シャナと悠二が事に及んだ翌日。
千草はシャナの声が聞こえたと言って、二人の関係を知っていた。
驚く二人だが、千草は何を今更といった風情で、くすりと笑いながら朝食の支度をしていた。
「僕達、そんなに大きい声出してたっけ…?」
「千草に聞こえてたぐらいだから、出してたのね…」
二人とも赤面しながら囁きあっていた。
程なくして朝食ができあがり、二人の前に出された。
赤飯と味噌汁、卵焼きにトマトとレタスのサラダだった。
赤飯以外は朝の定番メニューだったが、なぜ今日は白飯ではなく赤飯なのか。
「だって、二人が初めて結ばれたんだから、お祝いしなくちゃね」
千草はそう言っていた。
悠二は苦笑しつつ、シャナは嬉しそうに朝食を食べ始めた。
にこにこしながら二人を見つめる千草。
ふと、千草はシャナに聞いた。
「シャナちゃん、これからもずっとうちにいたくないかしら?」
「えっ?」
「悠ちゃんと結ばれたんだから、一緒にいたいでしょう?」
今まで何度かその話はあった。
その都度断ってきたが、悠二と約束したのだ。ずっと一緒にいる、と。
「うん。私、悠二と一緒にいたい」
「じゃ、決まりね」
かくして、シャナの居候が決まった。
朝食を終えて悠二と共に部屋に戻ると、シャナは言った。
「そういうわけだから、よろしくね。悠二」
「うん…それはいいんだけど。寝る部屋はどうするの?」
「悠二の部屋じゃ駄目なの?千草もそれがいいって言ってたけど…アラストールはどう思う?」
胸元に隠していたコキュートスに話しかけるシャナ。
「我もそれに同意だ。奥方も納得しているしな。それに、約束したのだろう?一緒にいると」
アラストールにも同意されたとあっては悠二も認めざるを得ない。
一緒にいたいのは確かなのだが、照れくささが先にでてしまい、喜んで賛成、とはいかなかったのだ。
「そういえば、千草が話があるって言ってたんだ。行ってくるね」
「うん。僕は部屋で待ってるね」
「我もここに残ろう。女同士で話すこともあるやもしれぬからな」
「分かった。それじゃね」
コキュートスを悠二に預け、シャナは部屋を出た。
部屋に残った二人は、何もしていないのも退屈なので話をすることにした。
「アラストールってさ、なんか変わったよね」
「我がか?」
「うん。前より優しくなったような気がする」
アラストールは少し驚いた様子だったが、淡々と言った。
「ふ、そうかもしれんな…。我とあの娘はここへ来てからというもの、随分変わった。
そう、お前という“ミステス”を見つけてからな…」
淡々としていながらも、どこか感慨深げに言うアラストール。
「あの娘はここで“シャナ”という通称と恋人を、我は人間についての知識を、それぞれ得たと言えよう」
「そう…だね。僕もシャナ達が来てから、随分変わったと思う」
悠二は恋人という言葉に少し照れながらも、自身の今までを振り返った。
二人(?)が来るまでは、ごく普通の高校生だった。
だが、“紅世の徒”という化け物に襲われ、『坂井悠二』は死んでしまった。
シャナが来たばかりの時は、驚きの連続だった。
自分はとうに死んでしまっていること。
“紅世の徒”やフレイムヘイズのこと。
自分が“ミステス”という特殊な“トーチ”であること。
その他にも沢山あるが、いちいち挙げるとキリがないので割愛。
(いろんなことがあったよな…)
思い返せば沢山の出来事の上に『今』という状況が成り立っている。
悠二は感慨深くなりつつ、アラストールとの話を続けた。
一方、千草とシャナは居間で話をしていた。
「ねえ、シャナちゃん。夕べはどういう状況でああなったのか、聞かせてくれないかしら?」
「う、うん…」
