腰を下げ、一点を見据える。  
「……………」  
力、スピード、軌道、着弾地点。  
何度も脳内でシュミレートする。  
一度息を吐き、左手を掲げる。  
「……………ッ!」  
一度宙に浮き上がり、落下する白いボール。  
腰の辺りで構えられた右手が振られる。  
その手に握られたラバーが、絶妙な角度でボールに接触した。  
パキャァッ。  
澄んだ音が響き、予想した通りの軌道を描きつつ、ボールは飛翔。  
緑のテーブルに一度着弾。  
さらにネットをギリギリの高さで越え、相手側コートへ急襲する。  
対峙する男は、田中栄太。  
こちらのテーブルに着弾した後、予想される軌道を瞬時に計算。  
その場所へ腕を振ろうとする。  
が。  
「ッ!?」  
テーブルを跳ね返ったボールは、予想外の場所へスピン。  
田中の手首の上辺りを通り、床に落下した。  
カンっ………カンカンカカカ…………  
ボールの跳ねる軽やかな音が一瞬場を支配し、次の瞬間には歓声が響き渡った。  
「はい!21対19でシャナちゃんの勝利〜!」  
審判の佐藤が試合終了を告げる。  
「っくっそ!また負けたぁ!」  
悔しそうに頭を抱える田中。  
「まぁまぁ、また今度挑戦すればいいじゃない」  
その田中を慰める緒方。  
「なんというか………プロ級じゃないか?このふたり」  
「た、確かにそうですね………」  
吉田も目を丸くしてこの戦いに驚いている。  
 
現在、悠二達一行は、海水浴を終え、近くの旅館に来ていた。  
今日はここに泊まり、おいしい食事と温泉を堪能してから帰るという予定だ。  
が、到着したのはいいものの。  
「温泉と言えば卓球だろ!」  
「そうだな…シャナちゃん、勝負しないか?」  
という佐藤田中ペアの強引な意見により、夕飯まで卓球を楽しむということになった。  
結果因縁の対決はシャナ勝利に終る。  
「じゃあ、次の対戦は……」  
佐藤がさっそく次の対戦を考え始める。  
しばらくの間、吟味するように全員の顔を見回した後、ふたりの少女を指差した。  
「吉田ちゃんとヘカテーちゃんだ!」  
指名されたふたりは顔を見合わせた。  
「え!?わ、私、卓球なんてしたことありません……」  
「私も………どうやってやるんですか?」  
悠二はオロオロするふたりを宥める。  
「大丈夫、ふたりともやってみなよ。何事も経験だよ」  
「え…あ、はい。そうですね」  
「私も、頑張ってみます」  
戸惑いつつも頷いたふたりは、卓球台へ向かう。  
「それじゃ、僕は温泉はいってくるよ」  
みんなに断っておき、悠二は着替えを取りに部屋へ歩き出した。  
ちなみに千草は部屋で携帯電話と化したアラストールと雑談しているらしい。  
「えーと、これと……」  
持ってきた鞄をごそごそ漁る。  
ふと悠二の目にはいったものがあった。  
「浴衣か……」  
なんとなしに備え付けの浴衣を着ることにし、温泉に向かう。  
 
 
悠二が温泉に向かっている頃。  
先程の殺伐とした試合ではなく、どこかほんわかした雰囲気の試合が行なわれている最中。  
「私も温泉はいってくる」  
悠二の後を追うように、シャナはその場から飛び出した。  
 
 
「ふぅ…………」  
温かい湯に浸かり、一息つく。  
肩の辺りがヒリヒリする。日焼けしたのだろう。  
「ん〜〜!」  
疲れた体をほぐすように伸びをする。  
体の力を抜き、ぼんやりと空を見上げる。  
「露天風呂………か」  
随分と暗くなってきた。星も所々見える。  
「ヘカテーさん…………どうして今日会いに来たんだろう………」  
一緒にいることが嬉しくて、よく考えなかった問い。  
突然去り、また突然やってくる。  
事情があるのだろうが、それを話してくれないのは少し寂しい。  
 
