『千変』のシュドナイ、『愛染』の兄妹を退け、シャナと吉田一美が  
対立を鮮明にした、激動の一日。そんな超然とした日が、真っ当に終わる訳も無く、  
『それ』は確実に悠二の体を蝕んでいた。  
 
「………っ」  
「悠二?」  
全てを片付け、学校から帰宅する途中、悠二がしきりに胸に手を当て、息苦しそうに  
しているのにシャナは気付いていた。始めは、あれほどの戦闘の後で緊張の糸が緩んだ  
のだろう、とも思っていたのだが、どうも様子がおかしい。  
「どうも……体が、ね……。熱いような……寒い……ような……」  
「っ!!」  
そう答え、その場に膝を突きそうになる悠二を、慌てて支える。  
直接触れ、そこから感じる体温は、明らかに異常な、危険と言ってもよいほどの熱だった。  
「悠二!悠二っ!!」  
「……っ」  
もはや返事をするのにも億劫なのか、苦しい息遣いしか返ってこない。  
「アラストール!悠二が、なんで!?」  
「落ち着け。想像は付くが後で説明する。まず平井ゆかりの家に運ぶのだ。  
 奥方には説明出来ぬだろう」  
「うん。すぐ運ぶ…!」  
聞き、即座に、躊躇無く悠二を抱えて屋根へ飛ぶ。そこにあるのは、周囲に見られない  
ための微かな注意力と、揺らさず気を遣い、しかし全速で向かわなければ  
ならない焦燥感だった。  
 
「坂井悠二の中に取り残された『千変』が悪影響を及ぼしている」  
平井ゆかりの家に着き、いつもはシャナが寝ているベットに悠二を横たわせると、  
アラストールは、そう結論付けた。  
「『戒禁』によって千切れ、残った『千変』の残存思念が坂井悠二の存在そのものと  
 反発し、ダメージを与えているのだ」  
意思の表出たるコキュートスから紡がれる、シャナの心に衝撃を与える言葉。  
「このままでは零時を待つ前に、坂井悠二の体力が尽きる」  
永遠の別離。冷酷とも取れる宣告。  
悠二を失うかもしれない。足が竦むような、身体が震えるような、非情な事実を前に、  
(絶対、絶対に悠二は死なせない!)  
息遣いも荒く、汗ばんだ悠二の手を握り、決意を新たにする。  
「悠二を助ける。どうすればいいの?」  
「…………うむ、……それは、だな……」  
アラストールが言い淀む。普段は見せないその態度に、打開の困難さを改めて認識し、  
胸に秘めた決意で心を奮い立たせる。  
その重い、遠雷が響くような声が、予想だにしない答えを言い放った。  
「…  
 ……  
 ………射精だ」  
「…………………………………………………………………………ふぇっ!?」  
 
 
【射精】精液を射出すること。  
【精液】男性生殖器から分泌する液。  
【生殖器】生物の有性生殖を営む器官  
 
 
シャナの脳内辞書が物凄い勢いでページを捲り、  
『パーーーーーーンッ!!』と、検索結果に思考回路が  
悲鳴を上げショートを起こし、ヒューズが弾け飛んだ。  
顔中は赤く染まり、何度もアラストールの顕現たるコキュートスと、悠二の顔に  
激しく視線を行き来させる。悠二の手も握っていられず、シャナの両手は自分の膝を抱えている。  
実際の男女の営みは、書物で知識は得ている。が、当然経験はおろか、異性の  
生殖器すら見たことがない。もはや認識外。無敵のフレイムヘイズとしての範疇を  
遥か彼方まで超越している。  
「『千変』は坂井悠二と同じく男に属すると考えられるゆえに男性生殖器からの  
 射精により『千変』の残存物に溜まっている思念を精液ごと体外に射出してしまえばよいが  
 討滅の道具たるフレイムヘイズがその行為を行なわなければ思念は消えぬ」  
もはや口をパクパクとさせるしか、己を表現できないシャナに、  
怒とうのようにアラストールが畳み掛ける。そして、  
もう一度たりとも言葉にしない、してたまるか汚らわしい、とばかりに口を閉ざした。  
 
