午後10時。暗闇が覆う御崎市に一つの封絶が張られていた。ヴィルヘルミナと坂井悠二は鍛錬をしていたのだった。
「もう少し存在の力を強くするであります」
「根性」
ティアマトーの一言は意外と無責任なものが多い気がした。
「封絶の維持にも気を回すであります」
ヴィルヘルミナは一度、ミステスである坂井悠二を殺そうとした。理由は体内の零時迷子。しかし対立もあったが今はこうして鍛錬の教官も勤めている。今日はシャナが別用でおらず、珍しくふたりっきりだった。当然ながら殺されかけた悠二としてはあまりいい気分ではない。
「ここで集中するであります。存在の力ばかりに気をとられていてもだめであります」
そう言ってヴィルヘルミナが小石をひゅッと投げてくる。勿論、石がもし炎弾や敵の遠距離攻撃だったらという仮定である。
悠二は右へ左へ走りながらそれをかわしていく。
「まだまだでありますが能力は上昇しているのであります」
「延々努力」
ティアマトーの一言はやはり余計だった。
ヴィルヘルミナが一歩一歩近づいて来た。カツカツとブーツの音が封絶内に響いた。
「な、なんですか?」
悠二は一歩引いて後ずさる。やはり一対一だとあの時の恐怖がよみがえってきた。
「あっー」
ヴィルヘルミナは自分で出していたリボンに足をすべらせ坂井悠二に向かって倒れこんだ。
「うわッ」
大人の女性がミステスに上から押し倒す形だった。悠二の鼻に甘い香りがかすめた。
(うわッ…や、やわらかい…)
普段、あれほどの戦いをしている人をみれば、もっとガチガチしているような錯覚を覚えていた。(まだ存在の力を使って身体強化が出来ないのでイメージできない)
「む…不覚であります」
寝ぼけたような声を出してヴィルヘルミナが呻いた。
「慢性疲労」
「た、確かにここのところ睡眠不足が……む?」
ヴィルヘルミナは自分の体の下で少年の股間が硬くなっているのを感じた。無理もない。深夜に大人の女性と二人っきりでしかも体が密着していれば立つものは立つのだ。
「これは…私に欲情しているのでありますか?」
「陰茎勃起」
ティアマトーは何を言っているのだろうか。しかしここで坂井悠二は命の恐怖に怯えていた。
実はまだヴィルヘルミナは坂井悠二を壊そうと思っていて大儀名分を欲していた可能性である。
「あのミステスは鍛錬の最中に私に欲情し、勃起した上で押し倒してきたのであります」
「正当防衛」
そういえばさすがのシャナも仕方ないとあきらめるとか…、一瞬でそこまで考えて悠二の背筋が凍りついた。
「なんという破廉恥でありますか」
虫を殺すような目でこっちをみているではありませんか。坂井悠二の生命ランプが鳴っております。
シャナはどこにいったのでしょうか。助けてください。もう一度言います。助けてください。
「助平でありますな」
「発情確認」
そういって手が股間に触れられた。最終確認されました。しかし弁護士を呼んでいただきたい。
私、零時迷子のミステス坂井悠二は何にも悪くないのです。つーか紅世に弁護士なんていないですよね。殺し合いで解決してる連中だから。
「まぁ、たまにはいいでありますか」
そういってヴィルヘルミナは坂井悠二のジッパーを下ろしていく。悠二はびっくりした。そ、そんな見て確認しなくても。ただヴィルヘルミナは少し疲れて見えた感じだった。
「ふん。意外と大きいでありますな」
「意外」
取り出された悠二の陰茎をヴィルヘルミナが手でさする。先からはすでに先走り汁が発生している。
「や、やめて…くれよ」
悠二はみっともない声を出す。そんな抗議を無視してヴィルヘルミナは相変わらず、手で彼を刺激しつづける。
「むぅ、好きでもない私にこんなことをされて気持ちいいのでありますか?」
目は冷たかった。戦っていると思えないか弱い手も少しひんやりしていて逆に気持ちよかった。
「う、うわ。…も、もう」
「イくのでありますな。我慢でも出来ないとは」
「早漏」
二人の言葉攻めに続いてさらに手は速く、強く陰茎を摩っている。
「う、うわ!!」
震えだした鈴口からびゅるびゅると精液を撒き散らしながら坂井悠二はイってしまった。
飛び散った精液の一部がヴィルヘルミナの凛々しい顔についた。
