「っーあっつぅ〜〜」
零時迷子のミステスこと、坂井悠二は風呂から上がり二階の寝室に向かっていた。
廊下を過ぎ、二階への階段を上り始める。
(今日は結構出るの早めだったなぁ。)
自分の、普段とは少し違う生活リズム。そのことを考えて、早く出て余った時間をどうしようか、と内心楽しみにしていた。
その自分の内を知って、少し意味深げに息を吐く。
(こんなことが楽しみに思えてくるのは、きっとシャナや紅世のことでいつも余裕がないからんだろうな。)
と、そこで2階で待っているシャナのことについて考える。
(そういえばシャナってこの時間何やってるんだろう?いつもみたいに下でテレビ見てるわけじゃないし……僕の部屋にシャナが興味を示すようなものもないはずだし……)
自分になぜか懐いたあのネコは(あくまでネコです。)普段は悠二の頭の上で大人しくしてるだけだが、実際は凛々しく、その真の姿は宝具『贄殿遮那』を振るう『炎髪灼眼の討ち手』。
そんな彼女(?)が僕の頭の上を使えないとき、一体どこで何をしているのかまるで想像がつかない。
(意外と、鍛錬のメニューとか考えてたりして……)
悠二としては少し嫌な事を考えながら階段を上りきった。
(まぁ、どうせ今日で分かるんだし……別に気にしなくていいか)
そこで扉の前に立ち、開け――
「ぁ!あぁ……ぅ、ゆうじぃ、」
られなかった。
「!!」
中からシャナのくぐもった声が聞こえたからだ。
気のせいか、少し喘ぎ声のようなものも聞こえた。
悠二は硬直し、けれどもその声から注意を逸らすことができない。動転して、冷静になろうとして、しかし混乱した。
(まさか……いや、でも、そんな……?)
確認のため確認のため、と自分に言い聞かせて扉を少し開ける。
「!!」
「ゆうじぃ、悠、じ……!!」
それは半ば予想してたことだった。
しかし、どうしても受け入れたくなった。否、受け入れられない。
彼女は凛々しく、格好良く、常に冷静沈着に己が使命を果たす、『贄殿遮那』のフレイムヘイズ。『炎髪灼眼の討ち手』……そう今まで振舞ってきたから。
故に、今までの彼女が自分の中で、理想、ある意味望みだった彼女が崩れていく。
(シャナが……オナニー?)
実際、そうとしか見えない。
片手は自分の胸を弄って、もう片方は自分の秘所へと持っていき、ピストン運動を繰り返している。
次第にそれがエスカレートしていく。
「あ!!悠二ぃ、悠二!!」
ネコだからなのだろう。声は張り上げてもそこまででかくはなかった。
しかし、扉の近くで聞くには十分過ぎた。
更にシャナは乳首に爪を立て快楽を掻き立て、指でつねる。
「あ!う!あぁ!!」
ピストン運動も激しくなっていき、指の動きが豪快になる。秘所からは愛液の量が次第に多くなっていった。
頬も紅潮して、目はトロンとしていた。イクのが近いのが分かった。髪は乱れ、普段の凛々しい姿はそこにはない。
そしてそのシャナを見て、自分の股間に血が溜まったいく。自分のそれが大きくなっていく。
(くそっ!シャナがあんなことしてるのに何を、僕は!!)