一階のリビングにコキュートスを置き、ベットの上に仰向けで  
苦しげに寝ている悠二の前に、シャナは何故か正座をして座る。  
外はもう夕暮れに闇の帳が掛かり始めている。もう日も暮れる。  
(………どうしようどうしようどうしよう)  
ずっと思考がループする。  
悠二を助けたい。でも助けるには、しゃせ『パーーンッ!』  
何べんもループし、ショートし、立て直し、またループする。  
それでも、  
「……っ!」  
意を決して、掛けていた布団を剥がす。学生服のまま横たわる悠二。  
そして、その勢いのままベットに乗り、悠二の足の上に跨り、ベルトに手を掛ける。  
 
カチャッカチャッ  
 
「…あぅぅ」  
手が震えて上手く外せない。それでも何とかベルトを取り外す。  
すでにフレイムヘイズとしての荘厳な風格はなく、そこにあるのは、ただ顔だけでなく  
体中も真っ赤にした、半分泣きそうな、一人のか弱い女の子だった。  
 
「こ、これを、下ろせば…」  
ズボンに手を掛け、震える手を叱咤して、一気にずり下ろそうと…。  
「シャナ?」  
「ひゃわゎっ!?」  
下ろしかけた手をそのままに、ギギッと首を悠二の顔に上げていく。  
ばっちりと目が合う。  
「……ゆ、悠二?」  
「……あれ?シャナ??」  
ボケっと答えていた悠二の視線が己の下半身に注がれる。ズボンに伸びている手。  
「………」  
「……あ、あの、悠二、その」  
「……夢?」  
「え?」  
「そっか、夢か。シャナがズボンを脱がそうとするなんて、夢でしかないよな」  
「いや、その」  
いきなり夢扱いされ、否定しようにも、自分のしている行為を説明する訳にもいかず、  
どうしたらいいか途方に暮れていると、  
ぎゅぅっ  
「っ!!」  
「でも、せっかくの夢なんだし…」  
身体を起こした悠二の胸の内に抱かれていた。  
 
抱きしめられている。  
そう理解できたのは、いつもは意識していない、悠二の匂い。  
汗を掻いていて、少し鼻をつく、それでも、それゆえに忘れえない匂い。  
息をつく間もない展開に、思考が追いつかない。  
抱きしめられているうちに、身体から力が抜け、悠二に包まれる。  
胸の鼓動がこんなにも激しいのに、この触れられる暖かさ、心地よさに、心が溶かされていく。  
(ダメっ!悠二を助けないと)  
何とか使命を遂行しようと、身体を離そうとし、  
すぅっ  
両頬を、悠二の手に、優しく包まれ、上を向けられる。  
ただ、それだけで、動けなくなる。  
「……やっぱり、シャナって可愛いな……」  
ただ、その一言だけで、身体の力を抜かれてしまう。  
そして、悠二の顔がゆっくりと、近づいてくる。  
視えるのは、迫る悠二の唇。  
唐突に起きる衝動。  
数時間前、悠二へのご褒美の前に起きた、『どうしようもない気持ち』。  
それが胸一杯に溢れ、そして、  
 
――悠二とキスをした。  
 
初めてのキスは、魔法だった。  
悠二の温もりが、熱く強い気持ちを生み出してくれる。  
「………はぁっ」  
悠二の唇が離れ、気づかぬ間に止めていた息をゆっくりと吐く。  
そして、またキス。  
悠二の手が頬から後頭部と腰へ移り、そっと添えられる。  
キスしたまま、悠二に導かれるように、ベットに横たわった。  
 
(夢ってすごい)  
夢だと思うと、強気になれるものだ。  
シャナを抱きしめて、キスまでしてしまうくらい。  
夢とはいえ、とても、極めて現実的な、柔らかく暖かい感触に、普段は言えない言葉が出てくる。  
坂井悠二は、夢の力(本人の考えでは)を借りて、その言葉を、口にした。  
「……シャナ、好きだよ……」  
「……私も、私も悠二が好き」  
自然に溢れ出る言葉。悠二の気持ちがはっきりと今、理解できる。  
シャナ、『炎髪灼眼の討ち手』は坂井悠二の事を愛しているのだと。  
「んっ…」  
もう一度想いを唇が紡ぐ前に抱きしめられ、悠二のそれによって再び塞がれる。  
ちゅっ  
何かがそっと唇を割って入ってくる。  
ちゅっ……ちゅくっ  
それが悠二の舌と分かったのは、自分の舌を絡めとり、転がし、さらに強く吸い上げられてからだった。  
 