どちらかが無理矢理迫ったのではなかろうか、と心配した千草は、シャナに詳しい説明を求めた。
「私が千草に話してもらったキスの話を思い出してたら、悠二がお風呂からあがってきたの。
それで、悠二にその話をして、悠二と誓ったの。ずっと一緒にいようって。
悠二とキスしてから、ああなったの…」
「なるほどね。それを聞いて安心したわ。お互いの合意があってああなったのね」
千草はホッとした。どうやら自分の心配は杞憂だったらしい。
「安心したって、どういうこと?」
「悠ちゃんがシャナちゃんを襲ったんじゃないかって。まぁ、悠ちゃんにそんな度胸があるとも思えないけど…」
「もしそうなったとしても、悠二を返り討ちにして終わりよ」
「そうよね。余計な心配だったわね」
当人がいないことをいいことに、二人とも言いたい放題である。
そうだ、と千草は二つ目の話しに移った。
「昨日は、悠ちゃんにリードしてもらったの?それとも、シャナちゃんがリードしたの?」
聞かれて顔を紅潮させるシャナだが、素直に応えた。
「悠二にリードしてもらった、かな…」
「そう。なら、今度はシャナちゃんがリードしてみるっていうのはどうかしら?」
「えっ…私が?」
「うん。されるだけじゃなくて、する方にまわるのも、いいものよ?」
シャナは不安そうにしていたが、ちょっとした好奇心も生まれていた。
こちらからするというのはどういう物なのか、シャナは千草に訊ねた。
「悠ちゃんに胸触られたでしょう?男の子も同じはずだから、乳首を舐めたりしてあげると気持ちいいのよ」
「そうなんだ…」
千草はうんうんと頷いて続けた。
「あとは、悠ちゃんのをさすったり舐めたり咥えたり。優しくしてあげれば、喜ぶはずよ」
シャナもコクコクと頷きながら、熱心に千草の話を聞いていた。
「仕上げは、騎乗位ね」
「騎乗位?」
「そう。シャナちゃんが上になって、悠ちゃんのを挿入するの。それで上下に動いたりして、お互いに気持ちよくなるの。
うん、こんなところかしら」
千草が説明を終えると、最後に一つだけ、と言って付け足した。
「昨日したときの気持ちを忘れないでね。悠ちゃんを、大切にしてあげて。鈍感で優柔不断だけど、いい子だから」
「うん。分かってる。千草、ありがとう」
シャナがぺこりと頭を下げると、千草は言った。
「いいのよそんな。こういうことで困ったことがあったら、いつでも言ってちょうだい」
「うん。そうする」
話が終わって時計を見ると、もう昼食の時間だ。
あら大変、と言って千草は昼食の準備を始めた。
シャナは悠二とアラストールの待つ部屋へ戻っていった。
(今日のお夕飯は精のつく物を食べさせてあげましょ。ふふっ、今日の夜が楽しみだわ…)
妖艶な笑みを浮かべつつ、千草は昼食を作り始めた。
昼食はラーメンだった。シャナは昔ヴィルヘルミナと一緒に食べた物を思い出していたが、あの頃食べた物より数段美味しかった。
悠二も美味しそうに食べている。
こうした平和な日常はいつか壊れるかもしれないが、今はそんなことを心配していても仕方がない。
シャナは黙々とラーメンをすすっていた。
昼食が終わり、千草は食器を片付けた後夕飯の買い物に出かけた。
シャナはさらなる性の知識を得るため、近所の本屋に出かけた。
悠二は特にすることもなく、部屋でのんびりとしていた。
坂井家の昼は、こうして過ぎていった。
そして夜。
千草が張り切って料理を作ったため、いつもより多くなってしまったが大した問題にはしなかった。
その料理というのも、ウナギ、スッポン、マムシといった精力増強の料理ばかりで、悠二はゲンナリしていた。
(こ、これって…今夜もしろってこと…?)