「僕は……好きなんだけどな…………」  
「……誰の事が?」  
「ッうわ!?シャナ!?」  
突然の声に振り向くと、バスタオルを体に巻きつけたシャナが立っていた。  
「な、なな、なんで!?」  
「だって混浴でしょ、ここ」  
慌てる悠二に、少し頬を赤らめて教えるシャナ。  
「い、いや、混浴って……たしかにそんなこと書いてたような気がするけど……」  
「悠二」  
「な、なに?」  
水の跳ねる音を立てながら、シャナがゆっくりと近づいてくる。  
「隣、いい?」  
「え、う、うん………」  
とぷん、と音をたて、波紋が広がる。  
すぐ横にあるシャナの白い肩が見え、悠二の頬が熱を持ったように赤くなっていく。  
しばらくの間、ふたりとも無言だった。  
 
「…………悠二」  
「な、なに?」  
思わずどもってしまう。  
「……誰が?」  
「え?」  
「誰が……好きなの?」  
思わぬ質問に、悠二の思考がまとまらなくなる。  
「いや、あれは、好きっていうか、その」  
「私には…教えれないの?」  
問い詰めるような視線で睨まれる。  
「だから、あれは独り言というか」  
「吉田一美やヘカテーには教えれるの?」  
「シャナ?」  
悠二はようやく気付いた。シャナの表情に。  
不安げな、怒っているような、複雑な表情。  
「私には、教えてくれないの!?なんで!」  
「シャ、シャナ!?君、どうしたんだよ!?」  
「うるさいうるさいうるさい!!おまえの、おまえのせいなのよ!」  
「な、なにがだよ!わけが判らないよ!」  
突如叫びだしたシャナに困惑し、叫び返してしまう。  
いつの間にかシャナの瞳には涙が溜まり、顔は歪んできている。  
「な…………なんで……………なんでこんな気持ちになるの!どうしてこんなに苦しいのよ!?」  
怪力で悠二の肩を掴み、揺さぶる。  
「シャナ………?」  
「私は………私は…………ッ」  
 
「私は、悠二のことが好きなのッ!」  
シャナの叫びが闇夜に吸い込まれていった。  
その言葉に込められた溢れるような想い。顔に浮かんだ喜び、照れ、そして悲しみ。  
悠二はその全てに脳を揺さぶられるような衝撃を受けた。  
なにも考えれない。  
いまにも零れそうなひかり。  
「なのになんで!なんで私を見てくれないの!?私は、吉田一美にも、誰にも悠二を渡したくない!もっと私を見て!ずっと一緒にいてよ!」  
一度崩れた堤防から、想いは濁流のように流れ出す。  
頬を伝う綺麗な水。  
月光を反射して、微かに光っていた。  
気付くと、悠二はシャナをその胸に抱き寄せていた。  
「っ!?なんで………!なんでなの……?……ッ……ぅ……ぅぅ……ッ」  
浸かった温泉より暖かくて、微かに震えている小さな、女の子。  
フレイムヘイズではない、ただの風のように頼りなく揺れる女の子が胸の中にいた。  
迸っていた心の声の吐露も次第に収まり、嗚咽に変わってゆく。  
「悠二………ぅ……ゆぅ………じ……ぅッ……ぅぅ」  
誰にも渡したくない、離さないと手をまわし、抱きしめてくる。  
 
「シャナ………」  
心の中で、様々な感情が渦巻いていた。  
(僕は………どうすればいいんだろう?)  
気付くのが遅かった。彼女の気持ちに。いや、遅すぎた。  
誰かを愛すということは、一方で誰かを傷つけることだ。  
そんな言葉を思い出した。  
「ごめん、気付かなくて…………でも、僕は………」  
都合のいい言葉しか思いつかない。  
自分勝手で、彼女をさらに傷つけるかもしれないのに。  
それでも、そうする事しかできない。  
顔を上げたシャナの顔を見据え、言葉を押し出す。  
「僕は、ヘカテーさんが好きなんだ」  
シャナの瞳から、さらに涙が溢れる。  
顔がくしゃりと歪み、悠二を抱きしめる力が更に増した。縋るかのように。  
「悠二……っ………ッ…悠二ぃ……ぅ……ッ」  
滴り落ちた水滴が、水面に次々と波紋を広げる。  
「悠……二………ゃ……だよ……ッ……や……だ……っ…」  
途切れ途切れの言葉が胸を刺す。  
悠二には謝る事しかできなかった。  
「ごめん………………ごめんね……」  
髪を撫でてやる。  
癖も無くて、水気を含んだ良い感触だった。  
こんなことをするとシャナが諦めれなくなる。  
けど、せめて彼女が泣き終えるまで。  
それぐらいなら。ほんとに自分勝手だけれど。  
 
