全くの透明なガラス細工程に…繊細。  
 
嘘ではないかと思えるほど、疑ってしまうほどに無垢。  
 
 
が、その中に露わに見える、欲望、渇望。  
仮装舞踏会の巫女、頂の座ヘカテー…  
 
 
祈る、ひたすらに。  
 
「飽きずにいつも…全く何を願う、俺のヘカテーは」  
 
苦笑混じりにシュドナイはヘカテーに声を掛けた。  
声の主を見やる事無く、彼女は答える。  
 
「私はあなたのものではありません、星の声を…聞いているのです」  
 
 
星黎殿に引きこもり日々を過ごすヘカテー。  
祈り、願い、星の調べを聞き、そうして過ごす長い時間。  
 
 
「やはり無垢、染まらぬ絹だな、お前は」  
 
 
「…私の器は」  
 
ぽつり、と呟く。  
シュドナイの言葉に返事をした訳ではない。  
評しなく出た独り言。  
己の渇きは何時になれば…と、しかし何が渇いているのか?  
ふと感じたのだ。  
 
 
「…満ちるという事を知りたいか、ヘカテー」  
 
今度は声の主の方へ振り返り、答える。  
明るすぎる水色の瞳に僅か光が走る。  
 
「はい」  
 
欲しい、私を満たす物。  
私の器を溢れるほどに満たす…  
 
 
無垢故に真っ直ぐ寄り道をしない考えがヘカテーの頭に浮かんだ。  
 
「ヘカテー」  
 
シュドナイは彼女の髪を優しく梳いた。  
低くしゃがみ、目線が重なるようにする。  
 
「…満たされる、と言うことにも色々あるのだよ」  
 
「色々…?」  
 
 
ヘカテーは、小さく口を開き不思議な顔をする。  
彼の言葉の意味が分からない…  
 
 
「そう、色々ある、知りたいか?ヘカテー」  
 
この真面目すぎる少女は自分の言う事などに耳を貸さないだろうと思いつつ、半分以上冗談、ほんの少し…本気。  
 
星の調べを聞いているなどという夢見な少女に向かって自分は何という不埒な…と。  
 
「知りたい、シュドナイ、その色々の一つだけでも」  
 
まさか。  
ヘカテーは乗ってきた。  
己の渇望を満たしたいが為…  
シュドナイの投げ掛けた色々、の色さえ分からないと言うのに。  
 
「ヘカテー…」  
 
背徳など教えたくない。  
今更そんな考えが頭に浮かぶ。  
 
「教えて、知っているんでしょう?」  
 
 
澄んだ瞳が輝く。  
満たされるという事を求めて…  
無垢なヘカテーを愛するシュドナイは葛藤を覚えたが、ヘカテーの輝く、しかし渇いた、懇願めいた瞳に吸い込まれ…自然と言葉を口にした。  
 
「奥の寝屋へ」  
 
「寝屋へ?何故…」  
 
「行けば分かる、さぁヘカテー」  
 
ヘカテーは差し伸べられた手に何故か素直に引かれ、2人は広い星黎殿の奥、寝屋へと消えていった。  
 
広い星黎殿の奥、寝屋へと消えていった。  
 
―――――――――  
「なにを…?」  
 
ヘカテーの大きな帽子とマントがシュドナイの手によって優しく取り払われていく。  
広い寝台の上。天蓋のカーテンを閉めて、これから始まるのは…  
 
「シュド…っん…ぅ」  
絡みつくような口付けから。  
 
「…ヘカテー俺に全てを委ねろ。そうすれば…」  
 
 
ヘカテーの白地のワンピースを素早く胸までたくし上げ、小さな膨らみに触れる。  
 
「ゃ…何ですか?この…」  
 
驚く少女の膨らみの先端を軽く擦る。  
桃の色のそれはみるみるうちに硬く、少し紅く立ち上がる。  
 
「ここをこうすると、どんな感じだ?可愛いヘカテー」  
 
乳首をクリクリと弄くり回し、舌の先端でつつき弄ぶ。  
 
「ん…ん、シュドナイ…ぃぁ」  
 
胸だけの刺激でこんなにも体を火照らせ、体をくねらせるヘカテー。  
これも、言わば無垢故…  
 
「俺の名をそんな風に呼んでくれるとは、フ…さぁヘカテーここはどうなっているかな?」  
 
 
ヘカテーの真っ白の下着の上から人差し指を少し強く這わせる。  
薄い布地の為、クリトリスは硬く勃起し、布の内側がいやらしくヌルヌルになっているのがわかる。  
感じているのだと…  
「んぁあ!…ぁは、前…の、ぁぁ」  
 
