ある日の夜。吉田一美は、明日の授業の準備をしていた。  
準備、といっても予習などではない。明日行われる水泳の授業、それに向けての無駄毛の処理である。  
普段からまめに手入れはしているが、そこは恋する女の子、そういった部分には特に敏感になっている。  
衣服を脱ぎ、体のあちこちをくまなくチェック。淡々と作業を進める。  
ふと、好きな人──坂井悠二──のことを思う。  
自分の体が──特に胸──魅力的だ、ということは、友人達に理解させられていた。  
(坂井君も、見とれてくれるかな……?)  
作業を進めながらも、考えるのは悠二のことばかり。自らが裸であるためか、思い浮かぶ悠二の姿もまた、裸であった。  
(坂井、君……)  
作業は、彼女の大事な部分へと及んでいた。ふとした拍子に、彼女の指が直接大事な部分へと触れる。  
「あっ……」  
そこはもうすでに、湿り気を帯びていた。  
いつしか吉田は、右手の指で大事なところをなぞり始めていた。ゆっくりと、ゆっくりと、割れ目をなぞる。  
「坂井君……坂井君……」  
うわごとのように、思い人の名を口にする。そして、それが、彼女をさらに高ぶらせる。  
高ぶりとともに、彼女の指の動きも激しさを増していく。そして左手は、胸へと。  
「坂井君! 坂井君! ああっ!」  
声も、押し殺したものから少しずつ大きくなっていく。  
ついに吉田は、押し寄せる感情にあらがえず、中指を割れ目の中に沈ませる。  
「ふああああっ!」  
今までにない快感が、吉田の中を駆けめぐる。  
コンコンッ  
唐突に、部屋の扉がノックされた。  
──っ!  
「姉ちゃん、英和辞書貸してくんない?」  
弟の健であった。声の様子からして、中の様子に気付いたわけではなさそうだ。  
はっと我に返り、ちょっと待ってと返事をし、あわててパジャマを身につけ、廊下で待つ弟に辞書を渡す。  
扉を閉めたとき、吉田の顔は真っ赤になっていた。  
(私ってば……でも、坂井君になら……)  
そして再び、彼女の指は大事な部分へと伸びる。  
──Fin──  

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