時は零時前、坂井家のある一室には少年−坂井悠二と少女−シャナがいた。  
シャナは衣類を身につけておらず、小さな身体を薄いシーツで隠していた。  
対する悠二も何も着ていない。  
お互い向かいあっているものの、真っ赤な顔を合わせることができなかった。  
 
その状態が五分ほど続き、シャナは焦れったくなり、  
「ゆ、悠二、な、何かしなさいよ!」  
と叫ぶ。  
「ほ、本当にいいんだね、シャナ?」  
簡易なこの問いには深い意味があった。  
深い意味−坂井悠二という人間ではないモノ、ミステスという存在に完全なるフレイムヘイズ『炎髪灼眼の打ち手』以外を求めるという行為をしていいのか  
シャナはそれに答えるため、愛しい者と向き合い真摯な眼差しを向ける。  
「いいの…私は、私は悠二が好きなの!好きだから…」  
率直な言葉に悠二は目の前の少女としてのシャナが可愛く、愛しくなる。  
 
そして彼女の名前を呼び手を伸ばす。抱きしめる。  
「僕もシャナのこと大好きだよ…」  
「悠二……」  
悠二と出会ってからずっと望んでいた言葉にシャナは嬉しさで心が満たされ、溢れる  
溢れた嬉しさは涙という形で、黒く透き通った眼から零れおちる。  
「シャナ、泣かないで……」  
悠二は親指で溢れる涙を拭う。  
「…ん。」  
そのまま頬に手を添える。自然と二人は顔を近づける。  
シャナは眼をつぶり、悠二は顔を少し下げる。  
 
そして−  
唇が触れ合う。  
 
それはとてもぎこちないものだったが、二人の間には“誓い”が果たされたのだった。  
 
 
「悠二…」  
「シャナ…」  
名前を呼び合いまたキスをする。今度はお互い感じ合うかのように長く深いキスになる。  
悠二の舌がシャナの口内に進入し、歯列をなぞる  
「んっ…ふ…」  
シャナは悠二を受け入れ舌を絡ませる。  
 
くちゅ…ちゃぷ…ぴちゃ  
…  
 
卑猥な水音が骨を通して耳に伝わる。  
(やだっ…こんな…恥ずかしい)  
そう思いながらもやめることができず、段々と体が火照ってくる。羞恥心も少しずつ薄れてきて、ずっと続けていたくなる。  
 
「ちゅ…はふ…ん…く…ふっ」  
悠二は息苦しくなったのか唇を離してしまう。  
すると悠二との間には銀糸が繋がっていた。  
愛染兄弟のそれには不快感しか感じなかったが、悠二と自分のそれはとても神秘的で神聖に感じた。  
(あの娘も、こんな…気持ちだったのかな)  
 
 
長いキスを終えたシャナの顔は頬が上気し朱色に染まり、目尻は下がりトロンとしていた。  
普段こんな表情をしないためか、一段と可愛らしい。  
その表情を見た悠二は  
(シャナ可愛い…)  
男としての本能が刺激され、本能の赴くまま華奢な肩を掴み、ベッドに押し倒す。  
「きゃっ!?」  
「シャナ、いいよね?」  
「……うん」  
悠二は小さな身体を覆っているシーツを引きはがす。  
 
現れたのは小さな、一点の曇りもない白磁のような肢体だった。  
 
シャナは恥ずかしそうに顔を横に向け目を強くつぶっていたが、手で隠そうともせず全てをさらけだしていた。  
悠二は美しくそして淫靡な姿にみとれてしまう。  
 
何もしてこない悠二を不思議に思い、シャナは少年の名を呼ぶ。  
「悠二、どうしたの?」  
問い掛けられ、ハッと我に返る。悠二は顔を朱くし、頬をかきながら答える。  
「いや…その、すごくキレイだからつい…」  
率直な感想を云われ悠二の倍ぐらい朱くなってしまった。  
 
「う、うるさいうるさいうるさい!!バカ悠二」  
シャナは照れをごまかすため、悠二を罵倒する。  
怒らせてしまったと思い、キスという形で謝罪をする。  
「んっ!?」  
そして三度唇が離れる。  
「悠二はずるい」  
「…ごめん」  
「謝らなくていいわよ」  
「ごめん」  
「バカ」  
また二人は見つめあい、本来の行動に移す。  
「じゃあ始めるよ」  
「うん」  
 
