少女は、泣き崩れていた。  
ずっと想っていた相手にフラれてしまった。しかも、相手は『あの』平井ゆかり。  
悔しくて、悲しくて、切なくて…。  
そんな気持ちで胸がいっぱいだった。  
目を真っ赤に腫らせて、とぼとぼと歩く姿はいたたまれない物があった。  
そこへ、聞きなれた少年の声が。  
「吉田さん?どうしたんだ?そんなに落ち込んで…」  
「池、くん…」  
自分が頼りにしていた、少年。  
いつも自分の心配をしてくれた、少年。  
やはりここでも、自分を気にかけてくれる。  
それだけで一美は、また泣いてしまった。  
「池…くん…あのね…あのね…」  
「こ、ここで立ち話もなんだしさ、僕の家に来ない?」  
他人が見たらどう見ても自分が泣かせたように見えるだろう。  
それを避けるため、池は自宅で話を聞こうと思ったのだ。  
「うん…じゃあ、おじゃましちゃおうかな…」  
今は誰でもいいから話を聞いて欲しかった。  
慰めて欲しかった。  
それが見知った少年なら、正直に話ができるだろう、と一美は思った。  
「決まりだね。じゃ、ついてきて」  
二人は池の家に向かった。  
 
二人は池の家に着いた。  
「ま、汚いとこだけど上がってよ」  
「おじゃまします…」  
(男の人の家に来るなんて……初めて)  
若干の不安と好奇心を胸に、一美は池の家に入った。  
中には誰もいなかった。  
両親は毎日仕事で忙しく、帰宅はいつも深夜だという。  
兄弟もいないので、今池の家にいるのは二人だけだった。  
一美は池の自室に案内された。  
中は整然としており、机には教科書や雑誌が並べられていた。  
ベッドも整えられていて、まるで使っていない様にも見える。  
「何にもない所だけど、ゆっくりしていって。あ、お茶持ってくるね」  
「あ、いいよ…そんな」  
「気分を落ち着かせるには、お茶でも飲んで一息ついた方がいいと思う。ちょっと待っててね」  
「うん…分かった」  
彼の物言いには妙に説得力があるので、一美は頷いてしまった。  
池が部屋を出ると、一美は『彼』と平井ゆかりの抱き合う姿を思い出してしまい、また落ち込んでしまった。  
(坂井君…)  
自分はこれから彼とどう接すればいいのだろう。  
今までと同じように話せるだろうか。  
何かひどいことを言ってしまわないだろうか。  
一美はそれが不安で仕方がなかった。  
 
そんなことを思っているうちに、池が戻ってきた。  
「お待たせ。砂糖とミルクは好みでね」  
と言って彼は、お盆にのった紅茶のカップを置いた。  
一美は砂糖とミルクを適量入れて紅茶を飲んだ。  
温かく、とてもおいしかった。  
一口飲んでため息をつき、カップを置いた。  
自分の紅茶を飲みつつ、池は聞いた。  
「…何があったか、聞いてもいいかな」  
「うん…」  
一美はぽつぽつと話し始めた。  
「私、坂井君に告白したの。ゆかりちゃんもいて、ゆかりちゃんも坂井君が好きだって言って…。  
それで、坂井君に聞いたの。どっちが好き?って…。そしたら…」  
また一美の目が潤んできた。  
「あー、言いたくないなら言わなくてもいいからさ、ね?」  
あまり彼女を泣かせたくない池は、宥めるように言った。  
そこまで聞いて池は察した。  
彼女はフラれてしまったのだろう、と。  
今にも泣きだしそうな声で一美は続けた。  
「こんなに、坂井君が好きなのに、私、フラれちゃった…これから私、どうすればいいの!?」  
一語一語強調するように言って、また彼女は泣いてしまった。  
「吉田さん…」  
池には彼女の悲しみが痛いほど伝わってきた。  
 
