ところ変わってここは御崎市。
かつてシャナと悠二が暮らしていた場所。
その場所でアラストールは今、坂井家で
苦悩の日々を送っていた……
「ユウちゃ〜ん、ご飯よ〜」
さして広くも狭くもない坂井家の庭に若い女性の声が響くその声の主は
男がいない坂井家を立派に守っている専業主婦坂井千草であった。
そして、千草に近づく一匹の生き物がいた……
「きゃんきゃん!」
犬である。千草いわくユウちゃんである。
そして、その首には赤い宝石を中心に金色の輪が交差する美しいペンダントがかけられている…
そう…紅世の王「天壌の劫火」アラストールの意思を顕現させるコキュートスである。
「………」
アラストールはただただ沈黙を守っている
シャナが迎えにくるのを願いながら……