「んふ…ちゅっ…ふぅ」  
悠二の舌が一方的にシャナの口内を蹂躙していく。  
「ふぁ…んくっ…」  
導かれるように、シャナの舌が悠二の口内にも入っていく。  
そこでまた嬲られ、唾液と共にシャナの口内に戻る。  
歯茎を撫でまわし、口腔に踏み込み、舌をねぶる。  
「んむ…んんぅ」  
悠二の舌が動くたびに心が溶けていくのを感じる。  
悠二の舌が動くたびに身体が火照るのを感じる。  
この、甘く切ない身体の疼きが全身に行き渡り、さらに激しく燃え上がる。  
「あっ…ひぁっ…んんっ」  
口から首筋へキスが移り、舌での愛撫に変わる。  
ちゅっ……ちゅっ  
悠二に抱き抱えられ、自由に身動きが取れないまま、唇が首筋を這っていく。  
背に手を当てシャツを握り締め、身がよだつ感覚に、さらに身体をすり寄せる。  
「んっ…悠二っ」  
シャナの要望に応えて再び唇を合わせる。  
 
悠二の手がシャナの胸にそっと当てられる。  
ピクンっ  
震えるシャナに、  
「大丈夫だよ」  
と、耳元で囁く。そしてカプっと耳たぶを甘く噛み、耳に息を吹き掛ける。  
「ひぁ!んっ!!」  
身をよじって、刺激に耐えようとしても、悠二の手が伸びてくる。  
「あ、あの、悠二」  
「なに、シャナ?」  
胸に手を当て、もじもじしながら(悠二にとっては、殺人級の可愛らしさ)、  
本人にはとても重要な問題を打ち明けた。  
「その、私、あんまり、胸が、その」  
その、あまりにも不安そうな顔で、あまりにも可愛すぎることを言われると、もう降参するしかない。  
「シャナの胸が好きだよ」  
「…………っ」  
ボッ  
ただでさえ赤い顔がさらに染め上がり、ギュッと悠二にしがみつく。  
 
弾力を確かめるように、指がセーラ服の上から胸を押し、滑らせる。  
服をキャミソールごと捲り上げ、そこにはなだらかな曲線を描いているふくらみ。  
目に付くピンク色の突起。ゆっくりと、撫でまわすように揉みしだく。  
「ん、んん……あっ……」  
乳首を指で軽く挟み込むと、  
「ひゃうっ!んんっ!!」  
自分の喘ぎ声に驚いたのか、右手の人差し指を咥えて声が出るのを防ぎ、左手で顔を隠す。  
そんなシャナの振る舞いに愛しさを感じ、さらに愛撫を続けようと、  
右手で小さなふくらみを乳首と擦るように揉み、もう片方の乳首を口に含む。  
全部口の中にふくらみが入ってしまいそうな、そんな大きさ。  
舌が乳首を舐めまわし、指がやさしく擦り摘む。  
「んくっ!やぁ、くぅん!」  
絶え間なく与えられる快楽は、シャナを快感の高みへと押し上げていく。  
「はぅっ、ダメっ!なんか、くるっ!!んんっっっ!!!」  
ビクンっ  
シャナの身体が大きく震えると、その場でクタっと倒れこんだ。  
「…はぁっ…はぁっ」  
「……シャナ、大丈夫?」  
「……頭が、真っ白になって、身体が、壊れちゃうって、でも、すごく、  
 気持ち、よかった…うん、気持ちよかったよ…」  
まだ、身体中を走る電気のような刺激が残っているが、  
悠二の胸に擦り寄りながら、そっと呟く。  
 