けれども目は離せなかった。そんな自分に悠二は怒りがわく。
そして気づけば――
「!!うあぁぁあああぁあぁぁあああぁぁぁ!!」
シャナは秘所から盛大に塩を吹き、横に倒れる。その肩は未だに上下に動いており、ハァハァと息切れが聞こえた。
しかし、シャナは少し休むとまだ疲れが残っているであろうに、その足を立たせ後始末を開始した。
「は、やく……しないと、悠二が……はぁはぁ……戻ってきちゃう。」
悠二が部屋の時計を見るともう少しで9時になるところだった。
(そういえば僕はいつも9時ごろに部屋に……)
目をまたシャナに移すと、既に後始末を終え黒衣を羽織り、ベッドの上で寝息を立て始めていた。
すぅすぅ、小さな寝息が聞こえるようになったのを見図り悠二は部屋に入る。
「シャナがあんなこと……しかも……」
僕の名前、その言葉を悠二は言えない。言ってしまえばそれはシャナだけではなく僕もその事実を知る者となるから。
シャナが、自分を求めた。
(シャナが……僕を好き?でも僕は人間のミステスで彼女は……)
ネコでフレイムヘイズだ。そのことを頭で考えたくなかった。
(僕は……どうなんだろう?僕は……シャナを!!)
その思いから悠二は決心する。悠二は……
悠二はベッドに座り込み、深く俯く。隣からは安らかな、安心しきった寝息。
少し顔を横に向けて傾けば、すぐ触れることができる。そんな距離。
先ほど彼女がしてた行為、またその意味するところ……それらを踏まえて自分の気持ちと照らし合わせて、葛藤する。
(僕はどうしたいんだ?嫌いじゃない。ずっと一緒にいたい、それはある。けど……)
最後の言葉を紡げない。
(その、確信が……ない!!)
好き、というそれを。
シャナは小さい、けれどもその心に世界の歪みを正すという大きな使命と覚悟を持っている。
その事が悠二を更に追い込む。彼女が望んだ、しかし僕は隣にいていいのか、と。
知らずのうちに震えていた。手はただ怯え、次第に視界が霞む。目からは大粒の雫。
それはシャナを受け入れる事ができない自分の小ささに対しての怒り。また、その結果から導き出される絶望。
自分の今の心情を見つめ、理解し、それを力なく笑った。
「ハハ、なんだ。僕はやっぱり弱いじゃないか。シャナみたいな覚悟も力も、何も、な、くて……」
「ゆう、じ……?」
「!!」
気付かなかった。ふと、横を見ればそこにはいつも通り、夜笠を身に纏い、綺麗な流れる黒髪を持つ、真っ直ぐな瞳を持ったシャナ。
まだ、寝惚けているのだろう。手を猫のように(猫だが)丸めて器用に擦っていた。
「起こしてくれればすぐどいてあげたのに。何してたの?」
どうやら悠二が泣いてた事に気付いてない。悠二は手で涙を拭きながら返答する。
「うん。あんまり気持ちよさそうに寝てたから、起こすのもちょっとね……。何も、してないよ。ただ座ってただけ。」
言って、シャナのほうに顔を向ける。そこにはやはりいつもの、シャナ。
だが彼女は、不思議そうに悠二を見上げていた。
「……」
それは、何かを見透かしたかのような。瞳をしていた。その隠した理由を探そうと。
「どうしたの?」
悠二にそう尋ねられて、シャナを口を開く。
「嘘、ついたんだね。」
「!!」
体が震えた。自分の、頭の中を読まれたとしか思えない。
動揺して、けれど顔は平静を装い尋ね返す。
「なんのこと?」
「惚けないで!!」
「!?」
突然の大声に体が強張る。
シャナが、怒っていた。それもただならぬ怒気を出しながら。
「それは私に言えない事なの?私には言っては駄目なことなの?」
「……して…」
「えっ?」
悠二の声が聞こえず尋ね返す。
「どうして……分かったんだ?僕が……隠してるって。」
「……私は、悠二と一緒にいるよ。」
「……ッ!!」
