吉田「シャナちゃん、その…、オナニーというのは…。あの…」
シャナ「だから、何!? オカズというのも教えて! 悠二と何か関係あるの?」
吉田「……。それも人前で口にするのは、裸を見られるのよりもずっと恥ずかしいことなの……」
シャナ「!! も、もしかして…。このまえの「せっくす」と関係あるのね…。」
吉田「だから…。ね」
シャナ「…うんorz」
シャナ「ただいま。ヴィルヘルミナ」
ヴィル「おかえりなさいませ。インフルエンザが流行っているのであります。手洗いを速やかにするのであります。」
シャナ「ヴィルヘルミナ。あの…。その…。またなんだけど…。」
ヴィル「何でありますか?」
シャナ「オナニーとオカズについて、その…。詳しく知りたいの。いい?」
ヴィル「!!」
千草「あらあら、シャナちゃん。こんどはオナニーとオカズについて知りたいですって?」
ヴィル「そうなのであります。まったく誰が吹き込んだのやら。」
ティア(不埒)
アラス「このことをシャナに教えるべきか。我も悩んでおるのだ。奥方、一体どうしたら良いものだろうか?」
ヴィル「私はこのことはあの子には伏せておくべきだと思っているのであります。教育上不必要であるだけでなく、不適切なのであります。」
ティア(有害情報)
千草「でも、隠し続けることは、難しいのでしょう? それに、シャナちゃんはカルメルさんやアラストオルさんに隠され続けることに不信感をさえ募らせるのでは?」
アラス「そうなのだ。それゆえ、我も苦悩している。」
千草「どうでしょう、お二方。思い切ってシャナちゃんにお話しになられては?」
ヴィル「しかし、それを知ったとき、万が一、あの子がしたいと言い出したら…、いや、言わなくても、我々に隠れてするようなことになったら、幼いあの子はとめどない自慰の欲求に飲み込まれてしまうかもしれないのであります。」
ティア(淫乱回廊)
千草「シャナちゃんは、強い信念を持った立派な子ですよ。万一、してしまうことになっても、きっと節度を守ってくれると私は思います。違いますか? カルメルさん?」
ヴィル「奥様にそこまで仰られては、我々もあの子を信じるのであります。それに、やはり隠し通すのは我々とあの子の間に良くない関係を招いてしまうのであります。」
アラス「ならば、教えることにしようか。して、その教え方なのだが、先日の性交の話のときと同じように、生物学的情報を与えたうえで、そのことをみだりに口にするのは社会通念上不体裁だということを教える。これで良いだろうか?」
千草「そうですわね。この前と同じように、うまく納得してくれると良いのですけど。」
ヴィル「賛成なのであります。」
ティア(意義皆無)
シャナ「一美、オナニーのやり方教えて!」
吉田「え、なんで・・・そんなこと・・・」
シャナ「弔詞の詠み手に聞いたら、『一美なら悠二をオカズに毎晩してるだろう』って言ってた」
吉田「え!」
シャナ「だから、一美、オナニーのやり方教えて!」
シャナ「話って何? ヴィルヘルミナ?」
ヴィル「オナニーとオカズについてであります。」
シャナ「教えてくれるの? ありがとう、ヴィルヘルミナ」
ヴィル「では、お教えするのであります。心の準備を」
ティア「壮絶情報」
シャナ「うん!」
アラス「頼んだぞ、万条の仕手」
ヴィル「それでは。オナニーとは正式には自慰行為というのであります。それは、本来2名で行うはずの性交を一人で疑似体験する行為なのであります。」
シャナ「疑似体験? 具体的にはどうするの?」
ヴィル「性交において異性によって与えられるはずの触覚的刺激を、己の手などで代行させるこをによって、得るのであります。」
シャナ「つまり…それは…。あそこを、その…、揉んだり、そこに、あの…、何か挿れたりするってこと?」
ヴィル「飲み込みが早いのであります。ただ、それだけでは不十分なのであります。性交の疑似体験を成就させるには、的確なイメージが必要なのであります。それがオカズというものであります。」
シャナ「悠二のこと?」
ヴィル「別にあのミステスでなくてもよいのでありますが、つまり、オカズとはオナニーにおいて異性を想起させる視聴覚情報や脳内妄想のことなのであります。」
シャナ「それって、セックスする相手を思い浮かべるってこと?」
ヴィル「それも含まれるのであります。」
