゃいますぅぅぅ!!!」
やはり燃えたチンコをぶち込まれたとしても、お前にとっては火傷程度なのか? と内心でツッコミを入れながら、ヒースは激しくイリーナを突き上げる。
「っていうか、あまりにも冷静にツッコミすぎたせいで、せっかく珍しくイリーナの口から淫語が飛び出したというのに聞き逃してしまったではないか!」
「ふああああっ、あぅっ、あんっ、あんっ!! ひ、ヒースにいさっ、な、何か言いましたかっ!?」
思わず口に出して叫んでしまったが、イリーナはアンアンするのに必死で、よく聞いてなかったようだ。
「いや、なんでもない。俺もそろそろイくぞ!」
「あああんっ、は、はいっ、い、一緒にっ、一緒にぃっ!!」
イリーナも自ら腰を振り、ヒースの動きと合わさって絶頂へ向かって急速に階段を駆け上がる。
そして。
「ああっ、ああっ、あああああああっ!! イク、イク、イっちゃいますぅ!! 焼け死んじゃいますっ、ああああっ、も、も……死んじゃうぅぅぅ―――!!!」
「うぐっ……イリーナ!!」
イリーナを抱きすくめ、一番奥に精を注ぎ込む。
イリーナは絶叫を上げ、身体を弓なりに仰け反らせ、よだれを垂らし、潮を噴き上げながら絶頂を迎えてベッドに突っ伏した。
「どーだ、気持ちよかったかイリーナ?」
「は、はい………でもホントに焼け死んじゃうかと思いました……ヒース兄さんのが出たときなんて、物凄く熱くて」
無論、そんなころにはとっくに持続時間の3分が過ぎているから、それは完全にイリーナの暗示だろうが、もちろん事実を話すことなんかしない。
「病み付きになりそうか?」
にやにやと意地悪く問い詰めてみる。
「あ……ぅ……えっと……す、少しだけ」
小さくなりながら、もじもじと答えるイリーナ。
「はっはっは。そーかそーか、じゃあまた今度、気持ちいいことしてやろう」
高らかに笑うヒース。今日もいろいろとフラグを立てることに成功したようだ。
「ひ、ヒース兄さん……私、また身体が火照ってきました……」
「ん? 2ラウンド目か? はっはっは、やっぱり淫乱だな、イリーナは」
「ち、違います!! わ、私はヒース兄さんだからそのあのえっと……」
だんだん尻すぼみになるイリーナ。
(い、いかん……不覚にも萌えてしまったではないか……)
クリティカルヒット。
我慢できなくなったヒースは、再びイリーナに飛び掛っていった。
こんな真夜中にもかかわらず、接近しつつある足音にも気づかずに……。
2人は、2ラウンド目へと突入していくのだった。