柔らかな春の日差し。
眼前には小さな庭と、ひらけた青空。
電柱の上で、雀が戯れている。
木造二階建ての典型的な日本家屋、その縁側。
およそ場違いなふたりが熱い緑茶を啜っていた。
「……ふむ、美味いな」
ひとりは眼帯と鎖をつけた妙齢の美女。
「当たり前だ。厳選された茶葉を使っているからな」
もうひとりはダークスーツにサングラスの男。
「というか、バ……ベルペオル」
「なんだい?」
彼女が目の前にいない時使っている単語を発しそうになり、銀髪オールバックの男は慌てて言い直した。
それにしても、「バ」と言っただけで鎖が蠢いたのは気のせいか。
「……羊羹でもいるか?」
傍らにあった皿に盛られた茶菓子を差し出し、男は言った。
「……見返りを求めてはいかんぞえ?」
「ぐ……」
歯をギリと鳴らしながら呻く。
その視線の先には、嫌味たっぷりに嗤う美女と、
「すぅ……」
その膝で子猫のように眠る真っ白な少女が居た。
「く……いや、すこしぐらい……」
「駄目さね」
食い下がる男に美女は即答し、膝にある少女の頭を撫でた。
「ん……くぅ」
頬を緩ませる少女と少し満足そうな笑みを浮かべる美女、いつまでも呻く男。
奇妙な三者の午後は続く。
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そう、あの状況では、「まずい」とは言えなかった。
シャナから初めて弁当をもらった時は、相当の衝撃があった。本当に嬉しかった。
だから、おいしいと思った。声に出した。味自体はよく考えないことにした。
シャナも喜んでいた。
こんな事になると、考えているはずがなかった。
昼休みの学校の屋上。
目の前には二つの弁当箱。
その延長線上には二人の人物。
片方の弁当箱にはいつもの料理。
もう片方に入っているはずの黒いアレ。
注がれる異様なほどに力の入った視線。
逃走経路、階段への扉の前にはメガネマン。
坂井悠二は、絶望的な状態に立たされていた。
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ゼロテスターとは、生命維持度0の限界に挑む
若き3人の物語である!
剣持キャップ「さて、今回の任務は……これだ!!」
『“贄殿遮那のフレイムヘイズ”のトップとアンダーを計れ』
ゴー「くっ、こいつは……」
シン「ああ、確かに生命維持度ZEROだぜ……」
リサ「でも、私達ならきっと出来るわ!」
うなずく三人。
シン「よし、テスター1号発進だ!」
(中略)
シャナ「!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
(爆発音)
オペレーター「テスター1号通信途絶! ですが、最後にデータが転送されています」
剣持キャップ「内容は? 解読できるかね」
オペレーター「はい、……こ、これは! 0です! トップとアンダーの差は、ZEROです!!」
剣持キャップ「やはりそうだったか……勇敢なる三人に敬礼!」
こうしてまた一つ、人類の謎に光が当てられた。
ありがとう0テスター、ありがとう三人の勇者達!
END