今はへたに慰めるより好きなだけ泣かせたほうがいいかもしれない、と池は思った。  
その方が気持ちが晴れるかもしれないし、どうやって慰めていいかも分からない。  
「隣、いいかな」  
「…うん」  
彼女の了承を得ると、池は一美の隣に移動した。  
彼はなおも泣き続ける彼女をそっと抱いて、言った。  
「今は、好きなだけ泣けばいい。多分、その方がすっきりするから…」 
「あり、がとう…う、うっ、うっ…」  
池は自分の腕の中で泣く彼女の悲しみを少しでも減らせたら、と思い少し強く抱いた。  
服に涙が染みて濡れてしまったが、そんなことはどうでもよかった。  
数分そうしていた二人。  
一美はやっと泣き止み、池から離れた。  
「ありがとう…ごめんなさい…」  
「いいんだよ。僕の方こそごめん。勝手なことして…」  
「ううん…嬉しかった…」  
「ありがとう。また何かあれば、僕の所へ来ればいい。いつでも相談に乗るよ」  
「うん…」  
これで大丈夫だろうと池は思ったが、その後の彼女の発言は、彼にも予想ができなかった。  
「池君…もしよければ、もう一回抱きしめて欲しいの…」  
「えっ?」  
「お願い…」  
「う、うん」  
言われるままに池は一美を抱きしめた。  
 
改めて抱いてみると、彼女の体温や胸のふくらみが直に伝わってきて、かなり恥ずかしい。  
どうにか理性を抑えるが、いつ限界がきてもおかしくなかった。  
「男の人の腕の中って、こんなに温かいんだ…」  
一美の一言で池の中で何かが弾けた。  
「吉田さん、目、閉じて…」  
「うん…」  
池は彼女を腕から離し、そっと口づけた。  
「…!」  
唇を離して池はまず謝った。  
「…ごめんっ!」  
「池…君」  
「その、えっと、とにかく、ごめんっ!」  
慌てる池に一美はこう言った。  
「…ううん、いいの。池君には、いっぱいお世話になってるし…ちょっとびっくりしたけど」  
てっきり怒られると思っていた池は拍子抜けした。  
「…えっ?」  
「池君になら、いいかなって…」  
再び池の中で何かが弾けた。  
「じゃあ、こんなことしても、いいんだね?」  
そう言って池は一美をベッドに押し倒した。  
「あっ…」  
「吉田さんは、無防備すぎる。恋人でもない男の家に入るなんて…こんなことをされてもおかしくないんだよ?」  
「…」  
「失恋してヤケになってるのかもしれないけど、そんなことでいいの?僕にひどいことされても、いいの?」  
池は諭すように言った。  
 
豹変した彼を見ても一美は平然と言った。  
「信じてるから。池君のこと、信じてるから…」  
「…!」  
「だから…えっちなこと、してもいいよ…」  
「分かった…」  
池は彼女の服を脱がし、ブラをたくし上げた。  
すると、豊かな双丘が現れた。  
池はそれに触れ、ゆっくりと揉んだ。  
「あっ…」  
(うわ…柔らかい…)  
初めて触れる女性の乳房の柔らかさに驚く池。  
続けて少し強く揉んだ。  
「あっ…ん…」  
「痛かった?」  
「ううん、なんか、じぃんってして…痛いとかじゃないの。なんか、不思議な感じで…」  
彼女の感想に池はこう答えた。  
「それは多分、気持ちいいってことなんだと思う」  
「そうなの…?」  
「うん」  
言い切って、池は愛撫を続けた。  
揉んでいるうちに、先端の綺麗な桜色をした突起がしこってきた。  
池はそれに口づけ、口に含んだ。  
「あっ…」  
舌で乳輪をなぞり、乳首を吸う。  
「うっ…んん…」  
彼女が感じていることを確認すると、池はちゅうちゅうと赤ん坊のように乳房を吸った。  
「あん…ん…ん…」  
それすらも彼女には快感になるらしく、甘い声をあげる。  
 
「ぷはっ、気持ちいいみたいだね。こんなに固くなってる」  
池は一美の乳首から口を離し、代わりに指で摘んだ。  
「ん…や…言っちゃ…」  
「ふふっ、ごめんごめん。つい…」  
池は片手を徐々に下腹部に向かわせ、片手は胸を揉みしだいていた。  
「はぁ…ふ…」  
一美が甘い声をあげる度、池の脳髄が痺れるようになる。  
(吉田さん…胸弱いんだ…)  
彼女の胸の弾力を味わいつつ、池は思った。  
手が下腹部に到達すると、池は一美に聞いた。  
「脱がしても、いいかな?」  
「…あんまり、見ないでね…」  
それを了承と判断し、池はショーツを脱がした。  
そこには、きれいなピンク色をした秘部だけがあった。  
要するに、ヘアがないのである。  
「変だよね…そこにまだ生えてないなんて…」  
恥ずかしそうに言う一美に池はこう答えた。  
「変なんかじゃないよ。とっても綺麗だ」  
「ほんとに…?」  
「うん。ほんとに」  
「よかった…」  
一美を安心させた池は、そこに触れた。  
触れだけなのに、かなり大きな反応が返ってきた。  
「ひゃうっ!?」  
「あ、ごめん…痛かった?」  
「ううん、そうじゃないけど…何か、びりって電気が走ったみたいに…」  
あやふやな表現だが池は察した。  
 
