今朝から漠然と感じていた不安が現実のものになってしまったことに一美は怖気づきそうになっていた。 
平井ゆかりはよく坂井家に出入りしているらしい。 
しかも彼の母親にまであだ名で呼ばれるような間柄になっている。 
(ま、まさか家族公認なの……?) 
想像の中で平井ゆかりと坂井悠二の「同棲生活」の様子が浮かんでしまう。 
一緒に食事をする二人、一緒にお風呂に入る二人、一緒にベッドに入る二人……。 
どんどんディープになっていく想像(一部正解)を頭を振って追い払う。 
(だ、大丈夫よきっと……。まだそこまで仲良くなってはいないみたいだし……、坂井君がそんなこと……) 
先刻の想像を思い出して赤面する。実はこの想像は、吉田一美の願望を如実に反映していたり 
するのだが、本人は気づいていない。 
とにかくここにきた以上は何かをしなければ意味がない。適当に果物を取り出し皮をむこうとして 
ナイフがないことに気づく。 
「あ、あの坂井君、何か切るものを貸してほしいんだけど、どこにあるかな……」 
「それなら台所にいけばあるはずだから、わからなかったらシャナに訊いてくれる?」 
その言葉は二重の意味で一美に突き刺さった。 
ゆかりはこの家のことをよく知っている、そして彼女は悠二にあだ名で呼ばれている。 
もともと不利な戦いであることはわかっていた。しかし現実の差は思っていたよりも広かった。 
先ほどの悠二の母との会話にしても、ゆかりは家族にもすでに好印象を与えている。 
このままでは自分は追いつけないかもしれない。 
胸のうちに暗雲が広がっていく。 
(ダメ! あきらめたら負けなんだから!) 
だが、一度悲観的になってしまった思考は容易には戻らず、暗雲は深くたちこめる。 
それを跳ね返そうと何とか希望的要素を探す。これから自分が逆転できる方法を 
探して一生懸命頭を働かせる。 
(何か、何か坂井君にいい印象をもってもらうこと……。それもずっと覚えててもらえるような……) 
そのとき、一美の目にそれがとまった。 
先ほど買ってきた水着の袋。 
それが目にとまってしまった。 
(これだ……!) 
暴走気味の思考を自覚しないまま、彼女は決意を固めた。  
 
「あ、あのー、吉田さん? 大丈夫?」 
突然黙り込んでしまった彼女に不安を覚え、声をかける悠二。原因が自分にあるとは 
露ほども考えていない。 
「え、う、うん大丈夫。じゃあナイフとって来ますね」 
そういうと一美は、見舞い品とは別の袋を大事そうに抱えて部屋から出て行った。 
「どうしたんだろ一体……」 
「私が知るわけないでしょ」 
シャナの答えはいつも以上にとげとげしい。 
「何をそんなに怒ってるんだよ? 同じクラスメイトなんだしもうちょっと仲良くしても 
いいじゃないか」 
「別に怒ってない!」 
「怒ってるじゃ、うっ、げほっげほっ」 
不意に激しく咳き込む。一度勢いづいたせきはなかなか止まらない。 
「げほげほっげほっ、ごほっ…!?」 
突然毛布をはがされ、強引に体を横に向けられた。何がおきたのかわからぬままそれでも身動きできずに 
いると、背中に暖かい感触が上下し始めた。 
痛む首をひねって後ろを見ると、シャナが不機嫌そうな顔をしながらも背中をさすってくれている。 
「あ、ありがと……」 
「黙ってじっとしてなさい」 
口調こそぶっきらぼうだが、何のかんの言ってもシャナが心配してくれていることに嬉しくなる。 
「まったく、デレデレしてるからよ」 
「いや、それと咳とは関係ないだろ」 
「やっぱりデレデレしてたのね」 
「い、いやそうじゃなくて」 
「じゃあなによ!」 
雲行きが怪しくなり始めた。切り返そうとするも、風邪で弱った頭ではうまくいかない 
やましいところはないはずなのに、ただ女の子につめよられるだけでなんとなく劣勢に回って 
しまう悲しい己の性がうらめしい。  
 