悠二は控えめに膨らむ胸を撫でる。  
「……っ!」  
胸の直線に近い曲線をなぞりながら、人差し指で先端をコロコロと転がす。  
「やっ!…あっ……ん」  
悠二のもたらす甘美な快感によって口から嬌声が洩れてしまう。  
シャナの甘い声は悠二を刺激させだんだんと手の動きが速くなる。  
「シャナ、気持ちいい?」  
「あっ……そっ、そん、なこと……ふぁ!?」  
片方の胸の愛撫はそのまま続け、もう一方は人差し指と親指で乳首だけを摘み軽くねじる。  
 
しばらく続けると先端が硬くしこり、赤みが増す。勃起してしまったそれに、悠二は顔をうずめ、舌を這わせる。  
「やっ…あん…そんな…舐めちゃ…い、や…」  
そういいながらも、シャナは悠二の後頭部に手を回し、より強い刺激を求めていた。  
余った右手は内腿をさわさわと触れながら、そのやわらかさを堪能していた。  
少しずつ位置を上げていくと、足の付け根辺りがぬるっとした雫で湿っているのに悠二は気付いた。  
シャナのやわらかな肌、甘い声で興奮していた悠二はいつもの冷静な判断力が鈍り、それがなんなのか理解するのに数瞬かかってしまった  
 
「シャナ…すごいや…濡れてる…」  
「はん…ふっ…ひゃあ!?」悠二は太股を濡らす愛液を親指で拭い、それをシャナの割れ目に塗り付け上下に擦る。  
最も敏感で誰にも触れられたことがない箇所を悠二のぬるぬるとした指で撫でられ、体に電気が走るような快感が生まれ、シャナは声が大きくなってしまう。  
強まった嬌声に悠二は嬉しくなる。もっと気持ち良くなってもらいたいと思い、名残惜しくも一旦愛撫をやめる。  
 
「ゆ、うじ?」  
もたらされる刺激が止まりもどかしくなったシャナは名前を呼び掛けるが、悠二は(悪いと思いながらも)無視する。  
そしてシャナを両足を掴み大股開きにする。  
「ちょっ…きゃあ!?」  
反射的に閉じようとするが、時すでに遅く、悠二は股の間に顔をうずめ、秘所に口をつけていた。  
股間を悠二に舐められるという、ひどくやらしく非日常的な光景を目の当たりにし、頭の中が真っ白になり全身から力が抜ける。  
「あっ…あっ……ゆう、じぃ…やだ…やめてぇ…」  
 
抵抗しなくなった(できなくなった)シャナの秘裂を舌全体で味わいながら、てらてらと光るクリトリスをを指でつまむ。  
ざらざらした舌先で舐められるたびに、愛液はくちゅくちゅと音をたてながら溢れる。  
「どんどん溢れてくる……ちゅる…舐めてもキリがないや…」  
「あうっ!? ……な、め…ああっ!…やめっ」  
夢中になった悠二に攻められているうちに、体の奥底から何かが昇るような不思議な感覚になる。今まで感じたことがないそれにシャナは恐怖を覚える。  
その間にも悠二は攻めを止めない。  
 
だんだんと感覚は大きくなり、のぼりつめてくる。  
「んっ…あっ!ゆうじ、それいじょうは!!」  
叫んだときにはもう遅く頂点に達してしまった。なんとか堪えようとしたが、一度決壊したダムの水を止めることができないように、彼女の必死も虚しく、  
「………っっっっ!!もうだめぇ……」  
シャナは逝ってしまった。  
 
初めての余韻に浸っていたシャナは心配そうに覗きこむ悠二と目が合う。  
「シャナ、ごめん、大丈夫?」  
「ベ、別に謝らなくていいわよ…こうなることぐらい分かってたし、それに…き…きもち、よかっ……たし…」  
恥ずかしがって赤くなるシャナが可愛くなり、悠二はおでこにキスをする。  
「すごく可愛いよシャナ」  
「…ん」  
 
 
大分落ち着いてきたシャナは悠二の様子がおかしいことに気付いた。何かを我慢するような表情をしていた。  
「悠二、どうしたの?」  
さんざんシャナにいやらしいことをしてきたのに、今更になってシャナを求めることに躊躇してしまったのである。  
「いいんだよね……本当に?」  
悠二が求める行為を、千草に教えられたそれの意味を思いだし、答える。  
「いいよ…私と悠二には子供はできないけど、悠二を感じたい…悠二を愛したいの…」  
「……じゃあ行くよ」  
「きて悠二…」  
 
