「ここは…なぜ……?」
ヴィルヘルミナが今いるのはまぎれもなく天道宮の自室であった。
「いったいどういうことで……」
頭上にいるはずのティアマトーに意見を求めたが、頭がなぜか軽い。
おそるおそる頭に触れるがそこにいるはずのティアマトーはいなかった。
呼び出そうとしても一向に来る気配がない。
「まったく、何をあわてている」
部屋の扉を開け、ずかずかと入ってきたのは“虹の翼”メリヒム。
かつて、ヴィルヘルミナと先代“炎髪灼眼の討ち手”マティルダ・サントメールは彼らと戦い、
大きな犠牲を払いながらも彼らに打ち勝った。
その戦い以来、マティルダとの約束で新たな“炎髪灼眼の討ち手”を探し、育てるために
存在の力の消費を最小限にとどめるため、骸骨の姿でいるはずであった。
それゆえ、彼が本来の姿でここにいるということはヴィルヘルミナにとって信じられないことであった。
「いったい何用でありますか」
できる限り平静に、動揺を悟られないようにたずねた。
「こんな夜更けに男と女が二人きり、睦み事以外に何がある」
それはヴィルヘルミナにとって衝撃的であった。
メリヒムに彼女は想いを寄せていたが、彼は先代のことが好きだったはずだ。
もっとも彼は振られてしまったわけだが。
「いったい何の冗談でありま……っ!?」
唇を奪われ、放心してしまうヴィルヘルミナ。
彼の舌技の前に恍惚となり、なすがままになってしまう。
「まったく、お前の寝言はうるさすぎるんだ」
「!?」
「『あっ…そこは駄目なのであります、メリヒム……』とか、
『もっと強く抱いてほしいのであります』とか、寝言が大きすぎなんだ。
そのせいで夜までまともに眠れん」
羞恥に顔を背けるヴィルヘルミナ。メリヒムは強引に彼女を顔を自分のほうに向けさせ、
「今日は存分に楽しませてもらう。そうすればしばらくゆっくり眠れそうだからな」
「や、やめるので…はあんっ!」
「何もしてないのにここをこんなにして…ずいぶんと淫乱じゃないか」
言葉攻めを加えながら股間をまさぐる。
抵抗できないままずるずると主導権を握られていくヴィルヘルミナ。
何もできず、ベッドに押し倒され、服を脱がされ、裸にされてしまった。
「なかなかいい肉体をしているじゃないか。戦っているときはよくわからなかったが」
ますます顔を赤らめ、フリーズしてしまうヴィルヘルミナ。だが、固まっていたのはほんの一瞬で――
「あっ!? ひゃわっ!?」
桜色の乳首を優しく舐められ、子供のように吸い付いてくる。
「ひあっ! あっ!」
ビクビクと身体をのけぞらせ、感度よく責めに反応するヴィルヘルミナ。
「これは…面白いな…ほかの部分を触るとどうなるんだ?」
耳の裏側をそっとなめるメリヒム、
「きゃん!」
首筋をなめれば、
「あぁん!」
口をふさぎながらお尻を揉んでやれば、
「〜〜〜〜〜〜!!!」
あっさりと絶頂を迎えてしまうヴィルヘルミナ。
「なんだ? もうイったのか、もっと俺を楽しませてくれ」
「今度は俺も気持ちよくしてもらおうか」
強引に肉棒を口にねじ込む。
「んむっ!?」
「さっさと奉仕しろ」
「(これが…メリヒムの……)ん…ちゃぷ…くちゅ…」
望んだ状況とは違うものの、愛する人のものを咥えている状況に
股間を再び濡らし、太ももをすり合わせながら必死に口を動かす。
「ふん、なかなかうまいじゃないか」
「ん…あむっ……」
我慢できずに手を股間に這わせ、自慰をしながらくわえ込む。
もっと気に入ってもらえるようにさらに激しく口を動かし始める。
「……」
いったん口を離させるメリヒム。ヴィルヘルミナは物欲しそうな目でじっと見つめる。
「我慢できないなら俺がしてやる」
そういって寝転がるとヴィルヘルミナの股間に舌を当てて、
ヴィルヘルミナに自分のものを再び咥えさせる。
「ふぁ…あぁん!」
「ほら、口がお留守だぞ」
中をなめられるたびに身体をびくつかせ、口を離してしまう。
それに耐えながらもフェラを続けるが、
「あぁ…駄目なので…ありますっ!」
再び絶頂に達し、愛液をメリヒムの顔面に放出する。
「まったく、どこをせめてもすぐ感じるやつだ」
強引に腰を動かし、喉奥をつき、強引に射精を行う。
「んんっ、ごほっ!」
精液をこぼしながらも出来る限り愛するもののそれを飲み込んでいった。
「そろそろ入れてやる」
放心して聞いているのかわからないヴィルヘルミナに一言だけ声をかけると
片足を上げ、一物を挿入した。
異物が入ってくる感触に再び正気に戻されるヴィルヘルミナ。
「あっ、あっ、もっと突いてほしいのであります!」
「この淫乱女が……」
「どうした? 締めつけが強くなったぞ? 虐められて喜ぶのか?」
「このMが……」
言葉で責められるたびに喜びを感じ、快楽に身を震わせる。
「そうであります、私はMなのであります、だからもっと……!」
ピストンが早くなる。強引に突かれる度に意識が飛びそうになる。
「あぁっ! あぁーーっ!! メリヒム!!!」
虐められる幸福感を感じながら、意識が闇に沈んでいった……
「ん……」
目を覚ますと、平井ゆかりの、シャナの住む家にいた。
「夢だった……のでありますか……」
確かにそうだ、あんなことは実際にはなかったのだから。
(しかし、あんな夢を見るなんて……)
散々メリヒムに虐められて喜ぶ夢、そんな夢を見てしまった自分に嫌悪感を覚える。
「ねえ、ヴィルヘルミナ」
一瞬で現実に引き戻される。声をかけたのは愛しい自分の娘。
「『もっと突いて』とか『私はM』とか、どういうこと?」
一瞬で顔が赤くなる、夢の中で言ったことをすべて寝言として聞かれていた。
しかも何も知らない自分の娘に。
すっくと立ち上がり、脱兎のごとく部屋から逃げ出すヴェルヘルミナ。
「あ! ちょっと待ってよ!」
ヴェルヘルミナが恥ずかしさから何日もシャナから逃げ続けたのは言うまでもない。