シャナの追求がさらに苛烈なものになろうかというそのとき、一美が階段を上ってくる足音が聞こえた。 
シャナがしぶしぶもとの場所へ戻る。 
(助かった……ナイスタイミング吉田さん) 
一美が戻ってきたら戻ってきたで、また冷戦状態が再開されるだけということには考えが及ばないあたり、悠二もまだまだ青い。 
それはともかく、とりあえず窮地を脱したことにほっとしながら毛布をかぶりなおしたところでドアが開いた。 
「吉田さん、ナイフみつか――!?」 
言いかけた言葉が途中で固まる。 
硬直した視線の向こう、部屋の入り口に現れた一美の姿に悠二は絶句した。 
日常における日常的な空間のはずの自分の部屋に、なぜか水着姿の吉田さん。 
思わずここまで熱が悪化したかと、2,3度目をこすって見るが目の前の光景は変わらない。 
レモンイエローのビキニ姿。百歩譲ってそれはまだいいとしよう。問題はその布地の面積の少なさだ。 
申し訳程度に乳頭を覆う部分は、ちょっと動けばすべて崩壊してしまいそうなほどきわどいバランスで 
彼女の豊かな胸を支えていた。 
布が食い込んで、白い柔らかそうな下乳がさらに丸い扇情的なラインを見せている。 
下半身にいたってはほとんど紐だった。急角度の切れ込みが大事な部分をかろうじて隠している。 
それすらも彼女が恥ずかしそうに膝を擦り合わせるたびに見えてしまいそうになる。 
ミステスとなって以来、非日常の世界に身をおいてきた悠二だったが、それとはベクトルの異なる 
あまりにも衝撃的な光景に二の句がつげなかった。 
 
二人の視線、特に悠二の視線が焼け付くように熱く感じる。 
恥ずかしさに胸と股間を手で隠してしまいそうになるのを必死でこらえる。ここで隠してしまった 
のでは着替えた意味がない。 
「ど、どうですか……? 今日買ってきたばかりなんだけど……ちょっと大胆かな…なんて…ふふ……」 
照れ隠しの笑いは尻すぼみになって消えていった。 
部屋に落ちた沈黙に、逃げ出したくなるようなプレッシャーを感じながらも、なけなしの勇気を 
振り絞って踏みとどまる。 
彼女はただひたすら悠二の反応を待った。  
 
「………いい」 
それは本当に小さな声だった、口にした本人も気づかないほどの。 
それを一美は聞き逃さなかった。 
「本当!?」 
勢い込んで尋ねる一美に、悠二ははっとわれに帰ったように動揺しながらも答える。 
「う、うん、いい……いいと思うよ」 
ただちょっと肌が見えすぎのような……という続きは一美に耳に届いていなかった 
(坂井君がほめてくれた!) 
その事実で彼女は舞い上がってしまった。 
買い物に誘ってくれた緒方に心から感謝する。 
幸せの絶頂にいた彼女には、悠二の隣で静かに怒りのオーラを放つもう一人のことなど忘れてしまっていた。 
 
(やっぱりデレデレしてる!) 
目をそらしつつもちらちらと一美のほうに視線を向けるている悠二をひと睨みするがまったく気づかない。 
ふと、かすかな不安を覚える。吉田一美に視線を奪われた悠二。もし今「あの言葉」を言われたら 
どうなってしまうのだろう。 
脳裏に浮かぶのは告白する一美とそれを受け入れる悠二。 
不安がおびえに変わるのに時間はかからなかった。 
悠二が自分のそばから去ってしまう。今まで彼とともにいることで得られた発見、喜び、温もり、すべて 
無くなってしまう。 
一度浮かんだ想像はあっという間に存在感を増し、シャナにとってそれはもはやただの空想ではなく約束された 
未来になってしまった。 
(どうしよう……このままじゃ悠二が、悠二が…獲られちゃう) 
冷静なときであればそんなはずはないと不安を一蹴できたかもしれない。 
しかし予想外に大胆な一美の『攻撃』を受けて動揺していたシャナは、この状況を危機的なものと 
捉えてしまった。 
焦燥に駆られながらも打開策を見出そうと一生懸命頭を働かせる。 
そのとき、彼女の脳裏にひらめくものがあった。 
(そうだ! 昔ヴィルヘルミナにもらったアレなら――) 
だがアレだけでは一美の水着のインパクトには及ばないかもしれない。 
何か別の要素を加えなければ――。 
(……よし) 
一美同様、暴走気味の思考を自覚しないままシャナは立ち上がった  
 