シャナ「うん、分かった。でも、どうして性交の疑似体験なんてするの?」
ヴィル「!! そ、それは…。」
シャナ「ねぇ、どうして?」
ヴィル「コホン。性交に快感が伴うことは前に少し話したのであります。その快感だけを得る行為が、つまりオナニーなのであります。」
シャナ「ふーん。変なの。」
ヴィル「あなたは、まだ性交が快感だと体得していないから、変だと感じるのでありましょう。それは自然なことなのであります。それに…」
シャナ「あっ!!」
ヴィル「何でありますか?」
シャナ「そういえば、弔詞の詠み手が『一美なら悠二をオカズに毎晩してるだろう』って言ってた。それってつまり、一美が悠二とのセックスを毎晩疑似体験してるってこと……なんだよね?」
ヴィル「言葉通りなら、そういうことではありますが…。」
シャナ「なんだか、嫌…。どうしよう、ヴィルヘルミナ…。」
マージ「ん〜、あんた? 私の客にしては珍しい顔ね。何か用? 灼眼のチビジャリ」
シャナ「弔詞の詠み手、お前にいくつか尋ねたいことがある。いい!?」
マージ「ふぅ、で、何を聞きたいわけ?」
シャナ「吉田一美が悠二をオカズに毎晩オナニーしてるってのは本当のことなの?」
マージ「プ。あんた、そんなことを聞きに来たの?」
マルコ「ヒャアーーヒャヒャヒャ、まったく最近のガキときたら迫力満点だぜ!」
シャナ「うるさいうるさいうるさい。それで、ことの真偽は?」
マージ「私が知るわけないじゃないの。あんたね、オナニーってのは隠れてするもんなの。だから誰にも分からない。私はしてる『だろう』って言っただけよ。」
マルコ「まあ、そういうこった。あのお嬢ちゃんのこたぁ、誰にも分からねぇさ。」
シャナ「じゃあ、一美は悠二をオカズにオナニーしてないってことなのね?」
マージ「あら? でも、している可能性は高いと思うわよ。年頃の女の子だし、日本人にしちゃ発育も良さそうだし。」
シャナ「え!?」
マージ「悠二に相当惚れ込んでるのはあんたも知ってるでしょ。そんな子がオナニーのオカズに選ぶ相手となれば。ねぇ。」
マルコ「ヒャッハー、こりゃあ、あの嬢ちゃんも隅に置けないなぁ。」
シャナ「そんな…。じゃあ、やっぱり一美は悠二とセックスの疑似体験を……。」
マージ「まあ、マジな話、年を考えたら八割方オナニーしてると考えるべきね。」
シャナ「八割も! あの年頃の学徒は八割もオナニーするものなの!? あ!! じゃ、じゃあ、悠二もオナニーしてるの?」
マージ「バーカね。『八割』ってのは女の子の話。男なんてほとんど全員オナニーするわよ。」
マルコ「さすが我が性のファンタジスタ、マージョリー・ドー、ぶほっ!」
シャナ「嘘…。悠二がオナニーしてたなんて。それじゃ、悠二は誰をオカズに! まさか、一美を!」
マージ「かもしれないわね。あんたと違って、なかなか官能的な身体つきをしてるしね。」
マルコ「気を落とすなって。あのミステスの兄ちゃんも案外特殊な趣味の持ち主かもしれないぜ。お前さんをオカズにしてるってこともあるかもしれねえってもんさ。」
シャナ「でも…。一美は悠二を、悠二は一美を、お互いにオカズにしあってる。これって、二人が疑似的にセックスしてるってことじゃない! そんなの嫌…。」
マージ「すごい飛躍ね…。でも、ま、そういうことには違いないわね。」
シャナ「そんなの嫌! 絶対嫌! ねぇ、二人にオナニーを止めさせられないの?」
マルコ「おいおい、オナ禁要求かよ。こいつはたまげたぜぇ。」
マージ「さっきも言ったでしょ。オナニーなんて隠れてするもんなの。止めさせようと思ってできるもんじゃないわ。」
シャナ「でも、少なくとも一美は、私と悠二のこと決着をつけるって約束した。だから、それまではしてほしくない。疑似的にでも二人が結ばれるなんて嫌…。」
マージ「ふぅ、面倒なガキね、あんた。契約者がこれじゃ、天壌の劫火も大変でしょう?」
アラス「……むぅ……。」
マージ「ともかく、オナニーなんてあの年頃なら、誰でもするの。だから放っておきなさい。いいわね?」
シャナ「……。…うん…分かった…。じゃあ、弔詞の詠み手、私はもう行く。」
マージ「そうね。そうだ、チビジャリ。今度からこんな恥ずかしいことを聞きに来る前にインターネットか何かで調べてから来なさい。いいわね?」
マルコ「ヒャハハ、そうだな。こんな顔から火が出るような相談、並みの神経じゃできねーぜ。何はともあれググってみろってこった。」