「……………悠二………」  
「なに?」  
「ひとつだけ………お願い…聞いてくれる……?」  
「……………………うん……いいよ」  
ようやく泣き終えたシャナが顔を上げる。  
願いと、不安と、決意。  
「いまだけでいいから……………私と誓ってほしい………の……」  
「誓う……?」  
シャナは悠二の問いに答えず、スッと顔を近づける。  
「……悠二……………」  
シャナの瞳が目の前にある。  
潤んでいて、すこし赤い。  
震える唇。  
揺れる瞳。  
熱い吐息。  
微かな声。  
「…………………誓って」  
目を閉じる。  
彼女に導かれるまま、悠二は唇を重ねた。  
 
「ん………っ……ふ……ぅ…」  
ファーストキス。  
シャナにとっては。悠二にとっては二人目の。  
柔らかくて、瑞々しくて、温かい。  
熱い涙が、悠二の頬に触れた。  
シャナが悠二の首に両手を廻し、抱きしめてくる。  
「……んぅ…ッ……ゆ……じ……今…だけ………っ……で……いいから……」  
どこかで聞いた言葉。  
ある少女と同じようにひとときを望む声。  
 
貪るように唇を味わう。  
「ん………ちゅ……っ……んぅ……………ッ」  
「んく…………っ………ぅ………」  
シャナの小さな舌が悠二の唇を割り、口内に伸びてきた。  
「んッ!んぐぅ………ッ」  
思わず離れようとするが、シャナはさらに唇を押し付け、口内を蹂躙する。  
「んむ………ぅ………っちゅ……」  
「んんぅ………ちゅ…っ………くちゅ………ッ」  
拙いが、燃えるように激しい動き。  
シャナの必死さが伝わる。  
悠二の舌を絡みとり、擦り、吸い、愛撫する。  
熱に冒されたように頬が染まり、息が荒くなる。  
「んぅッ………くちゅっ………ちゅ……ッ………ん……ッ」  
口と口との結合部から漏れたふたりの唾液が顎を伝い、水面に垂れる。  
額に汗が浮く。体中が熱い。  
「くちゅっ………んぅ……ッ……はぁ…………」  
ようやく唇を離し、息を吐くシャナ。  
「ん……ゆぅ……じぃ…………」  
潤んだ瞳。  
ぽわりとした赤い顔。  
その表情に堪えきれず、手を伸ばそうとした時。  
 
ガラッ!  
背後でガラス戸が勢いよくスライドする音がした。  
反射的に振り返ってみると。  
「……………悠二さん?」  
細い肢体をタオルで隠したヘカテーが立っていた。  
「へ、ヘカテーさん!?」  
突然の闖入者に驚き、硬直してしまう悠二。  
ぼんやりしていた思考が一気に冷えてゆく。  
一方のヘカテーは悠二に寄り添ってぽんわりしているシャナを見、悠二を見、  
その可憐な顔に泣きそうな表情を浮かべると、走り寄ってきた。  
「ゆ、悠二さん!なんで、シャナさんと寄り添ってるんですか!?」  
バシャリと温泉に飛び込むと、悠二に詰め寄ってくる。  
「いや、これはそのあの………」  
「悠二はぁ、私のものなんだよぉ……♪」  
狼狽する悠二の胸板に頬を擦りつけながらシャナは上機嫌に言う。  
どうやら先程のディープキスと温泉に浸かりっぱなしだったせいでのぼせてしまったらしい。意識がはっきりしないのか、いつものシャナとは全然違う。  
「悠二の、おっきいねぇ……」  
「シャ、シャナ!?」  
「っ!?」  
 