一美の見事なボディを見せつつも赤くなって時折もじもじと恥らうしぐさに、魂魄がどこかへ 
いってしまっていた悠二。 
だがゆらりと鬼気すら漂わせる動きで立ち上がるシャナを直視してしまい、強制的に現世へ引き戻された。 
「ちょ、ちょっと――」 
どこへ行くのかという問いは、肩越しの視線に粉砕された。 
そのまま部屋を去る彼女をなすすべもなく見送る。 
「ど、どうしたんだろ一体…」 
「あ、あの、リンゴ、むけましたよ」 
「え、ああ、ありが――」  
声のほうに目を向けると、そこにあったのはたゆんたゆんと揺れる豊かなふくらみ。 
その動きを思わず目で追ってしまうのは彼もまたヘルシーな男子だということか。 
「坂井君……?」 
「あ、ご、ごめん!」 
無遠慮に眺めてしまったことに気づき、あわてて目を逸らせる。 
「い、いいえ!いいんです。その……私、嫌じゃないですから」 
「え……?」 
「あの!リンゴ…せっかくだから食べてください」 
真っ赤になってむいたリンゴさし出す一美。ちゃんとウサギ型に切ってあるのが彼女らしくてかわいい。 
悠二はなおも何か言おうとしたが、適当な言葉が見つからず結局彼女の言うがままに流されてしまう。 
しばし黙々とリンゴを食べる悠二。しかし熱で味覚が麻痺しているうえに、和美の白い谷間が気になって 
味どころではない 
(なぜ吉田さんはこんな格好をしているんだろう。いや、彼女の水着姿はとても魅力的なのは確かなんだたとえばあの大きな胸だとか 
丸い胸だとかふくよかな胸だとか柔らかそうな胸だとかってなんで胸ばっかりなんだ胸から離れろ僕でもやっぱりどうしても目が胸に 
いやいや他にもたとえばVゾーンがってそっちはもっとやばいだろ落ち着け冷静になれ平常心だ僕!) 
考えているうちにただでさえ高かった熱が悪化したらしい、眩暈がしてきた。  
 
生命の危機を感じて根性で意識を一美からそらそうとしたそのとき、一美の放った一言が 
悠二の時を止めた。 
「いいよ……坂井君になら……触られても」 
悠二の手からリンゴがぽとりと落ちた。 
それは一体どういう意味かとたずねようとしたとき、ダダダダダッとシャナが階段を 
駆け上る音が聞こえてきた。 
わずかに落胆の表情を見せる一美。 
悠二はなにやらえらい展開になりかけていた空気がなくなったことに安堵(ちょっと 
がっかり)しながらリンゴを拾ったところでドアが開いた。 
「お帰り、どこいって――」 
そこで悠二はまたしても絶句した。 
開いたドアの向こうに、中国武侠映画のヒロインのような真紅のチャイナドレスをまとった 
シャナがいた。 
体のラインがもろに現れるその衣装は、シャナの幼いながらも無駄のないスレンダーな 
肢体を引き立てている。 
そして何よりスリットから覗く左の太ももがまぶしかった。 
「ど、どうしたんだよそのカッコ……」 
悠二の問いを無視してシャナは無表情のままずかずかとベッドに歩み寄ると、チャイナドレスの 
すそを大きくさばき悠二の枕元にどっかと座った。 
恋敵が臨戦態勢を整えたことに身構える一美。再び緊迫した空気が流れる。 
が、悠二の意識は別のところに飛んでいた。 
シャナがドレスのすそを翻した瞬間、見てしまったのだ。 
あるべきものがない光景を。 
「シャ、シャナ、ひょっとして何も履いてないのか?」 
無神経に放った悠二の問いが部屋を沈黙の中に叩き落す。しかし、答えはなくとも真っ赤になったシャナの 
顔が雄弁に答えを語っている。 
頭に上った血が悠二の視界をぐるぐる回す。遠くのほうでシャナと一美が何か言い争っている。 
なぜ自分の部屋に、それも風邪を引いているときに、紐水着とノーパンチャイナの少女たちがいるのか。 
回る世界の中でいくら考えても答えは見つからなかった。  
 
