それは夏休みのある日の出来事であり  
迷いを抜け出した少年と、一途な少女の物語。  
 
    『答え』      
 
少年は電話番号をプッシュし、少女へ電話をかけた。  
RRRRRR………  
「はい、緒方です」  
「あ、オガちゃん?田中だけど…」  
少年の名は田中栄太。大作りな顔でスポーツが得意であり、電話の相手の少女、緒方真竹とは中学からのつき合いである。  
「どうしたの?」  
「オガちゃん、暇なら俺ん家来ない?…話があるんだ」  
何気ない会話。  
しかし、田中にとっては重要な意味を持っている。  
なぜなら、『答え』が出来たからだ。  
それを伝えるべく、田中は彼女を自宅へ誘った。  
「…分かった。今から行くね」  
用件を察した緒方は田中の家へ向かった。  
 
緒方は歩きながら考えた。  
(話って、あの事よね…きっと、そうよ。  
どんな結果でも、私は泣かない。そう、決めたんだから…)  
そんな決心を胸に、彼女は田中の元へ急いだ。  
 
緒方は田中の家に着き、呼び鈴を鳴らした。  
十秒ほど経って、ガチャッとドアが開いた。  
「早かったな。汚いけど、上がって」  
「おじゃましまーす」  
元気よく言って、緒方は中へ入った。  
 
田中は汚いと言っていたがそんなことはなく、部屋の中は小ぎれいに整頓されていた。  
キッチンから二つのコップを取り出し、田中は訊ねた。  
「飲み物は何がいい?お茶とかジュースとかいろいろあるけど」  
「んー、コーラってある?」  
「ある」  
「じゃ、私コーラ」  
田中は頷くと、冷蔵からコーラのボトルを取り出した。  
二つのコップに注ぎ、二人で飲んだ。  
「…ぷはっ、やっぱり夏はこれよねー」  
美味しそうにコーラを飲む緒方に田中は言った。  
「オガちゃん、コーラとか好きなんだ」  
「うん。炭酸飲料大好きなの。夏には欠かせないわ」  
そんな何気ない話をする二人だが、緒方は本題に入った。  
「…ねえ、話って何なの?」  
「…ああ」  
田中は少しずつ話し始める。  
「俺さ、あの後考えたんだ。オガちゃんのこと、どう思ってるか」  
「うん」  
「俺はまだ、恋愛感情とかよく分かんないけど…俺は、オガちゃんが好きだ」  
「えっ…」  
好きだと言われ、びっくりする緒方。  
その前の言葉など聞こえていない。  
好きだという言葉だけが、緒方の心に重く響いた。  
 
田中は続けて言う。  
「オガちゃんの好きと俺の好きが一緒かどうか分からないけど…とにかく、俺はオガちゃんが好きだ」  
「田中………」  
二人とも頬を赤く染め、恥ずかしそうにしている。  
そんな中、緒方は確認するように言った。  
「それって、私とつき合ってもいい、ってことだよね?」  
「そう…なるな」  
「田中……っ」  
感極まって緒方は田中に抱きついた。  
そして、彼女は思う。  
(泣かないって決めてたのに…涙がでてきちゃう…)  
僅かにこぼれてきた涙が田中のシャツを濡らす。  
田中の方はといえば、緒方の行動に驚き、しどろもどろになっていた。  
「オ、オガちゃん?ちょ、いきなりなんだよ…」  
緒方は抱きついたまま言った。  
「もう少し、このままでいさせて…」  
「あ、ああ…」  
言われるまま田中はじっとしていたが、彼女からは香水のような甘い匂いがすることに気づく。  
それに加え、胸の膨らみが押し当てられていて、田中の理性はどんどん崩されていく。  
(や、やばい…さっき好きだって言ったのに、いきなり襲ったとあっちゃ…)  
田中の中で彼女を襲いたいという本能と、彼女を大切にしたいという理性がせめぎあっていた。  
 