その答えに一層刺激を受け、手をスカートに伸ばしていく。  
「んっ…んむ…」  
激しいキスをしながら、右手でスカートをたくし上げ、左手で綺麗な、  
純白のパンツの上をゆっくり撫でる。  
熱い。そこがさらに別の熱源のように。  
指をスライドしたり、太ももをサワサワと撫で回す。  
「あっんっ、んん」  
緩急をつけた刺激に、下半身から力が抜けていく。  
「シャナ、下ろすよ」  
「…………(こくん)」  
すでに羞恥のあまり、両手で顔を隠している。  
制服の上下とも、ずらしてはいるものの、脱がしてはいない。  
その背徳感とも相まって、妖艶ともいえる光景だった。  
シャナが頷くのを見て、そっとパンツを下ろしていく。  
片足に引っ掛けておいて、シャナの足を撫でてゆっくりと開かせる。  
「……ぅ」  
シャナの秘所が縦に開いて、綺麗な、可憐なピンク色をしていた。  
眩むほどの淫靡な、劣情を感じる情景。  
そして秘所には蜜が溢れ、すでにお尻を伝ってシーツにまで零れ落ちていた。  
「すっごく、綺麗だ…」  
人差し指で少し、秘所に触れてみる。  
「んっ…」  
触れたその部分は柔らかくて、濡れてて、熱かった。  
上下にゆっくり指を動かしてみる。  
「…くぅっ、うぅ」  
また指を噛みながら、ひたすら羞恥に耐えつづける。  
そして、秘所を舌で刺激されたとき、抑えていた声が、一気に吹き出た。  
「ふああぁっ!?ひぅ、んぅっ!」  
 
こんな自分は知らない。  
こんなに淫乱で、快楽に身を任せる、エッチな女だったなんて。  
でも、触れてくれる人がいる。  
知らない自分を見つけてくれて、知らない悠二を見ることが出来て、互いがもっと大切な部分、  
心で通じ合ってるのが分かる。感じる。もっと、もっと、悠二を感じたい!!  
「……はぁっ、はぁっ……悠二」  
「シャナ、シャナの全部が、欲しい……」  
シャナの想いと悠二の想いが一致している事に、自然と頬が緩む。  
「うん…、私の全てを、悠二。受けとめて……」  
その言葉を受け、キスを交し、悠二は下着も含めて全て脱ぎ捨てた。  
「えっ、そ、それが、私の中に入る、の……?」  
はちきれそうになってる悠二の怒張を見て、シャナの顔色が変わる。  
「そうだけど、だ、大丈夫かな?」  
「…っ、わからない、けど、…頑張る…」  
不安そうな顔を浮かべながらも、グッっと握り拳を作るシャナが愛くるしくて、  
抱き寄せて、またキスを交す。  
「…それじゃ、いくよ」  
「んっ…」  
寝転がるシャナの腰を抱え、悠二の怒張をゆっくりとシャナの秘所にあてがう。  
そして、腰を押し進めていく。  
「………っ!」  
シャナが小さな身体で、一生懸命に身体の中に入って来ようとする怒張を受け止める。  
「……っ、……ぅぅ」  
何度もシャナが深呼吸をして、その度にゆっくりと怒張がシャナの中に入り込んでいく。  
秘所から、赤い血が滴り落ちる。  
「…………あぅ!!」  
ずるり、と根元までが一気に、シャナの中に沈んだ。  
 