その言葉を聞き体が震えた。次いで、また視界が霞み、その顔を見られたくなくて俯く。
シャナは言葉を続ける。優しく、歌を奏でるように。
「悠二と一緒にいたから、分かる。そこに秘められた意味も、想いも……ねぇ、悠二。私は隠し事をされたくない。したくもない。あなたにだけは。それは悠二を、認めたからなんだよ?悠二は私のことを認めてな
「そんなことあるもんかっ!!」
シャナの言葉を遮った。そんなことは思ってない。
自分の気持ちを、ただ誰に言うでもなく吐いた。吐き続けた。
自分の中の気持ちを爆発させて。
「シャナを認めてないわけないじゃないか!いつだって、強くて、カッコよくて、大きくて、憧れで……!!認めてないわけ、ないじゃ、ないか……」
「じゃあ、どうして?」
それでも私に話してくれないの?、と問う。あるいはその『気持ち』に『気付きながら』問う。
「……だからこそ……認めてるからこそ、言えないことだって、あるんだ。君に僕は……合わ
「それは、悠二だけじゃない、私も決めること。」
「えっ?」
今度はシャナが遮る。それは違うから。
自分の考えを貫く。いつだってそうだったように。正直に。
「ねぇ、悠二……」
シャナがその小さな手を悠二の手と重ねた。その手に篭ってるものは先ほどのような怒りでも、諭すような同情でもなく、ただ本当に大切な人に向かう――愛――というそれだった。
「さっきの言葉……嬉しかった。悠二も認めてくれてるって。それで……悩んでくれてて。」
「…………」
「ねぇ、悠二?悠二はどのくらい私を知ってる?どのくらい私を許せる?」
「…………」
シャナは以前自分がアラストールに言われた言葉をそのまま問う。それは自分自身にも当てはめながら。
そして彼は以前の彼女のように口を紡いだ。
まったく知らないというわけではない。しかし、知らないことの方がまだまだ多い。
シャナが他の男と長くいるのは……
「悠二が知る私はきっとまだほんの少し……悠二が知らない私の方がきっと多いと思う……だから『合わない』なんて言わないで。それはこれから二人でもっと長い時間居続けて、決めることだから。」
「二人で……これから……」
「だから、私はあなたとずっと一緒にいたい……」
「シャナ……」
埋めていた顔を上げ、シャナを見る。そこにはやはり、シャナ。
そう、『シャナ』だ。
真っ直ぐな瞳をこちらに投げかけ、凛々しくて、でも時折見せる可憐さもある、シャナ。
そこにはフレイムヘイズの『シャナ』ではない、あのミサゴ祭りの時と同じ、少女としての『シャナ』だった。
(そうだ……)
彼は自分の中で霧が晴れていくのを感じた。
(たしかにあの凛々しくて冷静で使命を確実に遂行するのもシャナだけど、)
自分の目の前にいる子によって。
(この子も『シャナ』なんだ。)
僕は、シャナが好きなんだ。
自然とそんな言葉が浮かんだ。
「悠二!!」
「へっ?うわっ!?」
気がつくと目の前にいたはずのシャナが抱きついていた。その目には涙が浮かんでいる。
しかし、状況を掴めていない悠二はさっぱりだった。なぜ抱きついて、泣いているのかも。
「ありがとう。嬉しい。私も好きだよ。」
「えっ?」
いきなりの発言につい間抜けな声を上げてしまう。しかも、告白だ。
「悠二言ってくれたじゃない。『僕は、シャナが好きなんだ。』って。」
「あっ……」
どうやら思ったときに口に出してしまったらしい。
(しかし、どんだけうっかりなんだ僕は……)
よりによってそんな大切な言葉を……、と内心自傷気味になる。
しかし、自分の上でゴロゴロ鳴いてるシャナを見て、苦笑も出た。
(ま、いっか。結果的には想い伝えられたってことで。)
そうして心に余裕が出来たときシャナがモジモジしだした。はっきり言って可愛い。
「ねぇ、ゆ、悠二……」
「ん?何シャナ。」
