午前零時。零時迷子の力により、悠二の存在の力がリセットされる。
「っと、零時か」
「そう、じゃあ、今日はここまでね」
いつもの鍛錬が、いつも通りの時間に終了する。
シャナは、悠二と軽く雑談したあと、ただの寝床とかしている平井家へと戻る。
「さて、僕も寝るか……」
シャナを見送り、部屋に戻ろうとした悠二は、シャナが去った方とは逆の路地に人影を見つけた。
(……こんな時間に……?)
悠二は、不審に思い、おそるおそるその人影に近づいていった。
これより数時間前、放課後。
悠二とシャナは、いつものように二人並んで下校していた。
そして吉田一美は、その二人を尾行するような形で下校する。二人の会話に細心の注意を払いながら。
しかし、二人に怪しまれないような距離をとっているためか、聞こえるのは一部の単語のみ。
「……最近、だいぶよくなってきた……」「……毎晩、激しく動いて……」「……ようやく感じられるように……」
吉田は、聞こえた単語から、二人はすでに愛し合う男と女になってしまっている、と想像してしまう。
実際は、夜の鍛錬の動きや存在の力について話していただけなのだが。
午前零時を回り、普段ならばほとんど人気のない住宅街。
悠二は、怪しげな人影におそるおそる近づく。
暗闇の中でも、ようやく相手の顔が判別できるような距離まで近づいたとき、悠二は素っ頓狂な声を上げた。
「よ、吉田さん!?」
「あ、さ、坂井君……」
対する吉田は、悠二に見つかったことで、今にも泣き出しそうになっていた。
(今ここで吉田さんに泣き出されたら明日僕はご近所さんからなんて思われるか……)
本能的にそれを察した悠二は、
「あ、あの、吉田さん、よかったら、ウチにあがっていく?」
そう、吉田に声をかけた。
いつもならば、千草はすでに眠っている時間。案の定、千草が起きてくる気配はない。
「……どうぞ」
うつむき、一言も発しない吉田を、部屋に招き入れた悠二。
吉田が椅子に、悠二がベッドに腰掛けたところで、ようやく吉田が口を開いた。
「……さっき……坂井君はゆかりちゃんと何をしてたんですか……?」
(見られた……?)
焦る悠二。実際に吉田が見たのは、家路につくシャナだけだったのだが、悠二はそれを知る由もない。
「いや……あの……」
"紅世の徒"、"フレイムヘイズ"、"ミステス"……それらを悠二が上手く言葉にできずにいると、
「やっぱり、そうだったんですね……」
(やばい、完璧に泣かせた……)
目に大粒の涙を浮かべ、そういった吉田をみて、あわてる悠二。
「わ、私だって……!」
泣きながらも、強い決意のこもった口調でそういった吉田は、おもむろに衣服を脱ぎ始める。
「え、ちょ、な、よ、吉田さん?」
突然のことにパニックになる悠二。
全裸になった吉田は、さらに悠二を押し倒し、ズボンとパンツを取り去った。
あらわになる悠二の分身。パニックのせいかほとんど反応していないそれを、吉田はゆっくりとゆっくりとしごき始める。
クラスで、いや、校内でもトップレベルと噂されるスタイルと美貌を持つ吉田一美。
そんな女の子が、全裸で自分のモノをしごいている。その事実に、悠二の体は意志とは関係なく反応し始めていた。
ほぼ100%の状態になったところで、吉田は自分の唾液をそこに垂らした。
さらに増す快感。
「あ、だめ、そんな、もう出る……!」
絶頂まではあっという間であった。
吉田の手に、顔に、胸に、悠二の精子が飛び散る。
ひとしきり射精し終えたのを確認した吉田は、顔や胸の精子を集め、飲み干した。
「んくっ……、飲んじゃいました」
そういって悠二にほほえみかけた吉田。
その笑顔を見た悠二は、理性が消し飛んだ。勢いよく吉田をベッドに押し倒す悠二。
悠二と吉田の、長く、そして淫らな夜が始まる──