「せめて、中身くらいは当たりであってくれよ?」
ズブゥッ!
(中略)
「ねぇティリエル! あれ欲しいよ!」
「お兄様、ミステスならあとでいいでしょう?」
「ううん、たからものじゃなくて、トーチが欲しいんだ!」
(中略)
「あ……か………は……」
ありえない。
二度も、二度も、。
それに、さっきまで悠二を蹂躙していたモノさえ楽なものだと思える今の圧迫感。
声さえ出ないまま、首筋に届くうめき声を聞いていた。
けれど、苦痛よりも奥。
内側にふれる何かが、悠二を、何処かへ突き落とそうとする。
「苦しいのなら、吐き出してしまいなさい……あなたの存在、全て」
場……少年が、少年を犯す、そんな場に似つかわしくない声が聞こえた。
「あなたが果てれば、あなたの存在は薄くなる。
あなたが消えれば、お兄様もあきらめる」
その声は、嫉妬。
その声は、あきらめ。
その声は、羨望。
その声は
……彼女自身の理性の軋み。
自身を慰めようとする手を抑えきれず、
一時的にとはいえ兄を奪った少年を許せず。
けれど、少年の苦痛に歪んだ表情は、彼女を
「だから、手伝ってあげる」
持てる愛、本質から狂わせるのに十分だった。
本質ゆえに兄を許容し、本質ゆえに兄が許せない。
兄が他の女の名を口にしたときよりも。
……だから、消してしまえばいい。
消えてしまえば、兄は私を求めてくれる。
だから、いつもの自分なら考えられないような行為さえ
行うことができる。ええ、いまなら。
「わぁっ!」
衝撃としては、大きすぎたのかもしれない。
苦痛という否定したい現実と、
快楽という否定しなければならない現実と、
その両方を上回る衝撃だった。
幸か不幸か、受け入れてしまえばいい、そう判断できる「現実」だった。
ひざまずいて
不本意に内側から膨らまされたのだと信じたいものを
口に含む少女がいた。
「早く、出せばいい。早く、消えてしまいなさい……」
片手が、なぞる。 舌が、つつく。
息が、吹き渡る。 唾液が隙間に潜
意識が
白くなった。
なぜか思った。
『謝らなきゃ……』
誰に? 何を?
定められないまま、消えること。
それだけは、ごめんだった。
聞き慣れた、金切り声が聞こえたような気がした。
(以下略)