彼女は、感じてくれている、と。  
でなければ、拒否反応を起こすはずだから。  
池は、割れ目に沿ってそこを指の腹で擦ってみた。  
「ひゃっ、あうっ!?」  
「敏感なんだね…吉田さんは」  
「う…そう…かな…?」  
「うん。すごい反応してる」  
続けてそこを擦ると、またしても一美は嬌声をあげた。  
「あくっ、ふ、うんっ!」  
ここを舐めたらどんな反応をするだろうと思いつつ、池はそこに舌を這わせた。  
「ひゃん!池、くん、そんな、とこ、なめたらぁ…」  
「気持ちよくない?」  
「ううん…でも、何か…くるみたいな…変な感じ…」  
「それじゃ、もうすぐだね。僕も、もう我慢できないから…」  
池は素早く下半身だけ裸になる。  
「いれても、いいかな?今なら、まだやめられるよ」  
その問いに一美はかぶりを振った。  
「最後まで、して…じゃないと、私だけ…」  
「分かった。…じゃ、いくよ…」  
池は猛った自身を一美の秘裂にあてがった。  
ゆっくりといれていく。  
亀頭が収まったところで、一美が声をあげた。  
「く…うぅっ…」  
「ごめん、痛いよね…すぐ終わらせるから…」  
池は一気に自身を突き入れた。  
 
「あぁぁぁっ…!」  
「くっ…」  
全部収めると、池は言った。  
「入ったよ…吉田さん」  
「あ…うん…池君が、私の中にいっぱいになって…」  
「しばらくこうしてようか?」  
「ううん、池君の好きにして…」  
「分かった…動くけど、どうしても痛かったら言うんだよ?」  
そう言って池は動き始めた。  
「んっ、くっ、うっ、うぅっ…」  
「っ…」  
一美のそこはきつく、食いちぎらんばかりに池を締めつけた。  
一美はまだ破瓜の痛みがあるようで、快感を得るまでには至っていないようだ。  
(くっ、このままじゃ、僕が先に…っ)  
そんな危機感を感じた池は一旦動くのをやめ、一美の痛みがとれるよう胸を揉んだ。  
「んっ、うん…いけ…くん…?」  
「すこしでも、痛くないように、ね…」  
池は少しの間胸を揉み、それにあわせて動いてみた。  
「あっ、ふぅっ…んんっ…」  
「…どう?少しは、痛くなくなってきた…?」  
「ん…だいぶ…楽な…かんじ…」  
「っ…よかった…」  
池はそれを続け、彼女も快感が得られるよう努めた。  
「はぁっ…ん…う…あ、くる…なんか、くるっ…」  
「くっ、僕も、もうっ…」  
彼女がイキそうなことを察し、池は先ほどまでより激しく動いた。  
 
「はっ、あっ、んっ、あぁっ!」  
「くぅっ…!」  
程なくして、二人は絶頂に達した。  
「あっ、あぁぁぁぁっ…!!」  
「くっ、でる…っ!」  
ぎりぎりで池は自身を引き抜き、腹部から乳房にかけて精を注いだ。  
「はぁ…あつ…い…」  
 
二人は心地よい余韻を楽しんだ後、後始末をして、居住まいを正した。  
「ごめんね…あんなになって…」  
「ううん…池君は悪くないよ…。私が望んだから、ああなっただけ…それに…」  
「?」  
「池君のことも、好きだから…」  
「…え?」  
「坂井君のことは、もういいの。池君に慰めてもらったから…」  
「そっか…」  
一美は、改めて言った。  
「これからはよろしくね。池君」  
「こちらこそ。よろしく」  
その時、池は部屋の時計を見て言った。  
「もうこんな時間か…帰らないと家の人が心配しない?」  
「うん、もう帰るね」  
「送っていこうか?」  
「すぐ近くだし、大丈夫。一人で帰れるから」  
「そっか。じゃ、また明日…」  
「うん。また明日」  
こうして一美は池の家を後にした。  
 
少女は大切なものを失った。  
だが、同時に大切なものを得た。  
世界は、今日も全てを、見守っている。  
〜Fin〜  

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