顔についた精液をぬぐってヴィルヘルミナは顔を近づけてきた。唇を押し付けられ、舌が入り込んでくる。
「んくッ…んん…ぬちゅ……んぅ……ん」
唾液を流し込まれ、目を丸くさせている悠二を無視してヴィルヘルミナは唇を味わっている。
「んちゅ……んぅ………むぅ…んれぉ」
キスを一通り終わるとヴィルヘルミナは目をとろけさせながら悠二の手をとって胸へと導いた。
悠二はとまどいながらメイド服の上からでもわかる豊満な胸をむぎゅむぎゅと揉みあげる。
「もっと…強くであります」
胸をむぎゅむぎゅと強く揉みあげる。ヴィルヘルミナの頬が紅潮し、甘い吐息が耳を掠めた。
「んあッ…いぃ…で…んぅ……あります……んぅ」
自分の上に跨るってさらに胸を触られせているフレイムへイズ。悠二もよくわからない。
これはシャナに対する裏切りなのかな。そんなことも頭にかすめた。だがさっきのキスで明確な判断が出来ない。
まるで唾を飲まされたときになにかの自在式にかけられたようだった。
「んっ…も、もっと強くして欲しいであります」
服の上から痛いんじゃないかっていうぐらい強く揉む。ヴィルヘルミナの吐息が熱くなってくる。股間の下で悠二のそれがまた硬くなっているのもドロワーズごしに感じていた。
「んッ…また大きくなっているでありますな」
「変態」
そういって一度立ち上がってヴィルヘルミナはドロワーズを脱いだ。さらに白のレースも脱ぎ、スカートが坂井悠二を覆いかぶさった。つまり悠二の前にはおまんこしか見えない形になったのだ。
(う、わ…こ、これが…)
悠二の前にあったのは大人の成熟した女性器だった。ふっくらとした土手に陰毛が覆いかぶさるように生えている。その下には瑞々しく熱く濡れたヴィルヘルミナの性器があった。
「さぁ、舐めるであります」
「奉仕」
ヴィルヘルミナの声に促されて、まるで喉が渇きを癒すように女性器に吸い付いた。
「んあっ……あぁッ……んぅ…いいであります」
スカートの上から頭を股間に押し付けられる。陰毛が鼻にかかったが気にせず、
彼女から溢れてくる愛液を吸い出す。舌を出して猫のように舐める。舌を繰り出して、侵入を試みる。
「あひっ…す、すごいであります……ひぃッ……」
愛液が太ももに沿って垂れていく。体を支える両足はガクガクと震えていた。漫画で読んだ反応だとこれがイクってことなのか、と悠二は朦朧とした頭で思った。
「くぅッ……んぅ……ぬ…い、イきそうで…あります…んんぅ」
スカートの中で彼女の顔が見えないのが残念だった。普段あれほど凛とした女性がどのような顔をして絶頂を迎えているのか見たかった。
「んんッ!!」
さらにガクガクと震えて不意に彼女の膝が地についた。スカートから追い出された悠二の前に目をとろけさせ、顔を紅く染めた女がいた。
「んんッ」
次の瞬間に唇が重ねられ、熱いキスが待っていた。
「つ、次はこっちであります」
ヴィルヘルミナは悠二の反り返った肉棒の上に腰を落としていく。愛液で濡れ、執拗な愛撫でほぐれたそこはミステスのペニスをすんなりと飲み込んでいった。
「あぁッ」
悠二は情けない声を上げた。ヴィルヘルミナはそんなミステスを冷ややかに一瞥して腰を上下左右に振り、
自分で感じ始めていた。
「んあッ……ひ、久しぶりであります……やぁぁ……はっん」
ヴィルヘルミナの体が上下する度に淫靡な音が響いた。ずちゅぬちゅと滑った音。何百年ぶりに男のそれが
入ってきたのだった。ヴィルヘルミナの女としての部分が歓喜を上げてそれを迎え入れた。
「やぁっ……あぁッ……あッ…は…あふっ!」
ヴィルヘルミナのそこは熱く悠二をとろけさせた。入るときはゆるく締め付け、
抜くときに逃がさないように強く締め付ける秘所に悠二は一度イっているとはいえ、絶頂寸前だった。
「あっ…も、もうイきそうです」
「まだであります」
「我慢」
「えっ?」
ヴィルヘルミナのリボンがペニスの根源に巻きついてきゅっと締め付ける。射精管をしめつけられながら
ヴィルヘルミナは腰を擦り続ける。
「あぁッ…やぁッ…んん………くぅ……はぁッ」
(これじゃあ、僕はダッチワイフじゃないか!!)
