『バッドエンド』
フレイムヘイズは、恨みを原動力としている。
坂井悠二もその端くれだった。
彼には世界のバランスなどどうでもよく、ただ徒を殺すことのみを使命としている。
全てが徒に壊されたのだった。
家族も、友達も、仲間も、愛する者も。
だから、世界のバランスなどどうでもよかった。
『炎髪灼眼の討ち手』の名前は、世界のバランスを守るものから、
死神の代名詞に変わった。
「…シャナちゃんのこと、考えてる?」
緒方は、隣で顔をしかめて腕枕をしている男に聞いた。
「あんな女忘れた。お前のほうが好きだよ、やらせてくれるし。」
すっかり変わってしまった悠二は、その問いを、へらへら笑いながら、
けだるそうに返す。
「もう、そういうことばっかり…」
最近、体を重ねることが多くなった。
緒方は、寂しさを紛らすために使われていると感じていたが、それでも拒否しなかった。
「お前だって、田中のこと考えてるだろ?」
「そんなことないもん。何十年前の話よ?」
緒方は、田中のことはもう吹っ切っている。悠二と違って、本当に思い出せない。
彼女は、シャナのような、「恨み」のない、特殊なフレイムヘイズだった。
「あたし、やっぱりあの刀使うの、止めるよ」
緒方は、トーガを纏って切り込む接近戦タイプのフレイムヘイズになった。
悠二は、紅蓮の炎を操る自在師となっていた。
二人は、組んで戦う珍しいフレイムヘイズだった。
「何で?接近戦には滅法強い武器なのに。自在法の干渉を…」
「そうじゃなくて、悠二、戦闘中にシャナちゃんのこと考えてボーっとしてるよ?」
緒方は、悠二を愛していた。だから彼が贄殿遮那を振るう自分に見惚れているのは、
複雑な気分であった。
「遠巻きなんだからいいだろ?」
「だめ!最近ひどいんだから。本当に死ぬよ!?」
悠二に死んでほしくない。そんな事を言っても、煙たがられるだけだから、言えない。
「わかったよ、ボーっとしないから……、ね?」
悠二は泣きそうになった緒方を抱き締めて言う。
「でも、あの刀は使ってくれ。危なっかしくて見てられない。」
悠二は緒方をシャナに見立てたのではなく、戦闘用の必要として
贄殿遮那を渡したのであった。
「確かにシャナのことは思い出す。でも、お前にも死んでほしくない。」
緒方に優しい言葉をかけたのは久しぶりだ。
「なにそれ、優柔不断」
「うるせぇ、性癖だ。それにもう迷ってない」
「なにが?」
「マルコシアスに聞いてくれ」
悠二は、そのままそっぽをむいて寝てしまった。
緒方は、ベッドから出てマルコシアスを探す。
「マルコシアス、悠二からなんか聞いてない?」
どんな状況でも彼は、お気楽さを忘れない。
「ん〜?マタケお嬢ちゃんに、プレゼントだとよ、ヒッヒ、真ん中開けてみ」
「?」
緒方はマルコシアスの中から、一つの箱を取り出した。
「これ……指輪?」
「奴が真面目に働いて貯めた金で買ったものだ。…ふん、奴も更正する気になったか」
アラストールが、悠二を誉めるのは珍しい。
「プレゼントは心だってよ、ヒッヒッヒ、幸せモンだなぁ、おめーはよ?」
緒方は声を上げて泣いた。
寂しさを埋める代用品だと思っていたのに。
それだけでよかったのに。
嬉しくて、嬉しくて、しょうがなかった。
「良かったなぁ、『自分はダッチワイフでいい』とか言ってたくせにブッ」
「うっさいバカマルコ!…うっ、うっ、うわあぁぁぁん…」
悠二「という夢を見たんだ」
池「ははは…今度は下ネタじゃないけど、いやに縁起悪いな」
佐藤「いや、ベッドシーンなあたり下ネタだろ。なんでお前が報告する夢はいつもオガちゃんが裸なんだ?」
田中「うっうっ…いー話だなぁ?」
緒方「バカ!あんた死んだ上に忘れられてるじゃない!それと坂井くんのエッチ!」
シャナ「あんな女って何よ!ガードが固くて悪かったわね!」
吉田「なんで私は出てこないんですか!私はもっと昔に忘れ済みですかー!」
緒方「ところで、マルコシアスって何?フレイムヘイズって何?」
池「あぁ、それ僕も気になってたんだ。自在師とか、贄殿遮那とか」
緒方「そう言えばマージョリーさんが、『お黙りバカマルコ』とか言ってたっけ…」
シャナ「悠二…?佐藤家での一件、まだ懲りてないみたいね…?」
悠二「いや、だからあいつはパラレルワールドの僕だからわーっ!
贄殿遮那はやめて!」
アラストール「(禁則事項)した責任、取ってもらうぞ」
吉田「そうです!ちゃんと(自主規制)した責任とってください!」
佐藤「えっ、坂井お前…羨ましいぞこのやろー!」
シャナ「私だって(放送禁止)されたんだからね!」
田中「許せん!許せんぞ坂井!」
坂井「うわーっ!逃げろー!」
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