そんな田中の心中など知る由もなく、緒方は言った。  
「ねえ、田中………キスしよっか」  
「えっ…」  
唐突な発言にまたも驚く田中。  
「私は、覚悟できてるから。ほら、目つぶって」  
「あ、ああ…」  
驚きの連続で放心状態の田中は言われるまま目を閉じる。  
それを確認した緒方は、ゆっくりと顔を近づけて唇を合わせた。  
「ん………」  
「………」  
(キ、キスしちゃった………)  
(オガ、ちゃん………)  
心臓の鼓動が外に聞こえそうなくらいドキドキしている緒方と、状況を把握しきれていない田中、という対照的な図になっている。  
田中の先ほどまでの気持ちも、パニックに陥っているうちに雲散霧消してしまった。  
キスから数秒後、緒方は唇を離した。  
「…しちゃったね」  
「ああ…」  
二人の感想は、こんな簡単なものだった。  
二人とも思考がほとんど停止していて、言葉が出ないのだ。  
そんな状態を打ち破ったのは、緒方の一言だった。  
「…もっと、したくない?」  
田中は黙って頷き、二人はもう一度口づけを交わす。  
「ん………ん」  
「………っ」  
先ほどのキスとは違い二、三度田中の唇を吸う緒方。  
それがさらに田中の混乱を招くのだった。  
 
唇を離すと、緒方はくすっと微笑を漏らした。  
田中はそれが気になって、緒方に訊ねた。  
「…俺、なんかおかしかったか?」  
「ううん。田中が今、変な顔してるから…」  
変な顔、といわれ自分がどんな表情してるのか再び訊ねた。  
「そんなに変か?俺」  
「うん。鏡で見せてあげたいくらい。ふふっ…」  
自分の表情も気になったが、今はそれどころではなかった。  
差し当たっての問題は、この状況をどうするかである。  
先ほどお互いの気持ちは確認したが、まさかこのままでいるわけにもいかない。  
田中が困っていると、緒方はもう一度抱きついて言い放った。  
「ねえ、田中…私、暑くなっちゃった…。脱ぐね…」  
「!?」  
さらなる動揺を与えられた田中の目の前で、緒方は服を脱いでいく。  
上着を丁寧に脱ぎ、スカートもゆっくりと降ろしていって、緒方は下着姿になる。  
下着は空のような薄い青色で、至ってシンプルなものだった。  
そして、田中の手を自らの乳房に導いていく。  
「…下着は田中が脱がして…」  
「わ、わかった…」  
とは言ったものの、田中は脱がし方が分からず、ただブラの周りに手を這わせるだけだった。  
 
「んっ……これ、フロントホックだから、前にホックが…ん…」  
「…ごめん」  
短い嬌声を交えつつ脱がし方を教える緒方。  
田中は言われたとおり前を探し、それらしいものを見つけて外した。  
ブラを取ると、小振りな乳房と淡い桃色をした乳首が現れる。  
「………………」  
思わずまじまじと見つめてしまう田中に、緒方は恥ずかしそうに言った。  
「…そんな見られたら、恥ずかしいよ…」  
「ごめん。可愛いいから…つい」  
「えっ…?」  
今までは『可愛い』と言われたことなどほとんどなかったため、驚いてしまう緒方。  
田中が乳房に触れようとすると、緒方は小さく言った。  
「…やさしく、してね…」  
「ああ。約束する」  
そう言って田中は乳房に触れ、言葉通り優しく揉んだ。  
「あ…っ」  
その僅かな刺激を受けて小さく声をあげてしまう緒方。  
田中はやわやわと乳房を揉みしだきつつ、優しいキスの雨を降らせた。  
唇から始まり、首筋、鎖骨、乳房の間や脇腹などにもキスをする。  
「あっ…ん…く、くすぐった…あん…っ」  
すぐに甘い反応が返ってきて、田中を興奮を煽る。  
 