「ゆ、ゆかりちゃん、それ反則だよ!」 
「わざわざそんな水着買ってきたお前に言われたくない!」 
「こ、これはたまたま今日偶然――」 
ダウンした悠二を余所に二人は今にもつかみかからんばかりに口論を繰り広げていた。 
「そんな胸ばっかり強調するような水着を買ったのが偶然だっていうの!?」 
「それは胸のない人のひがみだよっ!」 
「そんなのただの脂肪の塊じゃない。なんの役に立つのよ!?」 
「役に立つもん!」 
「何の!?」 
「えっちなこととか――……」 
そこまでいって一美は頭から湯気を立てて止まってしまう。完全な自爆だった。 
この時点でシャナは勝利を確信した。さらにたたみかける。 
「えっちなことって何?」 
「う、うう……」 
追い詰められた一美は真っ赤になってうつむいてしまう。 
(悪いけど、戦いは非情なのよ……) 
「胸をどうえっちなことにつかうの?」 
後一押しすれば、少なくともこの場では勝てる……はずだった。 
だが、次に一美のとった行動は、シャナの予想を超えていた。 
やおら顔を上げるといじめっ子に泣かされる寸前の表情でシャナをにらみつける。 
(うっ……) 
一瞬ためらったシャナの隙を突いてベッドに駆け寄ると、シャナが制止の声をかけるまもなく 
「こうするんだから!」 
ぽふっ 
悠二の頭をその双乳におしつけたのだ。 
「……ああああああっ!」 
一拍置いた後、シャナの絶叫が部屋に響き渡った。  
 
(ふえええええっ、こ、これからどうしよう…) 
一美にも何か明確な展望があったわけではない。 
ただ、言い負かされるのが悔しくて、このまま引き下がってしまったら今日の努力がすべて無駄に 
なってしまうと思ってとっさにやってしまったのだが、よく考えてみるととても恥ずかしい。 
(え、えーと、こ、これは、そう! 坂井君を人肌であっためてあげてるわけで……) 
強引な解釈で自分を納得させようとする。 
実際彼はなんだかぐったりとしていた。 
(そ、そういえばなんだかさっきから少し様子がおかしかったかも……) 
汗でほつれた彼の前髪をそっとかきあげる。 
どこかぼんやりとした焦点の合わない目で悠二は一美を見つめている 
その唇がかすかに震える。 
「あ……あぁ……」 
一美の心臓がどくんと跳ねた。 
苦しむ彼には申し訳ないのだけれど。 
うなされる彼の姿はとても艶かしかった。 
(決めた、私が坂井君を守ってあげなきゃ) 
明確な大義名分を得て、彼女の中から恥ずかしさが薄らぐ。 
悠二の頭を抱える腕に力を込めた。 
今、自分の使命は坂井悠二を救うことなのだ、そのためには平井ゆかりに負けるわけにはいかない 
(坂井君、私がんばるから!) 
目的やら手段やらが微妙にごちゃごちゃになってきていることに彼女は気づいていない。 
 
