納品納品〜。今夜更けまで仕事をし納品に追われている僕は、
しがないファンの下町の住み込み靴屋徒弟。
普通じゃないトコをしいてあげれば、精霊使い1Lvてトコかなあ。
そんなわけで今日も、靴屋の二階で夜業仕事。
僕は部屋の窓をあけ、軽く200mは川向うの不夜城・歓楽街のざわめきを慰めに精をだす。
「…こちらのお部屋でございます。」
今日も僕の無為な生活のオカズがやってきたようだ。
「…さすが、ローンダミスくんのお薦めだけあってイイ宿だな。」
「ヒース兄さんっ、綺麗で大きなバスタブがありますっ!
しかも既にいい香りのお湯にバラの花びらまでっ!」
「風呂ん中で…ヤれるのかっ!さすがローンダミスくん。あなどれん…。」
…『兄さん』? この二人は兄妹なのか?
秘めた近親相姦関係か?それもまたよし。
「うわ、広っ。小鳩亭のシングルベットとはくらべもんにならんな。さすが一泊150ガメル。」
「え?そんなにするんですか? 小鳩亭なら5回も泊まれますよ、兄さん。」
「ま、いいさ。たまには。大体シケ込む場所にも、苦労してるんだし。お、茶菓子付き」
まあ兄妹ならそうだろうが。庶民の兄妹は、はじめての高級連れ込み宿のアメニティを楽しんでるようだ。
「…ひーす、兄さん。」「なんだ?」「やっぱり、恥ずかしいよぅ…。」
「…イリーナ、諦めろ。」「だって、だって〜〜。」「逃がさん。」
………。……?
ぴちゃ、ぴちゃ。
「…あ…ん、にい…さん。」「…いいよな?」
かちゃかちゃ、シュルシュルと衣擦れの音がして、ポチャンと水音がした。
ぱしゃ。ぱしゃ。
「あー、いい湯だなあ。」「…兄さん、親父くさいです。」
まったくだ。どうにも色気のカップルだな。今日はハズレだったか。
「胸に花びらがついてるぞ、イリーナ。…ふ、…改めてみるまでもなく、…小さいな。」
「…しげしげと、眺めないでクダサイ。…好きで小さいワケじゃないんですから…。」
「落ち込むな。オトコが揉めば育つ…という伝承があるぞ?ん?」「ひゃぁっ…!」
「…大きくなるとイイな。なあ、イリーナぁ?」
「ひゃ…あん…あん…あん…にいさぁん…」
「小さいが揉み心地はいいナー。乳首や乳輪の色やカタチもきれいだし。
…ククク。毛がロクに生えそろってないのも又…。…ぐはっ!」
「…兄さんのバカ…」
「…照れ隠しに殴らんでクレナサイ。いりーなサン。(ぼたぼたぼた)……みろ、鼻血がとまらん。」
「え!?ああ…っ! 『キュア・ウーンズ』!」
「…まあ、風呂に入って、のぼせるようなコトしてるとこへ、喰らえばこーなるな。」
「それって…興奮シテタってことですか?」「悪いか? 汚れちまうな、出るか。折角だし、洗ってやりたかったんだが、湯が汚れた。」
「…はい。…そういえば、うんとちっちゃい頃、一緒にお風呂に入った事がありますよね?」
「…なんだ、覚えてたのか。んー、お前が4つか5つの時だぞ?」「…男の人とお風呂に入った記憶なんて、そうそうないから、インパクトがあったんでしょうね。」
「キリング司祭やクリスさんとはどーなんだ?」「…ないしょ。」
「…ふーん。…ほれ。」「なんです?」「バスローブごと、姫さん抱っこしてやる。こい。」
(ぽふっ)
「意外に軽くて驚いてるぞ、俺様。普段あんな重装備してるってのに。」
「…。褒められたと思っておきます。腕が抜ける。と言われるよりマシですから。」
「…左様ですか。ほい、到着。お姫様。」
「もうちょっとダケ、このままでもいいですか?」「腕が痺れるマデなら?」
「ふふ、嬉しいなー。」「…そんなもんか?」「そんなもんです。……ね、ヒース兄さん、ん。」
…………。
(ぱふっ…ぎしっ。)「…んんっ。…兄さん、好き。大好き…。」……。
「…もぅ、兄さんって、いっつも『好き』って返してくれないです。」
「そんなこっぱずかしいセリフ、ほいほいと吐けるか! …んな、台詞はそうそう吐けん。ただ…感じろ。」
「…!…ぅくっ…っ…ああっ…。」
「…はあっ…あぁんっ…あっ、そこはダメっ…やっ…いや…兄さん…にい、さんっっ…」
(ぎし、ぎし、ぎしっ)(ぴちゃ、ぴちゃ、ちゅる)
「あんっ、あんっ…やぁっ…」
「…イリーナ。足、自分から開いてるぞ? もう欲しいのか? …そうか?」
(ちゅる、ピチャ…クチュ)
「はあ、はあ、はあっ、…ひーす、にいさぁん…っっ」
そこで不自然に音が途絶えた。
風の声の持続時間を超えたんだろう。
続きを聞きたいのはやまやまだが、僕は所詮靴屋の徒弟。
誰が呼んだか、精神力1クレスポ。
ま、目的の精は出せたしよしとしよう。
次はどんな場面を聴くことができるだろうか…。