「ティアトマーの実体てさ。はじめて見るけど凄くきれいなんだね」  
「……」  
 
ひたすらに無表情な…しかし、妖艶な美をかもし出す美しき淑女が光輝く龍眼で悠二を見据える。  
艶を帯びた髪をそっと撫でる悠二の挙動に身を任せながら言葉少なき龍神の名を冠した紅世の王は、迷うように目をそらした。  
 
「悠二」  
「なに? ティアトマ?」  
 
ただ名を呼んだだけで沈黙する淑女に問いかけながら優しくその髪を撫で付ける。  
 
「我…汝……愛好」  
 
小さく呟かれる言葉。  
パチクリと目を瞬かせたミステスの少年はふっと微笑を浮かべ、不器用な紅世の王の告白に胸を高鳴らせながら唇を重ねた。  
 
「僕も…好きだよティアトマ」  
 
微笑を浮かべながら自分の愛する。そして自分を愛してくれた心優しくも不器用な紅世の女王に口付けた。  
 

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