ある休日。
「悠ちゃん、これ、シャナちゃんに届けておいてくれるかしら」
そう言って千草が悠二に渡したのは、洋服の入った紙袋だった。
「昨日、渡しそびれちゃって」
坂井家で過ごす時間の長いシャナは、衣服の洗濯も千草に甘えることが多かった。
「それとこれも。せっかくのお休みなんだからシャナちゃんとお出かけでもしてきなさい」
そういって、二人分の弁当が入った包みを悠二に手渡す千草。
二つの荷物を手に、悠二はシャナのいる平井家へと向かった。
一方その頃。
「胸ってのは、牛乳を飲み、毎日揉んで大きくするものよ」という中村公子の怪しいアドバイスを真に受けたシャナは、
大量の牛乳を買い込み、胸を揉んでいた。
揉む、といっても、実際は乳首のあたりを撫でる程度なのだが。
(胸が大きくなれば、きっと悠二も……)
おそらくは服の上からよりも直に揉む方がいい、という、これまた根拠のない思いこみにより、身につけているのはパンティのみである。
合間合間に牛乳を飲みながら、一心不乱に胸を揉む(撫でる)シャナ。
そしていつしか、シャナはある想像に駆られる。
(もし……私の胸を揉んでいるのが悠二だったら……)
そう思った瞬間、シャナの体に変化が訪れた。
体が火照っている。頭がぼーっとしてきた。揉んでいる胸のあたりに、電気が流れているような感覚。
(……気持ち……いい……)
息づかいが荒くなる。
無意識のうちに、シャナの手は秘所へものびていく。
(悠二……悠二……)
声を殺しながらも、指の動きは激しさを増していく。
いつしかシャナは、下着をも脱ぎ捨て、完全に生まれたままの姿になっていた。
(悠二……あっ……何か……く、る……)
シャナがあっという間に上り詰める、その直前。
――ピンポーン
「シャナ、いる?」
(――悠二っ!? どうして!?)
突然の来訪者に驚き、思わず立ち上がり、その拍子にテーブルの上にある牛乳の入ったコップを倒してしまう。
「あっ、きゃ!」
そして、テーブルからコップが転がり落ち、粉々に砕け散った。
「シャナ、いる?」
平井家の玄関前。呼び鈴を鳴らし、中にいるであろうシャナに呼びかける悠二。
しかし、返事の代わりに聞こえてきたのは、シャナの悲鳴と、何かの割れる音。
「シャ、シャナ!?」
半ば反射的に、悠二はドアノブに手をかける。
(鍵は――開いてるっ!)
扉を開け、靴を脱ぐのももどかしく、室内へ飛び込む悠二。
そこには――
体のあちこちに白い液体がかかっていtる、全裸のシャナ。
「え、あ……え?」
「ゆ……き……」
二人は数瞬見つめ合い、そして――
「きゃぁ―――――――っ!!」
贄殿遮那が一閃。
あわれ悠二は炎髪灼眼の討ち手全力一撃の下、いっそ天晴れなまでに吹き飛んだ。
どっとはらい。