悠二は自分の彼女(?)のそんな微笑ましい光景を見ながら返す。
「あの……キス、してみたい。」
刹那の沈黙。
いきなりそんなことを言われると思ってなかった悠二は面を食らった。
が、その沈黙を始めに破ったのは彼だった。苦笑しながら。
「ハハハハ。なんか可笑しい。」
「な、何で?だっ、駄目なの?」
シャナはというと突然オロオロと慌てだす。その光景に悠二はますます苦笑する。
てっきり返事を聞いたら赤面して怒るか、俯くとか思っていたのに。
いつもの凛々しいシャナでも、可憐なシャナでもない。初めて見る『シャナ』だった。
(そうか。こんなシャナもいるんだ。恋人になったら積極的で、でもそれのことで違ってたら慌てて。そんなシャナも、いるんだ。)
改めて想いが通じてよかったと思う。新しいシャナを知れたから。
「駄目じゃないよ。ただ、シャナ可愛い。」
「……っな!!」
ボフッ!、とシャナは顔を耳まで真っ赤にして俯いた。
好きな人に『可愛い』と言われるのがよほど嬉しいのだろう。
恐らく自分も恋人になれなかったら『本当の意味で』可愛いとは言えなかったろう、と俯くシャナを見つめる。
悠二はそんなシャナを愛おしく思いながら、未だ俯くシャナを手のひらに乗せ、自分の顔の前に合わせる。
しかし、さすがは人間と猫とでも言うのだろうか。唇の大きさが違いすぎた。
が、そんなことももはや関係はない。
二人の中にある、ある言葉が一つとなる。
((何者だろうと関係ない。ただやることを……やる。))
二人の中でその言葉が反芻する。
そして言葉が合図。
「ずっと好きだよ。シャナ。」
「私もよ。悠二。」
唇が、重なった。
それは光となって――二人を包んだ。
「「!!」」
突然の出来事に二人は目を瞑る。
長い時間が経って、ようやく目を開けられるようになったときそこには――
「え!」
「どうしたの悠二……きゃっ!!」
大きくなったシャナがいた。
「……っと、その……」
「…………」
かたや人間の代替物。零時迷子のミステス――坂井悠二。
かたや不思議な力を振るう異能者であり猫。炎髪灼眼の討ち手――シャナ。
それらが互いに何を出来るでもなく、硬直していた。
ほんの数分前互いに想いを通わせた者同士――つまるところの恋人という関係になって、坂井悠二はこのあとの展開に非常に混乱していた。
(ど、どうしよう。こんな展開予想してなかったし、ていうかそもそもシャナはネコでそんなこと、って僕は何を言ってる――!?)
頭の中では色んな想像が浮かんでは消えての繰り返し。
そして落ち着こうと思うにも目前には恋人となったシャナ。
(しかもそのまま大きくなったから黒衣だけ――!!)
悠二の頭はオーバーヒート寸前だった。それもそのはず生まれてこの方恋人なんて一度も出来た事はなかったからだ。
目がキョロキョロと宙を泳いではシャナの――特に胸の――方を向いてしまう。
「そ、そんなに見ないでよ……」
「ご、ごめん!」
ついそんなやり取りをしてしまう。
(どこを見てるんだ僕は!!)
最悪だった。
一方のシャナもオーバーヒート寸前だった。
(うぅ……恥ずかしい……!!)
今までは大して気にしてなかったが、いざ自分の恋人に見られてるとなるとかなり恥ずかしかった。
しかも今は猫の大きさではなく、人間サイズ。それが意味するところがつまり――
(ゆ、悠二とそのせっく……!?)
どちらかが求めれば出来てしまう。その状況である。
そのことは想像しただけでシャナは体を火照らせ、頭が真っ白になる。
しかし、次いで……想いもあった。
(悠二はどうしたいんだろう?)
自分と『そういういこと』をしたいんだろうか?
そのことを考えると、ただひたすら隣でアレコレ考えている恋人の事が気になった。
(だぁああ!!僕は!!……うん?)