乳房を十分に揉むと、田中はピンと自己主張している桃色の乳首に口づけ、空いている片方を指でいじった。  
「んんっ…んぅ…あぁ…田中…」  
気持ちよさそうに身を捩り、喘ぐ緒方。  
その声に浮かされた様に、田中は何度も乳首をしゃぶったり摘んでこねたりした。  
「ひゃんっ…あぅ…ん…あぁ…きもち、いいよ…」  
緒方も素直な反応を見せ、快感を得ているようである。  
それが分かった田中は乳房を揉み、乳首をこねてしゃぶり、もっと気持ちよくなるようにと愛撫を繰り返した。  
激しくなった愛撫に、緒方の声も大きくなる。  
「あんっ!うん…んっ…んんぅ…」  
次第に呼吸が荒くなり、徐々に身体が快感に支配される。  
「はぁ…はぁ…はぁ…たな、か…下も…お願い…」  
切れ切れの声で言うと、指示通りに田中はショーツを脱がし、緒方の秘裂に触れた。  
「きゃんっ!」  
触れた途端に緒方が子犬のような声をあげ、田中は慌てて手を引っ込めた。  
「ごめん、痛かったか?」  
「ううん、そうじゃなくて…何か、びりってして、痺れるみたいに…」  
そう言われても分からなかったが、痛みがないことだけは分かった。  
 
続けて田中は割れ目に沿って指を這わせ、乳房に当てていた手も腰にやり、愛撫を股間に集中させた。  
「ひんっ!はぁっ…あぁっ…あぁん…っ」  
甘ったるい嬌声の中、田中はしっとりと濡れてきたそこに舌を這わせた。  
「ひゃうっ!あ…やぁ…そんな、とこ…舐めないでぇ…」  
「ダメだ。もう止まらん…」  
溢れてくる蜜をすすりつつ、田中は舌をくねらせる。  
ぴちゃっ、ぴちゃっ、と淫らな水音がし、興奮を更に高めてくれる。  
「はっ…ぅん…たな…かぁ…ダメ、ダメぇ…っ、私…もう…っ」  
高みに至ってしまいそうになり、緒方は田中の愛撫を止めさせようとした。  
だが、既に遅かった。  
「く…ふぁっ…ひゃあぁぁぁぁんっ!!」  
緒方はガクガクと大きく痙攣し、絶頂に達した。  
吐息を荒くしながら軽く睨まれ、田中はしまった、と思った。  
「ごめん…その…これって…」  
「うん…イッちゃったの…」  
「やっぱり…」  
田中は緒方を労りつつ、自分のズボンを降ろして下着も脱ぎ捨てた。  
「オガちゃん…俺も、こんなに…」  
緒方は田中のモノを見てギョッとした。  
「すごい…こんなに…」  
田中の剛直はそれほどまでに硬く勃起し熱を持っていた。  
 
「私だけじゃダメだから…してあげるね」  
「っ!?」  
緒方は剛直を軽く握り、さすり始めた。  
すべすべとした手にしごかれ、僅かに呻いてしまう。  
「…うぅ…っ」  
緒方は根本の方を握って大きく口を開け、剛直の先端を口に含んだ。  
「っ………」  
ぬるりとした口内に迎えられ、田中は声にならない声をあげる。  
緒方はゆっくりと先端を唇で擦り、鈴口を舌先でつつく。  
ねっとりとした舌先と唇に愛され、田中の快感はどんどん膨れ上がっていく。  
「うぁ……くぅっ…っく…」  
「ひもひいい?(気持ちいい?)」  
咥えたまま喋る緒方だが、田中には通じていないようだ。  
緒方は唇を棹の方まで進め、舌は亀頭を舐る。  
「くぁ……っ、うぅ…く…」  
(こんな、こんなの、ありか…っ)  
一人でするより何倍も気持ちよく、田中も快感に溺れていた。  
限界が間近だが、緒方の奉仕は続く。  
自分のモノをしゃぶられ舐られするうちに、田中の頭の中は真っ白になり、目の前の快感にしか集中できなくなっていた。  
そして、田中も限界を迎える。  
「うぅ……っ、オガ、ちゃん…でるっ…」  
田中の剛直は勢いよく精を発射し、気管に直撃して緒方を噎せさせた。  
 