坂井悠二はそう思った。せっかくの童貞喪失なのに愛もへったくれもない。
異界の女にレイプされているようなものだった。ヴィルヘルミナはさらに
自分の世界に入るために悠二に背を向けた。むっちりしたお尻が目の前で上下している。
(馬鹿にしやがって……)
悠二の心に火がついた。それは黒い炎だった。イけないんだったらイかしてくれるまでイかせてやる。
ミステスの前で上下するむちむちしたお尻にかかったスカートをまくり生お尻を鷲掴みにする。
「んぅ?」
ヴィルヘルミナが自分のお尻を触られているのに気がついた。今まで自分勝手に快楽を貪っていたフレ
イムへイズに鉄槌を下す。ヴィルヘルミナを下から激しく突き上げていく。
「ひぃん!あっ……や、やめ……は、激しッ……」
ヴィルヘルミナのお尻の穴がヒクヒクしながら反応していた。悠二は問答無用と言わんばかりに肉棒を叩きつける。
一番硬い亀頭が彼女の子宮口をドスドスと突いていく。
「くぅッ…ひはッ…んっぅ……あん…はぁッ……す…ごっ…あっ」
パンパンとリズムよく肉がぶつかる音が響く。腰を突かれる度に髪を揺らしながら彼女は喘いだ。
「ひぁッ……や、やめるであります……お、奥に」
「奥になんですか?ヴィルヘルミナさん」
にやりと笑って腰をぐいぐいと押し付ける。その度に愛液がこぽっと音を立てて溢れてくる。
「んあッ……来てるでありますッ……ひぃッ…やあぁ」
「なら僕のリボンを解き放ってくださいよ」
「んぅッ……わ、わかっであります……だから……もう…ひゃん!」
「中でぶちまけるんだね」
リボンが解き放たれるとラストスパートと言わんばかりにガッツンガツンと腰で突き上げる。
ヴィルヘルミナは激しく体を上下させ、悠二のピストンを体で受け止めていた。
「あぁッ……ひッ……くぅ…あん…あっ…はぁッ……もう、も、う……ダメ…… 来るッ…来るでありますッ!!」
「イクよ!出すよ!!」
「んあッ…あ、熱い―――……はぁッ……んん……な、中に…」
ヴィルヘルミナは下唇を噛むように絶頂とミステスの精液を感じていた。だがそれも頭が焼けるような
快感がさぁーっと引いていく。そしていきなり立ち上がったヴィルヘルミナは愛液と精液を股間から垂らしながら自在法を発動する。
坂井悠二は紫に輝く瞳だけを記憶に残して意識を失った。
しばらくしてヴィルヘルミナに起こされた悠二は記憶を失っていた。時間が午前零時半。
半刻前に体も復帰していて何故記憶を失ったかわからなかった。ヴィルヘルミナはそ知らぬ顔で説明した。
「存在の力の加減が出来ず、消費し続け倒れたであります。午前零時が近かったため、
問題はないと思い、様子を見ていたであります」
「無事感謝」
ティアマトーの声がなんだか白々しく聞こえた。
「まぁ、今日は終わりにするであります。もう帰るといいであります」
「ん、わかったよ。それじゃあ家に帰ります」
ペコりと頭を下げて走ってく後ろ姿を眺めながらヴィルヘルミナは自分のスカートの中の
熱さの余韻を感じていた。あれから時間がかなり経っている。
「姫」
「…わかっているであります。…こういうことは、もう…しないのであります」
でもたまには私だって……。ヴィルヘルミナはそう思った。自分だけが孤独なのだろうか。
久しぶりにあった炎髪灼眼の討つ手がミステスとともにいた時、慕っているとわかったときは、
恨みもしたがそれはどちらかというと嫉妬なのだろう。自分も未だ虹にその身を焼かれている。
失恋という心を焼く傷が未だ消えない。
「悪い…ことをしたのであります」
「…」
無理やり犯してその記憶を奪った。これが年長の大人のすることか。そう思った。
激しく自己嫌悪しながら重い足取りでシャナのいる家へと戻っていく。
ティアマトーは黙って何も言わず、ただ付き合ってくれた。本来は制止しべき
事項だったが彼女の優しさが身に染みたのだった。