別にシャナを抱くのが嫌なわけではない。
ただ、ここまでお膳立てをされてしまうといささか気が引ける。
シャナの方はといえば、大して気に止めることもなく料理を食べている。
料理に手をつけずにいる悠二の様子を訝しんだシャナは、悠二に声をかけた。
「悠二?」
「あら、せっかく悠ちゃんのために作ったのに、食べないの?」
「いや、食べるけど、これって…」
悠二の言葉を受けて千草が得意げに言った。
「ふふっ、今日は二人のためのスペシャル料理なの。おかわりあるから、どんどん食べてね」
母の笑顔に気圧され、悠二はようやく食べ始めた。
しばらくして、悠二より先に食事を終えたシャナは「お風呂に入ってくる」と言って浴室に向かった。
シャナがいなくなった後、悠二は千草に訊ねた。
「…母さん、何か企んでない?」
「あら、私が何を企むって言うの?」
「いや、こういうあからさまなことされると、かえってやりづらいかなって…」
「そうね。若い悠ちゃんにはいらないかもね。ふふっ」
クスクス笑う母をよそに自分も食事を終え、自室へ戻った。
そこで悠二はぼそりと呟いた。
「全く、母さんは何考えてるんだか…」
「奥方と何かあったのか?坂井悠二」
アラストールが悠二に訊ねた。
「母さんがさ、明らかに今日もやれっていう夕飯にするから、何だか気が引けちゃって…」
「ふ、なるほどな。しかし、期待には応えるのであろう?」
アラストールにしては珍しく、悪戯っぽいニュアンスを含んでいる。
そんなことは気にもせず、悠二が答えた。
「まあね…しなかったら元気が有り余るだろうし、母さんに何言われるかわかんないし…」
「では、今夜もシャナをよろしく頼むぞ。坂井悠二」
「うん」
そんな会話をしているうちに、シャナが風呂からあがってきた。
昨日とは違うパジャマを身につけ、バスタオルで髪を拭いている。
しっとりと濡れた髪はシャンプーのいい匂いを含んでいて、何とも艶めかしい。
パジャマは可愛らしいピンク色の物で、シャナの美しさを引き立てる。
悠二がそんな彼女に見とれていると、シャナが口を開いた。
「うーん、いいお湯だった。悠二も入ってくれば?」
「あ、うん。入ってくる」
悠二はそそくさと部屋をでて浴室に向かった。
シャナはコキュートスを身につけ、アラストールに話しかけた。
「ねえ、アラストール。悠二と何を話してたの?」
「坂井悠二は、我らが変わった、と言っていた。我もそう思うが、お前はどう思う?」
アラストールが逆に問いかけると、シャナは少し考えて、言った。
「確かに、変わったわね。悠二と会う前は、こんな気持ち知らなかった。
ただフレイムヘイズとして、徒を討滅することだけ考えていた…」
シャナが答えると、アラストールはうむ、と頷いた。
「そうだな。お前はただ使命に忠実だった。だが今はどうだ。
フレイムヘイズとしてはふぬけたかもしれんが、人間的に成長したと、我は思う」
「そうかなぁ…」
「うむ。人間というのは恋をすると精神的に強くなれるらしい。丁度今のお前のように」
珍しくアラストールが自分を褒めている。
シャナはどうにも照れくさくなり、頬を染めて俯いた。
と、そこへ悠二が戻ってきた。
淡い青色のパジャマを身につけている。
きっと千草が選んだものだろう。それは悠二によく似合っていた。
「待たせてごめんね。シャナ」
「ううん、いいの。アラストールと話してたから、退屈しなかったし」
悠二が戻ってきたのでコキュートスは再び携帯電話に戻され、千草のところに運ばれていった。
それが終わると、シャナは悠二の隣にぺたんと座った。
「ねえ、悠二。私、悠二には感謝してるの」
「え?」
「だって、私にこんな素敵な気持ちを教えてくれたもの。好きだって気持ちを…」
シャナは少しだけ赤面して悠二と向かい合った。
「大好きよ。悠二」
「…うん。僕も、大好きだよ。シャナ」
シャナは悠二の顔を両手でそっと押さえ、キスをした。
「ちゅっ…ん、ふ…」
「わっ、む…ん…」
突然のキスに悠二は驚くが、入ってきた舌にはしっかり応じた。
そのまま深いキスになる。
