学校から帰ってきたとき、坂井悠二はその異変に気づいた。
(なんか…違う……)
しかし、それはいつもの光景にも見えた…では、なぜそう思ったのか。
『零時迷子』の力ではない。もっと直感的な…
「あら、悠二さん?お帰り。もうすぐでご飯できるからね。」
(…!)
その言葉…母・坂井千草のいつも通りの言葉で悠二は気づいた。
(誰だ!?誰が…母さんを…)
「千草」
隣の少女…平井ゆかりことシャナの母にかける声も険しい。
「あら、なあに?シャナちゃん?」
笑顔で聞き返す千草に、シャナは…
「何をしたの?」
単刀直入にものを言う。
「何のことかしら?」
「とぼけないで。千草、おまえ…」
まずい。シャナが臨戦態勢に入った…
そう思った悠二は、とっさに身構える。だが…
「…メロンパン焼いたでしょ。」
(な?)
シャナのあまりにもアレな発言にこけそうになる。
「うーん、やっぱりシャナちゃんにはわかっちゃうのね。食後のデザートまでお預けね。」
「………わかった」
話をまとめられては困るので、悠二はとっさにシャナに耳打ちした。
「ちょっと待ってよ。何かおかしいと思わない?」
「何よ、別にどこも変わってないじゃない。」
「母さんだよ母さん!なんていうか…雰囲気が変わってるっていうか…」
「母上に異常はないが。それとも、貴様はマ――」
「黙っててよ年齢関係なし!」
シャナのペンダントから聞こえてきた重く低い声をあっさりかわす悠二。
「ぐっ…我は傷ついたぞ…ただ、その言葉だ「ともかく、母さんの様子がおかしくないか?」
「……しくしく…」
無視までされて、少し悲しくなった紅蓮の魔神。
「?なぜそう思うの?いつもと変わらないじゃないの。」
「さっき、僕を何て呼んだ?いつもなら「悠ちゃん」って呼ぶはずなのに、今は「悠二さん」だよ。おかしいと思わない?」
「いいじゃない。なんと呼ぼうが千草の勝手よ。」
このフレイムヘイズは、あまりそういう所には突っ込まないらしい。
「何だよその理屈!…もういいよ。僕一人でも何とかしてみせる!」
悠二の言葉に、呆れて肩をすくめるシャナ。
「…しくしく…」
そして、未だに立ち直らないアラストールであった。
「母さん、話があるんだけど…」
夕飯も終わり、シャナたちがいなくなったところで悠二が切り出した。
「なあに?悠二さん。」
「何で、僕のことを悠二さんって呼ぶの?いつもと呼び方が違うけど…」
その言葉に、千草は…
「あら、いいじゃない少しくらい呼び方変えたって。ねえ。ゆ・う・ちゃん?」
「………」
千草の言葉に一瞬固まってしまう。
確かに、悠二のことを本来の呼び名で呼んだ。だが、一向に違和感が消えない。
なぜ――トーチではないようだし、『存在の力』もいたって普通。その理由が思いつかなかった。
「あ、そうそう。これ作ってみたんだけど、悠二さんに味見してもらえないかしら。」
そういって取り出したのは…ジャム。
「な、何その白いジャムは…」
そう。千草の取り出したジャムは、とてつもなく白かった。原材料が何なのかわからないくらいに。
白ジャム…あまり食欲の起きない色である。
「はい、どうぞ。」
もうすでにパンに塗っていたらしく、千草がそれを渡す。
「う、うん…」
とりあえず一口…
モふっ。
(…………〜〜〜〜〜っ!)