前?…あぁ、自分の体の作りもよく分かっていないとは。  
なんて可愛いんだ。  
思わず顔がにやけてしまう。  
彼女は我が仮装舞踏会の大切な清らかなる巫女…  
 
それを今、汚している。  
いや、止そう。  
この行為は汚すのではなく、教え満たすのだ。  
 
シュドナイは自信の不埒な頭の中身を無理やりに都合良くこじつけ、行為を進める。  
 
「これも、脱いでしまおうかヘカテー」  
 
「…ぁ、はい」  
 
履いている下着を下ろすと彼女はもう完全な裸。  
抗う事なく寝台に沈んでいる。  
ただ、少し膝を曲げ股を閉じている。  
無意識に恥ずかしがっているのか…  
 
シュドナイはフ…と笑いヘカテーの細い内股の間に手を滑らせた。  
 
「き…っひゃ…ぁ」  
 
大事な部分を指でなぞられ、小さく矯声をあげる。  
 
「さぁ、ヘカテー。満たしてやろう…」  
 
「ぁ、シュドナイ!私を…満たして」  
 
欲望のままに小さく声を張るヘカテー。華奢な体を震わせ、満たされる瞬間を急かす。  
 
「いい子だ」  
 
シュドナイは小さな割れ目に指を食い込ませ何度も縦にいじり…そして、男を受け入れるべき密壺へ人差し指を挿入した。  
溢れ出た密のお陰で、にゅるりと易く指を飲み込む。  
そして、ゆっくり抜き差しをして探るようにかき回す。  
指を動かす度クチュクチュといやらしい湿った音が天蓋のカーテンを閉めた寝台中に響く。  
 
「ぁぁあ、はぁ…はぁ、んっ」  
 
ヘカテーの緩く閉じていた足はいつの間にか自ら無遠慮に大きく開き、膝を曲げお尻の穴まで丸見えというような恥ずかしい格好を取るようになっていた。  
欲しいまま、欲望のまま…なりふり構わず。  
 
「そんなに声を上げて…かき混ぜられるのがいいのか?ココはもう要らないのか?可愛いヘカテー」  
 
シュドナイはもう片方の手を使い指先で、起ち上がったクリトリスを擦る。  
 
 
「ひっ…あぁあん!凄…い、ぁう、変に…」  
 
「痺れるだろう?一度、ココでお前を満たしてやろう…」  
 
指を引き抜きヌルヌルとクリトリスだけを集中的に刺激する。  
ヘカテーの体が小さくひくひくと跳ねる。  
 
そろそろか…  
 
「ぁんっ…ふぁ、くんっああ」  
 
「もうイクか?…我慢出来なくなったらきちんとイクと言うんだ」  
 
「は…ぃ、ぁあ!ィ…く、シュ…ド、イっあ!イクっイク…!ひぃ…んぁイきまっ、す!あああぁ!!」  
 
 
ヘカテーはビクンビクンと体とヌルヌルの密壺をひくつかせ絶頂を迎えた。  
初めての、感覚が体いっぱいに広がる…  
熱く体一杯に満たされる瞬間。  
 
 
…これが、満たされるということ?  
 
なんて…熱く不思議な感覚。  
 
 
「ヘカテー」  
 
 
教えてくれた。  
彼は…  
 
「シュドナイ……ぁ…ありがとうございます」  
 
 
ヘカテーから出た思わぬ言葉にシュドナイは驚き、少しだけ困った顔をした。  
 
礼…か。  
不埒に、礼。  
妙な気分だな…  
 
「もっと、満たされたいか?ヘカテー」  
 
「はい…シュドナイは物知りですね、このような事を知るには…道楽も少しは大切なのでしょう」  
 
少しズレた答え。  
そんなヘカテーを可愛いと思ってしまう。  
 
「次は…どうなるのですか?」  
 
期待と欲と不安が混ざり合った水色の瞳は問いかける。  
 
 
「次は、君が俺のものになるのさ、ヘカテー」  
 
私はあなたのものではありません。  
 
いつもの相づちは…  
「満たして…欲しい、シュドナイ」  
 
返って来なかった。  
「…俺とセックス、するか?」  
 
「せ…?この行為の名…?」  
 
「あぁそうだ、渇き、欲、満たしてやろう」  
 
「はい」  
 
 
少女は祈る。  
己の器を満たすもの、欲しい…  
 
アイス、タン塩、ピータン、豚足、サスK、納豆…セックス  
 
欲しい。  
 
 
おわり  
 

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