そのとき悠二は、 
(む、むねぇっ。吉田さん、むねがぁっ!) 
ちょっと壊れかかっていた。  
 
そしてシャナは窮地に立たされていた。 
一美がまさか本当に「えっちなこと」を実行に移すとは考えもしなかった。敵は本気なのだ。 
このままでは悠二が奪われてしまう、手の届かないところへいってしまう。 
焦燥に駆られ不安でいっぱいになった頭の中で彼女が思いついたのは最終手段だった。 
(もうこれしかない!) 
一度決めたら即実行に移すのがフレイムヘイズだ。 
ベッドの上に上ると悠二の腰のあたりにかがみこむ。 
(悠二、私のほうがお前のことを好きなんだから!) 
息を吸って覚悟を決めると、悠二のパジャマのズボンを下着ごと引き下ろした。 
「しゃ、シャナ……!?」 
「ゆかりちゃん!?」 
驚愕の声を上げる二人、しかし驚いていたのはシャナも同じだった。 
はじめてみる男性性器。それは一美が与え続けた刺激によって屹立していた。 
持ち主の風貌とは裏腹に、ごつごつと節くれだった自己主張の激しいそれ。 
その衝撃的な光景にシャナも一美も言葉を失う。 
(こ、これが悠二の……) 
あまりにもグロテスクな物体。だがそれが悠二の一部だと考えると胸が高鳴るのはなぜだろう。 
シャナは頬を赤く染めながら恐る恐る手を伸ばす。肉筒の中ほどにそっと触れてみる。 
「う、うあっ!」 
とたんに悠二の腰が跳ね上がる。 
「大丈夫、悠二、大丈夫だから……」 
それは半分自分に向けた言葉だった。 
両手でペニスを包み込む。触れた部分から信じられないほどの熱さと固さが伝わってくる。 
(確か、こすると気持ちいいはず……) 
傷つけないように慎重に、両手を幹に沿って上下に動かす。 
先端から流れた透明な液体が白く細い指を汚していく。 
手のひらに脈打つ感触がシャナの体を熱くさせる。 
「う、ううっ…だ、だめだよシャナっ……」  
 
弱弱しい悠二の声。それが耳に届いたとたん、シャナの背中に気持ちのいい悪寒が走る。 
悠二が自分で感じているのだ。 
(もっと、もっと気持ちよくなって悠二!) 
胸が切なさでいっぱいになる。さらに指使いを激しくするが、とてもそれだけでは自分の想い 
は伝えきれない。 
シャフトをこする手を休めないまま、唇をじょじょに寄せていく。 
亀頭のさらに先、鈴口に狙いを定めるとそっと口づけた。 
「ゆ、ゆかりちゃん……」 
「き、汚いよシャナ……」 
二人が呆然としてかすれた声を漏らす。 
だが、シャナは不思議と嫌悪感も恥ずかしさも感じなかった。 
むしろキスをしたことで、気持ちがいっそう昂ぶってくる。 
(ファーストキスが悠二のオチンチンとだなんて…私っていやらしい娘だ) 
そう思うと自分の一番奥が濡れるのがわかった。 
太ももを伝った愛液がチャイナドレスを汚す。 
そのまま何度も肉棒にキスを降らせる。 
そのたびに悠二の口からかすれた喘ぎが漏れる。 
その声に煽られたシャナがさらに激しい愛撫を施す。 
快楽の螺旋の中で次第に追い詰められていく悠二。 
「シャナ、本当に、もう、だめだって、っ……」 
何かを堪えるような悠二の声は興奮したシャナには届かない。 
シャナの中で悠二への愛しさとせつなさがどんどん膨らんでいく。 
シャナは思い切って肉筒を口に含んだ。  
 
(す、すごい……) 
一美は目の前のゆかりの痴態にただ見入っていた。 
彼女は口に含んだ肉棒を咥内で弄っているようだ。 
(あんなことまでするなんて……) 
最初に悠二の性器を見たとき、自分は腰が引けていたのに……。 
「あっ、ううっ…うっ」 
自分の胸の中であえぐ悠二。彼が声を上げるたびに、熱く湿った吐息が胸に吹きかかり 
一美をたまらない気持ちにさせる。 
(坂井君、気持ちいいんだ……) 
自分も彼のことが好きなのに、何かをしてあげたいのに、ただこうやって抱きしめることしかできない。 
(がんばるって何度も決めたのに――) 
無力感と敗北感にとらわれそうになったその時、 
「うぐっ! げほっげほっ!」 
快感で悠二の腰が跳ねた拍子に肉棒が喉の奥をついてしまったらしい。 
ゆかりがえづきながら肉棒を吐き出した。 
彼女の唾液にまみれ、てらてらと光るそれは自分を誘っているかのように見えた。 
ゆかりはなおもえづいている。 
このチャンスを逃すわけにはいかない。 
(私だって…!) 
一美は悠二の頭をそっと離すと、彼のペニスに手を伸ばした。 
根元のほうに指を滑らせる。 
(うわぁ…こんなふうになってるんだ) 
好奇心と愛情と欲情の入り混じった気持ちで、一美は先ほどゆかりがしていたように肉筒に 
顔を近づけていった。  
 