声にならない声が悠二の口から漏れる。
味がない。ジャムなら甘いはずなのに、まったく感じない。それどころか、味覚がなくなってくる。
(何なんだこれは…!どうしたらこんな…)
その考えがまとまる前に。
坂井悠二、昏倒。
目を開けると、見慣れた天井が写った。
「ふん、目を覚ましたか。まったく、とんでもない者だな、貴様は。」
あからさまに不機嫌とわかるアラストールの声が悠二の耳を通っていく。
「何で…部屋にいるんだ?」
身体を起こし、周りを見回すと…
「私が運んだのよ。千草が呼んでいるから何かと思えば…」
悠二の隣でいまだ制服のシャナが座ってメロンパンをかじっていた。
「…シャナ…」
「なぜあんなところで倒れていたかは知らぬが、たかが食料ごときで倒れるほどひ弱だったとはな。」
「たかがなんかじゃ…っえぇ!?」
また聞こえたアラストールの声は、悠二の近く。つまり、枕元に「コキュートス」が置かれていたのである。
「何を驚いてるの、悠二。
…千草も言ってたわよ。『女の子に担がれちゃうようじゃまだまだね』って。」
「う……」
「あれほど強くなれって言ったのに、何でまだそんなに弱いのよ。鍛錬は頑張っていても、心自体が鍛えられなきゃ強くはなれないわ。」
「いや、あれはそういう問題じゃ…」
「うるさいうるさいうるさい。言い訳は弱い心の証よ。グダグダ言うんじゃない。」
シャナの言葉に、少し腹が立った。
確かに自分は弱い。だがそれはフレイムヘイズであるシャナや『紅世の徒』達と比べてのこと。
それに、あの時はジャムを食べた直後に倒れたのだ。強いとか弱いとかは関係ない。
怒りがジワジワと身体に浸透してくる。
だんだん、目の前でメロンパンを食べる少女が憎たらしくなってきた。
……ふざけるな…
その感情は、すぐに行動に現れた。
近くにあったペンダントを握り締め、思い切り外に投げ飛ばす。
「な、きさ…」
思った以上のスピードで「コキュートス」が飛んでいく。
「な、何をして…あぐっ!」
次に、メロンパンを食べていた少女の腕を掴み、ベッドに押し倒した。
「何をしてるかって?……ただ、邪魔だっただけさ。」
「タダで済むと思ってるの…!?峰じゃ済まないわよ!」
「ふん、ご自由にどうぞ。」
少女の腕を持つ手にさらに力を入れる。
「い…っ!」
まるで万力で腕を挟まれたかのような、鈍い痛みが襲い掛かる。
(違う。)
シャナは直感した。
(悠二の力じゃない。こんな力、悠二は持ってない。)
常人の出せる力ではない。まるで…まるで…
まるで、私達(フレイムヘイズ)のような。
シャナの中で、何かが背筋を舐めたような気がした。
「峰といえば…いつも僕を殴ってくれたよね。シャナ。
…形は違うけど、今日はその仕返しをさせてもらうよ。」
制服の上を下着ごとずらし、その小さな胸を露にする。
「やめ…ひっ!」
まず、その膨らみに舌を這わせて、じらすように周りを唾液で濡らしていく。
「…やぁ……やめ…」
そして、小さな乳頭に近づき、それを舌先でつつく。
「ひゃっ!やだ……ぁ…」
舌先で刺激を繰り返し、周りごと口に含む。
口の中でも、周りから責めて乳頭を刺激…の繰り返しである。
「…ぁ……く…ん……」
シャナの声を聞いていて、また腹が立った。
(くそ、これじゃ仕返しの意味がない…)
そんな悠二に、ふと、悪魔がささやく。
(…これなら…シャナを泣かせられる。)
「…ぃぎいっ!?」
いきなりシャナが苦痛の声を上げる。
乳頭を噛んでいるのだ。それも相当な力で。
「悠二痛い痛い痛いっ!早く口離してぇっ!」
「やっといい声を上げてくれたね。シャナ。…仕返しはこうでなくっちゃ。」
シャナの言葉にも耳を傾けず、悠二は笑みを浮かべる。
――地獄の笑みを。
「止めて止めて悠二やめてっ!ソコちぎれちゃう!お願い悠二!」
「……何なら、噛み千切ってあげようか?」
また、シャナの背筋に、今度は背中から削られるような感覚があった。
(何…何なのこれ…)
その感覚に、シャナは不快感を覚える。
「…冗談だよ。そんな真似はさすがにしないって。」
そっと口を離す。少し、血がにじんでいた。
「ふふ、少しは大人しくなったね、シャナ。…でも―」
「いたっ…」