「悠二…」  
「…シャナ」  
互いに抱き合い、頭や背中をさする。身体を気遣うように。  
「シャナ、大丈夫?」  
「うん、痛いよ…。でも、嬉しい…嬉しいよ、悠二…」  
少し涙顔で、だから笑った顔は綺麗で、健美で。  
そんなシャナに少し申し訳なくて、すごく愛しくて、キスで涙を拭う。  
「少し動くよ…」  
怒張を包む肉壁がとてつもない快感を生み、少し腰を揺すってみる、といった事しか動けない。  
しかし、そんなわずかな刺激でさえも、  
「ああぅっ!んくっ、ん…」  
シャナの悲鳴に似た喘ぎ声が響く。  
まだ痛みを感じさせるその声も、この快楽の前には、逆に潤滑油となってしまう。  
腰の動きが少しずつ、少しずつ大きくなっていく。  
「あっ、あっ、あっ、あっ!」  
リズムに慣れてきたのか、シャナがそれまでの刺激とは違う感覚、快感に、リズミカルに喘ぐ。  
悠二も動きが加速していく。シャナの腰を掴み、大きく打ち付ける。  
思ったよりも大きい音が、部屋に響き渡る。  
「んっ、んくぅ、ふぁっ、あっ、ひゃんっ!!」  
シャナの両手はシーツを握り締め、刺激に耐え忍ぶ姿に一層、腰を激しく動かす。  
揺れて戻るセーラ服を、再び捲り上げて、胸を揉みしだき、乳首を摘み上げる。  
空いた手で、スカートを捲って、秘所にある、小さな突起を指で転がす。  
「やっ、そこはっ、あんっ!は、んあんっ!!」  
もう、限界が近い。  
子宮の入り口なのか、コツコツと先端に当たる感触が伝わる。  
そこに何度も打ち付ける。腰を激しく揺すりながら、シャナに覆い被さる。  
「悠二、もう、んくぅ、だめぇっ!」  
「シャナ!」  
シャナが悠二の背中に抱きつく。その背に爪を立て、自我を押し流す快楽に抵抗する。  
 
「もう、もう!っふぁぁぁぁぁぁ!!」  
 
ぎゅうぅっと締め付けられ、震えるシャナの一番深い場所に、我慢していたものを、  
大量に吐き出した。  
「…あぁぅ…、熱い……ふぁぅ」  
びゅくん、とシャナの中に、精液を送り込んでいく。  
お腹を満たしていく暖かさが、心にも染み渡る。  
やがて、すべて出し終えた悠二が、受け止め終えたシャナが、  
「悠二ぃ、大好き……」  
「好きだよ、シャナ」  
キスを交した。  
長く、長く。  
 
 
 
坂井悠二が目を覚ましたのは、もう日付が変わって幾ばくか経った真夜中頃。  
それほど目覚めの良い方ではないが、今回の夢は飛び起きるほど強烈過ぎて。  
(シャナが僕のズボンを脱がそうとしてて)  
ボンっ!  
夢の序盤を思い出しただけで、顔が真っ赤に染まり、思わず顔に手をやる。と、  
「っつ!」  
背中に鋭い痛みが走る。手をやると、引っかき傷が出来ているようだ。  
ふ、と思い出す。確か、夢の中でも、引っ掛かれてた、ような…。  
「…………すーっ……」  
自分の左手から、人の寝息が、聞こえる。  
理性が声を枯らして『ヤバイ!』と連呼している、そんな凶悪な予感を抱きつつ、左手を振り向く。  
「…………」  
そこには、シャナ。心地よく、安らかに。  
しかも、シーツの上から見る限り、肩まで裸である。  
その様は繊細可憐。その穏やかな寝顔が、パニック一歩手前の悠二を正気に返らせる。  
周りをゆっっっくりと、見渡す。自分の知らない、殺風景な部屋。  
外は闇。夢。見知らぬ部屋。(たぶん)裸のシャナ。総合すると…。  
「あれは、夢じゃ無かった……?」  
 
「……うぅん……」  
悠二の問いに対する、明確な解答を保持しているだろう眠り姫、シャナが目を覚ました。  
悠二の気分は判決を待つ被告の心境である。  
万が一、下手をすれば………………死ぬ?  
「……悠二ぃ、おはよ」  
そんな考えを吹き飛ばす、今までで最高の、坂井悠二しか見ることの出来ない、笑顔。  
その笑顔に、全ての答えがあった。見つけ出せた。  
安堵し、不甲斐無い自分を叱咤する。  
 
そして、鼓舞する。  
 
それは夢から現実へ。  
夢を、夢の続きを、現実にするために。  
ここで宣言をする。  
「シャナ……、好きだよ」  
寝起きからの、いきなりの好意にシャナは頬を真っ赤にしつつも、  
「……うん。悠二、大好きだよ」  
と、華やかな、とても華やかな笑顔で、答え。二人は、キスを交した。  
 
 
 

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