「・・・っ、ふぁ・・・む・・・ふぅっ・・・ぴちゃ・・・」
「ん・・・、んん・・・くちゅっ・・・」
小ぶりな体格である彼女の唇は、甘く、とろけるほどに柔らかい。
どんなに、いや、永久にキスを交わした所でこの感触には慣れないと思う。
・・・極上のお酒のように甘美で。
・・・神話に出てくるお菓子のような中毒性がある。
コトの顛末は何時も通り。
些細な出来事でシャナが怒って、自分も負けじと反論。
唯々平行線をなぞるだけの激論に、いい加減飽きたので終止符を打つ。
お互いに、もう何も言えない様に唇を塞ぎ、後はもう済し崩し的に彼女の唾液を味わう。
・・・驚くほど、何時も通りの展開だった。
「んっ・・・ふぁっ、く・・・ゆ・・・じ・・・だめぇっ」
弱々しくも彼女は拒むが、大して力も入っていないのでどうということは無い。
寧ろそれは、自分の征服欲を掻き立てるだけになる。
言葉を発した隙を縫い、舌を更に奥へと突き入れた。
「・・・!?うぅんっ・・・!?」
少し抵抗が強くなったので、逃げられないように頭をゆっくりと撫でながら押さえると、それだけでもう彼女の抵抗は希薄になる。
溜め込んでいた唾液を喉奥へと流し込めば、“コクン・・・コクン・・・”と味わいながら飲下する音が聞こえる。
それでもう、彼女も堪らなくなったのか、おずおずと舌を入れ替えしてきた。
自分の室内に響き渡る、刺激の伴った水音。
「はぷっ・・・ゆうじ・・・ゆうじぃ・・・」
「んぷっ・・・ふっ・・・シャナっ・・・」
やがて口内だけでは飽いたのか、互いに口全体を食(は)みながら貪る。
最早それは「キス」というレベルではない。
満遍なくクチを味わい・・・名残惜しげに離れ、唾液で編みこまれたアーチが糸を引いて落ちた。
突然の激しいキスにシャナは呆然実失としていたが、悠二の攻めはそれだけで終わる訳も無く。
「――――あっ」
止める間も無い。
気づけば、シャナは悠二に上から圧し掛かられつつ押し倒されていた。