シャナはあろうことかヘカテーの前で、悠二のそそり立ったモノを両手で掴み、口を近づけた。  
「う、うわっ!」  
「ん………ぺろ……………」  
そのまま舌を出し、亀頭を舐め上げる。  
突然の刺激に悠二の腰がビクッと跳ねる。  
今度は丹念に全体を嘗め回し、先端をすこし吸う。  
「ん………ちゅ………ッ……ちゅぅ……」  
「く………うぁ…」  
「ッ!だ、ダメですッ!」  
我に返ったヘカテーは、無理やりシャナの隣に割り込んだ。  
「ちょっ!へ、ヘカテーさんまでっ!」  
悠二の制止も聞かず、モノに舌を這わせる。  
「ん……ちゅ………っ」  
「ぅ…ダメだよぉ……んちゅ………悠二は、私のなんだからぁ……」  
「ちゅぅ……ッ……嫌です………渡しません………ん……」  
先を争うようにふたりは舐め回し、刺激を与え続ける。  
「んぅ……それじゃぁ……っ………一緒にしよう?」  
「………れろ……は…それなら……ちゅく……いいですよ………」  
「んんっ、ちゅっ、れろ……」  
「はむ……ちゅっ、ちゅっ、ぴちゃ……」  
いつの間にか共同戦線を張り、悠二を攻め立て始めた。  
「く、くぅ……!」  
目の前で繰り広げられる卑猥な光景。  
幼い容貌と、必死に奉仕しようと蠢く細く、紅い舌。  
そのギャップに頭がクラクラする。  
「んふ………ぴちゅ………っ」  
「ん…んぅ……ちゅ、くちゅっ」  
モノに絡みつくふたつの舌。  
生暖かい感触が全体を撫で回し、時折先端が吸われる。  
 
「んん……んふぅ…はむっ、ちゅぅ」  
「ぺろっ、ちゅ…れろれろ」  
シャナがその小さな口に含むと、ヘカテーが根本の辺りを舐めまわす。  
「うぅ……くっ!」  
シャナの唇が吸い付くように窄められる。  
「ちゅぅ………んっ、んっ、んん……」  
「んっ、ちゅっ、ちゅっ、ちゅっ……んく」  
ヘカテーは子猫のようにスジを舐め上げ、手で上下に擦る。  
「くぅ……!だ、ダメだ……出そう…!」  
あまりにも強すぎる快感に、背筋と腰が震える。  
段々とこみ上げてくるものを必死に我慢しようとする。  
「んっ、んぅ、ちゅっ、んっ、んっ、んんっ」  
「ちゅく、ぺろ………れろ……っ…んちゅっ」  
ふたりは無常にも刺激を強くしていく。  
モノに絡みついた唾液が粘液質の音を立て、泡立つ。  
「ちゅぅっ、んちゅ、んむぅっ、ちゅくっ、んっ、んっ、んんぅっ!」  
「ちゅ、あふ、んぅっ、ちゅっ、ちゅぅ、ぺちゃっ、ちゅぅっ!」  
「ん、く、うあぁっ!」  
視界が真っ白になり、腰が砕けるような快感が襲った。  
限界を超えたモノから大量の白濁液が飛び出し、口を離したふたりの顔を汚す。  
「んっ、はぁぁ………」  
「ぅ……いっぱい……」  
飛び散ったそれを示し合わせたように口に運ぶ。  
「ん、ちゅ」  
「こ、濃いですね……」  
 
「悠二……」  
「シャナ?」  
シャナが倒れ掛かってくる。  
「悠二を、ちょうだい?」  
至近距離で呟かれる。  
「な、しゃ、シャナ!」  
「お願い……私、もう……」  
懇願するような表情で息を吐く。  
見ると、シャナの秘所は濡れており、とろりとした液体が太ももを伝っていた。  
「………」  
無言でヘカテーを見る。  
「……………」  
ヘカテーもまた無言で悠二を見返してくる。  
心の内で葛藤するかのような空白の後、渋々頷いた。  
「じゃ、じゃあ」  
シャナを床に寝かせ、足を掴む。  
そこでふと思いつき、ヘカテーに言った。  
「あの、ヘカテーさん。手伝ってくれないかな?」  
「え?」  
「ほら、初めてだしさ、あんまり痛くならないように」  
「う………………判りました」  
実に複雑そうな表情でシャナの隣に膝をついた。  
恐る恐るといった感じでシャナの未成熟に過ぎる胸に触れる。  
「ひゃんっ!」  
「あ、だ、大丈夫ですか?」  
「ん……ちょっとビックリしただけ」  
その言葉に安心したのか、ゆっくりと肌を撫でていく。  
「ん……ふぅ……っ」  
「いいですね……とってもスベスベしてる………」  
 