悠二は張り詰めて大きくなったモノを秘裂にあてがい、痛くならないようにゆっくりと挿入する。  
膣はとても狭く奥に動かすたびに、悠二をきゅうきゅうとしめつける。痛さを伴った快感が体中に走る。  
「くっ……きつっ」  
「はぁ…はぁ…ゆう、じ…ゆうじ」  
ゆっくり押し進めていくと亀頭の先になにかがあたる。多分処女膜だろう。  
強引におすとぷっつりと破ける。そして、そのまま最奥へとモノを沈めた。  
「……いっっ…」  
 
「……いっっ…」  
シャナがあまりの痛さに苦悶の表情を表すと、繋がった箇所から血が流れ出した。  
それは完全なフレイムヘイズ以外を求めた証であり、愛する者と一つになれた証であった。  
シャナは嬉しさからまた涙が零れる。  
 
「痛いの?大丈夫」  
「ううん…違うの」  
「うわっ!?」  
シャナは勢いをつけ上半身を起こし悠二に抱きつく。  
「悠二とこうしていられるのがすごく嬉しいの…」  
「シャナ…僕も嬉しいよ」  
そしてまた二人は誓いを確かめ合う口づけを交わす。  
 
「悠二、動いてもいいよ。」  
「えっでも、まだ痛いんじゃ…」  
「大丈夫だから動いて。悠二にも気持ち良くなって欲しいの」  
「……じゃあシャナ動くよ。辛かったらいってね。」  
「ん…」  
 
悠二はあまり痛くならないようにゆっくりと動き始める。  
辛さを我慢して自分を受け入れてくれるシャナに悠二は胸が熱くなる。  
内奥を優しくいたわるように掻き乱されても、やはり痛いが、とてもやすらぐような気持ち良さも生まれる。  
「シャナ、辛くない?」  
「うん…あっ、へーキ…すごくいいよ…ああっ…」  
 
シャナは痛さも辛さもなくなると、嬌声を上げ始める。すると体の緊張が解け、秘洞の中は悠二を包みこみ攻め立てる。  
無意識のうちに、足を悠二の腰に回し、自らの腰を動かし悠二に快楽を送り込む。  
「くうっ……しゃなぁ!すごく気持ちいいよぉ」  
「んくぅ…ゆうじ、ん、はぁ…もっと奥のほうが…」  
「こっ……こうかい?」  
「ああっ!そこいい…そこがいいの…」  
 
この間にもシャナの肉壁は悠二を攻め立て、愛液が溢れている。  
いつまにか悠二はいたわるのも忘れ、シャナを求めて激しく腰を動かし、より大きな快感に夢中になっていた。  
シャナも悠二を求める肉欲が暴れだし激しく腰を打ち付ける。  
 
二人とも我を忘れるほど愛する者を求めていたため、絶頂の衝動をすぐに感じ始める。  
「もう、ぼく……そろそろ」「いいよ…ゆうじだして、わたし……げんかい」  
そういうと、シャナは悠二を押し倒し、一気に強く腰を打ち付ける。  
「しゃな…そんな動いたら…で…ううぁ!!」  
 
ビュク、ドクッ、グチュ  
 
悠二の剛直は脈打ち、シャナの膣に何度も白濁した液を送り込む。  
「きゅう…ゆうじのあついよぉ……」  
悠二が全てを流し込むのを終えると同時にシャナも絶頂を迎える。  
「〜〜っっ!」  
 
悠二の部屋には穏やかな空気が流れていた  
行為を終えた二人はベッドに横たわり、一寸の隙間もないぐらいにくっつきあい、抱きしめあっていた。  
二人とも幸せだった。  
「シャナ、これからもずっと一緒にいてくれるよね」  
 
「あたりまえでしょ。悠二は私がいないと駄目なんだから。」  
「それはシャナのほうだろ」「悠二のほうよ」  
「シャナでしょ」  
「悠二」  
「シャナ」  
「悠二」  
「シャナ」  
「私」  
「僕」  
妙な可笑しさにクスクスとお互いを笑いあう。  
「シャナ」  
「なに」  
「シャナとならいつか“徒”との戦いを終わらせられるよね。」  
悠二は以前ついもらしてしまった大言壮語をシャナに問い掛ける。  
「うん、できるよ!私と悠二になら」  
シャナは当然のように悠二の望みは叶うと答える。  
「シャナ、ありがとう。愛してるよ」。  
「私も、愛してる。」  
 
シャナは愛する者に包まれながら、これまでにない安らかな眠りにつく。  
悠二は愛する者を包みながら、今までにない穏やかな眠りにつく。  
世界はそうであるために、二人を全ての一つとして、抱き、動いている  
 
 
END  

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