「んっ、んむ…んん…」
「ちゅ…む…ん…」
唇を離すと、悠二は言った。
「…びっくりしたよ」
「ふふっ。今日は、私の方からしたいの…。ダメ?」
それに悠二は首を横に振って答えた。
悠二の了承を得たシャナは彼をベッドに横たえ、パジャマを脱いだ。
美しい四肢となだらかなふくらみが露わになる。
悠二のパジャマも脱がせた。
逞しいとは言い難いが、無駄な贅肉もついていない。どちらかと言えば華奢な方だった。
悠二の下腹部の辺りに跨り、胸板を舐めた。
「っく、くすぐったいよ…シャナ…」
「我慢して。悪い感じじゃないでしょ?」
「う、うん…」
シャナに諭され、くすぐったいのを何とか我慢する。
すると、今度は薄布越しにシャナの割れ目が押しつけられる。
思わず悠二は声をあげてしまった。
「くっ…あっ…」
「悠二、気持ちいい?」
「ん…悪い感じじゃ、ないけど…何か、変な感じだよ…」
「直に良くなるわ。じっとしててね」
そう言ってシャナは再び悠二の胸板を舐め、下腹部を擦りつけた。
「く……ぅ……」「んっ……ん……」
悠二もなにがしかの反撃をしたいところだが、身体に力が入らない。
「んっ……悠二…我慢しなくていいから、いっぱい気持ちよくなって…」
「っく……シャナ…」
擦りつけられている下腹部が熱を持ち始め、じわりじわりと湿ってきた。
シャナは上体を起こし、悠二の手を自分の胸に当てた。
悠二はシャナの意を理解し、当てられた手を動かした。
「あ…ん…っ」
まず悠二は、ふくらみ全体を撫で、それと同時に手のひらで先端の突起を刺激した。
「んんっ……はぁっ…」
次に、先端のしこりを指で摘み、くにくにと揉むように動かした。
「ひゃんっ!ふぁっ…いいよ…ゆうじぃ…」
シャナの嬌声を聞く度に、先ほどまで刺激されていた悠二の肉棒がピクリと動き、シャナを求めていた。
「んぅ…悠二…今度は、私が…」
それを察知したシャナは悠二の手を退け、彼の下布を脱がした。
「わ、もうこんなに…」
悠二の肉棒はこれ以上ないくらい勃起し、ピクピクと脈打っていた。
シャナはそれに手を添え、しゅにしゅにとしごき始めた。
「うぁっ……」
たまらず声をあげてしまう悠二。
続けてシャナは根本の辺りに手を添え、先端に口づけた。
「く……ぅ…」
(ああ、悠二が、喜んでくれてる…嬉しい…)
その喜びを噛みしめつつ、シャナは鈴口を舐め、亀頭を口に含んだ。
その後シャナは裏側に舌を這わせつつ、そろそろと顔を上下に動かした。
「あむっ…んふ…んっ、んっ、ん…」
「くぅ…っ、うぅ…」
シャナの拙い奉仕にも敏感に反応し、くぐもった声をあげる悠二。
今にも絶頂に至ってしまいそうなところを懸命に堪えている。
その間にも、シャナの奉仕は続く。
亀頭をしゃぶり、括れを舐め、全体を唇でしごく、を繰り返すシャナ。
まだまだ拙い動きではあるが、悠二に快感を与えるには十分だった。
「んむ…ちゅっ…んふ…」
「うぁっ……くっ…シャ…ナっ…」
とうに限界は超えていた悠二だが、このままではシャナの口内に出してしまうと思うと、快感に身を任せることは出来なかった。
しかし、そんな我慢も長くは続かなかった。
「うぁ…っ、シャナっ…でる…っ!」
「ん…ひいよ、ゆうひ…おふひのなはに、らして…」
悠二の剛直を咥えたまま、もごもごと言うシャナ。
それが引き金となり、悠二はシャナの口内に精を吐き出した。
勢いよく出てきた生温い液体が喉に直撃し、むせるシャナ。
しかし、逃がさないようにこぼしてしまった分を両手で受け止め、全て飲み下した。
「はぁ…っ、シャナ…ごめん…」
「ん…いいのよ、悠二が謝らなくても…」
かすれた声で言う悠二に、シャナは首を横に振った。
シャナが再び悠二の肉棒に触れると、それはまだ硬度を失っておらず、シャナを求めている。
「ふふっ、まだ元気…」
再び触れようとするシャナの手を遮り、悠二は言った。
「シャナ…僕、シャナが欲しい…」
「うん…。私も悠二が欲しいから、するね…」
シャナは悠二の剛直を自分の秘唇にあてがい、入れようとするが愛液で滑ってしまい、なかなか入らない。