自分の想像で悶え苦しんでいた悠二は突然の視線に正気に戻る。
その主はやはりもなくシャナであった。
「…………」
その瞳だけでシャナは何の言葉もかける事もなく、ただ瞳で訴えていた。
しかし、鈍い悠二にはそれだけで分からず、故に不粋ではあるが最善の行動である――問いをした。
「シャナは何かしたい?」
「悠二は明日休みだよね?学校……」
問いには答えてくれなった。しかし、別の質問をしてきた。
「そうだけど……」
「なら……夜遅くまで『何か』しても大丈夫だよね?」
「…………うん。」
それは鈍い悠二でも伝わった。
この先を女の子に言わせるのは不粋だろう、と。
「してもいいかな?いや、しようシャナ。」
「……うん。いいよ。悠二。」
一番伝わりやすい言葉で悠二は求め、シャナはそれに答えた。
悠二はシャナの肩を掴み、ゆっくりと押し倒す。
ポフ、とシャナの体はすっぽりベッドに収まった。
悠二はシャナの体をマジマジと見つめる。月光の光に照らされたシャナのからだはとても綺麗だった。
流れるような黒髪。ぴょこぴょこと動く耳。未発達の胸。白く美しい裸体。そのどれをとってもシャナ。
見入って悠二は知らずの内に言葉を発していた。
「綺麗だ、シャナ。」
「っ……恥ずかしい……」
頬を染めて目を逸らす。
悠二はそんなことを気にせずシャナの首に顔を埋める。
「凄く……綺麗だよ。」
「う、うるさいうるさいうるさい!ってひゃ!ふわぁ……ゆうじぃ……」
反論しようとしたが出来なかった。悠二が首を舐めてきたのだ。
「いや……そんな舐めないで、う、ぁ……」
それはどこか強く、けれども弱弱しく、優しく丹念に舐める。そのまま悠二は少し甘噛みする。シャナの体が震えた。
悠二がゆっくり顔を上げるとそこには赤く歯型がついていた。
悠二は舌で首筋を舐め上げながらある場所へと移動した。
「ひ、ひゃぁ!!きゃっ!!」
それは先ほどからぴょこぴょこと揺れるシャナの猫耳。
ふ、と息を吹きかけただけなのだがそれだけでも充分なようだった。
そのまま今度は耳の中を舐め回し、その度にシャナの体はビクビクッ!と揺れる。猫の耳は敏感でシャナの息遣いは次第に荒くなる。
悠二はそのまま今度はシャナの唇を吸い上げる。
「ん……ふぅっ……」
始めはただの軽いキス。貪欲に二人は唇を貪った。
そしてシャナは突然口内に異物感を感じる。それは生暖かく、シャナの口内を蹂躙する悠二の舌だった。
すると次第にシャナの舌も悠二の口内へと導かれ、互いに深く相手の中を貪る。丹念に舐めてはその快楽に酔いしれる。
舌を絡めては互いの唾液を混ぜ、もはやどちらの唾液なんていうものは存在しない。
悠二は少し唾液を溜め込み、一気にシャナの中へと流す。快楽に酔いしれるシャナはそれをなすがまま受け入れ、こくんこくん、喉を伝った。
くちゅくちゅといやらしい水音が部屋の中に響く。それは一種の快楽であることをシャナは知った。
互いにキスがここまで甘美であると知らなかった。
悠二は未だシャナの口内を犯しながら、手を胸へと持っていく。
「んちゅっ……ふわぁ、ぁ……そっちはぁ、だめ、ぇ……」
しかし、シャナの制止の言葉は悠二には届かない。
悠二は軽くシャナの胸を揉んでみる。少し小さかったがたしかに膨らみはあった。
そのまま少し胸を撫で回し乳房を触ったところで悠二は、はたと気がついた。
「もしかしてシャナもう感じてるの?」
乳首はピンと自己主張はしており、硬くなり始めている。
「だ、だって悠二が……色んなことするから……」
シャナは顔を赤らめながら、言い訳ともつかないことを言う。
「にしても……たったこれだけで……」
だって……、とシャナは顔を逸らした。そこで悠二は少し悪戯心が沸いた。
悠二は少し口の端を上げながら、シャナの頬に手を当てて向きなおさせ瞳を覗く。
「そうか。シャナはエッチな子だったんだね?」
「!!そんな違っ……!!あぁ!!」
悠二は乳首を強く捻った。次いで先ほどシャナがしていたように爪を立て食い込ませる。
「ふぁあぁぁ!!うっ、あ!」
「こんなに感じているのにエッチじゃないわけないだろ?」
(アレ?僕ってこんな性格だったけ?)