シャナ「分かった。そうする。」
マージ「……。行っちゃった。最後、嫌に物わかりが良かったわね。」
マルコ「さすがは我が最高の相談係マージョリー・ドー。案外、これから、あの二人にオナ禁させに直談判しに行くのかもな。ヒャハハ」
悠二「うぁ! な、何だこれ?何だこれ?」
シャナ「ん。どうしたの、悠二?」
悠二「シャナ! 僕のパソコン触っただろう!」
シャナ「!…。な、何のことだか分からない。」
悠二「じゃあ、見てみなよ、このGoogleの検索履歴。」
シャナ「え、えーと。子供の作り方、オナニー、オナニー やり方、性交、性具、3P、メロンパン、胸を大きくする方法、性感帯、体位、シックスナイン……。」
悠二「ほら。どう見たって、シャナが勝手に僕のパソコンを使って調べたんだろ。」
シャナ「うるさいうるさいうるさい。人前で聞くのが憚られる事項を秘密裏に調べるのにちょうど良かったから、借りただけなの!」
悠二「ふう。でもまあいいや。この間みたいに、父さんや母さんの前で子供の作り方をいきなり聞かれるよりはマシだからね。」
シャナ「むー。」
悠二「他には何もしてないよね、シャナ? どれ、インターネットの閲覧履歴は、と。ああッ!」
シャナ「今度は何?」
悠二「なんで、2ちゃんねるに書き込んでるんだよ!」
シャナ「ああ、そのいい加減な書き込みばっかりの情報サイトね。」
悠二「『ああ』じゃないよ、まったく。どれどれ。『名前:シャナ お前たち、愛くるしいルイズに萌え死ぬスレとか書いているけど、これは単なる絵だ。実在の人間じゃない。こんなのに萌えるとか死ぬとか正気とは思えない』って、おい。」
シャナ「だって、そのルイズとかいう絵に発情している連中が気持ち悪くて仕方なかったもん。」
悠二「そんなの、アニメキャラに萌える人に失礼だよ。ああ、他にも書き込みしてる。『名前:シャナ お前たち、釘宮さんのツバなら飲めそうだなんて馬鹿なことを言うな。唾液は消化酵素を含んだ液体で栄養素はほぼ皆無。摂取しても意味ない。』…。」
シャナ「それも、釘宮理恵とかいう絵に声をあてる職人に過剰に発情する連中がうっとおしかったから、書いたの!」
悠二「そんなの、釘宮さんに二重の意味で失礼だよ。もう、他には何もしてないよね。」
シャナ「うん……たぶん。」
悠二「ああーー! Wikipediaを編集してる。『カリモフ カリモフとはメロンパンを食する時の作法の一つであり、最も美味な食し方のひとつである。メロンパンの周辺部から……』」
シャナ「そういえば、そんなのもあったわね。そもそも、百科事典とか言っておきながら、メロンパンの食べ方一つ載ってないこの辞書の方がおかしいのよ。」
悠二「だからって、いかにもこんな削除されそうなことを書かなくても……。」
シャナ「何か言った?」
悠二「いえ、別に。」
シャナ「そうだ、悠二。これは何?」
悠二「え、ちょ、なに人のマイドキュメントを勝手に開いているの!」
シャナ「あった。これ。この裸や限りなく裸に近い格好をした女子の絵ばっかりのフォルダは何?」
悠二「それは……。」
シャナ「しかも、知性の低そうなピンクの髪の色ばっかり。そういえば、ルイズとかいうんだっけ? まさか、悠二、あんたこのルイズとかいう『絵』をオカズにしてるんじゃないでしょうね?」
悠二「ギクっ! い、いや、そんなことはない。」
シャナ「そうね。あんたのオカズは吉田一美だもんねッ!」
悠二「! ちが、それも違う。」
シャナ「じゃ、じゃあ、オカズは私なのッ?」
悠二「! そ、それは…」
シャナ「どうなの? 悠二!!」
アラス「シャナ。もうよさぬか。坂井悠二も一人の男子なのだ。お前に話せぬ秘め事の一つもあろう。そう困らせるものではない。」
シャナ「でも、このゼロの使い魔の主人公の少年は、ヒロインのルイズ以外にも五股も六股もかけてるとんでもない男なの。私、悠二にはそんなヤツみたいになってほしくない。」
アラス「うむ。シャナ、お前の懸念は分かるが、それは単なる『絵』の話ではなかったのか? 絵にムキになっても仕様あるまい。」
シャナ「そうだけど…。むー、分かったわよ。悠二、許してあげる。」
悠二「良かった。助かった〜。」
アラス「坂井悠二。これに懲りて、もう二度とシャナの手の届くところに不埒な絵を保存しておかぬことだな。」
悠二「うぐっ。…はい。」