「シャナ…自分で開けば、入ると思う」
「うん、分かった…」
悠二の助言を受けたシャナは自身の秘部を指で左右に押し広げ、悠二の剛直をあてがった。
すると今度はするりと入り、そのまま腰を下ろしていった。
「あぁっ…悠二…悠二が…入ってくる…」
「うん…シャナの中、きつくて…最高だよ…」
心地よい一体感と充足感を味わいつつ、二人は快感に溺れていった。
シャナがゆっくりと腰を上下に動かすと、膣内の襞が悠二の剛直を撫で、締め付ける。
最初はゆっくりだったシャナの動きも、だんだんと激しくなってくる。
「あんっ…あっ、はぁっ、はぁっ、あぁっ!」
「くぁ…っ、シ…ャ…ナ…っ…!」
室内には二人の媚声と淫らな水音だけが響いていた。
「ふぁっ…!悠二…ゆうじぃ…」
「くぅ…シャナ…シャナっ…」
互いの名前を呼びあう二人。
それが魔法であるかのように。
やがて、絶頂が訪れる。
「あぁっ…悠二…わたし…もう…っ」
「っく…、僕も、もう…」
シャナは悠二を求めて激しく腰を振り、悠二もシャナを求めて腰を動かす。
そして、それは来た。
「あぁっ…はぁっ…あっ、ふぁぁぁ…っ!!」
「く…は…うぁ……っ!」
凄まじい快感の嵐が二人を襲う。
悠二は多量の精をシャナの膣内に放った。
「あぁ…悠二が…いっぱい出てる…」
シャナは恍惚とした表情でそれを受け止めた。
▽ ▽ ▽
心地よい余韻に浸る二人。
二人は結合したまま抱き合い、深いキスを交わす。
「ちゅ…ん…ふ…」
「んむ…ん…ふぅ…」
シャナは自分の膣内の悠二が再び勃起したことを感じ、ゆるゆると腰を揺すり始めた。
「あ…シャナ…」
「悠二…もう一回…ね?」
悠二はシャナの求めに応じ、彼女に身を任せた。
「いくわよ…悠二…」
シャナはそう言うと激しく腰を揺すり始めた。
一度火がついた快楽の炎はアラストールもかくやという凄まじさで、二人の身を焦がしていった。
「はぁっ、はぁっ、あぁっ……ゆうじぃ…いいよ…すごくいい…」
「うん…。僕も…すごくいい…」
睦言を交わす二人。
この瞬間は、何よりも幸福な瞬間だった。
「悠二……好き…、大好き…っ!」
「シャナ……僕もだよ…。大好きだ…っ」
息を荒くしながらお互いの愛を確認する二人。
やがて、二度目の絶頂が二人を襲う。
「ひぁっ…はぁぁ…っ…ゆう…じ…っ!」
「く…、はぁ…はぁ…うっ…!」
達すると、激しく腰を揺すっていたシャナもくたりと脱力し、悠二にもたれかかる。
悠二は自分の中の“存在の力”が回復していくのを感じた。
零時を回ったのだ。
それと共に精力も回復するため、シャナと結合している悠二の肉棒はあっと言う間に硬度を取り戻した。
「あ…もう零時になったのね…」
「うん…。シャナ…もう一回、いいかな?」
「うん。悠二となら、何回でも…」
二人の夜はまだまだ終わりそうになかった。
そして、翌日。
「うー…腰が痛い…」
「ほら悠二。しゃきっとしなさい。千草が待ってるわよ」
昨夜の乱れぶりからは想像も出来ないくらい元気なシャナに対して、気だるそうに歩く悠二。
「待ってよシャナ…あいてて」
どうにか千草のいるキッチンまで歩いていくと、いつもの笑顔を浮かべて千草が待っていた。
「あら、おはよう二人とも。夕べはずいぶん激しかったみたいね」
当然のことのように言う千草に、悠二は言った。
「母さん、シャナに何か吹き込んだでしょ…」
「あら、いけなかったかしら。私はちょっとアドバイスしてあげただけよ?」
「やっぱり母さんか…」
がっくりとうなだれる悠二に、シャナは言った。
「確かに千草から助言を貰ったけど、後は独学だから大丈夫よ。悠二」
「そういう問題じゃなくてさ…」
これからこんな毎日が続くのか、と思うと悠二にどっと疲れが湧いてきた。
(まぁ、いいかな…シャナと一緒なら…)
苦笑いを浮かべつつ、そんなことを思う悠二だった。
平和で幸せな毎日。
それはいつまでも続くものではないかもしれない。
しかし、確かにある。
世界は、今日も変わらず動いている。
〜Fin〜