坂井悠二は窮地に立たされていた。というのも
前方に見た目11、12歳のフレイムヘイズの可愛らしい少女シャナが、夜笠とサイ
ハイソックスだけ身につけた格好で、
「悠二ぃ……」
と悩ましげな声でせまり
右側には大きく整った胸をもつ人間の少女吉田一美が大きな膨らみを丈の短いバ
スタオルだけで隠しながら、
「坂井くん……」
と艶のかかった声でせまり
左側には強大な存在の力をもつ、儚げな容姿の紅世の王の少女ヘカテーが柔らか
な肢体を濃紺色の胸の辺りに『へかてー』と書かれたスクール水着で包みながら
「悠二さん……」
とくぐもった声でせまっていた。
「いや、あの、その……と、とりあえず三人とも落ち着こうよ! 男として嬉しく
ないわけじゃなくって、こういうのは女の子のほうからすることじゃ……」
事の中心の悠二は、なんとも情けない言い訳をしながらこの場を凌ごうとするが
「「「うるさいうるさいうるさい」」」
三人の少女が黙らせた。
「こうなったのも全部悠二が悪いんだから覚悟しなさい!」
「そうです坂井君、責任とってください!」
「私には悠二さんが必要なんです!」
「いやだから、僕は何もしてな……うわあああああ!!」
この日、零時迷子のミステスこと坂井悠二は、日付が変わる前に、存在が消えう
せるほど精を三人の少女に絞り取られるのだった。