「っ、ごめん…はは…今日は謝ってばっかりだ…」  
緒方は僅かに首を横に振り、溢れた分も手で受け止めて飲み干してしまった。  
「っ、こくっ、こくっ…ふうっ、これでおあいこね」  
精を放ってもまだ萎えていない田中の肉棒を見て、緒方は言った。  
「次は、一緒に気持ちよくなろうね…」  
緒方は田中の下腹部の辺りに跨り、照準をあわせると一気に突き入れた。  
「あぁぁぁぁぁ…っ!」  
ぶつっ、と何かを破ったような感じがして、田中は訊ねた。  
「オガちゃん…初めて…?」  
「うん…。田中にしたのは、えっちな本でみたから…」  
「俺も、似たようなもんだ…。オガちゃん、痛いだろうから…無理はするなよ」  
緒方を気遣う田中だが、緒方の方から動いてきた。  
「だい、じょうぶ…。こんなの、へっちゃらよ…」  
言いながら緒方は腰を振り、早くこの痛みを快感に変えようとしたが、なかなか変わらない。  
「あぅっ…ぁ…はぁぁ…」  
苦痛とも快感ともつかない声に田中は心配したが、段々と気持ちよくなっていった。  
緒方も痛みが失せてきたようで、声も快感に変わっていった。  
 
「くぅっ…うぅ…。オガちゃんの中、すげえきつい…!」  
「はぁ、はぁ、はぁ、たな…か、のも…おっきくて…」  
快感に浮かされるまま言葉を紡ぐ二人。  
「あっ、あっ、あっ…はぁっ…んぁっ…あぁぁっ!」  
「っく…、むぅっ…うぅ…」  
お互いに喘ぎ、唸り、愛する人の性器を感じ、快感を貪っていた。  
「んあぁっ!た…な…くぁんっ!ダメッ…もうダメェ…ッ!」  
「くぅっ……俺も、ダメだ…ッ!」  
高みが近い二人。  
だが、このままでは膣内に直撃してしまう。  
そんな田中の心配を感じ取ったのか、緒方は言った。  
「今日、は…だい、じょうぶ…。だから…きて…っ!」  
その数瞬後、二人は高みに至る。  
「あぁっ…あっ…くるっ…くる…あぁぁぁぁぁぁっ!!」  
「く…っ、でるっ…!」  
緒方は自分の膣内に注がれた熱いものを感じてうっとりとしていた。  
 
 
 
余韻を楽しんだ二人は、後始末をして身なりを整え、初めての性交の感想などを話していた。  
「ごめんね。ちょっと無理矢理で…」  
「いいよ。オガちゃんの新しい一面が見れた気がして嬉しいし…気持ちよかったし」  
それを聞いてポッと顔を赤らめる緒方。  
 
「これからもよろしくね。それと…」  
「?」  
言葉の続きを、緒方は田中の耳元で囁いた。  
「──────」  
「!!!」  
今度は田中が赤面し、緒方はくすくすと笑っていた。  
そんなやりとりを交わした後、緒方は家へ戻っていった。  
『また、いっぱいしようね』  
緒方の囁きを思い出してまた赤面し、田中は彼女を見送った。  
 
 
少年の『答え』は少女に受け入れられ、  
少女の『求め』は少年に受け入れられた。  
世界は、今日も全てに、繋がっている。  
 
この物語には続きがあるが、それはまた別の話。  
〜Fin〜  
 

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