「それじゃ、いくよ?シャナ」  
「うん………」  
既に硬さを取り戻したモノをシャナの秘所にあてがい、すこし馴染ませる。  
「ん……ッ」  
ゆっくりゆっくりと腰を進める。  
「く………ッ!」  
シャナの中はとてもキツイ。  
体のサイズが頭一個分違うということもあるが、異物を締め出そうとする壁が侵入を拒む。  
「き、キツすぎる………」  
ヘカテーと同じ、いや、それ以上の締め付けがなかなか奥へ進ませてくれない。  
仕方なくモノを掻き回すように動かし、道をほぐしていく。  
「ん………つぅ……ッ!」  
「大丈夫…ですか?」  
ヘカテーは優しくシャナの体を撫でている。  
時折殆ど無い胸をさすったり、勃っている桃色の先端を舐めたり。  
ソフトな愛撫でシャナの緊張をほぐしている。  
慎重に進んでいたモノの先端が止まった。  
「シャナ…………いいね?」  
「うん……」  
シャナの了承を得、悠二は腰に力をいれた。  
ぶつっ、と膜を破る感触がモノに伝わり、一気に奥まで這入った。  
「ぅぁぁぁぁぅッ!」  
微かな悲鳴を上げ、シャナの体が震える。  
「ふぁ……ぅ……っ」  
「シャナ、はいったよ」  
「ぅ、うん……」  
泣き笑いみたいな表情を浮かべ、頷くシャナ。  
「よかったですね……」  
ヘカテーもシャナを見て微笑む。  
そして再度愛撫へと戻る。  
 
「ん……ふ……ぁ………ぅッ」  
「シャナ、動くよ?」  
「んぅ………はぅ……うん」  
ゆっくりとモノを引き抜く。  
「うっ……ッ」  
ギリギリ出そうなところで止まり、再び押し込む。  
「んぅ……ぃ…っ」  
「はむ……ちゅっ……んむ」  
ピストン運動だけでなく、回転運動も織り交ぜる。  
少しずつ湧き出てくる愛液のおかげで段々とスムーズに動き出す。  
「んぅっ、はぅ……あっ、ぃッ」  
歪む顔にも、少量ながら悦びの色も見て取れる。  
「あっ、ぅっ、はんっ、んんっ」  
苦痛の色が薄まってきたところで、スピードを上げる。  
「んっ、あっ、あっ、あぁっ、ふあぁっ」  
「シャナさん、可愛いですね」  
シャナの耳たぶを甘噛みしながら囁くヘカテー。  
ゾクリと体を震わせるシャナの膣内から愛液がじわりと溢れ出した。  
「ッ!ふぁぅっ」  
震えるシャナをなおも責めるヘカテー。  
「んむ……ちゅぅ……ちゅっ」  
「ふあっ、ああぁっ、あんっ、ひゃぅ!」  
 
シャナの嬌声が響く。  
場を支配するのは卑猥な水音、荒い息遣い、そして悦びの声。  
「だ、ダメぇっ!んぁぅっ!」  
「んぅ……ふぁ………ちゅく……ぁむ」  
「はぁぁっっ!あああぁぁぅっ!ひゃあぁぁっ!」  
「くっ、シャナ……」  
振り乱す髪、飛び散る汗、舞い上がる甘い香り。  
再び悠二に込み上げてくる気配がした。  
二度目の限界が近い。  
さらに腰の動きを速め、シャナの膣内を貪る。  
「んんぁぁっ、ぁぁぁぅっ、はあぁぁぁんっ!」  
「悠二ぃっ!ひゃぅっ、ふあああぁぁっ、あああああぁぁぅっ!」  
「ッ!」  
「あぁぁぁぁぁああああぁぁぁっっ!!」  
二度目の放出。ビクビクとモノが跳ね、膣内を白く染めてゆく。  
「ふ……ぁぅ………ッ」  
「はぁ、はぁ、はぁ、ぁ」  
恍惚とした表情で全てを受け止め、シャナは気を失った。  
「はぁ、はぁ……ふぅ」  
 
「…………悠二さん」  
荒い息を吐いていると、ヘカテーが不満げな声を上げた。  
「ああ、うん。ごめんね、あとでちゃんと相手してあげるから」  
「むぅ…………判りました」  
拗ねたように頬を膨らませるヘカテー。  
その様が栗鼠みたいで、思わず笑ってしまう。  
「わ、笑わないでくださいよぅ!」  
両手を振り上げてぽかぽか殴ってくる。  
「はは、ごめんごめん」  
「ん………悠二ぃ………」  
「あ……シャナ、どうしよう………」  
いまだ気絶したまま、呟いているシャナをどうするか、まずそれを考えなければならない。  
「そろそろ夕飯だろうし……時間が無いなぁ…はぁ……」  
 
闇は濃くなっていく。  
湯気が風に攫われ、空へ舞い上がっていった。  
 
第2部 了  
 

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