また手に力を込める。
「まだまだ許しはしないよ。覚悟してね。」
そう言うと、今度はスカートに手を伸ばす。
「…いっ、いやぁ!」
あわててもがこうとするが、すぐに腕の痛みに気を殺がれる。
「オイタは駄目だよ、シャナちゃん。さあ、こんなもの取っちゃいましょうね。」
片手だけでショーツを脱がしていく。そして…
「やだぁ…みちゃいやぁ…」
とうとう足を開かされ、幼いそこが丸見えになってしまった。
「毛、生えてないんだ…生えてたらプチプチ抜いて楽しもうかと思ったのに。」
また、背筋を走る冷たい感触。
「でも、これはこれで楽しめるね。ほら。」
「んひぃ!?」
上のほうにある皮に包まれたものを擦る。
「これだけで声が出ちゃう。楽しいよ。」
他のところには手をつけず、そこだけを責めていく。
「ひゃあっ!や、やあぁ!ゆうじ、やめ、やめぇ!」
皮をむき、指で擦り、突っつき…
「たっぷりといじって、そして―虐める。」
「ぎぃぃぃぃぃ!!!」
悠二の爪がコリコリしたそれに食い込む。
もはやシャナの叫びは言葉にすらならなかった。
「まだまだだよ。シャナ。叫ぶにはまだ早いよ。」
その言葉が無限地獄の始まりだった。
集中的に、乳頭、陰核を責め、そして、痛めつける。
それを何回も何回も繰り返した。
「……も、もうらめぇ…やめてぇ…こわれる……わらし、こわれちゃう…」
一体何回目の苦痛だろうか。
ついにシャナの舌も回らなくなり、目も虚ろになった。
「そっか。じゃあ…クライマックスだ。」
もう戒めも必要ないほど、彼女はボロボロだ。
自分の前にシャナの腰を引き寄せる。
そして、悠二自身の物をズボンの苦しみから開放し、そこに当てた。
そのとき、またシャナは背筋が冷たくなった。
先ほどの物よりずっと大きい寒さが。
(…そっか)
その寒気と今思っていることをあわせた瞬間、ひとつの答えになった。
――これが、『恐怖』―
同時に下腹部に激痛。
「…い、がぁぁぁぁぁぁっ!」
耐え切れず、絶叫が出てしまう。
「そうだよね、濡れてなかったから痛いよね。でも…」
先ほどの責めを受けても、さほど濡れなかったシャナの壺。
「…違うものでヌルヌルだよ。」
今は、その結合部から滴る血液が潤滑の役目をしていた。
「いだいいだいいだいいだいぃぃぃ!」
今までの痛みとは比べ物にならない激痛に、シャナは泣き叫んだ。
「そういえば、昔はよく気絶するまで殴られたっけ。しかも『贄殿遮那』で。懐かしいな。」
「ゆうじぃ、もう、もうやめてぇぇ!いたいよ、いたいよぉ!」
もはやシャナの言葉には応じない。
「…って、今もそうか。まあ、いいけどさ。」
「おねがい、ゆうじ、ゆうじぃぃ!」
「って、聞いてる?」
膨らんだ部分ぎりぎりまで自身を引き抜き、一気に入れる。
「がっ…」
また起こる痛みに声をなくすシャナ。
「…いいよ。シャナの中。ついつい目的を忘れそうだ。すごくきつい。」
「いいから、いいからはやくぬいて…」
必死で悠二に訴えるシャナに、
「ふふっ。」
悠二は、
「だ・め・だ・よ。絶対に抜かない。」
非情ともいえる言葉を返し、荒く運動を開始する。
「ぎっ、がっ、いっ、ぎっ、いっ…」
一回の運動ごとに苦痛の声を上げる。
「ああ、ほんとに気持ちいいよ。すごくいい。」
ひたすらに腰を動かし続ける悠二。
すでに強姦と言ってもいい状態だ。
本物の少女を犯している、そんな錯覚さえ覚えてしまう。
だんだん気分も高揚していき、あと少しでというところで口を開いた。
「そろそろ、いいかな…」
「な、なにっ!?がっ!」
悠二の問いかけに、シャナが途切れ途切れに答える。
「そろそろ、出すよ…」
「っ!!!ら、らめぇ!なかに、ださないでぇ!いや、いやぁ!」
その言葉の意味がわかったらしく、あらん限りの声で叫ぶ。
「いやだといっても…もう遅いよっ!」
最後の一突き。それで、彼自身が爆ぜた。
シャナの中に、熱い物が打ち込まれる。
「いや、いや…なかに……はいってる……」
涎と涙で顔を汚したまま、シャナは糸が切れた人形のようにベッドの上に倒れていた。
悪魔の微笑でそれを見ながら、悠二は力のなくなったそれを引き抜いた。
血の色で赤く染まった悠二自身を…