今度は両手で乳首を思いっきり引っ張ってみる。シャナの体はビクッ!!と仰け反り、目がトロンとしてきた。
ビクビク、と震えるシャナの腰に手を回し、先ほどとは違い強引に唇を奪った。
「うん!?うっ、ううぅうぅぅ!!??」
シャナは訳が分からないというように目を見開き、ただ犯されるままになる。
悠二はシャナの口内を犯すだけ犯した後口を離した。
「で、こっちのほうはどうかな?」
「!だ、だめぇ!そっちはだめぇ……ふゎわああぁああぁぁぁぁああ!!」
悠二が触れたのはシャナの黒い尻尾だった。
そのまま逃がさないように上下に扱いてみる。
「あ!ああ!!だ、駄目ぇ……おかしくなっちゃうよぉ」
駄目と言っておきながら目は更にトロンとし口が半開きになって恍惚とした表情になる。
尻尾は、嬉しいのかぴょこぴょこと先っぽが動く。まるで犬の愛情表現のようだった。
そしてそのまま扱きながらシャナの乳房に食らいつく。甘噛みをするとシャナの嬌声は更に大きくなった。
「あぁ!おっぱい噛んじゃだめぇ!!ひゃあああああああああ!!」
するとシャナが今まで以上に大きく仰け反った。体がビクッ、ビクッ!と震える。
息切れが激しく、シャナは恥ずかしそうに俯いた。
「あぁ〜イッちゃったのか。」
そう言って悠二は意地悪くシャナの顔を覗き込む。
シャナはと言うと目線を合わそうとはしなかった。
ベッドの上には大きな水溜りができており、まだ生暖かかった。テカテカとしており悠二はそれを指ですくいシャナの顔の前に持っていく。
「見てよシャナ。すごく粘っこいよ?いやらしいんだねシャナって?」
「っ!そんなことなもん!!」
悠二の意地悪な言葉にもシャナは抵抗する。
しかし、悠二はその上を行った。
「本当?僕嘘つきは嫌いだよ、シャナ?」
「えっ?」
その言葉だけでシャナは不安になり、悠二に顔を向ける。
悠二は微笑んだ。シャナが自分にどこまで惚れ込んでいるかは分かっている。それ故の言葉。
だから『嫌いになる』というこの言葉がどれほどの不安をシャナに与えるかは分かっている。
「シャナ。本当のこと言ってみてよ?自分の心の底から……」
そう囁けば、シャナがなんて言うかはとっくに予想がついている。後にやることは決まっている。
悠二の中にドス黒い何かが出来つつあった。
シャナが目を逸らし頬を紅潮させながら口を開く。
「か、感じてる……本当は、すごく気持ちよかったの……」
言い切り、シャナは顔を横に向けた。しかし、悠二にそんなことは関係ない。
シャナの耳に近づき悪魔の言葉を囁く。
「じゃあ……もっと気持ちよくなりたい?」
「!?」
悠二は目の端を曲げ、優しく言う。
「気持ちよくなりたいんだろう、シャナ?」
「…………うん……」
――堕ちた、そんな言葉が悠二の中に浮かび、悠二はシャナに見えないように笑う。