「げほっけほっ」 
ひとしきりむせたシャナが再び向き直ったとき、彼女の目に飛び込んできたのは肉棒を撫で回す一美の姿だった。 
「ちょっと! 離れなさいよ!」 
「イヤッ! ゆかりちゃんはずるいよ!」 
「ずるくないっ! 私のほうが悠二を好きなんだから! お前よりもずっとずっと積み重ねてきたものが 
あるんだから!」 
「私だって坂井君のことが好きだし、これからいろいろ積み重ねていくもの! それを邪魔するなんてずるい!」 
そういうと一美は陰茎に口をつけた。 
負けじとシャナも舌を這わせる。 
互いの舌と唾液でペニスを占領しあうような競争が始まった。 
シャナが裏筋を舐め上げると、一美が亀頭を軽くつつく。 
片方がかさの裏に舌を伸ばせば、もう片方が陰嚢を口に含む 
「はむ、ん、ちゅるっ、ぴちゅっ」 
「ちゅぱっ、ちゅっ、ちゅっぷっ」 
競い合っていた舌は、やがて連携するような形となって悠二を苛む。 
柔らかな舌が肉棒を撫で回し、まとわりつく感触に声にならない悲鳴を上げる。 
「ふ、二人とも、も、もう――」 
それを聞いても少女たちは容赦しなかった。 
己の手で愛しい人を絶頂に導こうといっそう激しく舌を絡める。 
「いいんだよっ、悠二。イってもいいの!」 
「坂井君、気持ちよくなって! はやく、はやく!」 
「っ!! うあっ!」 
悠二の我慢が限界を迎えた。 
たまっていた白濁液がシャナと一美の顔にたたきつけられる 
「ふあっ!」 
「きゃっ!」 
目もくらむような快感の中、悠二は何度も陰茎を震わせ大量の精液を二人の少女にかけた。 
次第に悠二の体から力が抜け、やがて放出が収まる。  
 
 
白濁液を浴びた少女たちはしばらく興奮の余韻に浸っていた。 
「これが悠二の……」 
「あったかくてねばねばしてる……」 
そっと口に運んでみると不思議な味がした。 
ふと二人の目が合った。 
なんともいえない微妙な空気の中シャナが口を開く。 
「今回は変なことになっちゃったけど、とにかく悠二は渡さないから」 
「私もゆかりちゃんに譲るつもりはないから」 
またしてもにらみ合う二人。 
だが彼女たちは気づいていなかった。自分たちの行動がどんな影響を及ぼしたかを。 
この部屋の3人目がとうとうぶっ壊れたのを。 
「は、はわっ!?」 
「ひゃあっ!?」 
突然悠二に抱き寄せられる二人。 
「二人の気持ちはよおっくわかった。こうなったらまとめて面倒見るから!」 
そういう悠二の眼は完全に据わっていた。熱と興奮で理性や節制といったものが溶けて流れて 
しまったようだ。 
最低の一言だが、ある意味では男らしい……かもしれない。 
常にない悠二の様子に思わず身を寄せ合っておびえる二人。それがさらに彼のヤル気をそそることにも 
気づいていない 
「あ、あの、坂井君、風邪は……?」 
おずおずと尋ねる一美。 
悠二はその問いにきっぱりと答えた。 
「大丈夫、それどころじゃないから!」 
今ここに一匹の獣が生まれた。  

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